ep.2 ◇ École élémentaire

2 ◇ MONOLOGUE : 8 ans plus tard (il y a 10 ans)

※8 ans plus tard (il y a 10 ans)…大災害から8年後(現在から10年前)


◇◆Haru◆◇


アヴェ・マリア 恵みに満ちた方

主は貴方のお導きの元で祝福されています

神の主導者聖マリア

わたしたちのために、

今も、死を迎える時も、お祈りください。

アーメン。


フランス、パリ。

この世界は混沌に満ちている。


8年前に天変地異が起きてから、大分復興が進んできた。

あの時、たくさんの人が亡くなったって、聞いた。


魔術師さんたちはすごい。鍛冶屋のアンリさんは、魔法を使ってほとんど一人でこの町を復興したんだって。それも、大災害の前の街並みを、そのまま再現したみたいに。


だけどこうやって、優しい魔術師さんばかりという訳でもないみたい。

中には《warlock》…つまり、《黒魔術師》と呼ばれる、ちょっと恐ろしい魔術師さんもいるんだって。

何かどう恐ろしいのか…それは昔からそういうもんだって教えられるだけで、詳しいことはよく分からない。


「warlockには、近づいてはいけない」と


そしてその昔、大預言者は『遠い未来、この世界をきちんとあるべき姿に導いてくれる者が現れる』と言った。

その方は祈りを捧げる抽象画として伝えられることが多い……通称、《マリア》様。

だから私たちはこうして毎日祈りを捧げる。


天界には優しい神様や天使様がいて、まるで楽園のような世界だと言われている。生きている間にきちんと善行を積めば、死後たどり着ける場所。

私たちはそれをずっと信じてこれまで生きてきたけれど、ずっと生者と死者は同じ世界にいるし、この混沌は続いている。


本来生者と死者は干渉することはできないし、互いに見えない…ものらしい。でも、私には「視える」。

でも、別に、「視える」だけ。私は魔術師じゃないよ。霊感が強い、みたいな、そういう体質。

それにね…それには少し不思議な規則みたいなものもあるの。


そして最近よく耳にする噂。

もしかしたらこの世界は大きく動くかもしれないって。


祈りを捧げ終わってぼんやり考えていると、不思議な風が、私の長い髪を攫って行った。

どこかで何かが起きたのか、その風は普段よりも生ぬるく感じた

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