ボーンダンス!
阿僧祇
ボーンダンス!
結末より始まるボーンダンス!
骨となった君も踊り出すボーンダンス!
君が骨となった日から踊り続けるボーンダンス!
この骨に魂が宿るまで踊り続けるボーンダンス!
君を失いたくないボーンダンス!
私は君の白骨の手を握り、カラカラと音を立てる君の軽くなった体を持ち上げる。
君の節穴になった眼には私の姿は映っていないだろう。
角ばった骨の感触では、君の柔肌を感じられない。
私が持ち上げなければ、君は動くこともできない。
君は私のステップに合わせてくれない。
私は君とこれだけ体が触れあっているのに、死んでしまったら意味がない。
なぜ、君は死んでしまったんだ。
「まだ死んでいないわ。」
君の顎骨が動き出し、言葉を紡いだ。
私は驚いた。
「魂が宿ったのか?」
「ええ、私の体だから。」
「それは良かった。君とまた話すことができて。」
「……そうね。」
「何か不満かい?」
「ええ、あなたと一緒にいるのに、この節穴ではあなたを見つめられない。」
「なるほど。それはそうだね。」
私は自分の目玉をくり抜いた。
そして、彼女の頭蓋骨にある目玉の穴にはめた。
「ありがとう! これであなたを見ることができる!」
「容易い御用さ。」
「でも……。」
「まだ何か不満があるのかい?」
「眼玉だけじゃ見た目が悪いわ。あなたの前では綺麗でいたい。」
「そうだね。女性はいつでも綺麗でいないと!」
私は自分の皮膚を引き剥がした。
そして、皮膚を君の体に引っ付けた。
「ありがとう! これで、私は生きている頃の綺麗さを保つことができる。」
「容易い御用さ!」
「でも……。」
「まだまだ不満かい?」
「私はあなたに合わせて踊れない。骨だけじゃ体が上手く動かない。」
「そうだね。肉が無いとね!」
私は筋肉を引きちぎった。
そして、筋肉を君の体に引っ付けた。
「ありがとう! これであなたに合わせて踊ることができる。」
「容易い御用さ!」
「でも……。」
「これでも不満かい?」
「体がとても軽い。いつものステップが崩れてしまうわ。」
「そうだね。臓器の重みが無いとね!」
私は臓器を掻き出した。
そして、臓器を君の体に押し込んだ。
「ありがとう! これであなたのステップに合わせることができる。」
「……。」
「でも……。」
「……。」
「これで最後、あなたと一緒に生きていたい。」
「……。」
君は私の心臓をむしり取った。
君は心臓を埋め込んだ。
「ありがとう! これで、あなたと一緒に生きることができる!」
「……。」
「……なんで、死んでいるの?」
「……。」
「何か答えてよ。」
「……。」
「そんな……。」
「私が求めすぎたの?」
「……ごめん。」
「全部返すね。」
君は心臓をむしり取り、私に返す。
君は臓器を掻き出し、私に返す。
君は筋肉を引きちぎり、私に返す。
君は皮膚を引っぺがし、私に返す。
君は目玉をくり抜き、私に返す。
「なんで……。」
私はすっかり生気の失われた君の骸骨に語り掛ける。
「私は君にこんなに与えたのに……。」
「まだ足りなかったのかい?」
「ハハハ……。」
「ボーンダンス!」
君とまた会うために踊り出そうボーンダンス!
骨になってもまた踊り続けようボーンダンス!
君とまた会うためまだ踊り続けようボーンダンス!
君に魂が宿るまで踊るボーンダンス!
骨となった君も踊り続けるボーンダンス!
冒頭よりまた始めよう!
リボーンダンス!
_____________________________________
↑冒頭から読み始める。
ボーンダンス! 阿僧祇 @asougi-nayuta
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