鶴の恩返し

「は!はははははははははははは!行くぞ、かや」

 レノンは、姿を、タイコウチ、水生昆虫・体長はその本来の生物通り___にして、船から投身自殺のように飛び降りた。普通_水牛と化す前の客船と言う意味であるが_通常通りに安定した海原の、旅を続けるそれから、同じように、カマキリも飛び降りた。

 帰ってきたけいは、ちなつを背負っていた。目がギラギラと、怒りを激しく称えていた。何気ない、日常(快適な船の旅)満喫中を、引き続き、無理があるが、演じ続けるマシンガン、小山、鹿沼、自治医大、求喰柚宇は、その怒りに気付いていたが、それを表には出さず、近づいてくるけいの足音を、ただ聞いていた。

 ああ、本当にいい天気である。

 お、下を見れば、何かが通った。

 あれはオットセイでは、ないか?かわいらしい姿態をしている。

 けいは、言った。

「小山ちゃん。今から、クソ惑星巫天全員の名前を教えてくんろ」

 くんろ、は栃木弁では、なかった。それほど、頭は回ってなかった。

 柚宇は、反論しようとしたが、今まで一番怖い兎瓦けいだったので、止めて、口笛に没頭した。

 本当にいい天気であった。


 4頭目のイルカ


 桂は、言った。

「さとしの、ね?坂口~?彼女いるでしょ?」

 坂口浄介は、ものすごい嫌な予感のまま、桂を見た。口には、だらしなくシュークリームがこびりついている。このあとの、桂の言葉は聞き逃した。

 _地球様とは_

「と、あのちっこい魚ども」

 桂は、白目をむいた。奥に、WE LOVE HUMANと出た。Times New Romanのフォントである。

 _神岡眞弥様のことよ_

 桂は、言った。

「ワレワレノテキダカラッ!!」

 席を立った、浄介は、さわやかな顔で、CDプレイヤーの前に座った。

 今までの、彼女の話は聞いていたろうか。聞いていた。浄介は、今から言う言葉をあとで、自殺するほど後悔した。

「わかった」


 MAKOTO


 -

 レノンとマシンガンと女の子(名前はけい)

 -

「ねえ」

 ちなつは、明るい顔で、ば_と振り返った。けいも、笑った。

「意外とヘボいね、札幌時計台!ふっは」

「ほんっとだべ期待はずれも、いいとこだべこれ。なあ、カエルキョンシ-?」

「カエルキョンシ-では、ないから!何パターンあんだよ!」

 マシンガンは隣で、珍しくモロにウケていた。

「がは!月よ!お前も、ヒトのことなど、言えぬではないか!兎瓦けいにいいように、飼育されているようにしか見えんぞ」

 カエルは、真面目な顔でシャチの背中に乗った。なかなか、ファンシーな画であるが_

「マウヅ。本当。あともう一回、おれを月と言ったら。本格的に、この求喰川全JETTOES担当の尼李柚宇様の、力を拝むことになるぞ?半端生物。あ?」

「望むところだ」

 マシンガンの背びれは、三本になり、それぞれの背びれにはETIAGXN/KANSMARSS/JETTOESと示しだした。

「お~い、何ケンカしてんだ、ばか!この札幌バーガー食うか?ハゲシャチにエロガエル様?」

「調子に乗るなと言ってるだろが、バカ人類」

 そ。カエルは、手ですくい上げられ、耳打ちをされる。けいは、女神のような笑顔で、カエルにつぶやいた。

「マシンガンがイライラさせた部分は、わたしが全部体で払うか・ら♪」

 珍しく、顔を紅潮させた両生類であった。マシンガンは、ぐひひ、と気味の悪い笑みを浮かべた。はっきり言う。可愛くはなかった。

「ねえ、ちなっちゃん。ちょっとこっち来て。あたし、漏れそうで」

「いやいやいや一人で行きなさい!あんた何歳?」

 けいは、時間を止めた。

 乳をせがむ赤ん坊の目で、ちなつを見た。

「お願い」

 けいは、ちなつの胸で号泣していた。ちなつは、「ああ~、お気に入りの服が~もう売りに出せねえよ、ばか~」手は、太陽のようにやさしく、友人の背中をさすっていた。

 けいは、しきりに同じことを口にしていた。

「怖かった!怖かった!、ぐ 怖か、、、ぐ」

 けいは、泣いていた。カラスがこっちを見てる気がしたので、トイレの中から、鳥にしし、とちなつは、やった。

 本当は、ちなつの方が、傷ついていた。

 -

「MAKOTO?」

 小山は、マシンガンに聞き返した。

「というか、あなたがわたしに喋りかけてくれるってどういう風の吹きまわし?マウヅ」

 小山は、歩道橋の上で、謎の時間つぶしをする一行の中で、マシンガンをいぶかしげに見た。いつもの小山ではない。

「小山。お前の力は認めているつもりだ。ただ、あれだ。苦手なのだ、お前が」

 ふ、と自嘲気味に、メスシャチは吐き捨てた。

「べつに言わなくても、いいだろ本人に」

 本当にいつもの小山ではない。生理だろうか。きゃっきゃと、一体何十万年喋り倒すつもりなんだろうか、と思うほど、喋り続けるけいとちなつ、それから黙りこくった、かっこつけカエルをほっといて、マシンガンは続け、用件を説明した。曰く!_

「おそらく、FINE中、一番タチの悪いイルカが、来るが、、、お前一頭に任せていいか? 求喰川秘密要塞<紫陽花>頭領<おいた>」

 名前っぽい響きであった。おいた、と呼ばれた小山は、口に歯をぎらつかせ、答えた。 Kansmarssが、反発、魂、意識思考が彼女の担当である。

 それと同時に、

「誰に口聞いてんの?マウヅ。あたしに敵う鯨類なんて、いねえよ」

 惑星の全<液体>担当。

 -

「たっはあ!ちなっちゃん、もう一回やって!」

「やだよ!二回目は、絶対つまんねえの!そういうもんなの!」

「やっぱ、ちなっちゃん、お笑いの才能あるっぺよ。テリー伊藤もう一回やって!お願い、お願い! もう一回だけ、、。!あっはははははははははっはははは もう一回!」

「もう、やんねえよばかけい!」

 ホテルに着いた。

 やたら、安いホテルだったが、この清潔感なら、女子共は特に文句はなかった。

「おれが払う」と言い放ったカエルに、けいとちなつは愕然とし、トイレから出てきたカエルは、3万円を、自分の粘液で頭にこびりつけて帰ってきたのである。

「ちゃんと働いて稼いだ、金だぞ!」

 ちなつとけいは疑った。

 

 レストランに地球様が、居た。

 けいは、地球様の見た目を知らなかった。

 ちなつは、知っていた。ちなつは、手を振った。けいが、船の上で、不吉な顔をしていたのは、つい忘れていた。

「眞弥じゃん!ええええっ!?(ばしばしと頭の岩石をもむ)何でこんなとこで働いてんの???住み込み?」

 その女の子。ホテルを、出た札幌駅近くの、<こってりんこ>と呼ばれる、レストラン(イタリアン)にて、バイトをしていたのだった。見た目は、けい、ちなつと同じくらい。短髪で、耳当てをし、よく見えないが、石のようなものを、後頭部に埋め込んでいる。誰も怖くて聞けないのだが、脳みそは無事なのだろうか。

 笑って答える眞弥。

「うん、、、あ!?いや、わたしつい前に引っ越したの!前、さとざくら君って来てるって言ったでしょ?あの人、寒いとこによく現れるから!」

「現れる!?ぎゃはははhっはははh、あんた野生動物とでも、友達なの?」

 うん、と言おうとした眞弥を呼ぶ声が。

「おい、新入り!な~にくっちゃべってんだ!ここ伝票間違えてっぞ!あとで、三好オーナーに告げ口すっぞ!コラ来いよ、早く!丹野と純に教えてもらってる途中だろが、岩石頭!」

 なかなかに馴染んでいる様だ、ちなつは安心した。

 パーティ中、安心しているのはちなつだけだった。席に戻ると、あれだけ地球様というフレーズを怖がっていた、兎瓦けいは、実物を前にして、何も恐れていないが、変な周りの空気は察知してぎょっとしていた。

 マシンガン。

 柚宇。

 小山。

 鹿沼。

 自治医大。

 全員である。全員、小便ちびりそうなほどびびっていたのである。柚宇は、同僚のはずであるが、どういうわけか恐れている顔つきであった。

 地球様は、古くから伝わる雷神様の正体である_。

 この惑星を含めた、全宇宙の(特にこの銀河<東通(アズマドオリ)>においての)カルシウム及び全生物の姿<念悦>を、後天的ではなく、生まれた時から授かった、正真正銘の、惑星守護色期巫天スリイのうちの一人_神岡眞弥だったからである。

 -

 MAKOTOは、礼文島と呼ばれる島の周りを泳いでいた。


 その海豚<いるか>_種類鯨類最速のスピードを誇る楽天破壊神_イシイルカ_犠牲者数最多の極悪鬼_MAKOTO、であった。

 -

 木村優美は、四つ葉のクローバーを、旧眞弥邸の近くで、探していた。

 _見つからない。

 惑星守護色期巫天<鉄>担当と同時に、魔王さとざくらの妻_避雷針_木村優美である。

「あれえ?ないぞ~」

 ちっともイライラした様子は、見られないがもう6時間ぶっ続けである。

 -

「やっべえ、忘れてたべよ!これ!」

「ちょ!けい!うぷ、速い!ちょっとちょ、スローダウンプリ~ズ!」

「だめだ、ちなっちゃん!あたしあああああああなんでこんな大事なこと忘れてたんだべ!」

 ばん、とドアを開け、ホテルである_テレビをつける。何事か、とけいに追いついて、部屋のベッドに倒れこむ、他のメンバー。

 はあはあ

 けいは、息一つ切らせていない。心理状態で、何もかも制御できているとしか思えない、超人女である。マシンガンが、枕の下から、生意気な<かわいいアピール>でもするかのような、恰好でけいに、言った。

「ふん。兎瓦けいよ。テレビなど、わたしがいつでも見せてやるではないか」

 機嫌が悪そうな、マシンガンであった。

 けいは、言った。

「、、、、」

 言ったつもりになったが、心の中で完結していたのだった。

 けいは、ブラウン管のスレイブになっていた。

 けいには、好きなミュージシャンがいる。今日は、金曜日。あの番組が、夜8時からある。けいの好きなミュージシャンとは、ケツメイシであった。

「歌詞がいいんだって~」

 ちなつは、もう耳タコである。好きでも、嫌いでもなかったが、椅子取りゲームのような感覚で、けいがあまりにも好きというから、逆に聴かなくなっていた。

 マシンガンは言った。

「ほう」

 なんと、人類のセンスに感心しているではないか。

 柚宇が、隣でほざいた。

「もっと、ゲイン足さねえと、求喰川じゃ通用しねえな」

 の割りには、食い入るように見ていた。マシンガンと柚宇は、その中の(三人の中の)一人に特に感心している様だった。さて、誰でしょう_。

 -

 レノンは、椅子を蹴飛ばしていた。納得いってなかったのである。

 ここは、スタジオ<HURRICANEPUSH>。

 かやは、横から声をかけた。

「ガチャピン。ふてんなよ。完璧なんてないんだって、世の中」

 かやは、がば、とレノンを自分の膝に乗せた。見上げるレノンは、最愛の人の笑顔を確認した。

「、、、、。本当は、一頭目のシロナガスクジラの時点で、終わらすつもりだったんだよ! ち。やっぱ、着ぐるみじゃ、本気だせねえな」

 かやは、黙っていたが、レノンのそれは、大口でも負け惜しみでもない、事実だと知っていた。自分以外に、レノンを理解している人間など、いないと知っていた。

 -

 さとざくらは、帰っていなかった。つぶやいた。

「焼酎」

 今、焼酎と言ったのだろうか。

 シャチが水面で?

 おれの聞き間違いだと、思う_。

 -

 ツチノトは、礼文島で待っていた。

 目の前に、浮上するMAKOTO。なんて愛らしい顔をしているのだろう。オスでも、セックスしたがる程の魅力的ロリロリフェイスである。だが、声には毒があった。

 *ツチノト、協力してくれるって本当か*

 壊れたラジオのような、不快としか言いようのない、濁音ボイスであった。

 ツチノトは、答えた。うなづいただけだった。

 -

 礼文島は、日本最北端。高原植物咲き乱れる、緑と風と海に育まれた、永遠のイーストパラダイスである。山は高く連なるが、老人でも歩けるような手頃で、スケールのでかいトレイルを内包し、目の前、お隣の利尻島そびえる利尻富士は、三井観光ホテルのレストランから絶好の眺めでウォッチング出来る、快楽の観光スポットである。

 寒さを除けば。

 フェリーターミナルから、出たけい一行は、まずお土産屋に向かった。_全部ほしい。けいは、思った。ツボだった。彼女の趣味にぴったんりんこ100%だった。文句がないとはこのことだった。この2行_すべて、けい自身の口から発せられた言葉になった。

 ちなつは、となりで引いている。

「どった?」

 マシンガンは、シャチのキーホルダーを見つけ、こんなものOrcinus orcaでは、ないとそっぽを向き、カエルは、そのあとで、「いや、そんなもんだろう」と悪態をついた。

 柚宇は、一人で、お土産屋を出た。キョンシ-になる。 「長居し過ぎだ、あのバカ眼鏡、、、!」

 ちなみに、フェリーに乗ってる最中、<メガネの方が、かわいいのに、>と言われたことを思いだしていた、けいは、甲板に出たあと、帰ってくるとともに、休んでいる一行の前に行き、カエルの前で、へっへーと言ったのだった。メガネをかけていた。カエルは、なんだこいつ、きもちわる、と言った。

 -

 MAKOTOは、すぐそこまで来ていた。

 船、多くとまる港内で、ふつうに堂々と浮いていたのである。どの動物を調教しているのかは、まだ謎に包まれていた。


 手頃な木を見つけたキョンシ-は、セクシーな瞳を、葉っぱに向けた。

 この男性は、植物を愛していた。花男というあだ名は、態度には出せないが、嫌いではなかった。

 ひとつ、注意してほしいことが、ある。

 あくまで、柚宇は、男性である。だが、キョンシ-になった時だけ、見た目は、女になる、と度々、申し上げた。

 顔。まったく、同じ顔なのである。

 誰と?

 木村優美の顔とまったく同じなのである。かもす雰囲気が、ただ余りにも対極のため、見間違えるが、つくりは、コピーであった。

 これが、どういう意味か、のちほど説明するとしよう。

 -

 惑星守護色期巫天_ツチノト_。

 <水>担当_。

 -

 惑星は、なんて素晴らしいのだろう。

 木々は、なんて頼もしいのだろう。

 住む動物は、なんて個性的かつ魅力的なのだろう。

 風景は、そのすべては、なんて果てしないのだろう。

 押しつけるつもりは、ないが、何も作る必要など、ないほど、この惑星はあるがままの姿(こころ)で、充実してはいないだろうか。

 ストーリーに話を戻す_。

 けいは、二個目のアイスクリームに手を伸ばし、ちなつは、「太るよ」_世のほぼ全女性を恐怖に突き落とす魔の呪文を唱えたのだった_兎瓦けいに3000のダメージ!_。

 マシンガンは、言った。 「なんだ、あれは」

 ワカメだった。

 瞬時に_。

「にげろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」

 マシンガンは、叫んだ。

 The Rolling Stonesの<Jumping Jack Flash>をBGMに現れたのは、魔王だった。

 ここは、港である。

 さっきまで、いたMAKOTOは、いなくなっていた。

 すでに、食べられていたのである。

 -

 キョンシ-は、ぞく、とした。 まさか、と思った。そんなはずはない、と思った。帰ったはずだろ、と思った。しかし、その対象を恐れてはいなかった。

 友人だった。

 -

 ばきん! がりがり!

 逃げまどうシャチ達と女の子二人を陸上で、コンクリートを削りながら、執拗に追いかけるのは、一頭のオスのシャチである。

 _ここは、陸上である。

 けいは、目の前の電柱をかわした後、叫んだ。

「なんか、前もこんなことあったべマシンガン!」

 ちなつは、は、はと青白い顔で、もう、一言も発せられない。

 ヒトが走るスピードより、遅いので、本気で走れば、この変なシャチに追いつかれることは、なさそうだ。

 マシンガンは、けいのパーカーのフードをくわえたまま、(ひっついているだけである)言った。

「そうだな、けい」

 なぜ、けいもこのシャチもあっけらかんとしているのか、ちなつは完全にエイリアン目撃中的に、理解不能であった。

 シャチに追いかけられているのだぞ、と思った。

 小山が、叫んだ。

「MAKOTOってこいつ???」

「たわけが、おいた。こいつのどこが、イルカなのだ。さて、、、どうやら、手間が省けたらしい」

 ちなつは、視界の斜め上を見た。

 眞弥だった。

 眞弥か?ずいぶん、いつもと違う顔をしている。まるで、

 まるで、

 まるで、

 鬼。

 マシンガンは、ぶるるっと震え、胸ビレから、毎秒、植物を出し、それを足にしながら、追いかけてくる不気味な生命体に、笑顔を向けた。

 マシンガンに、求喰川にて、大けがを負わせた者である。

 名を、さとざくら_チョウ_火の鳥_うぐいす_アサリカリン_吾朗_他、幾多もの名前を持つ、最強の肉食獣植物鯨類_月の使い手_魔王とみたゆうか。今、スピードを遅めたマシンガンを捕食せんところだ。

 けいは、叫んだ。

「だめマシンガン!」

 笑ったままのマシンガンは、ばりり、とわずか30cmの体を、垂直に上げた

「喰らわしてやるぞ、さとざくら!この前のお返しだ!!!!!!」

 もう、3m手前に迫っている。

 雷が落ちた。が、意外なところに落ちた。マシンガンは、は、とした。魔王は居なくなっていた。気付いたら、沖に出ていたのである。はや。

 背びれが今、消え、平和に戻った? と一同が勘違いしたそのとき、

 ずぎゃんんんんんんんんんんん、、、、、、、、、、、、、

 見上げる丘の上で、地球様が雷を吸収していた。

 立ち止った、けいとちなつは息を切らしながら、ひとつのことを思い出していた。

「雷神様が地球様の正体」


 _が、見事に緊張感など、なかった。

 ばしばし、と叩かれる、地球様の頭。

 冷や冷やしている、マシンガン他シャチ合計4頭。

 柚宇は、遠目に、相変わらず、木から「眞弥ちゃんだ」と呟いたのみ、偶然、眞弥の好きな<ソーダ味>チュッパチャプスを、ちゅぱちゅぱと堪能中だ。

 なんか、この男、舐め方が、見事にエロい。それにしても、こいつは、どっからものを出すのだ。けいに、ドラえもん花男_でも、何でも、あだ名を増やされそうである。

 _さて。太陽神は、いかがされていましょう_。

 -

 太陽神は、泣いていた。

 気まずい雰囲気にしてしまったことを、本気で悔いていたのである。

「もう、あたし死ぬ」

 あんたが死ねば太陽系がはい、終幕である。

 スティーブは、太陽神神岡浄介の肩に手を置いた。そして、言った。

「お前は何も悪くねえ。お前は何も悪くねえ」

 仁美は、なぜか、水着に着替えて、正座をしていた。

 どうしよう。少し、目を離していた隙に、破滅的に、状況判断が不可能になっている。なんで、崖の上で、水着なのだ。

「おい、仁美。考え直せ。死ぬのなんて、バチ当たり。神の前で」

 黙った仁美。

「、、、、。なら、舌を噛み切るわ」

「お前、大奥かよ。そこまで、嫌がられているおれの身にも、なれよ」

「うう、、、」

 普通に、目を腫らして、号泣している太陽神。気まずい雰囲気にしてしまったことをよほど、悔いているようだ。

 太陽神は、気ぃ使いぃだった。スティーブは、発言した。胸をドン、と叩いた。

「ラップ聴いてくか?おれの」

「、、、ぃぃ」

 仁美は、落ち込んでいるのが二人になったのを、確認するのみだった。

 さて、地球様_。

 -

「地球様ってこんなかわいかったんけ!?なんつーか、これを心配して損したって云うんだべ~な~」

「ずいぶん、感慨深い瞳するんだね、あんた。けい、はっきり言う。あんた、老けた」

 兎瓦けいに、6万2千のダメージ!バンバンといじられながら、眞弥は、は、とした。

「さとざくら!」

 見てなかったのだろうか。とっくに、帰還済みである。太平洋の遥かかなた。イスカンダルである。とりあえず、噴気が今上がったのが、それを認識できるのは、ここにいるメンバーでは、求喰柚宇くらいのものであった。

 眞弥は、言った。 

「けいちゃん。こんにちは」

「がっははっはさっきから、挨拶しか、しねえな!このコ、、、ぬふ!」

 もんぞり打つ、けい。

 ちなつは、どうしてしまったのか、とけいを見る。どうやら、ウケている。

 めちゃくちゃにウケていた。

 そうなのである。

 兎瓦けいにとって、地球様の<キャラ>、いや失礼だ、これでは。地球様の<おキャラ>は、120%ど真ん中ツボだったのである。

 もう、眞弥が何を言おうと笑えるのだ。失礼の極みである。惑星をなめている。

 そんな女が、また口を開く。

「だ、だめ!う、、は!腹が」

「けい。あんた、眞弥ちゃん、泣いてるよ?」

 -

 目を見張った。そこに、いる全員である。柚宇も、含める_奴のもう決まり文句_「この時代で?」を口にしながら。

 目の前に、突如として現れたのは、鳥と芋虫である。違う。今、貴殿が想像したようなスケールではない。芋虫の方は、体長15m。鳥は、翼を広げたら、全長_おそらく30mになる。道路から、ななめにいや、斜め上に走る、高い丘を見上げる一行は、今、いきなり現れた、この2頭の動物を凝視、いうなれば、観察していたのである。

 けいに、掴まれたまま、眞弥は相手の手をゆっくりどけて、促す。

「けいちゃん。話が」 目の前で、目を反らし、笑い始める兎瓦けい。

 こいつどうしようもねえ。

 -

 真面目な話になった。

 広大な、景色は、まるで原始地球である。

 礼文島の、山々は神秘的で、歩いていると、心が洗われていく感がある。

 もらえる。

 自然は、私たちに、無料で、喜びをいつだって配達<済>である。

 ベンチに腰掛けて、海を眺めながら、一行は、眞弥に視線を集中させる。

 地球様が、おしゃべりになる。マシンガンは、いつになく、喋る感じではない

 他のシャチも同様である。柚宇は、いつのまにか加わっていた。言い訳を始める。

「ああ、眞弥ちゃん。あのさ、いや、さとざくらを追い返すっつう、眞弥ちゃんのさ。話は、全部ちゃっかり100%スリーセブンで、聞いてたんだけどさ、この兎瓦けいっつうガキのお守で忙しくて、ね?」

 浴衣の青年は、けいに睨まれた。

「はあ?頼んでねえし」

「頼んだろうがよ!てめえ、おれ居なかったら、あん時、絶対死んでたんだからな?」

「わたしにはマシンガンがいるもーん、ね?マシンガン?」

 やれやれ、と言った顔のマシンガンは、引き続き、眞弥に集中している。眞弥がしゃべり始める。

 マシンガンは、地球様の命でここに来た、と以前言った。マシンガンは、彼女を尊敬していたのである。

 けいは、その横で、喋りそうになる眞弥を見て、また、どぅふ、と笑いをこらえていた。

 -

 ようやく、泣きが解けた、太陽神は、「じゃあ、、、料理でもしますか」と言った。

 神と一緒に料理、、、。なにか、とっても食べるのが、口に入れるのを緊張しそうである。

 -

 桂は、言った。

「ふ」

「どうした?桂。いきなり笑うなっつってんだろ。意味わかんねえからっ」

 川辺で、桂が頬を膨らました。

「ああ!意味わかんないって言わないで!傷つくって言ったじゃん!」

 桂を無視して、喋り始める。

「ここ、思いだすなあ。ここなんだよねえ。あの、変なネッシーと初めて会ったの!あいつ桃に入ってたんだよなあ」

「それ、しほ失敗だったって言ってたよ!あれは、恥ずかしかったって」

「なんだそりゃ。動物に恥じらいなんてあんのかよ」

 葉が、舞った。

 桂は言った。

「ねえ、浄介。わたしのこと動物だって罵って?」

 やばい女である。

 浄介は、例のぴょんぴょん跳ねる、水面石投げをやった。おれは、あれはできない。全然。浄介は、そして桂を見た。

「は??」

 バカにした。もーーーっと桂が怒る。マジでいらいらする空気である。川に落ちろ。

 桂が言った。

「あのクソ太陽神、マジで燃やす」

 浄介は、また何か言ってると思っただけだった。桂は、この上なく、<かわいいでしょあたし>顔を続けていた。

 -

 柚宇は、説明した。眞弥が言ったことをそのまま繰り返しただけである。ただもっと具体性を持たせて。けいとちなつには、眞弥の言葉、内容は日本語にもはや、まったく全然、ひどいほど、聞こえていなかったのである。小声で、ちなつはけいに言った。

「おもしろいでしょ?このコ」と言い、けいは、真顔で「もう、わたしこのコのファンだから、」と言った。惑星をなめている。お前らも、あのナンパしてきた男みたいに、ちゃぶされろ。

 眞弥は、困りながら、柚宇を見た。もちろん、悔しかった。

「だからな?えっと。眞弥ちゃんが今言ったのは___うーん。いいや、ちょっと省くぞ?けい!」

「はい!」

「おう。前に、サメ出したとき話したろ?三つある、と」

「どっちかっつうと、小山ちゃんの説明のが、記憶に残ってんだよね」

「ガキ!こいてんじゃねえ!いいから、聞けよ。マジでむかつくメガネだな、お前」

 もっとむかつく顔を、けいがした。

「ち。だからな?この2頭」

 眞弥が、指を鳴らすと、見事な連携で先ほどの、芋虫鳥タッグを出したのだ。柚宇は、次の瞬間、言葉で空気を止めた。けいは、もう笑わなかった。

「鳥を、能幹(のうかん)この芋虫を借農(しゃくのう)と呼ぶ。てめえら、生物全員が飼っている動物だ」

 けいは、わあ、と思った。映画のラストを見てるみたいな、感動を覚えた。柚宇の次の言葉を待った。柚宇は、果てしなく、かっこいい笑顔をつくった。

「けい。恩返しってのは、この2頭を使いこなして、この惑星を救う事なんだぜ?」

 ふん、と柚宇は顔を、その顎をななめに上げ、決まったぜ、と実際に言った。ちなつは、ふーん程度だったが、けいは、おお、おおと言った。

「そうなんけ?マシンガン」

 ギロ、とけいにマシンガンが振り返った。

 けいは、悟った。これから、死ぬほど悲しい別れが来るかもしれない。でも、来ないかもしれない。でも、そんな選択を迫られるだろう、予感がした。すでに、泣きそうになっていた。

 マシンガンは、おもむろに口を開けた。一度、地球様にしゃべった。

「大変_大変光栄でございます_神岡眞弥様。わたくし、古代の鈴音求喰川にて、及ばずながら、眞弥様と同じく、JETTOES念悦を担当させて頂いている、マウヅと言います。調合惑水反蛇巫天ヨウフのリーダーでございます。わたくし、ただ今より、地球様の前で、己の恥を顧みず、この無礼な口をしばらく聞くことになります。失礼は重々承知でございますが、どうか、ご了承くださいませ」

 ば、とけいに顔を向き直した。

 けいも真面目な顔を、始めた。

 ちなつは、もう自分は、どっかに消えたあげた方が、いいんじゃないか、と思った。

 けいは、昨日フェリーで、マシンガンのことと、日常は別だと言ったのだ。きっと、自分は、日常のゾーンに区分されている人間なのだろう。

 ちなつは、立った。がし。けいは、ちなつをつかんだ。

「ちげえよ?」

 何が違うのかはわからなかったし、けいに心を読む超能力は使えなかった。が、ちなつはそれを喜んだのである。違ったのか、と喜んだのである。

 マシンガンが口を開ける。

 けいは、ああ、泣きそうだ、ちきしょう、と心で叫んだ。

「よいか、けい。聴くがよい。シャチには、3種類、存在が許されておる、団体捕食生物が、確認されている」

 ちなつも黙った。黙ってシャチの話を聞いた。

「よいか?珍しく耳を傾けておるではないか感心の、限りであるぞ? 兎瓦けい、 これからどちらのシャチにつくか選んでもらう。もし、我々と道を違えるようになれば兎瓦けい!わたしは」

 けいは立ち上がった。マシンガンを殴ったけいは言った_。

「マシンガン、!誰が何と言おうとよ?あたしは、お前と一緒に行く! でも、よ、?」

 けいは泣いていた_。

「でも あたしはお前に何されたって、恨みはしねえ」

 けいの涙はマシンガンの小さな背ビレを、ふやかす程濡らした。

 眞弥は、手を合わせた。

 けいは声を変えた。女の子の持つ、ゆりかごに似た音だった_。けいは言った。

「マシンガン?もしなんて言わないで?あたしはあなたに食べられたって構わない」

 _マシンガンは、眼を腫らす程、号泣した。

 鳥<能幹>は、その豊かな厚みを持った、羽を広げ、並々ならぬ、岩石と飛沫と雲と、夕焼けの空をあおいだ。風が起こったわけでは、なかったが、そこにいる全員は、地球の持つ、神秘と、潤いと、抱く母性そのものに、感謝したのである。

 ヨウフの間では、シャチは、謝地とも、云う。大地に感謝する、ということを知る者達である。という意味である。

 神岡眞弥は、さとざくらを想い、はーあ、わたしも泣きそうだ、と思った。


 ここは、古代の地球、何万年も前、求喰川である。

 シャチのゆしは、水面_現在とは違う、専らオレンジの色_にて、顔を出し、愛しいあいつのことを、考えていた。背びれが、今、ギターの形に変容した。空高く、浮かんでいる三つの月、(それぞれに名前がある=アナカリス/フォボス/デミトリである)ゆしは眺めた。

 一瞬、アイパッチを空気中で、毒蛇の顎のように、泡のように浮上させ、それを、ぶち、解いた。模様を、直接外に、解き放ったのである。

 _ここは、古代地球求喰川またの名を、姿川(スガタガワ)。現在と違う、夜空に光る、木村優美/桂/尼李柚宇三人の出身地が、不可能を可能にする、体も魂も識別可能の、オレンジの巨大巣である。

 ゆしは、歌を歌った。この前は、チョウに邪魔され、けいに聴いてもらうことは、出来なかった。闇を撫で、空白を優しく空に添える。光を散らし、カーテンのようなうごめく、気体たちを遊ばせる。空前の瞬発と、恐ろしい強度を持った、鉄の塊を、水面に作りだしたのである。このボール。サバから、出てきた、もとい、サバの血から出てきたものに、似ている。今、ゆしは声を止め、仲間の待つB-Bandに返って行ったのである。

「こら!ゆしボケっ早く来いっつってんだろ、メシないよ?もう!」

「えええっ!ふつー取っとくべ、お姉ちゃんほんと文字通りの悪魔!!!」

「今ので、ゆし決定だよ?あんた!夕飯抜き飢え死に地獄の刑に!」

「、、、(しね)」

「ああっ!死ねって言った!!!信じらんない、この娘!!!ゆる姉ちゃんに言い付けるから!」

「わぁん!うそっす!めす御姉様!!」

 -

 かやと

 マシンガンと女の子

 -

 ゆしは、話を続けた。目の前の、歳の近いオスシャチに、である。

「イシアガン見たよ!ブスだった」

 ひどいことを言う。

「、、、マジ?まあ、そういう場合って、向こうでは美人とされるよな」

 サスガというオスのシャチは、ゆしの話を真っ向から聞いてあげた。

 だが、ゆしはそれに返事はしない。

「うん。お腹空いたね。サスガ。ちょっとわたしもう行くね?」

「えええ!?お前、それだけの為におれ呼んだん?」

 もう、ゆしはいない。そうなのである。

 けいが、かわいい、と云い、マシンガンがベタ惚れの、この娘は。

「は~~~ケツかいいし、狩りうぜえし、どうしよ。全部、妹のこころにやらせよっだり!」

 性格が最悪なのである。

 -

「いや、かわいいと思うよ、あんたは。さとしじゃなくても」

「いや、いらねえから、そういうの!わたし自身中の下くらいかな、って自覚あっから」

「そんなことないって。もっといいって。これ以上は、褒めないけど」

 今回のミニ旅行は、これにて終焉である。あのあとは、礼文で一泊し、また札幌に戻って一泊し、また、苫小牧から、現在、茨城行きのフェリーである。で、また_

「レノン!!」

 けいが叫んだ。

「よう、兎瓦けい!乳しゃぶっていいか?」

 最低の野郎が、またアホ毛娘と登場である。だが、甲板の上で、不気味に友好的な今回だ。

「おい、近づくんじゃねえ。飛び降りっぞ。で、てめえは殺人罪っつうか自殺強制罪で死ねや。電気椅子で死ねや。カス。消えろ」

「おっほぉ!こわ!!!いいじゃねえか、はじめっから、お前を傷つけようとしたわけじゃねえし、無傷で還したろうが!」

 心は、全く傷だらけだった。

「?」

 ちなつは、自分の失われた記憶を、取り戻し中だ。ここに、マシンガン他とカエルは、いない。

 眞弥は、引き続き、北海道バイト三昧である。

 -

 なんと、である。調べ物がある、と残し、カエルもあの無責任シャチ軍団も、北海道に残ってしまったのである。なんということだ。また、行きのようにけいが、嫌な思いをさせられる羽目になったら、どうするのだろう。その羽目真っ最中のけいは、こう言った。

「なんでまだいんだ!?クソミュージシャン!消えろっつってっぺ?」

「こええな、マジで。お前ら、ほんと言葉をマスターしたよね、悪い意味で」

 何かを思い出す、レノン。さっきから、かやは、ちゅうちゅうリンゴジュースを飲みながら、どかと、窓の隣に座り、ギターを弾いている。やはり、プロである。普通に上手だ。

「うちの女房が、今度はお前に、話があんだとよ、兎瓦けい」

 かやが、手で×を作った。

「(女房ではありません)」

 口で、紡いだ。 音は発していない。

 ざ。

 ちなつである。怖い顔をしている。

「ねえ、あんた。プロで音楽やってるからって調子乗ってんなよ。あたしの親友が、消えろってんだから、今すぐ消えろよ、着ぐるみざ衛門」

 ぴく。

 しかし、レノンは表情は変えずに、もう一言言った。

「ごめんなさいって。じゃあかやちゃん、あとはよろしくっ」

 ぴ~っと口笛を吹いて、船内に消えたレノン。もうそろそろ、甲板を後にしないと、暗くて、居心地が悪くなる。おまけに少し寒い。レノンの言ったことなんて、無視して帰ろうとしたその時、二人は同時にかやを見た。

「?」

 何かされた気がしたのである。距離5m。絶対何かされたと思った、けいはかやに叫んだ。

「ほっといてくんねかなあ、ピアノ線さん!」

 かやは、ゆっくり振り向いた。と、同時に、マッコウクジラが、けいを

「!!!!!!!!?????????????????」

 _けいを

 _食った。

 ば、と甲板から飛び立つかやは、腰を抜かしたちなつを置いて、手を大袈裟にふった。

「ガスト_」 

 時間を戻すと、こうである。

 たとえば、中から外の甲板を見た人にとっては、である。

 女の子二人である。

 隣に、ギターを弾く別の女の子である。_。

 マッコウクジラの顔アップである。下あごが、フェリー甲板の手すり仕切り、に乗っかる感じである。

 もちろん_

「ぎゃあっ!!!!!!!!」

「おい、見たか今の、、ひ、ひとが!!!!!」

「きゃあああああああああああっ!!!!」

 船内完全パニックである。狂った人々が、押し合いへし合い、<そこ>から、遠ざかろうと、メガトン級の我先に、である。

 _「いや!」

「おい、はもう!!前、何してんだ、早くイケ殺すぞ!!」

 怖いことを言い出す人までいる。パニックである。

 トイレの中、レノンは、たばこに火をつけた。ニコチン0である。

 お子様用。

「っふう。けいちゃん。ピノキオごっこ事件!かやの奴、おれより性格わりーかんな」

 お子様用たばこは、笑っているような、赤を灯した。

 -

 また、川辺に来ているバカップルは、花を二人で見ていた。

 花言葉の話で盛り上がったりしていたら、殺す。

「なあ、桂。コスモスの花言葉ってなんだっけ?ミスチルの歌であんだよな~」

「?花言葉?」

「はは!わかんねえか、あーなんつんだ!?わかんねえ。うん?今、なんか猛烈にさとしのけいちゃん思い出したな、なんでだろっ。ああー、花言葉っつうのは~」

 別にそこまで、伝えるのが難しい概念ではないと思う_。だが、坂口浄介は、ふくらはぎをにぎにぎしながら、(彼の癖らしい)言った。

「なんつーか、おれがお・れ・っがさ?桂のことをかわいいって思うようなさ?そういう気持ちを、ははは!なんつーの?花に持ったひとが、その花に捧げた言葉みたいなもんなんだよ」

 意味がわからない。感動している隣の彼女もいちいち謎の、きらきら御目々である。

「わたしの花言葉は、じゃあ何?」

「そうだな」

 てーん、と石を投げる、坂口。あ、今度は、二回跳ねなかった。ざまあみろ_

「かわいい鏡餅(かがみもち)みたいな感じ」

「なにそれー」

 意味わかんねえ、しね。

 -

 ちなつは、自分を責めた。けど、それでけいが助かるわけではないから、電話をした。 ここは、茨城である。

「もしもしお父さん?あのね_」

 なんと、この娘、けいがあんな目に合ってから、一回も泣いていない。

 -

 けいは、マッコウクジラの胃袋に、居た。

 マジか、である。

 クジラと言えど、食道に五体満足の人間が、通るとは思えない。通るの?まあ、いい。

 呼吸が苦しいこの場所で、このマッコウクジラ、マシンガンと同じ感触であることに気付く。

「惑星守護色期巫天と調合惑水反蛇巫天」

 かやの声である。

 オレンジと紫の気味の悪い、混合模様の胃袋の内壁を、けいが力なく押した。

 怖くて、力が出ない。先のことを考えられない。泣く余裕もない。もうダメだ、という思念を、自分の内部で、押しとどめるので、精一杯であった。かやは続ける。

「生きものじゃないから、、、イシアガン。あんた溶けたりはしないよ?わたしが酸素送ってやってるから、窒息死もない。あたしの話を聞きなさい」

 どこから、話をしているのだろう。外は水面?深海?_現代?

 けいは、ふうふうと呼吸を落ち着かせるのに専念した。こういう時は、どうすりゃいいんだっけ、と引き出しを脳で、開けてみるが一向に、正しい答えは用意されない。

「ピノキオかよ」

 ギャグで精一杯である。だが、死なないと聞かされ、わずかに希望は持てた。

 還した。 

「おい!アホ毛女スーパーミラクル悪趣味!おめ、あんなクソみたいな男とひっついて、毎日マンコまさぐられてるんけ?同情するわ、外人ビッチ!」

 凄まじい罵倒である。レノンに対して、本当に殺意を抱いている様である。まったく、泣く様子なく、ぎん、と瞳をすわらせるけいは、見事に夜叉である。

 かやは、同じトーンで告げる。

「黙れよ、人間。溶かすぞ」

「ああ!」

 けいの、指先が、指先の爪の先が、蒸発した。 痛くも痒くもないが、どうやら、かやの意思ひとつで自分は、天国or地獄あなたの思うがまま!__らしく、けいは、ひとまず、落ち着かせることにした。

 けいは、眼光鋭く、つぶやいた。

「こええ。小便漏れる」

 -

 カエルは、能天気に考え事をしていた。

 マシンガンが隣で、トースターを食っている。ゴミ箱から、らしい。多分、嘘である。

「あーあ、よう、マウヅ」

 マシンガンは答えない。がつ・・・がつ・

「聞けよ!無能鯨類!」

「なんだ、月。どうした。アサリユミトの方が生理か?」

「うるせえよ!死人に生理はねえ。_おい、マウヅ。どういうつもりだ。けいに何かあったら、全部お前のせいだぞ?」

「えらく過保護なのだな、柚宇。つまらんつまらん。枯れ葉のように、あの頃の阿修羅ユミトは、もう終わりを告げてしまったのだな」

「だまれっつってんだろが!」

 しかし、それ以上言い返せない柚宇に、マシンガンはフォローした。

「そんなに心配か?兎瓦けいが。一言言っておくぞ?あいつは、もうこの時代でなら、お前を超えた」

「だろうな」

 _死ぬほど、意外だった。

 マシンガンのここんとこ超意外なインシデンツNo.1に、躍り出た。

 ビアガーデンで、ある程度の音量を保ちながら、マシンガンが心配そうに声を上げた。柄でもない。

「うそだぞ、柚宇。お前、何かあったか?」

「本気で心配してんじゃねえよ腹立つ。、、、ちげえよ」

「何が違うのだ」

 今、子供がマシンガンを発見した。

 <あ!なんか、パンダだ!>

 柚宇は、構わず、言う。

「、、、。ふん。兎瓦けいは、すげえ奴だよ」

 こいつ、絶対に頭でも打ったな、と思っているマシンガンを、今、近くの5,6歳の子供が、ぶんぶん振り回しているところだった。

 マシンガンは言った。

「コラ。食事中だ、餓鬼」

 -

「第一関門_」

 かやは、けいに聞いた。聞いたのである。けいは、人の質問に応えてやる余裕など、今、ない。

「なぜ人間はここまでクソなのでしょう」

 -

 マシンガンは、子供に電撃を浴びせ、その母親に警察を呼ばれそうになっている。そんなスリリングになったところで、柚宇に聞いた。

「殴っていいか?」

 柚宇は、聞こえていない。_「? 今、何か言

 ズギャン_!

 ビアガーデン内で、テーブルが、シャチのぬいぐるみにより吹っ飛ばされた。あのちっこい尾びれで、である。そこに居たカエルは、ムクリと、倒れたテーブルの真下から、這い出ながら、言葉を吐いた。

「やんのか?」

 マシンガンは、それを見下ろした。別のテーブルである。早く逃げろ。お巡りさんが来るよ?

 マシンガンは、カエルに言った。

「柚宇_。どうしたと言うのだ?変わったというレベルではないぞ?少女か?貴様。他人に心配してる暇があったら、このおれから」

 マシンガンの模様が、空に解き放たれた。

 JETTOESは雷も兼ねる。

 固体がもたらす、あらゆる摩擦、圧迫を司る。着火も可能である。

「このおれから、殺されないよう逃げまどってみては、どうだ?水素!」

 バン、カエルは、跳ねた。_ダサい。

「ふん」

 安い挑発だと、わかった柚宇は、人ごみに消えた。

 ばりり。

 マシンガンは、本当に柚宇が心配になってきた。けい以上に、である。

 -

 第5のイルカ_Na

 -

 けいは、答えた。

「人間はクソじゃねえ。人間の中に、クソはいる。だが、人間はクソじゃねえ」

 かやは、言った。

「第二関門!」

 _通過したのだろうか?

 かやは続けた。うごめく胃の内壁は、さっき人の顔を形作った気がした。

 けいは、ぞ、とした。

「なぜ人間はクソになったのでしょう?」

 -

 マシンガンは、恋人を探すように、柚宇を探した。本当はヒトがいいのかもしれない。

「ち!あの色ボケめ」

 -

 小山は、自治医大と鹿沼と会話をしていた。

 ここは、ある入江である。この三頭に至っては、礼文島を出てすら、いない。目の前には、観光スポットとして有名な、地蔵岩の前である。神秘的と同時に、ハリウッド並スケールの奇妙に二つ並んだ、昔、ヒトが仏様の合わせんとする、手のようだ、と比喩した、圧巻ロックである。高さは、ビル並だ。

 自治医大が、ほざく。

「本気出すか、おれらも、鹿沼?」 

 鹿沼は応える。

「ああ」

 三流のやり取りである。_だが_

 次の瞬間、三つの巨大な原始生物<海綿>が、二頭の背びれから、うね、と流出したのである。ぼこぼこの、英語でスポンジと呼ばれるその生物は、生物史の中で、最も原始的_初期に登場したシンプルクリ―チャ―_であることが、広く知られている。知らないひとは、スポンジをただ、思い浮かべてもらえれば、いい。そんな感じの見かけと思ってくれて、全く問題ない。

 自治医大が言った。

「我が本名、イサ。絶滅古代シャチ<オフショア>の血を引く参謀なり」

 鹿沼が言った。

「同じく、我が真の、持ち名はイギタ。秘密要塞<紫陽花>管理長である」

 ぱぐん。

 三つの海綿は、今、膨れ上がり、地蔵岩のサイズを超えた。

 血管のようなものが、速いペースで、その表面を走り、よく見ると、それぞれに、字が添えられている。<日本語カタカナ>で、全長8mの「ミハラシ」「ニギワイ」「ヒマワリ」である。

 小山が言った。歯が、恐ろしく剥いている。

「マウヅ。先に、行ってるわよ?」

 三頭は、海綿に食われた。あとで、確認しても、海綿の表面に、口らしき器官は、見当たらなかったように思う。

 三頭は、古代に帰り、実はもうこの時代に、兎瓦けいと顔を合わすことは、もうない。

 -

 ゆしは波を蹴っていた。

 一頭でいることが、多い固体である。

 通常は、群れで行動するのが、社会性を保つことで、群れで、世代を耕し、別の場所に活動領域を広げる一番の、基礎的な、手段である。

 狩りにしても、何にしてもである。

 ゆしは、ワカメをけしかけた。

 牙を剥くワカメ。5cm余りの歯が、内側に反る形で、数本並んでいる。

 一気に、5,6本襲ってきた。

 ゆしは、目を開けたまま。月を見た。

 どん

 ワカメは、今浜に上がっている。それに被さるのは、不自然に、他のシーツからはみ出た、じゅうたんのような波である。

 手。

 まるで、波間から、手が出て、ワカメをつまみ上げ、それごと、浜に押しやった、そういう風に見えた。手は、波に、海原に、帰ると形を失った。くるり、ゆしは、尾びれを水上に出し、入った。しばらく、見ていると、「魚皮」という漢字が、波上で象られたように見えた。

 -

「はあはあ」

「第7関門_」

「ちょっと、いいか?かや」

 ピタ、と止む声。意外と話がわかる。けいは、息を切らしながら、続けた。

「、、、、。あんさ、、、トイレ行きたい」

「え?そうなの? ちょっとま」

 声が止んだ_。

 ドスの利いた感じで、帰ってきた_。

「貴様、なめるなよ?」

 けいは、はあっはあっと息を切らしながら、にやり、と笑った。

(こいつ、天然だ)

 -

 マシンガンは、恨めしそうに、月を見た。

「なあ、教えてくれぬか?柚宇はどこに行ったのだ」

 月は、答えてくれなかった。 

 -

 バイト中の、眞弥ちゃんは、また、コップを割った。

「がびーん!」

 声に出してはダメだ。プロ意識が、足らない。

「わたしも、最初の頃は、割りたい放題でしたから、ええ、だいじょうぶです」

 同僚の丹野さんは、いいひとだった。

 -

「第60関門_」

「次は、まだ、59だべ?」

「え、ごめん、第59関門_」

「いや、嘘だけど」

 はあ、はあ。

 しばらくして、体が急に重くなった。

「??」

「調子に乗るなよ?イシアガンお前ぐあっ!」

 急に苦しげな、声をかやが上げた。

 どうやら、このクジラがかや自身らしい。_なぜかと言うと。

 ぐあば、がりぃ

 サメが三匹、胃の内壁に外から、食い破ることで、侵入を成功させた。

 けいは、言った。

「惑星守護色期巫天<酸素>担当_かや、破れたり!」

 実際、もしこのクジラ自体がかやじゃなければ、サメをけしかけ、抵抗した時点で、かやに息の音を止められる。

 だが、これがかや自身なら、サメ三匹にやられて、けいに何かする余裕ができる、とも思えない。

 かやが、動揺したとき、胃の内壁から、呼吸のリズムが崩れたので、このクジラ自体がかや自身だと、けいは判断したのである。

 脱出可能。

 -

 神岡浄介は、一言言った。何気ない響きだった。

「そっかあ、じゃあスティーブには、別の女(ヒト)にくっついてもらうかあ」

 まあ、そうなるなあ。という雰囲気になった。いや、なったと勘違いしたスティーブ。隣を見ると、まあ、そうなるなあ、ではなくなっていた。

 仁美は口を開けた。

 浄介は、目を大きく開け、言葉を楽しみに待った。

「いや。それはそれで、なんか_」

 仁美は、残りを吐いた。

「やだ」

 スティーブは、表情変動0のまま、そのまま、太陽を見て、それから、ちょっと楽しくなってきたな、と思った。

 浄介も全く同じ顔をしていた。

 仁美は、顔が赤かった。

 -

「ぷはあ」

 広がる、海。

「またここけえっ!!」

 オレンジに広がる水、と紫の空。

「ガストぅガァストゥ!」

 だが、時代は跨げなかった。

 いや、ここはしかし、あの以前けいが行った場所_時代<アシュラゴロシ>では、なかった。平泳ぎで、ぷっは、と位置をつかもうとする。が、つかもうとするも何も、陸がないのである。やべえ、溺れ死ぬ、と思った。そのとき、「きゃ!」けいの足を持ち上げる存在があった。


 その鯨<くじら>イルカに似たくちばしを持つ、マッコウに次ぐ深海の覇者。_唯一の平和主義メンバー。


「あはっ!ありがとう、クジ?イルカさん!」

 けいは、まるで、絵本の中のように、その大きなイルカのような顔のクジラに、波間から、空へ噴出、溺死を免れたのである。

「わーい。はいよシルバー」

 となりでは、マッコウクジラが、死んでいるのか、浮いていた。波もなく、果てのない景色の中、けいは、ものすごくメルヘンに浸っていた。

「おう!絶対栃木弁教えっぺ、このガンショットに」

 名前らしい。だが、けいは知らなかった。このあと、けいがこのクジラに何をされるのか、ということを。このクジラの望みは何かという事を_。

「ちょっと速度ゆるめてくんねえか?ガンショット~」


 調教対象_ 


 この時代は、3時代中最も、古い時。スティーブと仁美により、一から形作られる、<恐竜その他海生爬虫類>が横行する時代。第一ERA<トウロウナガシ>。

「とまれっていってっぺ?賢くねえな、こいつふふふ」

 名前は、Na。


 調教対象_イシアガン。


 トックリクジラ


 底抜けに、明るい声を上げながらけいは、ふっふーっと、迫り来る陸を見た。

 ぱしゃ、ぱしゃ、と毎回水面を横から手ですくうように、背の上の者に気を使って泳いでくれる、トックリクジラに、兎瓦けいは、母性のような、我々宇宙船地球号の乗組員全員_皆、仲間である、と再認識するような感慨を覚え「ウサギガワラケイ。オレノシモベトナルガイイ_」なかったのである。    

 ここは原始地球トウロウナガシ。 哺乳類が生まれる前の惑星鈴音である。


 スティーブと

 マシンガンと

 女の子


「聞き間違えだべっ」


 -


 浜に上がると、マシンガンが居た。 

 けいは、ボゴン、とその家電を殴った。

 睨んでくる生意気な、シャチ。 

 言葉があとを追った。

 マシンガンは、呟いた。曰わく!

「ふはは、、、!兎瓦けい!今回はまた1人で、修行に明け暮れるような、そんな回だと思うたか?ふはは。そんな大胆なことをお前がしたところで、犬死にだ!兎瓦けいよっ!」

 すでにけいは、勝手に泣いていた。

「変化を、成長をもたらすのは急激で、無理な追い込みなのではないっ!毎日の、少しずつの、しかし途方もない繰り返しなのだ!よいかっ」

 見ればマシンガンも泣いている。

 気味の悪い多種の交わりである。

「もう一生、お前を一人にはしない!兎瓦けいよ」

 過保護とは一体誰のことだろう。マシンガン、本当は〈寂しい思いをさせてごめんね〉と言いたかったのである。横でNaが割って入る。

「オイオマエ。ミナレンヒヨドリダナ。ウチノカチクニテヲダストタダジャオカンゾ!」

 けいと、足元にいるシャチは、不意を打たれた。

 すざ

 尾ビレが、一瞬に、太陽に隠れたが、目の前の人間を、なぎはらった。

 がん

 5mは、吹っ飛んだ兎瓦けいは気を失い、木に頭をぶつけ鼻血を出して、動かなくなった_。トックリクジラは喋った。低い声である。

「チョウキョウズミ」

 雷鳴が鳴った。背びれが3本に増えた、怒りのシャチがトックリクジラに向いた。曰わく!

「兎瓦けいに触れたな?貴様」

 マシンガンは、自身作曲の曲を初めて口の中から、再生を開始した。

 -

 ものの1秒で、トックリクジラを惨殺したマシンガンは、捨て台詞を、そんな状況に用いた。

「単体でシャチに刃向かうなど、おれはそれは勇気とは呼べんな、若造」  

 トックリクジラは、透明の広がる束のような水中にて、砂に埋もれていた。

 原型を恐ろしいほど、留めていなかった。

 厚さわずか、30cmの肉塊に成り果てていたのみだったのである。 

 振り返る途中、けいの呼吸をこの距離で聴きながら異変を感じた_。

 チョウキョウズミ

 トックリクジラの最後の言葉は、マシンガンにある最悪なことを思い出させていた。

 -

 スティーブは、口笛を吹きながら、料理をする女性の後ろ姿を見た。

「そろそろ押し倒してもバチ当たんねえじゃねえかな」

 それが聞こえていた女性は、特に、包丁の目測を見誤るそんな、動揺は見られなかった。

 太陽神は兎瓦けいに会いに行った。


 カエルがいた_兎瓦けいはその、カエルをじ、と見た。 

 御存知、求喰柚宇は、ぺしぺしとけいの頬を攻めた。

 耳の奥、さざ波が、いつかの記憶とダブらせた_。

 傷だらけのマシンガン_。

「!!いや!」

 それは、現在の映像ではなかった。

 跳ね起きたけいは、来たことのない浜辺にて、ぶんぶんと首を振り、辺りを、自分の知っているものを探して落ち着こうとした。黄緑色色の空は、けいに虫がわんさかいるような不快感を与えしかし、水面のオレンジはどこまで泳いで潜っても、怖くないだろうと想わせる、高揚感を生んだ。

 ずき

「あぅっていってえ何があったんだべ」と言う間もなく、「きゃ」目の前、と言っても5m向こうの水面に浮かぶものがあった、、、。

「ガンショット?」

 言うと、それは蒸発した。

 少女が見たそれは、すでに死んだトックリクジラだった。柚宇の言葉を思い出した。

「ありゃ能幹だ。もう死んでる」

 いや、実際に聞いたのだった。

 がば、とカエルに目を向けるけい。

「わっ!おめ、いっきなし喋りかけてきたら、たまげっぺ?」

 カエルはとなりのシャチに飛び乗った。が、すぐ振りほどかれ落ちた。

 カエルはちょこざいな口を聞いた_「あ?」けいはその前に あ? と言った。 

 カエルはびびった。

「いやまだ何も言ってねえだろうが、けい」

 返した。

「いや、なんかちょこざいなセリフ吐こうとしてると思ったから、今のうちに、と」

 柚宇は吐いた。

「ショックを受けるぞ?いい加減_!ごほん」

  ティラノサウルスがいた。全長12m。

 静かにけいの、血の気を奪った。小声で漏れた。

「わーい。。。」

 うん意識不明のジュータイだった。

 カエルは一瞬で浴衣青年になり、けいを担いだ。動かないけいは、モノだった。

 ぼそ とけいの耳に口をつけて囁いた_。

「トウロウナガシへようこそ、お嬢様_!」

 ぐばあ、と尾を振り、砂浜に、我がステージぞと云わんばかりに現れたその肉食恐竜は、螺旋のダンスを無礼にしかしダイナミックに、黄緑色の空に捧げながら、しっぽについたコバンザメを見た_失敬シャチだった。

 マシンガンは、興奮し、血管を切らせ、目の後ろアイパッチをレッドに染めながら、叫んだ。

 轟音は即座に、恐竜の耳をつぶした。

 マシンガンはしゃべった。

「お目にかかれて光栄であるぞ?陸上の覇者よ!宇宙一の絶対捕食者、このシャチ様が相手だ!」

 ティラノサウルスは、怒った。

 -

 焚き火を囲みながら、ティラノサウルスの肉を食べる一行である。

 なんと、けいはまだ気を失っていた。

「正直、同情するけどな、まあこっちも話したいことがあるんで、ほ」

 森。

 わずかにギザギザに見える空は、星で一杯である。いいアンバイだ。立ち上がった浴衣セクハラ最低花頭は、女子高生の胸を揉んだ。

 しかし起きない。

 マシンガンは、となりで興味深そうにその犯罪行為を凝視した。

「それにしてもその膨らみ、鯨類には無いものだな」

 柚宇が無感情で、けいを、その意識を魚釣りしているような表情で返した。

「水ん中じゃ抵抗になるだろ」

 もみ

 まだ起きない。

 う~ん、と柚宇は立ち上がり、マシンガンを見た。マシンガンは応えた。

「フツウは声で起こさないか?」

 柚宇は、真顔でシ、とした。 

 マシンガンは、携帯電話を、食べ直した。たぶん、またあとで、けいに殺される。

 柚宇は、ぶち、とけいの服を裂いた。

 がばっ

「どこまでアニモーなんだ、てめえは!援助交際に没頭しろ!男カスっ」

 しばらく前から起きていた感じの声だった。びっくりするでもなく、柚宇は、ばばとマシンガンの後ろに避難するけいの顔を、怖い顔で見た。そして言った。それにしても、けいは気づいていたなら、なぜもっと早く起きなかったのであろう。

「今から、太陽が来る。無礼な振る舞いがあれば、おれはお前をすりつぶすからな、人類」

「わかった」

 兎瓦けいは普通に返事をしたのだった。マシンガンの口から携帯のアンテナが漏れていた。

 -

「仁美」

 スティーブジェトーズ神岡は、ギターを手に取った。どうやらこの男、できるのはラップだけではないらしい。

「なに?スティーブ君」

 おもむろに、本を広げるスティーブ。探した。目当ての曲を。 

 スティーブは言った。

「Dear My Love」

 -

 夜だったはずである。絶対にそう断言できる。

 時間の判断、1日のサイクル、生活の言うなればリズムは、オレンジの持つ最も原始的で、必要不可欠で、間違っても、社会を保ち、子を産み育てるため、我々の種を成長させ続けるため、手放してはならない、許された継続的感覚である。その感覚が今、奪われた。なんぴともそれを、地球へ、阻害する行為は許されない。 

 たった_

「こんにちは、けいちゃん」

 たった一つの存在を除いて。

「我は輝く、とよなやわま の化身」

 けいは、口を両手でふさいだ。

「太陽の本人_神岡浄介と申します。お元気ですか_?くそイシアガン_」

 何かを感じ_

 何かを詫び_

 何かを償いたい_

 そんな気持ちになった兎瓦けいは、柚宇にその手を止められた_。

 柚宇は泣きながら、自身の手で、尖った枝にて、自分の喉を貫通しようとする女の子(名前はけい)の手を止めたのだ。白黒逆の瞳は、マシンガンにも言葉を捧げた。

「お前も同罪だ、シャチ」

 マシンガンは応えた。  

「神岡浄介様。、、無礼を申し上げます_。この調合惑水反蛇巫天ヨウフ総長マウヅ_。このわたくしは地球様側でございます_どうかお許しなきよう、なぜならば」

 ぐるりと回転したマシンガンは、音とともに、三本の周りの木を自身の尾ビレで、殴り倒した。

 すでに体長8mに急成長したその、動物は、黒々しい、皮膚を自身の声で貫通するような唸り声を上げた。

 柚宇はマシンガンを睨み殺そうとした。

 唸りを閉じた、マシンガンは、一瞬の間を挟むと、初めて口を開けた。歯が狂おしい程美味なワインを、待ち受けているかのように、控え目且つ、且つ迅速に囁いた。

「なぜなら我もお前を許サンカラダ、太陽神よ」

 今、マシンガンは、求喰柚宇、神岡浄介両方を敵にまわしていた。

 それらは、太陽と月だった。

 神岡浄介は口を開けた。

 手が見当たらない。

 天_。天から1本の矢が振りマシンガンの眼前2mm前に落ちた。 

 浄介様はこう、おっしゃった。 

 今、手が生えたと思ったら、青い炎だった。

「そうこなくてはつまりません。」

 見事にかわいらしいアニメ声だった。

 -

 スリイとは、すべての存在は、それをつくったもの、それがつくったもの、それが上をつくるために求めたものからなる。証明である。


 ちなつにけいは、質問した_。

「この前、ちなっちゃんが言ってたよ?、、、なんつんだ、駅前にできたあの、ララスクエアの前にできた、ドーナツあんじゃん?すっげうまかったかんね」

「当たり前じゃん何言ってんの?たいすけバーしか、食べてないあんたに何言われても、ステータス上がらないけど」

「あら、ひっで!あ、そうだ、ちなっちゃん!新しいペット飼ったんだって~♪」

「いいなあ、ねえ、どんなんどんなん?」

「今度は、普通に犬なのよ!あたしの犬!」

「へぇ、種類は、、、?なんてやつ?」

「月」

 なぜだろう。ちなつは、ぞっとした。けいの目が変な方を見ていたからである。隣にいる、さとしは、また、〈世界の神々〉を思い出していた。

「なんちゃって!はははははは、ちなっちゃん!そんなエクソシスト見てるみたいな顔やめてよっこれはほんとに、ほんとの、兎瓦けいだからってイタっちょっと強めに、ぶちすぎだべ、今の~」

 しかし、演技のあとで、けいは、なんか変なものが、わたしの中にいる、とこの時初めて気づいたのである。


 チョウキョウズミ_


 さとしとマシンガンと女の子


 覚えたての、呪文を、練習するように、神岡眞弥は、手すりに捕まり、何か声を出し続けていた。茨城行きのフェリーは、きゃっきゃと、騒ぐ旅行帰りの高校生などで、賑わっていた。

 すぐ背後で、「っていうかさーっ」と思い返し、共有した感動を若干の、  笑い話にしながら、ふざけ合う。 

 ふざけ合っている、その子達に、くる、と振り向き、地球様は、言った。

「うるせえな_」

 さとざくらに会えなかった、眞弥は、幼稚な八つ当たりを口にした。周りには聞こえなかった。

 わずかに、時間遡り、5万年前の、惑星鈴音_兎瓦けい17歳は、スティーブJettoes神岡24歳に、会っていた_。

 スティーブ「あ、でね、こいつがサポートのタカっつう、カメ_ぱんぱん、、、今までのとこで、何か質問ある?あ、そのカレーもう終わらしちゃっていいから、よ~かつたら!?けいちゃん?」

 じ、と目を合わし、兎瓦けいに笑顔を向けるラッパー。

 けいは、勢いよく答える。

「ありがとうございますっすいません!」

 にこ、と笑うスティーブ。

 その横で、リンゴを差し出す、八千草仁美_

「うさ~、リンゴ食べる?」

 兎瓦けい、馴染み過ぎである。ちなみに、うさ、というあだ名は、今んとこ、生涯初で、あったと。

 柚宇は、泣きはらした目をして、罵倒した。

「おい、けい!本来の目的忘れんじゃねえぞ!あと、そこのポンコツシャチっ!最近、ずっと食ってやがんな、場をわきまえろっ!なんなんだよ、こいつら、無礼の極致かっ」

 太陽神があとを、追う。

「(もぐもぐ)いいのですよ、阿修羅よ。(もぐもぐ)いいのです。(もぐもぐ)敵と言ってもただの、競争相手ですから_恨む必要などないのです」

 かやが続く。

「ムカつくわ、この子~!あたしあの時、ほんっきで痛かったのにっ別にこっちは始めっから殺す気なかったのに、ムカつくわ~」

 レノンが喋る_

「まああれだな、ケンカりょうせいば」

 けい「てめえはしゃべんな、カスガチャピンっ!」

 ツチノトは、しゃべった_珍しい。

「すいません_太陽神様、、、。」

 全員、ツチノトの方を見ている。

 惑星守護色期巫天全員ここに、スティーブ&仁美の家、崖の上に集っているようだ。ただ、2人を除いて_。

 ツチノトは、静かに言葉をその空気に添えた_。

「桂と反蛇求喰様は、来られないそうです」

「そうですか。残念ですが、また時を見て今日話したことは伝えといて、下さいさて、皆の者」


 6頭目のイルカ


「飲んで騒ぐぞっ!」


 シビレエイ師Kana

 -

「じゃあ、、、う、っとな!っとひっく! ふぃっふ~」

 太陽神は、プライドを捨てて、酔っていた。見れたもんでは、なくなっているので、できれば、モザイクでもかけてやりたい。

 かやは、言った。

「浄介様ぁ、ごっほ!えっへ~のみずのみ、のみすのみ、の」

 レノンは、呟いた。

「噛み過ぎだよ、お前。消えろ」

 彼は、シラフだった。と、言うよりも、彼は下戸だった。

 ペットボトルがある。それの、キャップを取って_はい、そう。それに、焼酎でもなんでも、ついで_はい、そう。ありがとう。レノンは、これ分でも、飲んだら、ダウン。起床は、8時間後である。お子様である。

 かやは、言った。

「げへへへへへへ」

 サラリーマン末期の笑いである。

 ここは、時代トウロウナガシ<ミハラシ公園>。惑星守護色期巫天が、週一で集うことに、なっている密会所である。今、ただし、二人の人間に明け渡してある。

 ツチノトは言った。

「いいねえ。スティーブ!今度、わたしと銭湯行きましょ。男の付き合い」

 レノンは言った。

「お前。触ったら、犯罪だかんな?カエル」

 柚宇は、言った。

「誰が、カエルだ。今、おれはキョンシ-だろうが」

 レノンは言った。

「自分で、キョンシ-って言っちゃうんだ、兄さん。ちょっと自分、残念だわ。おれは、ツチノトに言ったのだけど」

 柚宇は、言った。

「どっかの人類が、おれのこと蔑みまくるからよ、見事なトラウマよ」

 ば、と自身の服を、真中から開けて、普通に乳房を出す、マーメイドキョンシー。

「おら、男の裸でも、見てトラウマ体験しろ、兎瓦けい」

「女じゃねえか、今、おめえ」

 けいは、すごいことだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!すっごいことである!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!会って、4時間余りの、八千草仁美のふとももに、頭を預けていた。気が合う、を超えて、ハロー富士山、僕活火山である。ごめん。

「なあなあ!!がははははははおまえら、なんか、見てるだけでおもしろいな、お前らの歌作っていいか?どうだろな、それぞれに合ったトラックをまず、作ってよ?それに、おれがフロー決めんのよ」

 マシンガン「神岡殿。それは、非常に興味深い」

 かやが、言った。

「あのときは、ごめんね。スティーブ。なんか、時間なくて説明できなかった」

 太陽神は、酔いから立ち直ろうと、一生懸命真面目な顔をしようと、した。しかし、相変わらず、見事なアニメ声で見事な癒し系たれ目である。

「かや!レノン!それに関しては、わたしはっ!ほんっとに怒ってるのでございます!ございまーーーーーーーーっす!」

 太陽神は、何かを宣言した。もう、見れたものではない。

 けいは、言った。

「なんか、わたし以外も非道い目、合ってるヒトがいて、ほんと今安心してるべよ! な、スティーブさん!」

 間を開けず、スティーブが、けいに頷く。

「かわいいな、けいちゃんは。おれ、なまり大好きなんだよね」

 むっとする、けい。 

「それ言ったら、なまりだったらどんな女でも、いいんかな、と思うから止めた方がいいべよ。な、仁美さん?」

「そうね」

 仁美は、けいに耳掃除で夢中である。なかなかお姉さんを、体現している。

 マシンガンは、一人ひとりを眺め回しながら、言った。

「諸君!あれだな、この席にあの月と、求喰が、居ないのは残念だが、そろそろ本題に入ろうと思う。兎瓦けい!八千草殿!」

 へ?と人類二人が振り向く。けいは、寝そうだったのに、とつぶやいた。

「シャチの話をしてみろ」

 -

 坂口浄介は、一人で料理の練習をしていた。さっき、テレビで、今どき、料理もできない男は、ダサい、と、罵られたタレントがいたからである。浄介は、真剣である。どこまで、可愛いのだ、この男。

「みりんが足りねえな」

 うそつけよ、お前何も解んねえダロ。桂が、どたた、と二階から降りてきた。どうやら、坂口の両親は、留守らしい。

「ねえ、かみさま?これ、これ見てこれっ」

「あん?ダメだ、おれはみりんで忙しいんだ」

 みりんで忙しいはずはないと思う。

「え!?何なんかいやらしい意味??」

 どこまでも終わっている、クソカップルである。

 -

 木村優美は、ツチノトにキスをした。がぁん、という衝撃が皆を襲う。何%か酔いが、さめたものがいる。太陽神の動揺で、太陽が一瞬、鈍く光を弱めた。あんた、しっかりしてくれ。

 けいは、見た。別に、キスが、行われる前から、気になっていた。しゃかりきカエルゲイボーイの方では、なく、木村優美の方である。

 かわいいのだ。もう、群を抜いて、かわいい。地味な布を巻いて控えめな表情の上、頭にはどでかいワシの頭を乗っけていて、どうにも、いびつな印象になる要素はいくらでも、見つかるのだが、何というのだろう。

 けいは、思った。でもかわいい。この子とだったら、バイになれるとさえ感じた。けいは、勇気を出して喋りかけた。

「優美ちゃん!」

 木村優美は、大きく口を開け、反応した。

「けいちゃん!」

 けいは、なんか茶化された感じで、恥ずかしくなった。だが、続けた。

「ねえ、優美ちゃんの担当は何け?えっと、ちょっと待って!誰も何も言わないで?柚宇のバカは、水素_かや酸素_ガチャピン塩素_えっとあ!意外と、あとわかんねえけど!」

 周りは、ど、と笑った。

 ふふ、と木村は応えた。

 けいは、その直前の笑顔にどき、とした。

「けいちゃん!私の担当はこれよ?」

 どん。

 _鉄球である。

 鉄の球が、けいの目の前に発生した。さて、この状況をどう、取ろう。

 次の一言で、惑星巫天全員を、笑いの渦に巻き込んでしまう。

「ボーリング担当?」

 -

「_シャチの妻?」

 けいの目は、まるで、ただの穴に成り果てた。

 続けた_

「鉄担当ってのは、わかったけどよ?え、それとその、比喩?木村ちゃんが、シャチの?え妻ってのは!?」

 ふふ、と優美は笑う。この子の笑顔は本当にやばい、とけいはいつも驚く。いい加減、慣れろ。

「妻よ?夫を支える存在!代わりに愛をもらって、二人で幸福の道しるべを、楽しみながら、見つける存在よ?」

 柚宇は、付け足した。

「まあ、けい。あれだよ、」

 けいは、宇宙人みたいな顔をした。なんだ。状況を理解していない、という意味。

「おれたちみたいなもんだ!ふはははっは」

 赤くなっているけい以外は皆笑った。

「兎瓦けいよ、いいからいいから!シャチの話をするのだ、早く、お前がこの何週間かで、どこまで学んだのか知りたいのだ~!」

 今度は、このミニシャチマシンガンが、このおれのツボである。

 けいは、答えた。

「え、まだ、優美ちゃんと話そうと思ってたのに、えっとなんだべ?シャチの話だったら、仁美さんの方が詳しいんじゃねえんけ?」

 仁美は、言った。

「まあそりゃそうよ!わたしはもう、中学生ぐらいの頃から、本いっぱい読んでるし」

 ち、ちとするマシンガン。生意気な、電気製品である。

「そういうことを求めてはいないのだ。シャチ_他種を見ることで、人類の可能性をどこまで見出せたのか、ということを聞きたいのだ。さあ、兎瓦けい!言うのだ!シャチを語るのだ!!」

 やばいかわいい。

「え!どうっすっぺ?なんか高いのか低いのか、わけわかんねえハードル目の前に現れちまったけど、、、。う~ん、なんかわかんねえけどよ?ゆし、、ちゃん?だっけ?あのコは、マジでかわいかったし、声がむっちゃ可愛いかったとよ?思うけど」

 レノンは、言った。

「ほう。だってよ、かや」

「だってよ、かや_じゃねえよ、どういう意味よ?」

「意味はねえよ」

 マシンガンは、言った。

「そうだな。魅力的な娘だ(えー、という声がちらほら上がる、が、構わず続ける)。 よろしい」

 けいは、驚いた。

「え、こんなんでいいの?」

 マシンガンは、口角を上げた。今までの意地悪な笑いではない。キュートな笑顔であった。

「そんなんでいいぞ、けい。えらい。褒めてやる」

 けいは、心の底からうれしくなった。

 -

 反蛇求喰様は、イカヅチを放たれた。

 _滅んだ。いや、フリーザのように、街や、島や、惑星ひとつを滅ぼしたわけではない。一匹の、ペンギンを燃やしたのである。腹には、傷が。

 反蛇求喰様は、おっしゃった。

「クソ生意気な真似しやがってあのサルが!!」

 ざぱあ_。現れたのである。数えてみよう。 合計、40頭のシャチが、全員、本来の流線形とは違う、ぼこぼこで形の整っていない怪物のような出で立ちで、水面に浮上したのである。でかい。マシンガンの倍はある。そうするとおそらく、全長一頭当たり、16mはある。おまけに、そのほとんどの固体が、口の端に大胆な犬歯をたたえている。獰猛_その表現が、余りにもしっくりくる。そして、求喰は、その現れたうちの一頭に、口づけをした。瞬間、そのシャチ白目を剥き、深海まで響く雄たけび(といっても甲高い音色)を放った。水面の波紋は、とげの生えた、おいしくなさそうなピザ生地のようだった。

 周りにいるシャチは、口を一斉に開け、血の毛の凍る水面を描いた。歯に囲まれ、猟奇に狩られ、理性以上の食性に感化され、女は、言葉を口にした_

 曰く!!!!!!

「コロスノダ_モティよ」

 モティ_。古代求喰川に、生息する海洋ほ乳類である。

 主食は、他のシャチ。

 でかく。賢く。現在のシャチの祖先である。

 反蛇求喰_彼女は、今、足をふりあげた。足は、なかった。代わりに、美し過ぎる流線の尾だった。美女の形容にふさわしい、ラインと、豊かな乳房、水玉のベールのような、羽織。そして、冷たく、しかし太陽に甘えるような、自信を解き放つ細く大きい目。

 彼女こそ、すべての生命体の原始である。最も、はじめに現れたドウブツ。そう、言うなれば。もし、言うのであれば。

 彼女だけが、本当の動物である。理解を押し付けはしないが。

「GOLIDEVELOP some reasons out there FOR ME TO DO IT RIGHT, KIDS」

 水面から、離れた反蛇は、息を吸った。

 すでにシャチが消えた水面が割れた。

 かさが減った。

 反蛇は、海を深く、唯、のみはじめた_。

 -

 太陽神は、こう言った。酔いは覚めた様である。

「ふう。それじゃあねえ。どうしようかな。スティーブ」

「おう」

 スティーブは、答える。今、崖に、ネッシーのような動物、とイルカに近い海生爬虫類が、どっかとその端に、陣取った。

 レノンは、驚いた。

「すげえ、もう帰ってきた!優秀だなこいつら。マシンガンちゃんとえらい違いだ」

「うるさいのだ、小僧!坂口浄介のが、兎瓦けいより単純で扱いやすいだけであろう。うちのけいの方が、遥かに優秀だ」

「ありがとごぜます、どの、兎瓦けいの話してんのか知りませんけど」

 けいは、笑って逃げた。

 八千草仁美は、言った。

「_定住型_」

 けいは、返した。

「え?」

 ふ、と仁美は、なんで言いたくなってしまったのだろう、と自分をばかにした。

「定住型と移動型、まあ、他にも区分は、できるんだけど、もう何年も前から、シャチの、なんていうのかな、関西人と関東人みたいなもんよ、うさ。その2タイプに分けるのが、適切なんじゃないか、っていう仮説を前提に、シャチは、その生態を研究されてる部分があるの」

「へえ」

 けいは、すごい_珍しく興味を持ってそうである。

 ウケるのが、ここで、マシンガンや柚宇が嫉妬を始めたことである。

 器が小さい。

 仁美は、滑るように話を進めた。

「例えばよ?クラスでね。3人仲良し組が、いて別に、6人仲良し組がいてね。最初のは、いつも<おれ揚げパン食いてえ>って、言っててもうひとつのグループが、<断然おれらは牛乳飲んでたい>っていうグループで。あははっは。なんか、違うけど、そういう違いがあるのよ。シャチって一口に言っても_ね」

 けいは、仁美の目に自分の目を確認した。

「そうなんだ。ふうん」

 マシンガンと柚宇は、何かを補いたそうだ。

「まあ、この人たちに言わせれば、違うのかもねえ。わたしのは、っていうか、人類のは科学だから」

 レノンは、異論を申し立てる。胸にどん、とやった。

「いや、あんたらはすげえぜ、人間。なんつーか。掘り進む勇気がすげえ。全部あってるとは、言い難いが、きっと知りたい、その原動力に間違いはねえと思う」

 仁美は、笑った。

「あはは、ありがとうフクロウさん」

 けいは、そっぽを向いて、おめえのことなんか嫌いだし、臭を出した。

 マシンガンに声をかけた。

「マシンガン、、、いつか一緒にマンハッタン住もうべな。あれだべ、あなたとだったらどこへでもだっぺ。マシンガン様_」

 マシンガンは本気で赤くなった。冗談が通じていない。

「マシンガンは本気で赤くなった。冗談が通じていない」

 柚宇は、後を追って、おれの真似をした。

「解散」

 笑顔で、太陽神は呟いた。

「え」と、けいは言った。スティーブも仁美も意外そうである。

 神岡浄介様は、おっしゃった。 

「あの愚かな、Kanaがそろそろ求喰川に現れる頃です。八千草仁美兎瓦けいスティーブJettoes神岡よ」

 にい、と全員がイヤな笑いで、三人の人類を見た。太陽神は言葉をこぼした。

「恩返しの時間だべ、マシンガンっ」

 大袈裟な栃木弁だった。

 ずっと喋らない地球様は、べつに居心地が悪いわけではなく、はー、ヒト殺しちゃったなあ、とあのときのことを、本当はずっと後悔していたのである_。

 -

 けいは、水面を見た。隣で、カエルも見た。マシンガンも一緒である。他はもう、帰った。スティーブと仁美は、待ち疲れて帰ったのである。何に待ち疲れた、かと言うと、シャチの狩りが見れる、と聞いたのに、そのシャチも狩りの対象も一向に現れなかったからである。_けいは、言った。

「あんさ、柚宇」

「なんだ、けい」

「ほんとにここなん?」

「ほんとにここだ。浄介様がそう言ったんだ」

「、、、うん」

 細い川が目の前に。海ではないのである。

 最後のイルカが来るから、とそれを追ってシャチも来るから、と聞いたのに、どうも、その水面を乱すのは、サイズ的には、イルカの何十分の一かの、鳥だの、たまに跳ねる魚だの、なのである。けいは、中腰に疲れ、声を上げた。

「わたしも帰る~っ」

「ダダこねんじゃねえ、乳くせえな。いいから、来るから!ものでも食ってりゃいいだろ?下等人類」

「下等人類じゃないもん、柚宇の馬鹿っ。もういい」

 おっと。けいは、ほんとに不機嫌直行組になってしまった。

 柚宇は、若干意外だった。マシンガンに振り返った。

「生理か?この女」

「知らぬ。生理、を知らぬ。なんだ、それは」

「血が出んだよ、股から」

 すぱん!スリッパで、けいはカエルを叩き潰した。

 見上げた_。なんて、落ち着くんだろう、この場所は。けいは、やばいと思った。この、求喰川、ほんとに現代より落ち着くんじゃないか、と思った。最近、悪いが、あんまり思いださなくなったさとしや、ちなつもここに来ればいいのに、と思った。また、あのマシンガンを襲ったシャチに会うのは、怖いけど、今ならあの惑星巫天かやにも勝てた(と思っている)し、自分ならもう今なら、マシンガンを守ってやっつけられるんじゃないかな、と思った。

 トンボがでかく、そのでかさをネタにして、柚宇に話しかけた。

 どっこいしょ、とパンツが汚れるのを、あきらめ、草の上に座った。

「ねえ、柚宇。ねえ。こっち向いて」

 カエルは、向かない。

「ああ?ちょっと待てよ。なんか向こうの方で、水乱れたんだよ。あ、ちげえか。いつになったら来んだろ、あのカワイルカ!」

 イラとするけい。

「こっち、、、!こっち!」

 あ?と振り向かないカエル。あまりにも、眺め回している。そんなにこの味気なく、細い(幅6m余り)川を愛しているのだろうか。深く深く、添い遂げる気満々なのであろうか。そんなはず、ねえだろ。

 けいは、すね始めた。

「♪ずっとトモダチ♪」

 歌い始める。

 柚宇は、振り返った。やっと。

「なんだ?イシアガン」

 なぜだろう。わからない。

 けいは、傷ついた。

「わた!わたしのこと人類って呼ぶな、無能ガエル!おまえなんか知んねえ!」

 _は?である。

 カエルは、意味が分からず、は?だった。

 マシンガンは、見ていた。けいの表情を。なぜ、この女は、この月に惚れているのだろう、と気づいていた。

 サギが、美しい羽を折り、目の前に降りてきた。でかい。

 カエルは、完全に無神経に、引き続き、消えたけいのことなんて気にせず、イルカとシャチを待った。けいは、どこに行ったのかはどうでもよかった。

 マシンガンは、ひとつ思いだした。_チョウキョウズミ_

 -

 坂口浄介は、桂を見た。ウエハースを食っていた。何、食っててもかわいいな、こいつは、と思った。はい、、、はい、、、。

「桂。明日、何すっか」

 桂は、意外そうに浄介を見た。

 が、それは出さなかった。

「、、、うん。、、、どこでも?いいけどラーメン行きたい」

 首をひねる、浄介。

「いや食いもんはいいじゃん、もうなんつあ!いや、ラーメンも行ってもいいけど、つか行けるけど___いや、そんなこの世の終わりみたいな顔すんなよ、桂」

「べつにしてないじゃん!!!!」

 べつにしていた桂をもう一度、浄介は見た。すると、その裏に見なれた顔が現れた。

 三日月ちなつである。椅子を引く準備をしつつ、この安カフェ_SHELL WORKSにて、友人を迎えようとした。

 -

 電車を待つ、木村優美。となりには、ツチノト。この二人、出来ているのだろうか。まあ、不釣り合いだ。

 -

 イルカが現れた。おいおい、兎瓦けいがいねえ。あの娘、待ってろ、と言ったのに。

 柚宇は、ごしょ、とシャチの耳に呟いた。

「けい、どこ行った?」

「どこへ行ったのだろうな。さあ」

 マシンガンは、ちょっと心配だったが、まあ、大丈夫だろうか。調教を受けた、と言っても、あのクジラはもう、死んだと思った。

 ゾンビが、けいを操ることなど、できない_ゾンビ?

「しまったあああああああああああああああ!」

 ギャル!!

「ばかやろ、音出すな、あ、ほら逃げた!」

 飛んでくように、後ろの森に消えたマシンガンを、カエルは「ほらあ!」と恨んだ。

 一体なにが、しまったのだ。

 調教師Naは確かに死んだ。だが、その能幹は、次の命で息を吹き返すまで、意識をそう、保ち続けるのである。

 ウサギカワラケイ_チョウキョウズミ

 -

 柚宇は、くっそう、と思った。

「さすがに飽きた。おし」

 マーメイドキョンシ-は服を脱いだ。

 ざぽん。

 能天気もいいとこなこの男は、ひたすらに遊泳を楽しんだ。

 マシンガンはけいを発見した。何かしている。つただらけの、木は密集し、キノコはいびつな模様を放ち、この緑に、アクセントを妙な感じで叩きだしている。光が優しく漏れるその下、けいは何かをしていた。マシンガンに戦慄が走った。女の子は、一人でオナニーをしていた。

 -

 苦労や。所謂、汗や。練習鍛錬や。その類や。筆の先がもたらす角度や。いつか、道が開けるように、と進んできた。柚宇は、考えていた。いつか、必ずおれの願いは叶うと。成就すると。この求喰川に住む、すべてのシャチを葬る、という彼の壮大な夢は、未だ果たせずにいた。泳ぎながら、彼は、彼の好きなヒト、反蛇求喰を想った。

 マシンガンは、けいの手を引いた。いや、そういう表現ではない。電気を後ろから、ぴりぴり当てつつ、先へ進ませた。マシンガンは、体温0で言い続けた。

「ほら、はやく進め!もう帰るぞ、シャチの狩りは今回はあきらめるっ」

「いって!おめ、やめろって歩くっつってっぺ?」

 マシンガンは、とりあえず、スゲエモノ、ミタ、サッキ。と思っていた。

 ウサギカワラケイ_チョウキョウズミ


「来た」

 となりに居るマシンガンに柚宇は、目を向けた。

 けいは、軍隊のように、体を地面に伏せた。この子がやると、カメムシが寝てるだけのようだ。

「来たな、帰らずに済んだ」

 マシンガンは、けいの表情を見た。驚愕した。顔が真っ赤である。

「どうした?兎瓦けい」

 けいは、真っ赤なまま答えた。

「いや、なんかすっげえセックスしてえ、どうしよ」

 柚宇は、「EXCUSE ME?」と言った。

 そのとき_

 跳ねたのは、イルカではなかった。エイである。

 柚宇が叫んだ。

「まずい!とばっちり喰う!やっぱりあと3m皆、離れろっけいにマウヅ!!!」

 2頭は、言うとおりにした。3者が飛び退くと同時に_

 ばらばらばら、と木から(真上)何かが、落ちてきた。けいは、離れながら最初に、マシンガンとギターが落ちてきたことを思い出していた。

 これも、エイである。木からエイである。約5匹。_枚。

 しゅぱあ、ピアノ線のようなものが、水面を走った。強度が尋常ないことは、周りの草を見れば分かった。水と垂直に引っ掻いたそれは、ムチのようにしなり、水面上の、あらゆる物質を切り刻み始めたのである。

「ぐお」けいは、見ていて、下品な声を上げた。


 _その海豚<イルカ>幾千の芸をシビレエイに授けし、天才超越大道芸調教師_種類_ガンジスカワイルカ


 シリョクヲコエタトウソツリョク_カガミノヨウナアイデアマン


「ひゃっはっはっはっはァ!!! 財産だな、くそNATUREっつうのは、」


 ソノエイタチハスベテカレノリョウテ_


 細い弦をくわえたエイが水面を破った。あれが、切り刻んだ正体である。

 名をKana。最後にして最凶の、シャチを凌ぐ、快楽殺人鬼である。

「FUCK ECO!!!がっは!」

 けいは、これほどかわいくねえイルカはいねえと思った。

 -


「ねえ、浄介、ちゅして」

 ちなつは、ぎょっとした。

 坂口浄介は、くるっとちなつを見た。

「無視していいから、こいつは。ほんと頭おかしいからっ」

 ばっしゃあ、と坂口に水をかける桂。ちなつは、ひくひっくと笑っている。

 坂口は言った。

「これも、ぺ、!いつもだから」

 桂は、2投目に臨んだ。

 -

 神岡浄介は、空を見た。

 自分が天高く光っている。

 なんと、まだスティーブと仁美のとこに居座っていた。

 神、ヒマ人か?

「風神_雷神。そんな言い伝えがあるそうですね。人類には」

「なんか、わざとらしい物言いだな、ゴタクはいい」

 スティーブは、相変わらず、神に態度がでかい。

「ふふふ。まあ、まあ。あるそうですねえ。実際、いや居ますよ。居るんです」

 ふふふと笑い続ける神に、仁美は、あ、まだゴボウ残ってた、と手を打った_。

 -

 雷神神岡眞弥は、寺に一人で来ていた。にしても、この子、友達いねえ。

「っふう、明日は見つかりますように、と」

 犬がわんわん、何もしていない眞弥に向かって吠えた。

 眞弥_今、背を崩し、ひざを犬に向けて、犬にキスをした。抗わない犬は、その眞弥の舌に自分の舌を重ねた。周りの人間は「おえ」と言ったが、おれには、美しい情景に思えた。

 -

 しゅぱ、しゅぱあ。

 けいは、言った。

「頭おかしんけ、あいつ!このままじゃ、ここら辺の木、ハゲ散らかされっちゃうべよ!」

 柚宇は応えた。

「そうだな。あいつはそういう奴だ。変わらねえ。あ、いいかけい。意外かもしれんが、ガスト_時代跨ぎ_」

 直後、けいに鳥肌が走った。なにか、いやだ、と思った。

「このKanaの考案だ。奴、おそらくこの求喰川で最も狂ってる同時に」

 今度は、3枚のエイが陸に上がった。なんだ。しゅるり、遠くから、べつの3枚が飛んできた。と同時に、水面にでかい影が覆いかぶさった。丸い茂り緑を先にたたえた、超巨大樹が、ドロップキックをかますように、川に落ちてきたのである。

 けいは、恐ろしい、と思った。人類が最も恐れるのは、やはり知能らしい。

 柚宇は、ちゅ、けいにキスをした。

「同時に最も賢い。なあ、けい。そんなにセックスしたかったら、おれ(ばちぃん!)殺す気か、あほぅ!ん?」

 _けいが今、生まれてきた赤ちゃんのように怯えた目をしている。

 やっぱ絶対、こいつ頭打ってると思う柚宇。

 けいは、言った。

「冗談で言ってたらころすからね?」

 殺せないだろうな、と馬鹿でもわかる、少女の瞳だった。

 柚宇は、ふつうにひいた。

 気を取り直して、柚宇は、言った。

「さて。ゆし。どう殺す?」

 背びれが、近づくのが見えた。

 バトル開幕である。

 -

 電車に揺られ、木村優美は、ツチノトにはい、と本を渡した。

「?」

 ツチノトは、植物人間になった。

「ふふ。わたしの上半期No.1」

 そうなんだ、と思ったツチノトは、タイトルを大声で読んだ。

「セックス依存症に関する考察<下>」

 がん!!!!!!!

 鉄球が、ツチノトの頭を打った、と思ったら、ツチノトの頭皮に出現した水の膜が、その接触を防いだ。見事な攻防である。

 優美は、言った。

「声に出さなくて、いいから」

 涼しい顔で、優美は、窓を見た。

 富士山だー。

 -

「?」

 Kanaは、異変に気付いた。一匹ずつ、エイが死んでいっている。誰だ。邪魔をするのは。声がした。けいは、聴き覚えがあった。

「あ」

 ギターが水面に浮かんできた。

 マシンガンは、すげえ、と言った。_おいおい、お前、そんな語り口調ではないはずだろ。

 けいに、それは、来た_。

「兎瓦けい」

「うん」

 マシンガンは、うるうるきている。トシなんだな、きっとそうに違いない。このマウヅというヨウフは、実際凄まじい勢いで、高齢である。他の鯨類とは比べ物にならない。

「けいよ。また、帰ったら、犬からやり直しだよいか!?」

 ぱしん、とマシンガンの頭をはたくけい。笑っている。けっこう大ウケだ。

「なんっで!そんな泣いてんだっておめ!トシか」

「否定はせぬな」

 平和的でないムードが川内に、入り込んできた。

 柚宇は、うず鳥肌が立ってきた。

「ゆし」

 けいは、あれ?_マシンガンは、状況を理解していない。

 ぷか、とKanaは浮いた。血が耳から出ている。

 次の瞬間。直径5mの鉄球がKanaに落っこちた。ずどっぱァ~ん。柚宇は、続けた。「もう、勝ったか」

 死体は浮いていて、骨が背びれの根元から、セイハロー。

 ゆしの姿はもうどこにも見当たらなかった。

 けいは、言った。

「つええんだな、ゆしちゃん。でもなんでだろ、ぞっとしねえ」

 カエルはけいに振り返った。びく、とするけい。え?とカエル。だが、言葉を_

「ゆし_。なかなかやるだろ?なあ、けい」

「なに?」

 けいは、カエルと、波に浮かぶKanaを意味もなく、見比べた。

「ゆしをはじめとする、約79頭のシャチを皆殺しにすることが、おれの夢なんだ」

「、、、」

 ああ、やっと近づいたと思ったのに_。

 一緒に笑いあえる、と思ったのに_。

 この男は、また兎瓦けいの気持ちをめんどくさくしてしまった。けいは、それには返さなかった。

「ギター。これ見て?柚宇。かっこいいでしょ?」

 けいは、マシンガンのこと言えないな、と思った。振り返った柚宇は、けいのことを心配した。

 けいは、また泣いていた。

 -

「なんで殺すの?」

 けいは、平原で、空を味方につけたような気分で、浴衣に聞いた。

 真面目に答える、阿修羅。

「地球様のご命令だからだ」

 けいは、わざと見下す表情を作った。

 柚宇は、「ああ、死ぬぜ?」

 けいは、じゃあ地球様が死ねって言ったらお前は死ぬのか、と言おうと思った。柚宇には、読めていた。けいは、たじろぎながら、また同じ表情を作った。

 

 マシンガンは、現代<チキュウガエシ>に帰っていた。

 二人きり。

 マシンガンは、応援していた。どっち?それはわかりませんが。


 柚宇は、言葉をけいに、重く押しつけた。

 受け取れ、と思った。

「なにか、おれと、解り合おうとしてやがるな? 人類」

 けいは、睨んだ。

「無理だ。お前らに_ 

「阿修羅だか、ガメラだか知んねえけどよ?柚宇は全然そんなん関係ねえぐらい柚宇だべ、、、!?そんなん関係ねえ!!好きにYA」

 ざしゅっっ!

「それ以上眞弥ちゃんをコケにしてみろ!その首はねるぞ いかれ人類っ!」

 ぼた_首である。 一歩間違えれば、、、。

 けいは、居ないマシンガンを恨んだ。そんな自分をもっと恨んだ。

 言った。

「うるせえ!やってみろよ、あなたにっわたしの命を」

 柚宇は同情の欠片もない瞳のままである。

「う!奪えるなら、やってみなさいよ!」

「ちょっとこっち来い、けい」

 けいは、すざ、と前に進んだ。柚宇は、浴衣から、貝を出した。ぬるり、Naがそこから、顔を出した。けいは、死ぬほど驚いたが、その出てきたトックリクジラには、目もくれず、焦点を柚宇に合わせたままにした。柚宇は、意外そうに言った。

「知ってんじゃねえか?このクジラ。お前を調教しようとした奴だ」

「へえ」

「わかるか?悔しいだろ?こいつ、もう姿=心はねえから、何も欲してねえ!が、それでも兎瓦けい、お前になんらかの影響を及ぼしている!こいつが生きてたら、お前今頃どうなってるかわからんが、とりあえず、まあ、調教!これはな!聞け、兎瓦けい」

「うん」

 けいは、素直に答える。

「その動物の体<ETIAGXN>を乗っ取るっつうことだ。塩素!マグネシウム!鉄!だ。生きものに流れるそれを、わずかに自分のつまり調教師のそれとすげかえることに、よって、そいつの欲望(JETTOES)、意識or思考(Kansmarss)を無視して、調教師が願った行動を継続的に行わさせるんだ。さっき!お前、森で変なことしてたろ」

 やべ、本気で死にてえ、と思ったけい。

「ふはは!安心しろ!正気じゃねえのは、このNaのせいだ。こいつが、死ぬ前に送った思念はこうだ」

 柚宇はなぜだろう、泣いている。まじで、こいつら泣き虫野郎ズである。

 けいは、真っすぐ見た。

「く。恋人が欲しかったんだ!かはははは!おい、笑えよ兎瓦けい!人間にそんなものを抱くなんて馬鹿だと思うだろ!いや、実際今お前は思っている!素直に笑えよ!くそ」

 柚宇は、ひどい、つぶれた断末魔に近い、声を上げた。

「笑えよ、兎瓦! おれたちは全員馬鹿だと!!!!!!」

 けいは、歩を進めた。

「おれたちは、ヒトと交わりたい、と思ってしまったクソ馬鹿野郎だと!」

 さらに一歩。

「、、、ぐ、くんじゃねえ!笑えよ!今すぐ笑わないとぶっ殺すぞ、くそイシアガン!」

 けいは、笑った。

「素敵。阿修羅様」

 だめだ。と思った。水素担当のその月の化身は、落ちてしまった。

 目の前の人間に、惚れてしまったのだ。

 -

 マシンガンは、みさきに挨拶をした。

「よ!みさき」

「わあっ!マシンガンくん!むす、娘元気かい」

「ああ」

 どっかと、みさきの二の腕、にくっつく馴れ馴れしいミニシャチ。続けた。お母さんは狼狽している。

「夫と仲良くやっておる」

 _ちょっと前のことを思い出していたマシンガン。いつだったろう忘れてしまった。

 _「マシンガン!わたし、さとし諦める」

 マシンガンは、遠くを見た

「好きにするが良い、なぜおれに聞くのだ」

「べつに」_。

 -

「柚宇! 、、、っ! あた!!はっはっはっ!やっぱ何でもねーっったっはー」

 ただ見据えている、柚宇。

 目は真剣である。

 今そっぽを向いた_

「付き合ってやっても、いいべよ?」

 柚宇の表情を確認できない_。どうせムカつく顔してんだろうな、と思うと兎瓦けいは、さっきまでの態度から言動から何から全て撤回したくなった。

「あ?」

 一瞬にして視界から消えた柚宇は、は?という顔をしている、女性を、後ろから抱き締めたのだった。

「兎瓦けいなら、いいぜ?_」

 兎瓦けい、女は1人の、非生物、男に、今_なすがままにされた。

 水面にてNaが、顔を出し求喰柚宇の命を狙っていた。


 ちなつとマシンガンと女の子


 がたんごとん_木村優美は、隣でぐっすりのツチノトを見た。

 ふっ_。おでこに息を吹きかけ、何かに満足した。

「ほんとはあんたが一番疲れてるんだよね?」

 優しさとは_

 優しさとは、この木村優美のことだろう。

 -

 ジュンというシャチが、居た_。

 古代求喰川<アシュラゴロシ>の時代の話である。入江で、息を放ち、彼のガールフレンド<はづ>のことを深く、愛と共に思いだしながら、今日の予定を考えていた。_まず、メンバーを練り直さないと、と思っていた。

 彼は、もし、仁美に習った区分をするなら、シャチ<定住型>_現代では、主に魚主食で、大きな群れにて、見事なチームプレイを見せつける、沿岸特化組である。ジュンは、親友のカレサを発見し、喜んで、声を上げた。

 今、彼の噴気で、水面に虹が生じた_。

「よ!オカマオルカっこころちゃん元気か?」

「ジュンじゃんっ」

 カレサは、知人に接近を試みた。

 -

 柚宇は、言った。

「_なんでこんなことになってんだ?」

 けいは、ぷるぷる痙攣していた。木の上に二人共いた。

 さっき、平原だったはずの場所で、謎の正体を模索するように、兎瓦けいと、肩の上カエルは、太い枝の上から、下を見た。

 海なのである。気付いたら、潮の満ち、その度を超えて、瞬時にして足元の草を、丸ごと遠くまで、濡らし切り、でかい池にするかのように、景色を変えてしまったのである。

 異常なまでの水かさの増加_柚宇は気味悪く思った。

「さすがになんだこりゃだな」

「月が言うんだから、間違いねえべな」

「月って呼ぶな、あほんだらけい」

「マシンガンの影響だべ」

「だからって許されねえぞ?さて_」

 貝を出す、柚宇。

「覚えているか?けい。あのホオジロザメとアザラシ」

 けいは、うきうきした。

 -

 けいの鼻先目の前に、女はいた。

 けいは、びっくりして失神した。

 悪い人魚姫のような罪深い姿態を見せつけ、柚宇の目の前に、発生固定浮上したのは、反蛇求喰である。

「_姉さん!」

 人類と一緒に居るのは、はずかしくなった柚宇は、それを押し殺し、けいを誇りに思うよう自身に、喝を与えながら、言った。

「こんにちは」

 うわべだけではないこんにちは、であった。風に乗りながら、女性は美しく、しかし簡潔に答えた。

「なんで、イシアガンとつるんでんの?」

 柚宇は、非常にまずい、非常にまずい、と100回思った。

(姉さん、怒ってる)

 あの柚宇が、小便もれそうになっていた。

 -

 ジュンは、浜近くで、ワカメを集めた。何に使うのだろう。

 そばには、もうカレサは居ないようだ。

「、、、。、、、そうだね。うん。、、?ゆし?いや、あの子は今回の業務には向いてない。_うん!ありがと。いやいや、推測の域をでやしないけどね。僕の推薦はね」

 尾びれをぶえん、と水面に振り下ろす、ジュン。アイパッチが、二等辺三角形のように、鋭くクールな顔の表情を作りあげている、彼。舞う飛沫に、Naの能幹を見定めた。

「_ザキ_はづ_サカシ_あと、うーんどっちでもいいな_ゆ_ゆるかな」

 シャチの名前を、4頭唱えたジュンは、何かに導かれる様に、ざん、と砂浜に故意に乗り上げた。おい、あぶねえぞ、シャチ。

 -

 けいは、目を覚ました。

 現代だった。

「、、、」

 がば、と自分の部屋で、枕に顔を押し付けた_。思った。

 好きな人を想った。

 -

「けい!逆にNaを使いこなして見せろ!」

「そういう表現は好きくねえ」

 マシンガンは、帰ってきていたけいに、何の脈絡もなく、命令し、それをなんと理解した女子高生は、違和感から否定、拒否した。

 つんつん、とステレオをつまむ、けい。意味のわからない行動に分類される、と思う。

 けいは、ほざいた。

「だって、こいつのおかげで、柚宇に気持ち言えたし」

 マシンガンは、ふ、と笑った。

「おめでとう」

 けいは、次の瞬間、マシンガンがおめでとう、なんて言うはずはないから、今から、何て言ったの、と聴き返そうと思った。

 ちょん、とけいの頭に乗る30cm家電シャチ。

「おめでとう」

 -

 求喰様は、柚宇の隣に座って釣りを始めた。

 何を釣っているのだろう。

「ねえ、柚宇。モティ全員復活したよ」

 柚宇は、腕を組んだまま、言った。

「そっか。やっぱり全員殺すのか?トリ―ム」

 はて、また意味のわからない単語が。

 求喰は、笑った。

「むしろ、なぜ殺さ<ない>の??」

 柚宇は、確かにその意見だった。ついさっきまでは_。

 けいの笑顔が浮かんだ。やべえ、押し倒してむちゃくちゃにしてやりてえ、と耽っていた。反蛇求喰は、な~んだ、と怒るのを止めていた。さっきとは違い、本当に優しい笑みを称えていた。

 足元に、Naの能幹が来た。

「さて、Na。次のETIAGXNは、どれがいいかい?」

 貴方は、これから、輪廻転生の意味を本当の意味で、知ることになる。

 -

 Naは、深海に居た。意識の奥底という洒落た、フレーズでは、なく意識、肉体を取り戻した彼は、実際に海の水面から遠い、水の暗く、謎に包まれた底にいた、という意味である。

 ゲイン、と呼ばれる音を、辺りにちらし、それを懐中電灯のように、しながら(のちほど機能については、くわしく説明する)はて、このトックリクジラ、さっき死んだはずでは_。

 目の前に突如現れた、ワカメをぶら下げた、オスシャチ_さとざくらである。Naは、言った。

「オッス、ヒノトリサマ!ゴキゲンウルワシュウ」

 馬鹿にしているわけでは、ない本当の敬意だった。

 さとざくらは、魔王は、答えた。こいつ_初めてしゃべった。

「ああ。そうだな」

 上の発言に対して、そうだな、は違うと思う。

 -

 ゆしは、お姉さんに聞いた。

 お姉さんは、4つ上で、名をゆる、と言った。きつそうだが、間違いなく美人でアダルティな、ゆしとは正反対の属性のメスである。

「ねえ、ゆる姉。元気?」

「元気よ?あんたがおとなしくしてくれてれば、あたしはどこまでも、元気よ、ゆし」

 二人の間を今、バラク―ダが通った。シャチが怖くないのだろうか、このカマスは。

「ひっで。ねえ、わたし最近呼ばれないんだけど、みんな最近は何狩ってんの?」

 ゆるは、ふ、と笑い、妹の尾びれに噛みついた。

「きゃ」

 ゆしは、は??と身体をひるがえし、姉の意地悪を恨んだ。

「ふふ、あんたは自分のことに没頭してりゃいいのよ?最近はね、う~んと、恵比寿が多いかな?」

「国定めのときは、わたしも呼んでよ。久しぶりに魚の首もぎてえ」

 恐ろしいことを言う。

 水面で、月を見た姉は、美しい声で、妹の頬を紅潮させた。

「数が減ってるから、だめよ。あいつらは、め!」

 -

 マシンガンは、けいに抱かれていた。

 「いいこ、いいこ」

 マシンガンは、やれやれ、なんとなくそういう気分になり、女子高生に甘えていた。

「、、、」

 マシンガンは、あと3時間はこうしてたい、と思っていた。けいは、最高でも、この状態は、あと1時間が限界だな、と思った。だって、早くしないと、PARCOのCD屋閉まっちゃうもん。

 ふ、とあれって<パー子>とも、呼べるんじゃないか、と気づきぷっは、と笑った。

 マシンガンは、自分が笑われた、と勘違いし、

「いや!違うぞ、兎瓦けい!わたしはこうしている間にも次の作戦をば(ちゅ)」

「いいから、だまってなよ_もう」

 はあーあ、困ったオヤジだべ、とけいは思っていた。

 -

 柚宇は、現代の浜辺にいた。

「Na次は、誰を_」

 困った同僚を心配するような、声を上げた。

 キョンシ-人魚は、千葉の浜辺から、けいに恩返しを望んだ、シャチの背びれを遠方ながら、確認していた。

 <開館中>

  柚宇は、イルカYuを思い出していた。

「あいつが、このままおずおずと古代に帰るとは、思えねえだよなあ」

 フクロウハンマー超痛かったなあ、と柚宇は、痛くもない、脇腹をなんとなく、かばった。

 -

 まだ、電車に揺られているツチノトと優美である。

 勝手に窓を開けている、優美は、おおい、と注意のタイミングを見計らうとなりのオヤジに、4分おきに睨まれていた。が、かわいいな、と思われ、それがオヤジの意思を摘んでいた。

 優美は、オヤジにば、と振り返った。

「いっやっだもん!くす!!」

 オヤジは、ぬふ、と笑った。

 ツチノトは、寒気がした。

 -

 反蛇求喰は、消えていた。どの時代にも、存在しなくなった。

 太陽神から、誕生する前にまで、戻っていたからだった。

 ガスト、またの名を時代跨ぎ_。次の公式を利用した、人類が長年模索しているタイムマシーンの正体である。

 Kansmarss×Kansmarss=Etiagxn

 と

 Etiagxn×Etiagxn=Etiatiagxn

 さらに

 Etiagxn×Kansmarss=Jettoes

 これは何を示しているでしょう。問題で~す。

 -

 けいは、泣きそうに言った。_

「あ~~マシンガン~! PARCOあともうちょっとで閉まっちゃうべよ~」

 完全ぐっすりおねむのマシンガンをふとももで、数ミリずつ揺さぶりながら、「もおおおおお~」とけいは、困っていた。

「さとしも来んのに」

 大事な話が、当然、あるのである。

 -

 ゆしは、ギターを思い出していた。あと、さっき言われた、<ゆる姉>の言葉を思い出していた。

 _「ふふ、あんたは自分のことに没頭してりゃいいのよ?」

 うん、と言ったゆしは、しゃと海面に弧を500個作った。一瞬で、である。直径一個あたり、3m。500_。ゆしは、ぎん、と目を光らせ、叫んだ。_シャチの目であった。


 確信を持って、この糸井宏徳は告げる。


「全時代に住むすべての、惑星地球よ!

 

 このモノガタリ_名を


 わたしの名は、ひとよしゆし!ウミユリとタマシイを共有する海の悪魔なり」

 遠くで、妹の声を聴き取った、ゆるはゆしの一つ上の妹<めす>に、つぶやいた。

「ちょーかっこいいよな、ウチらの妹」

 すかさず、めすは応える。

「宇宙一の妹だよ」

 しゃん  しゃん  しゃん

 ゆるは、鳥肌を立て、それを月までぶち上げるような、神がかった炎の様な威勢で、宣言した。

「調合惑水反蛇巫天ヨウフおよび惑星守護色期巫天モティよ!」

 違う時代で、柚宇はそれを聴き取っていた。

 ぶる。

「_シャチども_」

 不気味に悪いキョンシ-である。葉が、ひとつ残らず、そいつのとまっている木から、削げ落ちた。

 ゆしは、時代を超えて、引き続けた。にひ、と笑う。

「愛田屋の開店!ここに宣言します!カウントわーん!つー!」


 ひなた、とする。


 ゆしは、海面何千ヘクタールを、空に打ち上げた。三つすべての音を螺旋に紡ぎながら_。それは、地球の持つDNAだった。

 ゆしは、のちに、人類に天使と呼ばれる、メスの悪魔である。

 _「わんつーすりーFOUR!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 シャチを、あなたは知ることになる。ひとまず、さらばだ。


 さとしは、自分の<彼女>を見た。こいつ、こんなかわいかったけ、と思った。と同時に、手放したくねえ、と気づいていた。

 あっさりと話合いは終わった。

 けいは、取り乱されることを、覚悟していたが、そういう時に限って、運命は人間に優しい。そう、思いません?さとしは、言った。

「けい。でも、おれはきっとおまえのこと、ずっと好きだと思う、それでいいけ?」

 さとしは、泣いてなかった。

「いいよ」

 けいは、泣いていなかった。

「たまに、家押し掛けて、ベッドで縛り上げていいか?」

 二人大爆笑である。

「いいわけ、ねえべや!!」

 おわかりだろうか。本当に、涙が出るほど、強いのは、この奈良さとしなのである。こんな格好いい男、世の中、いたものではない。

 さとしは、スタバを出た。けいと、わずか3回目に来たスタバだった。

 最後にこう言った。

「無理!たぶん、おれほんとにお前ん家おしかける!」

 一生、そんなことは起こらなかった。

 けいは、窓の外を見た。

 三日月ちなつに、このことを話そう、と思った。が、やめた。

 マシンガンを思い出した。

「犬っつってたな、あいつ!」

 ちなつを携帯で呼びだした。なんと、また、別れを告げたばかりのさとしも呼んだ。

 さばさば全開である。

 

 ひなた第一話


 ちなつは、けいにふざけんなよー、とぶったあと、犬飼ったなんて本当だろうか、と。いらぬ世話を焼いた。

 けいは、言った。変な違和感のことは気にせず。押し殺す<ウサギガワラケイ_チョウキョウズミ>

 今、完全に、Naの浸食を防いだ。

 立ち上がる、けい。

「恩返しの時間だべ!マシンガン」

 マシンガンはそこにいなかったのであるが、マシンガンには、ひょっとしたら、聞こえていたのかも、しれない。

 -

 新章なのである。いや、真章なのである_。


 This whole story of mine will be dedicated to the every species on earth

 And one girl I am in love

 Don’t you get it ? that I can only make you happy 

 -

 使命とは、かくも_つらいものか。

 柚宇は、つばを吐いた。

 目の前のシャチ、すでに死んでいる。つい、さっきである。

 死因は、大量に飲んだ石による、内臓の損傷、細菌による感染症。

 柚宇は、つばを吐いた。

「おいおい、けいにまだ会えてねえだろ、このカスシャチ」

 シャチに、柚宇は憤った。まわりの人間など、どうでもよかった。

 -


 今、おれは水中に帰る。途中のストーリーと愛を残して_。いつか感じた本物の、使命を果たすため_。

 撫でるように、いざなってくれ_。

 おれに、優しくしてくれ_。

 もう、動けないし_感じれない_。

 シャチ。おれの愛する動物は、おれの頭の中で、永久に泳ぎ続ける。


 糸井宏徳


 太陽神の、声である。正しくは、その声、惑星守護色期巫天全員に、


 フクロウを飼育する海豚<いるか>


 降り注いだ。顔を上げ、空を睨む、木村優美。ツチノトは、寝ている。


 Yu


 眞弥は、「さとざくら~」と、声をあげた。


 &混合殺戮保護団体


 太陽神は、放ち始めた、音量を、徐々に上げた。地球上の気温が、0.00000001度上がった。

「告げる!心して聞け、つるどもよっ。


 DFL


 琵琶湖に、再び、あのバンドウイルカが、現れた_今回は」

 音量をさらに上げた。だが、誰にも人類には、聞き取れはしない。

 シャチの死体をみる、柚宇は、ぐ、と吐き気をこらえた。鬼神の目で、それを押しとどめ、笑う。

「勝負だ!」

「今回は、以下の鯨類どもも一緒だ。 メモに取りなさい!NAGORIマッコウクジラ分類Base Back Packers/ NASAKEイッカク分類Hyatt reagency/Natsu及びKashiコククジラ分類Hyatt reagency/最後に、分類Stake House名をASAシャチ!アルビノの盲目シャチだ!こいつに特に注意して、ただちに向かい、<アシュラゴロシ>に追い返せ!こいつらYu及びDFLの狙いは、兎瓦けい及び、私有物ゆしのETIAGXNを含んだギター!けいに、危機及ぶ前に、」

 さらに音量が上がった。

「遂行せよ。以上とする」

 ぎら、と太陽が歪んだ。 


 ひなた第2話


「誰がやる?ひとりでいいぞ」

 眞弥が言った。

「わたし」

 木村優美。

「じゃあてめえでやれ。阿修羅優美」

 眞弥が言った。

「はい」


 マシンガンは、ぶんぶんと言っていた。いい歳こいて、なんなのだろう。この古代生物は_

「ぶんぶん!!!」

「うっせえな!最近調子乗って、変な、無駄な発声増えたべ?マシンガン、あれだけわたしにきんきんうる「まあイイでは、ないか、けい。この車とかいう具象。なかなか、男心をくすぐる」

「シャチの?ふうん。興味ねえ」

「けい~?最近、マシンガン君にきついんじゃない?」

 けいは、半泣きで、憤る。

「だからなんでシャチ側なの、お母さんっ!娘がかわいくないんだ!」

 無視する母親みさき。

「あ、着いたよ。じゃあ、お母さんこの足でもう、仕事行くから。携帯にメールしといて。来てあげる」

「うん、ありがとう。行ってきます」

 ここは、奈良_。鹿の国である。鹿の国では、なかった謝罪の念を、どうか受け取ってもらいたい。なんと兎瓦けい_

「はあ、まず慣れないとね、マシンガン?」

「一体誰に口を聞いておるのだ、けい。この適応力の権化、シャチ様に慣れる慣れないなどの概念、存在せぬ。あ、その携帯買い換えたのか?今すぐ、」

「やんねえよ殺すぞ!スーパー<あり得ない>家電!」

「まあ、いい。ふん、八千草殿が、お前に教授してやったこと、何もお前の貧相な脳には、記憶として刻み込まれてはいないのだな」

「は?そんな話できなかったし、おめえのせいでよ!」

 なんと兎瓦けい引っ越したのである。もう、栃木県宇都宮市では、ないのだ。三重県は鳥羽に越してきたのである。べつに、奈良さとしと別れたから、なわけはない。仕事の転勤というやつである。みさきは、バリバリのキャリアウーマン。ザ・女手一つ_なのである。越してまだ、6日。 とりあえず観光も兼ねて、みさきの車にて、関西を回っている最中なのだ。いやいや、観光地に住む、とはなかなか羨ましい限りかも、しれない。

「いい感じのショッピングセンターだべ、これ~!どこ行く?マシンガンっ。いきなり、試食コーナー連れてってやってもいいべよっ?」

 噴水の隣で、おしゃれをした兎瓦けいと、バックから顔を出すマシンガン。これなら、人目につかない。始めからこうすれば、よかったのではとは、まあ言いっこなしである。

「そうだな。行ってやってもよいぞ」

「へっへー、光栄です、オルカ様っ」

 今、けいは、<May Fair>というモールに、入ろうとしている。一階しかないのであるが、広さは尋常でない様子だ。楽しみである。ショッピングショッピング~♪

「あ!」

 坂口と彼女である。

 実は、この二人も、引っ越しでは、ないが「食べ物がおいしいところに行きたい」という、桂のしつこい要求にて、坂口は来たこともない、関西2泊3日旅行に来ていたのである。

「けいちゃ~ん、こんにちはっ」

 そういえば、この自分と同じ音の名を持つ女と、相まみえるのは初めての、兎瓦けいであった。

「こんにちはー、はじめまして。兎瓦です。ケイちゃんですよね?」

「敬語やめてよー。うん、そうなんです。って自分でも敬語使っちゃったけど」

 坂口が、ワックスでかっこよく固めた前髪を、少しいじる。

「一緒に、飯でも食う?けいちゃん。なんか、ものすげえ偶然だし、さー」

「あー、すごく嬉しいんだけど、わたしこれから試食コーナー行かなきゃなんねえんさ?だから、ゴメン坂口くんっ」

「いいよ全然。 なんだ、残念だなっ」

「あとで、一緒にカラオケとか行っちゃう?うんと、わたしもある程度、用済ませたら、ヒマだしよ?」

「いいね!カラオケだってよ、プロ歌手っ」

 桂は答えた。

「はいはい!歌いますよ、歌わせてもらえるナラバっ」

 けいは、おお、と思い出していた。_あの、くそレノンと同じバンドのひとだ。

 _?って、いうことはこいつも、惑星巫天?

「どうした?けいちゃん」

「あ、いや、なんでもねえよ?じゃあ、またあとで電話すっから、ひとまず」

「うん、じゃねー」

 桂と坂口は、去った。エスカレーターを降りながら、けいは、マシンガンの入ったバッグを見ながら、崖の上の飲み会、を思い出していた。すごい響きだな。

 小声で、鞄に口をつける。

「なあ、マシンガン?炭素担当の桂って、あの坂口くんの桂?」

「そのとおりだ。_言ってなかったか?」

「(くそ、まじか)じゃあ、別にカラオケ行きたくねえな、ことわろ」

 フードコートに降りると、さらに一階降りた。

「っつうか、ここ一階だけじゃなかったんべな、地下もあったんだ」

「けい。まだか」

「もうちょっと待ってって」

「あ」

 柚宇が、試食コーナーにいた。浴衣ではなく、普通の私服の花頭である。あの花頭、通報されないか心配である。うん?なにか、化粧をしている。

「べつにあいさつは、しねえぞ?」

 どん、と柚宇の前に現れるけい。

「わあ!けい」

「おめ、そんなストーカー行為わたしに、働かなくたって、べつに会ってやっからよ?」

 ぱんぱんとふとももを叩く、けい。

「膝枕け?」

「膝枕け?じゃねえよ、単細胞!おれの用で、ここに来てんだよ、あ、どうせその中、マウヅいんだろ?あんま、外出させると、いつかつかまんぞ?何かの団体か、警察に」

「なにそれ?(つんつん_マシンガンの鞄をつっつく)」

 ばりり、と静電気?が起きた。小さく声がした。

「阿修羅。わたしは、試食コーナーが大好きなのだ。サバを思い出す」

「思い出してろよ、なんの話だよ。あ、これ喰うか?けい」

「いらねえし、欲しかったら自分で取るしってうあ!きったね、やめろや馬鹿」

 とりあえず、柚宇は、あっそ、とそこをあとにした。

「おれの用ってなんだべ。っていうか、なんであいつ化粧してたん。キョンシ-の自分と混同しちゃってんだべきっと。ばか」

 マシンガンは、声を上げた。

「けいよ、はやく回るのだ」

 -

「初めて会ったんだ?けいちゃん_」

「、、、」

「あのさ、桂。敵って実際何のことなの?」

「、、、」

 すでに、モールをあとにした、二人もどうやらけいに、このあと会うつもりは、もうないようである。

 -

 シャチが死んだニュースが流れた直後、柚宇は、兎瓦邸(In 栃木)に行き、「引っ越す前に、告げたいことがあるんだけどよ」とけいに、ことの顛末を告げたのだ。けいは、そうなんだ、と感傷的な感じでは、なかった。記憶には、残ってはいないほど、自分が幼い頃に、しでかしたことなのだ。よって、そのシャチに感情で、思い入れはない。

「(ぱんぱん)、、、」

 黙とうを捧げたのみだった。


 しかし、のちに気付くことになるのである。 シャチが死んだことで、事態がめんどうな方に、更に転がってしまったということに。

 恩返しを果たせなかったそのシャチ。恩とは、その昔、けいがその傷を舌で舐めた、という事件である。彼は、いや、彼の能幹は、それでも果たそうと、反蛇求喰の力を借りて、次の体を探していたのだった。

 -

 マシンガンは、言った。

「馳走であった」

「いや、食ってないべ?電気屋じゃなかったし」

「いや、電気屋、、、か?は、好かん。わからぬ。好かん」

「なんでだべな、不思議」

 けいは、足をぷらぷらさせた。

 琵琶湖に来ていた。

 絶対に遠出しすぎだし、もう、だったら迎えに行ってあげない、とみさきにもメールで返事が来たのであるが、今日、来たかった。この海のようなスケールを誇る、日本の天然の誇りを、一度眺めてみたい、と思っていたのである。釣り人が、数人たむろっている。なにかでかい魚だか、なまずだかが釣れたらしい。

 けいは、はあ、と快晴とゆるやかな波に、笑顔した。

「来てよかったね、マシンガン」 

 しかし、この分だと、今日中には帰れないので、この辺で一泊しようと思っていた。余りにも、無鉄砲である。そんな気分ひとつで付き合わされる、マシンガンの身にもなってやったらいいのかも、しれない。

 マシンガンは、言った。

「小山たちは、元気だろうか」

 -

 惑星守護色期巫天_木村優美とツチノトも、関西に来ていた。電車で、向かっていたのは、神戸だったのである。

 いい感じの、海岸都市とも呼べるこの地で、デパート一階のカフェで、二人は読書していた。内容は、<セックス依存症に関する考察<下>>と、ツチノトの方は、<経済学基礎知識>である。

 今、彼らは同時に、目の前の最後のクッキーに手を伸ばし、あ、どうぞどうぞ、をやった。

 -

 眞弥は、さとざくらの話をしていた。相手は、柚宇である。さっきのモール_けいと会った直後の話である。

「その化粧は?」

「いや、ちょっと眞弥ちゃんは、知らなくてもいいことだと思う_」

「仕事?」

「ああ、なんか、ね?まあ、いいじゃん」

「気になる」

「ちょっとエキストラでさ、まーさ」

「ふうん。あ、チュッパチャプス取って」

「あい」

「、、、」

 眞弥は神出鬼没である。住所>地球全域_以前、彼女が口にした言葉だ。

「やっぱりまだ居るみたいなのよ、チョウくん」

「だな。イルカ来てるってことは、そうってことだろうな。なんなんだろな、姉さん、追い返したって」

「うん」

 眞弥は、言葉を区切った。

 木漏れ日が、目にあたり、瞼にもっと、見上げてごらんと囁くかのようだった。レモネードを引き寄せ、ぶち、とストローの袋を破り、眞弥はなんと、メガネをかけた。

 変わったメガネである。なんというか、ダサい。ゴーグルに近い。虫のような、骸骨のような_。それをはめた眞弥ちゃん、一言呟いた。

 てん、とサッカーボールが、柚宇の足元に転がってきた。

「阿修羅柚宇。わたし、恋人が欲しいの」

 ちゅう、柚宇は、自分のアイスティーを飲んだ。間を空けて、柚宇は、眞弥に言った。と同時、ほら、とサッカーボールを子供に返した。

「そうですか」

 メガネを外す、眞弥。おそらく、セリフ_わたし、恋人でんでん_が恥ずかしかった為、直前にメガネをかけたのだろうか。

 柚宇は、アスレチックコースの入り口に向かって、しょべえ、と吐いた。公園は、にぎやかでもなく静かでもなかった。

 -

 けいは、ギターに声をかけた。友達に肩を回すような、言い方である。

「はあ、ゆしちゃん♪わたし、珍しく恩返しする気、今、満々なのよぅ。ほら、なんか動物の顔でもなんでも、くっつけるなら今」

 変なやつに成っているけいに、マシンガンがあきれる。

「お前は、何度言えばわかるのだ。お前が願わねば、何も起こらんのだ」

「知ってるよ?でも、あれだべ?こう言っておけば、ギターの方から知らせてくれっかもしんねえべ?」

「、、、。まあ、正直おれも詳しくは知らんのだが」

 けいは、サバの水たまり血祭り事件を思い出していた。

 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 今、すべて合点がいった。

 あのシャチ_昔、傷を舐めてやった。

 いっぱいいた虫_。

 あのバンドのボーカル_桂。

 坂口君の妙な態度と、自分に関する目撃談_。

「なんっで全部教えてくれなかったんだ?マシンガン!」

 マシンガンは、視線を外さない。けいではなく、旅館のテレビから、である。

 やっていたのは、歌番組。リズムを取っているマシンガンを、おい、とやる、けい。

 マシンガンは、なんのことか解っているらしく、こう答えた。

「知ったところでどうなる。第一、何もわたしに聞かぬでは、ないか。あの月_桂は、そういうことだ」

 けいは、畳の上を立った。だ、と走り出す。マシンガンは、やはりそのまま言葉をリリースする。

「お前と同じ念悦または心、を共有しているのだ。今頃わかったか。ちなみに、あの坂口浄介は、太陽神と同じ念悦を持っている」

 しかし、すでに部屋にけいは、いない。ごそごそ、と洗面所で何かをやっているようだ。

 がば、と再びマシンガンの前に参上する女子高生。

「こうしちゃいれんねえ、わたし会う!あの子と」

 マシンガンは、電気を消した。

「今日はもう遅い。いいから、もう寝ろ。大丈夫だ」

 けいは、腑に落ちないまま、「ちぇ」とまた、着た上着を脱いだ。マシンガンは、アラーム機能を、ONにした。自分の_。


 恩返し_依頼人一号:琵琶湖オオナマズ


 ツチノトは、疑問を口にした。

「眞弥様、なぜここへ」

「アドバイスをもらおうともらって」

「なぜ、アサリキノト様になられて、おられるのですか」

「だってこれ付けないと恥ずかしいから」

「、、、?何のアドバイスでしょう」

 木村優美は、言うことがわかって、爆笑をこらえていた。

「いい、笑ってるヒトがいるから」

 すねた地球様は、顔を赤くし、ナプキンを2,3枚カフェにて取った。ただの、紛らわしだった。それにしても、本当にダサいゴーグルである。

 -

「能幹が、魂で、借農が、体で、念悦が、心_______と」

 坂口はメモを取っていた。目の前で、たこ焼きをもう合計、78個食べている彼女に聞いた内容を、である。

「そう。違う。その、ノウは農業の、農!」

 二人は、現在、奈良県のホテルにいた。

 -

 神戸にて、三人の惑星巫天が、高いところに来ていた。もう、夜景がきれいな11時である。

 本当は、この建物、もう閉まっているのでは、なかろうか_。

 絵を見て、眞弥は感動している。人魚の絵だった。優美が、言った。

「なんか、いい絵だね」

 ツチノトは、神戸の夜景を見下ろしていた。

 山に字が走っているような気がする。なかなか風情に近いものを感じた。

 -

 朝になった。昨日に引き続きの快晴である。ギターが震えていた。

 ぶるぶる。。。ぶる。

 

 スティーブは、仁美の髪の手伝いをしていた。なんとも、ややこしい髪形になっている。巨大なおだんごが一つ、頭上にのっているような感じだ。

 ぱん、と叩くスティーブ。「いった! ちょスティーブ!うどん、こしらえ終わったみたいな、感じにしないでくれる!?」

「わりっあんまり久しぶりなもんで、この仕事は」

 -

 太陽神は、めずらしく、一人でいた。

 彼女は、さみしがり屋である。まず、誰かといることが、多い。が、厳密には、一頭の哺乳類の前に、いた。

 やはり一人ではなかった。 


 ひなた第3話


「よしよし」

 目の前には、一匹の、一匹の_キリンであった。ここは、動物園。宇都宮動物園である。太陽神は、何の用事でこんなとこに、出張してきていたのだろうか。メモを取り出す、神岡浄介_

「ふんふん、なるほど」

 ギターのもたらした影響を、事細かに、調べていたのである。ぼそ「Ocean surface’S/…Kansmarss binary divided despite Lennon’s body…」

 独り言のようである。

 -

 けいは、ば、とマシンガンを指差した。にひ、と笑う。すざ、と軸足がぶれた。運動神経はやはり、それほど良い方ではない。マシンガンは、あん?とばかりに、けいを見ている。味気のない防波堤のようなところで、何か水面で魚が跳ねたような、気がした。けいは、ほざいた。

「今日のわたし、かわいいべっ!」

 すかさず、答えるマシンガン。

「いつもと変わらぬ。ただいつもより、イモリっぽいな」

 こんな、女子高生心(いや、おれには理解しかねる)を逆なでする<っぽい>嫌味を、言われたのに、ふりっと湖に目をやり、まったく効かん、とばかりに仁王立ちをかます女。曰く!

「今日のわたしの服は、勝負服なのだ!がっは」

 マシンガンは、携帯電話を狙っていた。

 -

 木村優美は、フクロウを観察していた。いつの間に、ツチノトと分かれたのだろう、

 彼女は今、けいのすぐ近く、琵琶湖周辺の森の中にいた。

「う~ん、こいつはまだ、侵されてない_ない、と」

 メモを取っていた。惑星巫天の、間ではメモが流行っているようである。いつの原始人だ。

 -

 浄介(坂口)は、ぼごん、と彼女を殴った。軽くではあるが_。彼女は、惑星守護色期巫天<炭素>担当である。

「絶対今、ずるしたべ!」

 鼻を押さえながら、桂は、泣きそうになっている。

「たかがゲームじゃん!殴るほどっ?」

「ほどだ!」

 実は、どうしようもないほど、<血で>ギャンブル好きな坂口浄介は、ゲームをしてる最中は、男も女も関係ない、鬼畜になってしまうのだ。今、やっているのは、ただのUNOである。ルールを破ったのは、桂であるが。

「おい、桂。ゲームをやってるときは、おれを彼氏だと思うな。ボーガンで仕留めつつある、一羽のカモだと思え」

 いらぬ、ギャップである。

 桂は、もう半というか、泣きながら、ゲームを続行した。

(うおお、人間ってこええ)と思っていた。

 -

「まずな?まずな?マシンガン。このな? うーんとお前にわかる言葉で言ってやるとな?氷山っぽいこの胸のこの柄と、な?温暖化っぽいこの靴のあれとな?パンツのこの鯨類っぽい感じがな?きゃっは、この兎瓦けいには、一番似合うっつう、かの三日月ちなっちゃんのお墨付き、最強勝負服なのよ!」

「全然、何を言っとるのか、わからんぞ! 江戸時代と勘違いして、現代の高校生にNOチョンマゲ?と言っているような、間違った歩み寄りに、聞こえるぞ。だいたい温暖化っぽい靴ってなんなのだ」

 狼狽するマシンガン。こんな調子にのっているけいを、初めて見たから、である。

 けいは、ふん、と鼻息とともに、振り返った。

「そして、この髪!わたしに一番似合う、このマシンガンには、どういう言い方がいいべ、ちょれっとなって、ぐわしって感じのよ?わかっぺ?」

「わからんが、なんで今日がそのお前の、勝負服?なのだ」

 ぴた、と止まるけいは、ぼそ、とマシンガンに聞こえる、と思って答えた。

 マシンガンに聞こえていなかったが、「今日、あいつの誕生日なんだって」と言った。なので、聞き返され、また同じことを言う羽目になる。

 -

 特に携帯電話の必要ない繋がりなので、ある。柚宇は、どこからでも兎瓦けいの声を聴き取れる。柚宇は、瞬間移動はできないが、俗に言うテレパシーのような秘術で、けいに言葉を送ることは、できるのである。

 その会話の中、偶然聞いた内容だったのだ。が、柚宇自身は、特に、だから何というわけでもねえが、の温度だったのである。コイスルオトメのやりがい爆発である。ここで、テレパシーの仕組みの前に、言葉について確認をしておこう、と思う。というか、言語。音声によって、他者に自分の意思を告げるこの行為について、である。_念悦である。

 JETTOES

 心

 重力

 すべてイコールであるが、これが言語の必要性を促している、正体なのである。

 欲望_。

 小山も口にした、人間の持つ意識の中の、その何かを欲する部分。それと深く関係している。続きは、また後ほど_。

 -

 けいは、相変わらず張り切って、ふんふ~ん♪と、間に合わせ釣りキットで琵琶湖にて、釣りを楽しんでいた。となりには、あれ釣れたの? とさっきから道行く人に、疑われてるマシンガン様である。マシンガンは妙に思った。

「けい!けいよ!せっかく勝負服を身にまとっているのに、奴には会わんのか?」

「だって忙しいって言うんだもん」

 けいは、しかし残念そうな様子は見られない_。むしろ、にやにや気持ち悪い。

「はー、なんか釣れないかなあ。ん?」

 何か引っかかった。

「、、!、、、!」

 おかしい。まったくエサをつけて、なかったのである。_全くのヒマ潰しだったのである。

 マシンガンは、けいのおかしくなった様子にかまえた。

「どうした、けい」

 けいは、眉間で答える。

「、、、うん、なんか来たみたい、、、!」

 _来る。

 -

 木村優美は、メモが340ページを超えた。ノートブック6冊目である。何をそこまで取る必要が、の前に筆速、はええ。_である。

「、、、(ぼそぼそ)」

 熱心なコトである。目の前には、木の根っことそこで死んでいる一匹の野良犬である。どうやら、何かに潰されたように、複雑骨折、および内臓破裂で死亡している。

「、、、(ぼそぼそ)」

 -

 レノンは、かやにダメ出しをしていた。相変わらずのスタジオHURRICANEPUSHにて。

「だから、お前いつもここで、さー!なんか突っ込む感じになっちゃうんだって!おれのドラム聴こえてねえんかよ!お前、基本No.2に甘んじて、そこから成長しようとしねえ勘があるからなあ!の割りに、ソロもやりたがるし。お前自分の立ち位置はっきりしろよ!はい、今のもダメ!ここで、オクターブ奏法したら、歌とぶつかんだろ??お前、ちゃんと声想像しながらギター弾けよ、三流!ってな~く~なよぅ」

 -

 ビワコオオナマズという種類らしい。

 横に居る電化製品マシンガンの説明によると、である。しかし、でかい。こんなもの普通は釣れないんじゃなかろうか。釣れるもんではないのでは、なかろうか。

 ただ、釣れたと、言っても眼下の、水面_コンクリートの壁に口を押し付けるように、下からけいを見上げているのだ。こんな非動物的な行動をするのは、けいは、あの求喰川で会ったアルマジロウぐらいだべな、と思った。

 その通りである。このナマズ。見かけは現代のものに近いが、古代求喰川から、時代を跨いでやってきたのである。

 なんの_為に?

 -

 レノンは引き続き、かやをスパルタしていた。

「だっかっらさ~!!!!!この曲は、サビでテンポ変わんのっっっ!お前だけいつもは~や~いの!!!普段ちゃんと曲体に染みつかせてねえだろ、かや!ばれっぞ!客にばれっぞ!わかるやつにはわかるぞ、人間なめすぎだ!なんなら、ネットでギターリストかやが、どの程度の評価か、全部教えてやっか?お前、ステージ立てなくなるぞってな~く~なよぅ」

 -

 ビワコオオナマズは、喋らずそれにほっとしたけいは、ビスケットを食べ始めた。

 奥の方に、淀みなく広がる空と雲は、旅を志す少年を、勇気づけると同時に、厳しく諭すようである。ここんとこずっと大変だったから、ちょっと休みたいなあ、と思っているけいを、やはり<運命>は彼女を許しはしないのである。

 眞弥と話をつけた柚宇は、琵琶湖に向かっていた。けいに、そこから遠ざかるよう言うためである。が、心配ではなかった。

 琵琶湖周辺には、おそらく限りなく最強に近い惑星巫天が、メモを片手に、捕獲の準備を行っていたから、である。

 木村優美は、木を抱きしめながら、呟いた。

「あとは、あなたが全部やってくれるよね?」

 ちゅ。

 木村優美は、もう琵琶湖周辺には、現れなかった。

 -

 レノンはまだ!罵倒していた_「おっらあああああ!!!しねえええギター止めちまえええええええ!かや!火弥っ!!!!!!!!お前さ!やる気ある???ねえよな!?もう、最早弾いてねえもんっ!それじゃ、<弾いた>うちに、入んねええもん!なにそれ!!!!!!何チョーキング????ちゃんと一音上げねえと意味ねえだろうがよ!バンドで一人だけ、プログレやってんな!ああ、泣いちまえ泣いちまえ!け!」

 -

 木村優美は、ツチノトと温泉に来ていた。何なのだろう。琵琶湖に誰か来るのでは、なかったか。そして、まだ<セックス依存症に関する考察>を読んでいたのである。

 ふう、と湯につかるツチノトは、情景描写__やはりそれを、するつもりはない。

 -

「よう」

「あ!うん、よっ」

 ビワコオオナマズと無言の、ミーティングを行うけいと、マシンガンの前に一人の花頭が現れた。浴衣に戻っている。

「おい、けい。だからさ、こっから離れろって言ってるだろ、あぶねえんだって」

「だから、こっちも言ってっぺ? 用があるし、マシンガンいるから、心配ないって」

「、、、心配じゃねえけど、念の為だよっ、ま、いっか。おい、そこの国定めはなんだよ?」

 は?とけいは、悪魔のような顔になった。容赦がない。

「国??」

「国定め_おれらの魚類に用いる、通称だ」

「っへえ!!そういえば、前に。。。<恵比寿>も、言ってたよな?あれはじゃあハ虫類。。。?とか?」

「入るな。だが、分別法が人類とはちげえから、イコールのは、ねえんだ。だが、国定めは魚類で、だいたい合ってる。 。。。だよな、マウヅ」

「不安か?柚宇。ぶっぶーとでも言ったら、かっこわるいからな~?惑星巫天っ」

「うっせし。はあ、いい天気だね~。ったく会いたくない奴に、こんな日に拝まなきゃなんねえとはな~」

 あ、とけいは思った。

「坂口君と会った昨日_!んでよ?うんと(ぶん、と竿を投げる)うんとよ?桂ってやつとも初めて会った」

「おう」

「うん」

「?」

「、、、」

「あ?」

「え?」

「え?じゃねえよ、だからどうした?」

「べつに。会った。今まで、会ったことなかったけど」

「ああ。そっか。おめでとう」

「、、、」

 ざ、と竿を置いて、立つけい。

 ぱん

 マシンガンは、目を見開いた。

 けいが、柚宇を殴ったと思った。

 柚宇は、ほぼ、頬をまったく衝撃に屈しない感じで、ぐりんと戻した。

「なにすんだ、けい」

「なにすんだじゃねえよ!わたし、さっき初めて聞いたんだけど!あの子が、わたしと何か関係あるって!教えてくれてもいいべ?そんなよ?大事なコト!」

「大事なこと?そうか?念悦共有してるだけだろが。赤の他人だろ」

 ふん、と座り直すけい。心の中では、せっかくオシャレしたのに、なんでまたケンカしてんだべ、と思った。

 柚宇は、にか、と笑った。けいは、こいつ話聞いてたか、とイラついた。

「なにがあってもこの阿修羅様が、守ってやんだから、心配ねえだろうが、けい!」

 ぼ。

 普通に、コンロにかけたやかんになったけいを、マシンガンは、ほう、と言いおもしろいな、と感じた。

「マシンガン?何が、ほう?」

 聞こえていたらしい。

 そのときである。

 ぬめり。ナマズが動いた。何かをしようとしている。

 けいは、お?と見守った。柚宇は、がし、とマシンガンを持った。

 柚宇は、言った。

「マウヅ。おめえは、けいの邪魔すんなよ?」

「何がだ。意味がわからん」

「へ」

 ナマズの口から、何か出てきた。

「げ」

 けいは、口を手でふさいだ。偶然そこに居合わせたカップルのうちの男が声を上げる。

「あれさ、ヒト?」

 ナマズの口から、現れたのは、ヒトの手だったのである。

 -

 ツチノトは、男湯にて、周りの男を観察していた。_「、、、」_。目が合った。向こうが、反らした。

 別の男に目を合わせた。向こうが、反らした。

 別の男に目を合わせた。向こうが、反らした。

 ツチノトは、しあわせ、と呟いた。休むがいい。

 -

 眞弥は、いつの間にやら、宇都宮の家に帰っていた。引き払ったわけでは、なかったらしい。

 生活形態及び財政の具合が、まったくの謎である。確か、札幌にも住み始めた_、、、と。あれは、嘘だったのだろうか。張り紙をもう一つ増やしていた。

 _<彼氏G E T>

 にひ、と笑う女の子。怖いから。

 -

 太陽神は、メモを置いた。

「あれ」と言った。

 キリンが何かに勘づき、太陽から離れた。娘の元に、歩み寄って行った。声が聞こえる。

「おかあさん!キリンきた~」

「イルカたち_帰った??」

 -

「けい。よってだな、オレンジの分類ってのは、以上の6つに(<ため息>っふぅ)聞けよ、けい!」

「聞いてるよ。いや、よくできたおもちゃだべ、これ。本物みたいなヒトの手_」

 あたりには、ヒトが群がっている。なので、マシンガンはバッグに隠れている。集まった通行人と釣り人は、女子高生の発見、そして釣り上げたものがヒトの手の<おもちゃ>だと、わかるとちらほら、帰る人も見えている様である。

 その中の一人が行った。

「悪質な悪戯やな~。もう、気分も乗らんで、関ヶ原帰る感じやな~」

「岐阜から来てるんですか?」

 また、赤の他人と喋り出す、兎瓦けい。

「うん。いや、厳密にはCANADAなんだけどねっ」

 おじさんは、手を変な角度で、耳に回した。

「カナダから来てるんですか?琵琶湖に?」

 けいは、目を力いっぱい開けた。けいは、実は、目すごく、大きいのかもしれない。

「_頭打ちやでなあ」

 けいの返事を無視した上、脈絡のない一言を置いて、その場をあとにする青年。

 けいは、おぅい、と思った。マシンガンが、バッグから、声を上げた。

「やつ、音楽なかなか、できるぞ」と言った。けいは、手を見ながら、返した。

「へえ。 なんの楽器?」

「おそらくベースギターだな」

「そこまで、なんでわかんの?」

「奴の、手だ。おそらく腱鞘炎だ」

「ははは。だから?」

 夕焼けに近づくにつれ、だんだんこのナマズ、下に長時間、ステイし過ぎじゃねえかと思った時、柚宇が、言った。

「にしても、現れねえな。あいつら」

 -

 眞弥が、ガラスを割った。

 食器である。顔を上げ、危機迫る表情で、窓へかけた。フクロウが3羽、外側から、窓の縁に止まろうとしていた。

 眞弥は、窓を開け、フクロウ3羽を瞬殺、重力により圧死させると、通行人と一瞬目を合わし、反らし、腕を組み、言った。

「Yuのやつ____。あたし狙い??」

 別のフクロウが、1万6042羽、彼女の部屋に近づいていた。

 -

 柚宇は、おかしいなあ、という顔をした。あまりにも、そういう顔をしていたので、逆に何も聞きたくないけいは、ひひ、何も、どうしたの?とか聞いてやんねえ、と思った。

 マシンガンは、3人以外ヒトがいなくなった場所で、けいに言った。

「、、、。 聞いてやれ」

 -

 レノンは、スタジオの扉を閉じ、目を赤く腫らしたかやの肩を、ぽん、と叩き宇都宮の街を、闊歩し出した。泣き虫は、聞いた。

「レノン!なんかおかしくない?」

「あ?興味ねえよ、イルカ。おれたちは、もっと大事なコトあんだろ」

「なに?」

「バンドだよ」

「ああ」

 今から、何食べようか、という話を二人は始めた。

 -

 眞弥は、フクロウ何万頭の死体を部屋の外につくり、猛烈に困っていた。

 道路を塞いでいるのである。

 警察が、来ていて、通行止め、街はパニック。みんな、ざわざわと大量の死体を、恐怖と不可解を混ぜた思念により怖がり、なかなかそこから離れようとしない。

 遠くで、クラクションも聞こえる。

 眞弥は、箸をくわえた。

 ぴり、とセロテープを裂いた。何のつもりか、それを窓に、その上の縁につけ、テルテル坊主のように、箸を垂れ下げた。言った。

「優美_。バレてんじゃねえよ、トラップ」

 -

 木村優美は、ああああ、と思っていた。

 ツチノトが、優美に聞いた。

 浴衣である。木製のテーブルの上に、湯のみが三つ置いてある。

 新聞を、行儀悪くも足で蹴飛ばし、優美は、言葉を吐いた。

「知恵比べで、イルカに負けたあ」

 -

 夕焼けの中、まだ去ろうとしないビワコオオナマズをどうしよう、と思っているけい。

 マシンガンも柚宇も、自分任せというか、今回は、何もアドバイスをくれないのだ。冷たい、とけいは思った。ヒトの手を、違う角度で見た時、何かを、彼女は発見した。

「?字?」

 <けいちゃんへ>と日本語で書いてある。

 -

 ギターをつまみ、動かないそれにけいは、質問した。

「ねえ、このナマズ。どっか悪いの?ねえ。治してあげたいから、力貸して?ゆし」

 ぶるん。

 ギターは震えだした。

 マシンガンが、There you goと言った。英語をしゃべるとは随分生意気な家電である。

 柚宇は、腕を組み始めた。

 ナマズは、今、消えた。

 -

 眞弥は、床についた。寝たのである。自分が狙われているのでは、なかったか。確かに、だが、これ以上フクロウが来ることはなかった。

 -

 太陽神は、スティーブのところに来ていた。

「仁美ちゃん、それいいね」

 仁美の新しい髪形を指差した。

「ありがと。じょうちゃん」

 スティーブは、野菜を切る練習をしていた。

「ああ、まあ、ヒマ潰しに」

 スティーブは、髪を切る仕事をしていたことがあるらしい。

 -

 その海豚<イルカ>調教せしめるは、幾万の猛禽類夜行特化_。背びれに塗りしは、闇のまじない、古代エイゴウイカの、黒墨。Yu


 水を撒き散らしたのは、場所琵琶湖、マシンガン、柚宇、けいの眼前である。震えるギターは、止んだ。

「S-2eaSuntwice」

 けいは、ぼそった。立った、水しぶきに、空気中から湧いた、三匹のサメは、えぐり取るように、その中心に即座に赴いた。新たに立つ、水面の荒れ。

 けいは、言った。

「途中だってのに、邪魔すんなやあ」

「また_」

 聞き覚えのある声が、夕闇の中、波をもてあそんだ。

 けいが、睨む。

 柚宇は、態勢を変えない。浴衣のまま睨んでいる。

 マシンガンは、ふつうにしている。特に、警戒していない。

 ざぼん、と浮かび上がる、大木。ばらばらに解体し、ぼこ、どん、とコンクリートの塀に、流されぶつかった。

「会えたな、諸君」

 柚宇は、言った。

「こいつら、優美のトラップ攻略しやがったか」

 木は、凝視していると、粒のように小さい動物に形状変化し始めた。この状況で説明する、柚宇。聞く、けい。

「今、あの木の破片_エビになっていったろ。あいつらは、求喰川に住む、猛毒を持つ種類だ。木村優美いたろ?覚えているよな?優美の担当は鉄だが、うんとな、さっきも言ったが、6つの分類であると、動物もといオレンジは。鉄を主成分とする体を持つものは、優美の管理下。名を鬼女。炭素の体を持つ植物の類は、桂の管理下。名を恵比寿。塩素レノン。国定め。酸素かや。弁天。水素おれ。おるり。水ツチノト。大蛇。または、人類ETIAGXN」

 ここでびっくりするけい。

「ほう」

「でな、この木は優美のトラップだ。あのエビは分類上は鬼女。ふ。Yu。借りがあるなあ、かかってこいよ」

 マシンガンは、バッグに入った。

「ふん」

 興味なさそうである。

 ギターを片手に、けいは言った。

「でも、多分、あのサメたちにやられたんじゃね?」

 やられてなかったのである。

「___鉄担当の馬鹿うぬぼれ女に、伝えておいてくれ」

 波に音もなく現れたのは、なんと6頭もの鯨類。

 NAGORIマッコウクジラ。

 NASAKEイッカク。

 Natsu&Kashiコククジラ。

 ASAシャチ(アルビノ種-突然変異)

「長時間練った作戦など、かえって突破されやすいのだっ!」

 中心にいる、Yuは、かわいらしい瞳で、けいを見た。

「___こんなこともあろうかと、食事は済ませてきておいたのだ。ウチのシモベは、安っちいエビなど、食しはせんのだよ」


 フクロウが、ちらほらそこら辺、電柱の上から、旅館近く、増えてきていた。


「ばかめえ! 惑星守護色期巫天」

 Yuは、波間から顔を出し、弱い噴気を放った。


 ひなた第4話


「イルカ一頭仕留められんか?」

 笑いが琵琶湖に木霊した。

 

 兎瓦けい


「あははははははははははははhahahahah。」

 -

 さとざくらは、北海道に<まだ>居た。何かをしている。

 ジャンプした。迫力のジャンプを水面から、そびえる海岸森林の頭上、枝先へと決め、果実をもぎると、そのまま水面へ落下した。

 浮上した時、もう胃袋に収めていた。

 シャチハザッショクデアッタ。

 ぶし。果汁がシャチの口から漏れた。

「うめえ」

 そう、聞こえた。

 -

 桂は、坂口に聞いた。

「ねえ。好きな動物とか、ある?」

「キリン」

 坂口は答えた。

 へえ、と返す彼女。

「なんで?」

 坂口は聞いた。

「ううん」

 会話は終わってしまった

 -

 木村優美は、ゲームをしていた。悔しさのあまり、ゲームをしていた。横で、布団から話しかけるツチノト。

「寝れば?」

 まだ、6時である。

 -

 Yuは、消えていた。求喰川に帰った。柚宇は、舌打ちした。すでにキョンシ-だった。

「あのクソイルカ!完全になめてやがるなっ!」

 宣言した。

 _「今回は、おれ一人でいい。けい、マシンガン君と民宿に帰れ」_

「今日は、もう泊まんねえよ?」

「帰れ、とにかく」

 けいは、帰らない。

 柚宇は気にしない。

 コククジラが一頭、墨にまみれた片目を、波間から見開いた。

 にひ、と柚宇は笑い、札を取った。

 -

 エイゴウズミ?

 ツチノトは聞き返した。優美に対してである。ゲームボーイをいじりながら、よ、よと言いながら、それを混ぜつつツチノトに説明した。

「_Yu達が、自分の念悦に塗ってる変な墨よ。タチが悪い_」

 それで説明は終了した。ツチノトは、げし、と布団をどけながら、(、、、で?)と聞き返したい気持ちを、持った。

 -

 眞弥は、コンビニに居た。コンビニのお兄さんに笑顔を向けた。

 お兄さんは、快く笑顔を返した。眞弥は、レシートをお兄さんに渡した。

 <今度、旅行でも行きません?>

 店員は驚愕した。

 -

 スティーブは、語り散らしていた。

「________仁美、音楽ってのはな?ソウルなんだよ!技術じゃねんだ、!いや、プロはそれもあるけど!そんなのは、情熱のあとについてきた尻尾みたいなもんなんだよな!大事なのはハートだ!」

 仁美は、お茶片手に、へ、と笑った。

「やっぱり、もう、あなたのこと、わたし好きだわ」

 酔っている男に、言ってもおそらく、記憶には残らないだろうことが、真っ赤のスティーブ、その状態からは窺い知れた。

「違う、おれが言いたいのはそこじゃなくてな!?」

 ほら、やっぱりあんま聞いてない。

 -

 眞弥は、言った。

「クビだな、優美」

 誰も聞いてなかったが、前にぶたれた時痛かったなあ、と自分の左頬をおさえた。

 -

 レノンは、スパゲッティをかきこみながら、かやに言った。

「いや、おれもね」

 ファミレスでは、どうやら現在、高校生がたむろしているようだ。目の前で、合コンらしきものを行っている。

「おれも、お前を泣かしたいわけじゃなくてさ_かやぁ」

 見ると_リアルに。

 酸素担当かやは、リアルに泣いていた。

 真っ暗になった外を、レノンはうぅん、と唸りながら、覗いた。_うん?もう暗い。今、何時だろうな、と思った。現在何時か、に興味がある存在だとは、思えない。

 レノンは言った。

「ごめんて。 好きだよ、かや?」

 かやは、泣いていた。

「(ふん、、、)」

 ぐす。_ぐす。

 -

 太陽神は、家に帰っていた。それは雲の中であった。

「、、、そろそろまた、しつけ直さないといけませんかねえ、全員_」

 ぴしゃん、と自分の両頬を叩いた。

 -

 反蛇求喰は、尾ビレを振った

 彼女だけは、<アシュラゴロシ>にいた。

 目の前にいるのは、Naと名付けられた、トックリクジラである。砂浜で、人魚は、下半身を波に預け、横になっている。手には、英語の本が。タイトルは<Visions Of Orca>であった。Naは、心配そうにいった。

「モウナガクナイノカ?オマエ」

 反蛇は、読み進めた。返事は、尾びれでした。

 -

 けいは、驚いた。

「あっけな」

 柚宇は、返した。

「、、、ほんとだな」

 _結局、不利と判断したのか、何も、牙一つ剥くことなく、全員琵琶湖から消えてしまったのだった。マシンガンは、言った。

「このおれの存在を、恐れたのだろう」

 珍しく、柚宇は否定的でない。

「、、、、なのか、ねえ」

 けいは、付け足した。

「と、わたしだべ、わ・た・し!」

 マシンガンと浴衣男は、首を横に振り、ない、ないをした。


 スティーブは、話し込んでいた。夜になっていたので、デスクライト一個が崖の上を淡く、照らしている。電源はどこなのだ、ここの_。それにしても。

「__つまりだな、Nasはな、すげえリリックはへヴィなんだけど!それでも、持ち前のな?」

 終わることのない話を、なんと仁美は流すことなく、聞き続けているのであった。

 -

 恐れるものなど、ない存在。決して解放されない継続を強いられた存在。太陽という責任。惑星を仕切る、重み。

 太陽神は、今、一人ジェンガをすることで、気を紛らわせていた。

 -

 やっぱり、もう一泊することにした、けいは電話で母親にむちゃくちゃ怒られた。それはもう、むちゃくちゃ怒られた。むちゃくちゃ怒られたけいは、しかし、もう一泊することを、中止しなかった。さて、柚宇が、居た。

「なあ、けい。なんで帰ったんだろうな、あの変態ども」

「お前に、変態って言われたら終わりだべ。_なんだべな、わたしが何言ったってあんたでも、意見として吟味する気あんの?」

「ねえよ?」

「しね」

「いや、ほんと疑問でな。なあ、マウヅ」

「マウヅではない。マシンガンだ、ここでは。おれがお前を月、と呼ぶのと同じだぞ」

「それとはちげえよ」

「違くない」

「ちげえ」

 けいが割り込んだ。

「これ。マシンガン、わたしがせっかく拾ってきたんだから、食べちゃってよ」 

 宿の、二人と一頭が、陣取っているのは、ある一室。

 部屋番号307。せまっ苦しい、その部屋の中央、和室にふさわしい木製のテーブルが置かれている。

 テーブルには、何か字が彫ってある。

 <HINATA>。

 そして、その上には、マシンガン用に、エサ電気製品<捨てられていたミニテレビ>である。

 マシンガンは言った。

「いただきます」

 -

 けいは、感慨深い目をした。泣きそう、とはしかし、全く違う。

「思い出すよなあ、マシンガン。最初にお前が、エアコンから沸いてきたときは、マジでなんだべ、この状況と思ったけど_。あっちゅう間に経っちまったな、時間なんて。時間、ETIAGXN_音と同じなんだべ?」

「同じだ」

「、、、。はあ、マジで殺そうと思ったけどなっ。わたしの部屋の電化製品、全部食っちまった時は_。あん時さ。マシンガンさ?わたしに言ったじゃん?こんなものがもたらす以上のさ?喜びをお前に与えてやるってよ?」

「ああ」

 がつがつ、スピードを止めないシャチ。

「、、、。ほんと。な」

「あ?」

 マシンガンは、あ?と言った。

「ひょっとしたら、もう「兎瓦けい」」

 マシンガンは、ひょっとしたら。もう を遮った。

「何を言おうとしているのかは、知らんが、「じゃあ聞けよ、最後まで」いや、まあ聞け。_。兎瓦けい」

 ピタ、と止む、流れる空気。

 マシンガンは、目を閉じた。

「ありがとう」

 その時である。

 ぶるる。ギターが震えた。_気づき、見守る二人と一頭。

 ギターが消えた。

「?」

 代わりに、例の芋虫を小さくマシンガンサイズにしたものと、それと同じくらいのあの、眞弥が芋虫と一緒に出した鳥である。

「?」

 全員が、追いついていなかった。 

「ギター?」

 けいが、言った。

 太陽神の声が、柚宇にだけ聞こえた。

「阿修羅よ。世間話をしていいか」

 ぶち、と何かを切る柚宇。間の抜けた顔をしている。小声で、言った。

「今は勘弁してくれ、太陽様」

 -

 太陽神は、真剣に空を見つめた。何かを考えていたのだろうか。違う。死ぬほど、太陽、あの巨大な、惑星の母が、「ひま」ヒマだったのである。

 大変なことだ。

 -

「こ、こんにちは」

 けいは、二匹の動物に挨拶をした。柚宇の言葉を、思い出した。

「恩返しってのは、この二匹を使って、惑星を_」

 続きを、けい自身で補った。

「_救う事」

 ぱん、と鳥と芋虫は消えた。順を追うと、ギターが、動物になり、結局無に還ってしまった。唖然とする、一同。

 マシンガンは、ミニテレビを見つめた。焦点をただ、合わせた。

 うん?実は、マシンガンの記憶も確かなものではなかった。古代から来た、と言いつつも、現代のシャチの意識だ、と主張し、求喰川においても、覚えていることと覚えていないことが、ちぐはぐだった。惑星巫天は知っていても、ゆしのことは初めて知った。しかし、今思い出した。

 彼は、謂わば記憶喪失だったのである。恩返しに関することも、彼は彼自身、案内役でありながら、誤解していた。

 柚宇は、それを察知した。 「ふう。始まるな」と言った・

 マシンガンの模様がシャチでなくなった。いや、ほぼシャチであるが、白い模様が消えた。全身、真黒になったのである。

 けいは、ぎょっとした。

「マシンガンっ???」

 マシンガンは、正気で答えた。「思い_出したぞ」

「おれはシャチではない。お前らがオキゴンドウと呼ぶ、種類だ」

 マシンガンはしゃべり始め、けいはあっけにとられた。

 -

 柚宇は、屋上に来ていた。立ち入り禁止である。人外なので、ありである。

 がり、りんごを片手でつぶした。もぐ。もぐ。 

「ふう。始まるな」

 同じことを口にした。

 -

 マシンガンは、けいに目を合わせた。

 けいは、風呂上がりだった。タオルをくるくる髪に巻いている。マシンガンはそれに一瞬、びくっとし、けいはそれを笑った。頭の整理がついたらしい、シャチ(じゃなかったらしいが)が女子高生に告げる。マシンガンが、自分でつけたテレビは、チャンネル現在、深夜番組のエロそうなのをやっている。

 マシンガン、ざんねんなオスである。

 マシンガンは言った。

「けい。ちょっと一瞬で終わる。言わせてくれ」

「べつにいいっほ?おーへ、ヒマらっし」

 歯磨きをくわえている彼女は、<別にいいよ、どうせ、ヒマだし>と言った。

 構わず、マシンガンは言った。

「恩返しを勘違いしていた、兎瓦けいよっ。すまん、すべて、わたしの及ばない、状況把握に責任がある」

「マシンガン、どうでもいいから、それ食べちゃってよ、早く」

「恩返しとは、あのイルカ全員殺すことなのだっ!借農あのイモムシと、能幹。あの雷鳴」

 けいは、解っている様子だ_。ひるんだマシンガン。一瞬、兎瓦けいが、この世で最も恐ろしい存在の、気がした。

 マシンガンは、区切った言葉を、補足しないまま、がっつと飯を食べ始めた。

 けいは、言った。

「恩返しの時間だべ、マシンガン」

 ナマズの残した手、それに彫ってあった字を今、けいは思い出していた。

 <けいちゃんへ。求喰川に来てください。今すぐです。ゆし>

 歯磨きを、終わらせたけいは、柚宇を呼んだ。

 柚宇は一瞬で沸いてきた。カエルである。カエルにけいは、言った。

「寝よ?」

 言葉とともに、兎瓦けいは、首を横に、ほかっとした顔で傾けたのだった。


 求喰川である

 兎瓦けいは再び、この地に遊びに来ていた。そう、遊びに来ていた_で、正しいのである。どうせ、何もしなくても、面倒に巻き込まれる、面白い運命なのである。では、彼女の声に耳を、すましてみよう。

「何探してんだ?歩けばそこもう、道だろうが!バランスなんてとるな、単細胞!」

 ここは、求喰川_3つ、空に_輝きたる月達_八重洲が不可能を可能にする時代

 念悦の象徴=木 / 能幹鳥 / 借農芋虫

「おれはクソだ」

 マシンガンの声だ。

「そんなことない、あんたは偉大だよ、マウヅ」

 小山の声だ。

「なんにしても兄さん、いろいろ欠陥があるんだ。ディスカスしよっぜ?」

 鹿沼の声だ。そして、自治医大の声である。

「____(ぶ_<噴気の音>)」

 彼は、超無口なのである。本当は。

 ここは、もう一度ほざく、求喰川。3種類のシャチが、明日を争う、天国と地獄が同時に存在する、極端の塊のような、惑星地球本来の姿である。

 太陽は、もう太陽とは表記されない=とよなやわま である。

 月は、3つ_名前は八重洲。

 地球は、度々申し上げる、鈴音である。

 宇宙とは、オクラ。

 惑星(地球に関わらず)は、柚子。今から、舐めるように、モノガタリを始めたい、と思う。主人公は、栃木県出身、女子高生、兎瓦けいである。

 -


 ひなた


「対バンを教えてやるよ」

 ぱん、けいは目の前のレノンに本気の平手打ちを喰らわした。モロに食らった少年は、泣くほど痛え、と思い、太陽に睨み返した。視線を降ろすと、けいが格好いい顔をしていて、惚れそうになった。

「あいさつの前に殴んだな?兎瓦けい。」

「おめえこそ、あいさつの前にしゃべり始めんだな?早漏ガチャピン」

「ふはは」

 レノンは、一度後ろを振り返ると、眞弥を思い出した。この女に似てる、と思った。森林は、レノンの背後で、「レノン様」と言った気がした。気のせいではなかった。ぴしゃん。雷が鳴り、瞬きをしないけいは、まゆ一つ動かさない。レノンは、笑顔で舌打ちした。鳥肌が立っている様子だった。オレンジ色の、眼前の水面は何も言わない。言わなかった。代わりに、レノンが言葉を口にした。

「ようこそ、求喰川へ。女、本物の地球と、惑星巫天を知ることになるぜ」

 -

 二泊目に突入している、木村優美鉄担当とツチノト水担当ゲイボーイである。テーブルに足を乗せ、お茶をこぼしそうになりながら、後ろに手をまわし、ツチノトは電球を見た。 けっこう、高い旅館だった。そういえば、さっき初めてサル見た、と思った。隣で、優美が、呟いた。

「けいちゃん。がんばって」

 -

 シャチとは、所謂限度を知らない生態を持つ、魔の適応の鬼である。

 各海域で、そこに合った最良の社会構成を編み出し、それに沿った文化、言語統制、食性幅を持つ。

 地球上7つの海。この動物に支配されていない海など、存在しない。日本海から、南極海。温度も、生息するエサも関係ない。哺乳類は、進化の端に居続ける。

 彼らは、賢い。

 -

 目の端に、マシンガンが入ったので、けいは振り向いた。そこにいたのは、浜辺で水に濡れたいつものマシンガンだった。

「兎瓦けい。浦島太郎、という話を知っているか?」

 けいは、聞きながら、にやけた。

「あれは、本当に_わたしは良い話だと思う」

「あそ」

 けいは、返した。

 _。

「一緒に来てくれるか?イシアガンけいよ」

「ああ。でも、帰らないとお母さん、心配するからね?」

「そうだな。できるだけ、早めに終わるよう務める。けいよ」

 巨大な鯨類が、けいの視界を切れるほど、陣取った。けいは、目を閉じ、笑った。大好きなひとを想った。

 マシンガンは大声を出した。

「わたしの名は、マウヅ。古代求喰川を統率する存在だ。兎瓦けい。今から、お前を案内する。どうか、楽しんでくれ。後悔はさせない」

 -

 知らないものは、知らない。

 眞弥は、自分のテーブルに体重を、預けながら、吐く息を見るようなことを、した。

「返事来るかなあ、、、、、、、、」

 眞弥は、これから彼女にとっての大冒険をすることになる。足元には、るるぶ が置いてある。北海道、とある。

 -

 ALL YOU NEED TO KNOW>

 ETIATIAGXN/JETTOES/KANSMARS2

 太陽神は、また崖に来ていた。

「引っ越しです」

 仁美とスティーブは、めちゃめちゃアンビリバボー驚いた。

 

 EMINEMというミュージシャンがいる。彼は、JETTOESの使い手である。その腕をこの、糸井宏徳、最大の敬意を表する。受け取ってほしい。敢えて、英語では表記しないぜ?スリムシェイディ。

 -

 悲しみは終わる。始まれば、とげは立つ。それでも、広がる景色にワクワクしたい。自惚れたい。評価されたい。生きたい。自由の意味を模索したい。ただ、ひろがりたい。可能性を終わらせたくない。さあ、飛び立つぞ、みんなこの、おれについてこい。

 -

 みさきは、笑っていた。テレビを見ていたのである。娘のことを、もう心配していなかった。水族館で、娘が昔、シャチの傷を舐めたことを思い出していた。

「あのシャチなんでしょ?マシンガン君」

 恩返しをしたかったのは、マシンガンだったのである。

 -

 木は、高くそびえ立つ。緑は終わらない。手放したくない、気体、液体、固体、惑星地球は、本当に贅沢である。

 こんな甘やかされたホシは、ない。本当に銀河系のボンボンもいいとこ、である。

 眞弥は、またコンビニに来ていた。

「あの!うんと!」

 ちょっと無理をしたような笑顔で、眞弥を見つめる店員。歳は、スティーブくらい。

 眞弥は頑張った。

「えっとね?? わたしはっ!神岡と言います」

 店員は、他の客の視線を感じ、う~ん、と思った。店長が、なに?と面喰っている。目の前で、早くお釣り返してとおばさんが、かばんをミリ単位でふっている。

「す・好きです!!!わたしと付き合って下さい」

 間を置いて、店員が答える。

 ぽーん、別の客が3人入ってきた。お、惑星巫天レノンとかやそれにあの桂である。3人は、地球様だ、と思ったと同時_

「は、はい!うんと、おれでよければっ」

 地球様は運が良い女である。

 -

 惑星守護色期巫天<水素>求喰柚宇は、名前が幾つもある。だが、説明が面倒なので、省く。特に、疑問に持って欲しくはない次第である。彼は、トゲ鋭い目の前の葉っぱを、それに自分のわずかな出血を許し、優しく視線を落とすと、そこに愛しの兎瓦けいがいた。

「柚宇も一緒に行くべ?」

 柚宇は、月のようにふんわり笑った。

「お前に言われて、そうしないわけには、いか_いかねえかもな」

 けいは、こいつ噛んだ、と思い吹いた。

 -

 ゆしは、ちゃぷ、体に水面を預けたまま、目を半開きにし、明後日を凝視した。

「シャチには、目なんていらねえなあ」

 ゆしの大好きなヒトの言葉だった。ヒトではなく、シャチだが。ゆしは言葉を足した。

「_シャチには、手なんていらねえなあ」

 目の前に何か通った。

 しゅば

 血が3.2リットル水面にぼた、降り注いだ。言葉をつづけた。

「シャチには、声だけで充分だ」

 ぞぶり、首がもげたペンギンは、浜辺に流された。ゆしは、深海に消えた。

 -

 マウヅは、泡の中に野望を見た。自分の野望、小山の野望、自治医大の野望、鹿沼の野望である。

 この時代に生息する、鯨類はSTAKE HOUSEに分類される現代名で、シャチを含むゴンドウクジラの仲間_。

 3つある。

 ヨウフ。

 モティ。

 トリ―ム。

 少しずつ、真実へと導こう。

 マウヅはヨウフに入り、ゆしは、トリ―ムに入る。別の動物だったのである。

 -

 食物連鎖とは、操られたゲームの様な、パーフェクションそのもの、である。これがあれを食べ、それがこれを食べる。循環はプラスとマイナスを仲良く、補わせ、自然を形成する。人間の社会と全く同じなのである。渋谷も、熱帯雨林も、全く同じである。これから、おれがそれを証明してやるよ。

 -

 食べる、この意味。兎瓦けいがあなたに教えてくれる。


 第一話<求喰川とマシンガンと女の子>


 裂けることのない、屈強な水。ツチノトはその、担当である。今、仲間の木村優美とトランプをしている。その厳しさ宿す、両目は、あまりにも、今、ダイヤの13を凝視していた。優美は、ふ、と笑った。優美の前には、酒<鏡月>が。優美は、酔っていた。

 ツチノトは、汗をかきながら、言った。

「本当に、バツゲームありでやんの??」

 優美は、答えた。

「あたりめえだろ、ハゲおかま」

 優美は、ヒトが変わっていた。

 ぐび、原液で鏡月_。なかなかの、狂人である。酔うとヒトが変わるらしい。ツチノトがもう一言_。

「。。。ふう。ちょっと夜風浴びていいかしら?」

 ぐへり、とかわいい顔が歪んだ。優美は、声を悪意とともに吐いた。

「いいよ。その代わり、バンジーだけじゃなくなるけど」

 ツチノトは、夜風を浴びることをあきらめた。

 -

 眞弥は、今、一人、部屋でそわそわ、を、していた。壁を見て、キッチンを見る、で、たまに自身のふとももをぱんぱん、と二回叩く。_。_。呼吸が、微妙に荒い。

 突然_

「っしゃあああああああああっ」

 ガッツポーズを決める、地球様。ちっともかわいくなかった。

 -

 スティーブは、歌詞を作っていた。ものすごい怖い顔をしていた。仁美は、ぞ、と見なかったことにした。

 -

 シャチ_トリ―ム_年配_名前ビンセイは、家族を呼んでいた。彼らは、D-Bandと呼ばれるグループにあたる。ビンセイは、ぐわし、と目の前の水を、殺すほど睨みつけ、同じことを他のメンバーにも、無言で促した。しかし、反応はない。

 息子ザキは、あきれて妹、おこまを見た。おこまは、優しげに笑った。ビンセイは、もう一頭のつり目のシャチ、イチに向いた。

「イシアガンが来ておるぞ」

 ザキは答えた。

「、どっちのですか?」 

 ビンセイ「チキュウガエシの方じゃ」

 イチは答えた。

「…何しに?」

 もう、食おうとしている目、である。

 ビンセイ「兎瓦けい」

 イチは、は? と思った。名前かはこの時点で、理解していなかった。質問おれの、流された。と唾ならぬ、泡を吐いた。噴気孔から___________________。

 -

 ゆしは兎瓦けいを発見した。遭遇した。ばったり会った。女の子は、マウヅの背に乗っていた。

「思い出したってホント?マウヅ様」

「ああ、ゆし。お前の、おてんばっぷりも、ことごとく思い出し、頭が痛い次第だ」

 けいは、波を見ながら、言った。ゆしが、うん?と注意してくれた。

「ゆしちゃん。なんだべ?用があるんだべ。わたしに」

「あるよ」

 なに?と聞きたかったが、ゆしはそれ以上、このときは_何も言わなかった。

 -

 優美は、浴衣で、めちゃめちゃ破廉恥な恰好をしていた。めちゃめちゃ破廉恥な優美を、興味ナッシングの目で、ツチノトは言った。

「それ。わたし何も嬉しくないから、何のバツゲームにもならないんだけど_」

 そうか、と優美はうつむいた。トランプに負けたのは、ツチノトでなく、優美だった。

 -

「まず、兎瓦けい」

 返事をする、けい。掠めたのは、ただの風だったか?何もかもが斬新だと思った。違う、新鮮の間違いだ。太陽の光が、現代よりはるかに弱い気がする。光は、揺れるけいの肩にさわり、反射はきらきらと水面、それほど荒れていない、をなでる。なでたまま、いつかプランクトンなどなんたらを、どうにかするんだろうな、といつか学んだ、かじった生物学の教科書をけいは思い出し、は~、けっこうもう楽しいべよ、これーと心拍数は上がっていた。

 岩が在った。5mくらいの高さ、何もない海面にいきなり立っている。なんだ、これは。

「_お前に会わせたいシャチがいる」

「誰だべ」

「誰かは、な。けいよ。すぐにでも解る」

 何言ってんだべ、こいつ、と思うけい。肩のカエルが、呟いた。

「一週間くらい休むかなあ、おれ」

 けいは、反応しなかった。吐いた息は、空気中に溶け、字に代わって、けいはぎょっとした。字は、気体=ETIAGXN と出ていた。

「あ!!!!!!」

 と納得するように、けいは叫んだ。たまげたカエルは、なんだ?と言った。マウヅは、ふふ、と笑った。賢いシャチだった。

 -

 ザキは、目の前に現れた。百戦錬磨の言葉を尾びれから毎秒放ち続けているような、シャチだった。なんとも、強そう。怖そう。目に走る傷は、かの漫画の主人公のようだ。限定しないが。

 大きさは、マウヅよりやや小さい、7m半。だが、マウヅよりでかく見えた。同じ恰好で、水面で向かい合う両者。高い音が聞こえた。両方が交互に同じフレーズを組んだ。

 けいは、あ、ゆしちゃんは? と思った。兎瓦けいは、相変わらず、シャチを恐れない。

 -

 イチは、姉おこまに囁いた。

「彼女に会ってきていいすか?姉さん」

「勝手に行きなよ。_____え!は?? ゆるちゃんともう、付き合ってんの!?」

 イチは、細い目を更に細くし、補足した。

「あい。一回すでに、姉さんには伝えてありましたぜ?聞こえてなかったんざんしょ。狩りだったから」

 へーへーと百回脳内でへーボタンを押す、おこま。

 おこまは美人である。

 -

 今度は、また新たなコトが発覚し、けいは、鳥肌とともに、マウヅの背から、水面をすくった。すくった水面には、こうあった。

「液体=Kansmars2」_。 

 -

 優美は、カメをつついていた。違う、あの喋るカメではない。普通の、耳の部分が黄色い小さいカメである。旅館に連れてきていた。

 ダメである。本当は。後ろで、ツチノトが、箸を持った。

「いただきまーす」

 一人だけ、飯抜きの刑を、木村優美は受けていた。

 -

 柚宇は、カエルであることを忘れ、浴衣をつまむしぐさをしてしまい、一人で赤くなり、バレている鋭いけいに、睨み返した。

「あ?べつにおれは」

 ちゅ。言葉は遮られた。

 -

 平和とは、なんだろう。平和とは、動物が他の動物の内臓を食うことである。

 カエルにキスをした変人、兎瓦けいは、岩に、すれ違う直前、手に届く距離だったので、前に、これいいぞ、とカエルにもらっていた筆ペンを持った。インク内蔵のやつである。うん?それって普通か。

 筆ぺんで、岩に字を書いた。マウヅは、一瞬波間から、目を出し何をしているのか、確認した。兎瓦けいは、岩の表面に、ただ、<固体=JETTOES>と書きなぐっていた。

 マウヅは、この上なく喜びながら、「あとで消せよ、それ」と心にもないことを、叫んだ。

 -

 ただ、見たいものを見続け、感じたいものを抱き続け、それはなんて難しく、恥ずかしいのだろう。おれはただ、ただをする。ただシャチを好きでいる。シャチが好きだからである。


 柚宇は、冷静に呟いた。

「MAKOTO、、、」

 以前、礼文島で、結局現れてくれなかったイシイルカがマウヅの目の前にいた。けいは、

 こいつ死ぬほどかわいい顔してやがる、と思った。


 ひなた6


 っぱあああああああああああっと明るく、成ったのである。終わったと思ったのである。

 マシンガンに、兎瓦けいはつぶやいた。

「_おしっこ」

 -

 なんなのだ、なんなのだである。目の前、その状況の事である。運命が自身にもたらしたこの、フトドキな仕業のことである。

 ここは、古代の地球もとい鈴音<求喰川>_。鯨類が、中心に生態系を彩る、暗黒の平和パラダイス地獄である。兎瓦けいは、またかよ、と思った。カエルを握りつぶしながら、その断末魔の悲鳴を聞きながら、またなのかよ、と思った。思っていたら、目の前に太陽神である。偉い人である。

「けい。こんにちは。基本的に、わたしはあなたを許しませんが、一つ警告があります」

 このひとに、許さないと言われると、なんだか、背骨が曲がり、だめ、と怒られているようである。みさきの比では無い。


「じゃあさあ」

 眞弥は、誰かと電話をしていた。誰かとは、誰だろう。誰かとは、コンビニの店員_名前・加藤吾朗_の事である。地球の彼氏である_。おれだったら、絶対やだ。願い下げである。なんだか、夜、耐えられなくなりそうである。地球が彼女のこの、23歳の青年は、眞弥に告白をされたのだ。一目惚れだと、本人からあとで、聞いた。一目惚れだと言われて、喜ばない男は、断言しよう、この惑星に生息していない。ひょっとしたら、種を超えて、当てはまる絶対的事実である。

 眞弥は、平静を保つ演技をするために、10秒おきに、なにもないところ、で「よし」と言った。

 変人である。

 だが、吾朗も眞弥は純粋そうで、いい子だな、と思ったから、承諾した。承諾したのだ。地球の彼氏になることを。事情を知らないとはいえ、こいつナニサマだ。眞弥は、聞いた。

「旅行行きたい」 

 いきなり!?という声が、受話器から漏れたのが、一人部屋に響いた。

 おずっとする眞弥。おずっとする地球様。

「あいや!ちがくて!そういう旅行じゃないの!遠い旅行じゃないの!あの!もう、コンビニ行くぐらいのっ。そんぐらいでいいのっ。嘘なの!旅行、うそ!、、、よし」

 爆笑する電話の向こう側。イイ男のようである。


 太陽神は、人類に警告した。以下である。

「兎瓦けいよ。ここ求喰川では、決まりがあります。皆、この決まりを守って生活、捕食、生殖、やがては大地に還る死亡を、<遂行>します。聞きなさい。―」

 けいは、鳥肌を感じた。ぶるっとなった。

「-他の時代から、何も持ち込んでは、ならない。―他の時代の常識を、その一切を忘れて暮らさないといけない。―Law Of Threeを、毎日行わなくては、ならない」

 けいは、最後が腑に落ちなかった。聞き返した。勇気とともに。

「神岡様。最後が腑に落ちませんでした」

 餓鬼。言葉を選べ。

「失礼いたしました。追って説明するつもりだったのです。Law Of Threeは、阿修羅から聞いていますね?」

 うなずく、けい。

「それを、毎日やるのです」

 絶望的に説明が下手な、太陽神だった。けいは、よし、あとで柚宇とマシンガンに聞こうと思った。太陽神は、去り際に、こう言った。

「Law Of Threeとは、液体/固体/気体。この3つを、毎日、一回は作る努力をする、という意味です。言う必要ないでしょうが」

 言う必要、あったようである。

 

 レノンは、ドラムの前にどっか、と座った。生意気な表情である。実力が伴っているので、なおさらである。

「ユウホドウ_。まあ、あれだな。ここで、Are you guys ready?的なことを、まあ、桂ちゃんが言うと_。んで、まあ。 あ、ダメだ。やっぱり2曲目、LOVEじゃダメだ」

 ツチノトが、スタジオのこわばった空気を、緩和させるように、言う。

「できれば、おとなしいのが2曲目の方が、あたしも練習になるんだけど」

「そうか? うーん」

 悩む、レノン。

 かやは、マイクをいじながら、つぶやいた。

「じゃあ、LOVE途中でアップテンポにしちゃえば?」

 身構えるかや、なんでこんなことを言ったのだ、レノンにまた怒鳴られる。

「それだ!!!!!!!かや、最高だ」

 ほわ、となるかや。

 け、となる桂。桂は、言った。

「いいけど、時間ないんだからさ。あそこでしょ? Am>B7>Emのところでしょ?確かにもともとシマリがなかったから、アップテンポとまではいかなくても、雰囲気変えるのは全然アリだと思う」

 ほわ、となるかや。レノンは、言った。

「よし、じゃあアレンジ練るぞ!パン屋いくべ。おっと、けいの言葉づかいがうつった??」

 いらっとなる桂。


 マウヅは、呼吸をした。ただの呼吸が大袈裟な、クジラ様である。

「けいよ。お前のわがままを聞いてやろう。何がしたい?」

 けいは、答えようとした。マウヅは制した。喋りとおした。

「違うな、今オマエの答えようとしていることでは、ない。こちらに歩み寄らんでいい。人類のいい癖だが、罪な部分でもある。_」

 は?となっている背の、けい。

「ふつうにやりたいことを言うのだ。ここが、栃木だと思え」

「??じゃあ、何したい?スタバ行きたい、なんちゃって。ねえってな、スタバ!」

「行くぞ」

 ぐりん、と太陽に別れを告げるような、方向転換をマウヅは行い、ずり、となったけいは、「はい?」と普段より一オクターブ高い音を発し、笑いながら、マウヅは穴のような、マンホールの様な、自分の身体が、これから破って行く水中へ、人類を案内しようとしていた。

 息は?

 カエルは、けいに口づけた。男は、女に息を送り続けた。なかなか懸命な月の神である。

 さて、他2匹の月の神は、どうしているだろうか。時代はチキュウガエシに戻る。


 木村優美は、ツチノトとプールに来ていた。まばゆい水面は、あの日の、バラク―ダと群がるイワシを思い出す。シュモクザメのヒレの頼りなさを思い出す。色とりどりの、という表現が添えるものとして、最適なミノカサゴを思い出す。獰猛なモティを思い出す。ジェンツーペンギンの可愛さを思い出す。ヒョウアザラシの、アゴを思い出す。見比べて、マンタとマダラトビエイを指差し笑ったことを思い出す。水面から顔を出し、カモメに挨拶した昼を、やや思い出す。マッコウクジラの音喰らって、痛かったことを思い出す。ザトウクジラを思い出す。セイウチの癒し系ダイナミックを思い出す。______

「ああああああ!!!!いいな、けいちゃんっ」

 自身のふくらはぎを、さわって唸る、優美。ツチノトは、バタフライをしながら、肉体美アピールを欠かさない感じだった。

 -

「おい。目開けろ、けい。着いたぞ」

 声は、柚宇である。水素である。

 死んでないことに感謝をし、けいは目を今、開けた。意識は広がった。感じたことのないものを、指の先で感覚として、拾った。彼女は、今深海に居た_。

「おおぅ」

 _そこは、

 不思議、だった。

 シャチという動物は、水面で呼吸する。空気中で酸素を拾い上げ、それを体内に補充しないと、死ぬのである。行動それに伴うのは、その前のエネルギーの注入。タダでものは買えないように。呼吸は、身体に対して絶対必須の代物である。兎瓦けいは、現在大きく括れば、深海、水中にいる。なのに、呼吸をしていた。できていた。もう月の神による、酸素供給の助けはない。どういうことなのだろう。こういうことだ。

「なにあれ?マシンガン」

 すでに小さくなっていたマシンガンは、30cmの身体で、こう答えた。

「どのことだ?あの鬼女か?あれは、お前らの言う「タコだべ?いや、わかってるけどさ。変じゃね?」」

「変?わからんな、現代のタコを知らん。ただあいつらの役割はな。ここに陸上を再現しとるのだ。求喰川にはわずか、6種類のタコがおってな。先に言ったろう、柚宇が。鉄、水素、塩素、酸素、水、炭素を担当しておる惑星巫天の話だ。まあ、それはいいんだが。6種類のタコそれぞれ、持つ器官から、今言った物質を放ち続けるのだ。おもしろいだろ」

「素直におもしろいな、そりゃ」

「だろ、ふふ。言うまでもなく、あのタコは酸素だ」

 柚宇が喋った。カエルが喋った。

「まあ、この<紫陽花>の秘密はそれだけじゃねえだろ。タコだけで、完全な陸上は再現できない。おれらの力がねえとな」

「そうだな、月」

 げし、とカエルがマシンガンを蹴った。ここは、秘密要塞<紫陽花>である。読めます?アジサイである。味気ない場所、ではある。恐怖感には駆られはしないが、ものがない。木の堅いつたのようなしっかりしたものが、等間隔に垂直に生え、それが壁に埋め込んである。それぞれ、幅2m余り。高さは見た感じ、30mくらいのスタジアムのような場所である。ただ段差は皆無。つたのある壁まで、ダッシュしてタッチするのは、容易そうである。けいは、聞いた。

「せまくね?」

 その天井真上2匹のタコがいるのだ。大きさは、けいより小さい。さっきけい達の、話題に出たタコのことである。

「ここにずっといるつもりはない。おい、柚宇」

「なんだ?」

「おいたには会ったか?」

「おいた?あのおばさん?」

「そうだ。それだ」

 けいは、よいしょ、と座った。

 尻に伝う感触は、木に似ている。しかし、ぶーハズレであった。この紫陽花、構成物質は原始生物-海綿の体表組織である。そのとき_。

「ようこそ!紫陽花へ」

 目の前に突然沸いて出たのは、小山であった。

「小山ちゃん!」

「よっす、けいちゃんようこそ」

 けいは、わくわくしてくるのを感じた。前と変わらない、30cmの小山は、変貌した。前に砂浜で見た、超ビッグサイズ鯨類になったのである。けいは、わくわくしたままだ。

 小山は言った。

「あたしの名前は、おいた。これから、イシアガンけい!あなたを、全海域、この求喰川を案内するよ??」

 -

 Yuは、仲間と居た。

 Nagoriは、言った。

「マッコウクジラの由来知ってるか?Kashi。あ?」

 呼ばれたコククジラは、答えた

「知らん。お香の類か?」

 くっくと笑う、マッコウクジラNagori。

「違う。マジで殺すぜ、生まれつき!がっははっははははははマッ(ジで)コ(ろすぜ、)ウ(まれつき)クジラだ!がっははっはははは」

 制止するイッカクNasake。

「うるせえな。頭よええ発言してんなよ、油アタマ」

 YuとNagoriがハモった。

「「褒め言葉だ。」」

 あははははははははは_。

 暗い水中で、Yuが声を上げた。皆、聞いた。カリスマ性の塊のような、バンドウイルカであった。

「ワクセイをアイしているか?てめえら。 ジンルイすりつぶしにいくぞ?」

 声を出さず、他の5頭は、噴気孔から泡を、螺旋に出した。謂わば、あいあいさあ_。


 ゆしは、おいたに合流した。目配せし、マウヅとその背の上のけい、その上のカエルを確認する。ウケる、ゆし。

「付き合ってたの?惑星巫天と?けいちゃん」

 けいが、反射した光に瞼をこうげきされながら、返した。にしても、胃が浮く。好きだが。

「うん。なんでわかんの?」

 ゆしは、っぴィ と、ハートマークを描くような、そんな輪郭を中空に灯すような声を上げた。けいの頬が染まった。なぜかはわからない。

 ゆしは、発言した。波が立った。

「なんとなくっ!シアワセにしてやれよ?ばかキョンシ~」

「うるせ、あばずれ。てめ、ファックしにいけよ、昨日と違う男とよ」

 なんのこと?と目を泳がすけいの目の前に、ゆしが尾びれだけ出した。びっくりして、目をつぶるけい。

「うっせえ、水素!あたしはもう、さとざくら一筋に決めたのっ」

 そうだった、とけいは思った。

 さとざくらのことが、ゆしは好きなんだ、と思った。あのときは、あんなに、マシンガンを血まみれにして、憎い、と思ったけど。けいは、柚宇の言葉を思い出した。

「そんなぎゃりぎゃりな思考回路じゃ、ダメだべなっ」

 柚宇は、は?となった。ゆしは、10m先でジャンプした。まるで、タツノオトシゴのお化けが、火の神になる遊びをしたような、イメージである。わけがわからない。


「夢、八つ裂き」

 桂は、スタジオに一人でいた。みんなはもう、帰っていた。言うと、ギターを手に取った。練習中は、一度も弾かない、と、言うより隣でかやが弾いている時は絶対手に持たない。本人、曰く、下手がうつる、らしい。

「ふう。I’ve got some SORTS OF BRAIN-WASH JUST FOR YOU…」

 間が、色に染まった。愛のいろ。

「…KAMISAMA」

 っうんーー。。。ギターを桂は弾いた。無我夢中で、2分半、弾き散らした。気持ちよかった。久しぶりだった。エフェクターは、RAT。アンプは、フェンダー。GAINは、わずか3。説明しずらいが、上手くなければ、かっこよくなくなる音色である。と、言ってもRATを踏むと、ぎょり、と攻撃的な音色になるが。ギターの種類は、見たことがない。メーカー名も書いていない。色は、ピンク。タイプ的には、シングルコイルではないようである。ただ、ハムでもない謎のピックアップ。

 桂は、うまかった。手は、脱力で演奏中は、もげそうである。走る指は銀河の中心を突くように、ハンターである。ふつうのスケールである。ふつうにAのキーである。変なテンションも入れない。が、かっこいい。

 桂は、ギタリストだった。


 眞弥は、外にいた。ヒトを待っていた。


 ひなた7 


 けいは、驚き桃の木プリンと合わない目玉焼きであった。

 けいは、驚いた。今のマウヅの発言に対してである。

「7月4日が、宇宙の誕生日だ。8月9日が、地球。11月3日が、生物。3月7日が、シャチだ。がはは、興味ないだろうがっ。けいよ、忘れていい」

「興味シンシンとは、このことだべよ。も!もっかい言って?メモるからっ」

「本当かっ。未だに掴めんな、お前の念悦は」

 太陽は高く、遠くの森林とともに、自分たちを観察しているようだ、と思った。ひょっとしたら自然とかいう奴らは、いつもわたした「もの思いに耽っておるところ、悪いがっ」

「ほんとだべ。なに?」

「着いたぞ、求喰川における、日陰茶屋だ。名はひなた。経営者は、がはははは笑いが止まらぬ」

「変なキノコ食ったん?」

「たわけが」

 見ると、普通の岩場である。ただ、浮いているワカメの、量がハンパない。

 ハナマルだった。 気分のことである。今の精神状態のことである。いや、実にいいではないか、ここは、とけいは感じた。

 シャチに話しかけた。

「よう。イシアガンです。こんにちは」

 女子高生は、怖いもの知らずである。単体でいる時でさえ。

 シャチは、返事した。

「、、、」

 聞こえなかった。無視されたと思ったけいは、まいいや、器でかい感じだ_

「こころ!挨拶ぐらいちゃんとせんか!」

 おっと、マウヅがけいの、あいさつを無視したシャチを怒っている。

 びくびくっと、動くそのシャチは、大きさ、ほぼゆしと同じくらいである。やはり、現代のシャチより遥かに小さい。

「こ、、、わ」

 どうしよう、ンニチが抜けてしまうほど、このシャチ声が小さい。

 なんだか、けいは悪い気がしてきた。あいさつなんてして、悪かった。シャチにこんな気分になると、そう、思わなかった。マウヅは、顔を出し、魔王_。

「あ」

 そう、なんと陸に、魔王が、ちょこん_居座っている。

「、、、」

 魔王と目が合う、兎瓦けい。転がるケルプと呼ばれるものに、似たタイプのワカメは規則的に、どうやら、波の上を滑っているらしく、この異常な量、ほとんど、海の上にベッドを作っているような状態で、けいはこの上寝れるべな、と思った。全然、大きさがわかるほどの近さの距離、少し急な角度の岩場の奥の、緑、芝のようなフィールドの上に、魔王さとざくらはいたのである。

 こんな平和的なムードで会うべき相手なのか、わからなかったが、マウヅに動揺は見られないようだし、ま、いいか、とシャイシャチを見た。

 悪いと思ったのに、なんか親しみが沸いて、もう一回このシャチに話かけてみた、笑ったけい。

「ねえ。見て見て」

 けいは、思惑を胸に、何か促した。シャチは、恥ずかしそうに顔を水面に出した。そのシャチ、模様が全然、ゆしと違った。今は、説明の手間は省く_。

 けいは、手で、かたつむりを作った。ゲンコツの上に、ピース(チョキ)を乗せる、幼稚なアレである。

「ほれ」

 何のほれなのかは、わからないが、シャチはそれを見て一言。「うん」と、言った。

 また、悪い気持ちになった兎瓦けいである。本当に、シャチにこんな気持ちになるとは、夢にも_である。ふてぶてしいマウヅみたいの、ばかりだと思ってたのに。

「、、、」

 今、シャチが何か言った。残念、けいには聞き取れない。再チャレンジを希望する。

 マウヅは、発言した。

「名前は?だそうだ。兎瓦けい。今、おれが言ってしまったが」

「兎瓦けいだよ。シャチさん、名前は?」

「こころ」

 聴き取れた。こころちゃんである。

「お」

 マウヅが、岩場に身体を寄せた。まさか、

「ちょっとけい、チョウにも挨拶してこい」

「チョウ?」

「魔王のことだ。あの上のアイツだ」

「マジ?マシンガン!敵なんじゃないの?」

「敵?ああー、前のあれは、そうだな、あいつ本人に聞いたらいい」

「は?」

「いいから降りろ、早く。重い」

 カエルが乗っかる「重いってヨ」カエルに眼つぶしを喰らわした後、兎瓦けいは、怖いなあ、と思いながら、痛そうな岩の上をつたうように、登り、こころの頭を確認しながら、魔王の前まで、来た。来てしまった。食べられないの?だが、やはりけいはシャチが怖くない。自分の特技だ、ギネスに申請したい、と思った。できるはずがない。

「兎瓦か?」

「は!はい!っははー」

 けいは、ひざまずいた。手を合わせた。

「、、、。眞弥に会ったか?」

 声が、ふつうであった。マウヅ(マシンガン)の方がまだ独特の声をしている。というか、そんなに男らしい声に聞こえない。ゆしかマウヅか、と言ったら、ゆしに近い音色だった。けいは、普通に、どっか、と陸に居るシャチ<チョウ>に声をかけた。

「平気なんですか?陸」

「平気だ。おれは普通のシャチじゃない」

 喋ることもまともである。どこが魔王なのである。けいの中で、ピッコロ大魔王が頭をよぎる。後ろで、マウヅが声をかける。

「ちょっと用事がある。こころとチョウに遊んでもらえ。けい。あと、柚宇にもな」

 カエルは答えた。

「ついでみたいに言うなよ」

 静かな、惑星巫天である。警戒しているわけでもないようだ。実家で安心して、無口になる雰囲気によく似ている。

 けいは、思い切って言ってみた。

「チョウ!あたしと遊んで」

「いいぞ」

 魔王はフレンドリーであった。あれ、前あたし追いかけられたりしたんだけど。

「眞弥に会ったか?」

「あ、ごめんさっきも聞いたよね?会ったよ、えっと地球様?」

「そうだ。あの馬鹿だ。」

 -

 あの馬鹿は、現在デートを満喫中である。なんと趣味が合う。つくづく運のいい娘である。一回くらい転べばいい。

「あ!」

 石につまずき、転ぶ眞弥。それをガ、と彼氏が「だいじょうぶ?」助けた。眞弥は、お礼を言うと、彼氏とプラネタリウムの話を始めた。

 つまらないほど、いい感じである。

 -

 テレビを見ている桂と坂口。8時4分前。

「あ!」

 桂は叫んだが、坂口にバレる。

「あれだろ?いいよ、別に。おれ見るのないから」

 再び、坂口の家であるが、またもや両親はいない。遅くまで、ある仕事なのだろう。いちおう、挨拶はしてあるので、公認っちゃ公認の枠に入る。坂口が責める。

「お前、なんか今思い出した風にするの、やめろよ!なんか、事故的な、そんなに好きじゃないけど、みたいな。ほんとは、昨日の夜から楽しみだったレベルだろ?」

「、、、っ」

 刑事マバタキが始まる。

 桂の大好きなテレビ番組なのであるが、若干対象年齢が低そうな内容なので、好きと大声で言いづらいのだ。そこで、直前で、思い出した!そういえば、あれけっこう好きだ!でも、今まで忘れてたから、そんな好きじゃないけど、的な感じである。

 はっきり言う。このカップルは、本当にどうでもいい。

 -

 Yuは、一羽のフクロウを呼んだ。コミミズク_。

「おい、ビンセイは、見つけたか?」

 フクロウは、ぐるん、と首を真横に回す。

 イルカの目が光る。

「そうか。いいこだ」

 -

 ツチノトは、路上ミュージシャンをやっていた。場所は、大宮の駅である。いや、そっちじゃなく、説明が難しいが、風俗街的な店が立ち並んでいる方の側である。腰かけて、一人で演奏する。アコギである。きれいな声だ。これ、バンドでも歌う曲あって、いいのではないか、と思うほど、ナイスな音楽を、それにより、通行人を癒している。ゲイボーイは芸術の才能、あると思う。

 -

 Naは、動かなくなった、反蛇求喰を見収めると、沖に向かった。Yu/Hatsuka/Omeza/Makoto/Kanaそして、このNaは、不死身の鯨類である。

 調合惑水反蛇巫天(チョウゴウワクスイハンダミテン)と呼ばれる、位置づけとして、実は他のイルカより、マウヅ達に限りなく近い。生物で、ないのだ。

 ここで、本格的に非生物と生物の間に、存在する線を、きゅ、太めのサインペンで色濃く引こうと思う。

 -

 チョウは、ほら、兎瓦けいに普通に、現代にあるような、いいカンジ湯のみを差し出した。中には、お茶が入っているようだ。ぞ、としたけい_何にぞ、としたか、と言うと、チョウの手渡し方である。胸ビレ(通常のもの)が、突然植物(ワカメの様)がずるずると出続けるような、<現象>に取って替わり、その洗濯機のような、ツタの渦から、ぬ、と湯のみお茶つきを出したのだ。が、変に驚いたら、食われる、と間違った状況判断をした女子高生は、快く、湯のみを両手で受け取ったのだ。さて、魔王。いびつである。

 もう、友達になれねえな、とけいに思わせてしまっている。

 チョウは、言った。

「聞かないんだな。どう、他のシャチと違うか」

 けいは、表情は変えず、あれ、と思った。

「兎瓦けい」 

 もしや_。このシャチは魔王かなんかは、知らんが_。

「なあ、けい」

 ___ゆしちゃんがなんで好きかは知らないが、所謂

「おい、けい。聞けよ。おれのどこが特別なのか」

 所謂、ちょーめんどくさい性格なのではないだろうか。

 -

 プール上がり、ツチノトは大宮に行ったが、木村優美は、事情聴取に来ていた。

 なんのことだ、である。

 三日月ちなつは、学校帰り、頭にワシを乗っけた女の子を信号を渡りきったところで、発見した。うん?変な恰好の子。と思ったそのとき_

「けいちゃんのちなつちゃん?」と呼びとめられた。

「?」

 フレンドリーな、比較的誰とでも喋れるちなつは、このとき_

「、、、違います」

 なにかを拒否した。感じが悪いと、思ったわけではない。去る、ちなつ。見届ける優美。話そうと思えば話せたし、うそをつくのは好きじゃないはず、でも_。ちなつは、思っていた。

「_危なかった!返事するとこだったァ」

 死ぬほど、優美を怖がった。彼女の家は寺、昨日、偶然、父親に言われていたことがある。

「ちなつちゃん。(父親にちゃん付けで呼ばれている) あのね。絶対に、風神様には、返事をしてはいけないよ?」

 _。

 いや、風神様の見た目は聞いていない。どんな姿かは、知らない。ただ、それを思い出していた。ちなつは帰ってトイレで泣いた。

 死ぬほど、優美を怖がった。

 -

 眩しい。この世が眩しい。眞弥は、初めて過去に帰りたくない、と思った。もう、そばに吾朗は、いない。デートは終わりを告げ、今は帰宅済みである。眞弥は、耳当てを取った。岩石を消した。岩石は脳内に消え失せた。

 これってアリだろうか。なしである。

 眞弥は、スケッチブックを出すと、見たことのない絵を発見した。木村優美が、描いていったのか、と手を打った。ぽん_。

 、、、。なぜ、こんな絵を描いたのだ。その中では、一人の女の子とシャチが、ちなみにシャチは普通のシャチではない何か植物のような姿態が混ざっている_、セックスをしているのだ。

 -

 みさきは、ドライブをしていた。気持ちが若いのだ、この女性は。仕事終わり、疲労もあるだろう、なのに腹も減っているはずなのに、そのままぶぉん、と家を出た。音楽をかける。娘の好きな、ケツメイシである。メールを読み返す。携帯電話である。

 <ごめんっ(絵文字)おかあさんっ、ちょっと久しぶりに会う友達がいてさ、そこにちょっと学校始まるまで、行ってていいかな(絵文字)、お願い(絵文字)>

 ふう、とハンドルを回す、みさき。みさきはまったく太っていない、年齢はおそらく60近いが。

「♪あふれるかんじょ~は♪」

 前の車、やけに遅いなあ、しかしみさきはまったくイライラしていなかった。

 -

 坂口は、一人でちなつに呼ばれていた。ここは、PARCO一階、スタバである。

「え?今度は、風神?」

「風神、、、様」

「まじ?に会ったの?」

「会ったと思う」

「サインもらった?はは」

「はははははは」

「、、うそうそ。う~ん、で?」

 坂口は、さわやかな表情でカプチーノを混ぜた。ちなつは、うん、と言葉をつぐんだ。

 坂口は言った。

「_っつうか、おれ予備知識なんもないんだわ。何するヒト?風神様って」

「うん」

 ちなつは青い顔をしていた。

「おい、お前大丈夫かよ。いつものお前っぽくねえけど、、、心配だっ」

「たは。ありがとう。いや、確かねなんだったかね、多分、その場所とかによって言い伝えは違うんだろうし、それぞれ同一の神ではないと思うんだけどさ」

「うん」

「風神ってのは、確か」

「うん」

「、、、ワシ」

「は?」

「ワシ」

「鳥のワシ?」

「鳥のワシ」

「、、、怖いか?それ」

 しかし、やはりちなつは青い顔をしていた。

 -

 チョウの話は、終わらない。けいは、立った。ばっし~~~ん。

 水面から見守っていたこころちゃんが、びく、となった。

 見れば、どうやら、けいがチョウにそのアイパッチに、だいぶいびつな形をしている、ビンタをまじに喰らわしたのだ。

「?????」

 チョウは、目ん玉飛び出そうである。

 けいは、言った。

「うっせえうっせっうぜえ!長い!よくそんな自分の自慢話、無駄にだらだらよ~!かっこ悪いにも程があっぺよ!おじさん、、」

 カエルは、ぎょ、としている。女子高生に今、掴みあげられた。岩を下る、けい。あ、マシンガンに乗れないと気付く、こいこい、こころを呼ぶ。威勢に負けて、身体を寄せるこころ。

 どん、ばしゃ。

 まったく魔王がなんなのだ。ゆしちゃんはこんな、しょうもないのに、何故惚れたのだ。

 こころに乗り、けいは茶屋ひなた、をあとにしたのである。

 チョウは、驚愕の表情を途切れることなく、し続けた。

 -

「表記は ガンがGXN意味はJETTOES__マは眞、地球の意__シンは神で、正しい_」

 今さっき、チョウから聞いた内容である。声に出して、けいは反芻していた。はあ、と激しく息の塊を出すと、

「これだけで、よかったべよ。あと全部、他無駄話っ」

 け、と言った感じのけいに、下から、こころは声をかけた。うん?今、気付いた事だが、このシャチ_。後ろを見ると、もう<ひなた>は見えないほど、遠くである。、、、。

 このシャチ、泳ぐスピードめちゃ速ええ。

「、、、」

 こころは、けいにどこ行くの??と聞いたが、残念、けいの耳には届かなかった。

「なあ、柚宇。ヒトは見かけによらんてこっちゃべな」

「何言ってるのか、わかんねえぞ。っつうか、お前命知らずにも程があんだろ」


 幻冬舎―


 ひなた8.


「もしもしこちら、太陽神。はい?はいはい、すぐに代わります、あのワシ頭ですね。失礼ですけど、お名前宜しいですか?はい」

「お呼びですか?浄介様」

「まだ、呼んでねえよ、早いなお前っ。_」

「、、、」

「木村」

「はい」

「お前、クビ」

「はい」

 ツチノトは、次の曲なにしようかな、と思った。おや、目の前にひとが。

「ミスチルできる?兄さん」

 うなずくツチノト。

「曲は?」

「そうだなあ。あ、もうお金先にあげちゃいま~すと。、、、。ラブソングなら、なんでもいいや。おねがいします_」

「了解」 

 -

 激しい荒波というわけでは、なかったが、少しずつ悪くなる天気に、けいは不安の水かさが増していた。

「ねえ、ねえ、柚宇」

「どうした、泣き虫」

「(つつく)う~っせ~し~。ねえ、こころちゃんどこ向かってるの?」

「知るかよ。聞けよ、自分で」

 けいは、さっき急に現れて消えたイシイルカのことを、思い出していた。

 礼文島に出没するはずだったイルカ_。怖いイルカの仲間であることに、違いないから_怖い、のである。また出てきたら、どうしよう。どうしよう。

 水を頬に、受けながら、こころの背で、得も言われぬ不安感に駆られた。

「ね~ねー、柚宇。こわいよー。急にこわくなってきた。ねえ、マシンガンどこに行ったんだろ~。ねえ」

 音ともにこころの隣り、マーメイドキョンシ-が現れた。

 ほ、となるけい。

 -

 ちなつはとりあえず、_驚くべき人物と会っていた。

 スティーブ・ジェトーズ・神岡と会っていた。

 ここは、渋谷の駅、ハチ公前である。

 -

 八千草仁美は、太陽の神に言われていたことを思い出していた。

「とりあえず、ヒマ潰し休憩です。休憩期間に入ります。好きなヒトとセックスするなり、挑みたかった料理マスターするなり、好きに過ごしてください。ただ、すいません。またいつ、再開してもらうかは、まだ教えられません。おそらく、2週間から1か月」

「勝手だなあ、じょうちゃん」

 鼻息を、しかし上品に放ち、仁美はパソコンを出した。ここは彼女の自宅である。国:カナダ。ブリティッシュコロンビア州。バンクーバー島。そう、あのオリンピックが開催された場所に近い。_かた、かた。

 -

「あれ?小山ちゃんだ」

「おお」

 がたん、とこころの背が動いた。

 近づいてくる背びれに、怯えているようである。___その時、

「ゆしはどこだァっっっ!」

「ゆしィ!今日ばかりは絶対に、ずぅえっったいにお前を許さんぞ!!!!」

「ゆしコラ!!!償いとしておれに一発ヤらせるのだァ!!!」

「おれも!」

「おれも!」

 品のない怒号は、嵐のようなシャチの大群に打ち上げられたファンファーレだった。

 こころの背の上のけいが見たのは、ちなみにここは至極沖である_、海に動きを制御されることを極力、拒むように、押し寄せてくるシャチシャチシャチシャチである。

 別の方向からは、小山(本名:おいた)が向かってきている。こころが、怯えているのは、どうやらおいたに対して、のようである。

 けいは、言葉を口にする。

「ねえ、こころちゃん。だいじょうぶっ?」

 なんかこの子が不安になっていると、わたしはしっかりしないと、と思い、どこか自分自身の恐怖が薄れる思いの兎瓦けい。そのけいに、波間から、キョンシ-が笑いながら、声を上げる。

「おもしれえもん、見れるぜ?けい」

 は?とけいが、先を求める。

 そのトキである。_______________________。

 -

 クビ、と言っても大したことないのだ。どっちみち、木村優美以外に、鉄の惑星巫天が務まる生物(ではな・い・が)はいないのである。クビ、それは惑星巫天の世界において、ちょっと疲れてるみたいだから、休め、そういう意味である。この女、温泉旅行だのプールだの、疲れてるなどとほざいたら、張っ倒されそうな、感じだが、まあ、バケーションである。

 宇都宮で、うろうろしながら、街行くひとを、歩道橋から見るでもなく、見る。

「、、、。桂に会おう」

 桂に会うことにしたのである。

 -

 スティーブは「あん?」と言い、ちなつはぷく、と頬を膨らませた。

「やだよ!あ? なんでおれがけいちゃん連れ戻さないと、ってあああ!!!頼むよ、ジャアンツ~~~~!!!ここんとこ全然だろが~~!ちきしょ、またシローのやつに、新たな5万円だよー」

 しょうもない発言を続けるスティーブは、三日月ちなつとスクランブル交差点近くの、スタバに来ていた。いちいちスタバである、この女。

「お兄ちゃんが、これに巻き込まれてるって知ってたから、わたしもけいに普通に接せれたんだよっ?責任とってよ、なんか、ふ、意味わかんないけど」

「ほんとだよ、意味わかんねえよ。おれは、巫天じゃねえしなー。っていうかせっかく今、休んでんのによ。あー、店長元気かなあ、おれのラップ聞きたがってんだろなー(ばり>ピスタチオを食う)ちなつ!っつうかよ、おれはお前のお兄ちゃんじゃねえし」

 顔を上げる、ちなつ。

「そうだよ??そうだけど、いいじゃん、なんか、、いいじゃん、それよりさーーーー~~~~~~~あああああ!けい!!!!」

「知んねえよ、けいちゃんおれ、会ったばっかだし、そんな義理ねえし、おれの居た時代とはまた別の時代なんだよ!助けたくたって助けられねえのっ。」

 知り合いの様である。

 -

 レノンはかやをどん、と押し。かやは、この上ない自信を、炎のように湧きあがるのを感じた。

「かやちゃん、実際に炎、背中から出てんぞ。、、、酸素さん?」

 -

 泣いていた。 目の前のサラリーマンは、ツチノトの歌を聴きながら、2番のサビで号泣とめどなく、である。やはり、ソロデビュー確実か、このオカマ。

 -

 けいは、びっくりした。大群が一瞬で消えたのである。次の瞬間_。

 ばしゅ。

 ゆしが、トビウオのように、なんと何もない宙から、である。けいの頭上から、虹からテイクオフ!も、いいとこのダイビングを決めるのを目撃してしまったのである。キョンシ-が、けいにウインクし、どきっとなる女子高生。ベタ。

「あれが本物の時代跨ぎだ、けい。おれのガストは全然まだまだなんだ!」

 なんだ、かっこいい男じゃないか、と思った。こんな簡単に、ゆしに何かの座を明け渡してしまえるなんて。けいはカエル男変態花頭超絶セクハラ女装趣味を見なおした。

 小山、いやおいた は消えてなかったのである。おまたせ、とけいに言い、ぺこ、としたけいを見つめ終わるなり、こころに一喝する。

「こころ!!!!!川の平和を乱すんじゃないっ」

 けいは、泣きそうである。

 こんな気の小さいこころちゃんに、怒鳴り散らすなんて_ここは、人類代表としておいたに、ちょっと言いすぎではないか、とそれはアリなのではないだろうか。これは兎瓦けいに与えられた試練なのでは?

 そのとき。

 再び使う表現だ、申し訳ない。

 -

 木村優美は、桂に会った。坂口浄介もいたが、優美はこの世界で、言い過ぎだが、このタイプの、男性ほど興味ない者はないので、空気のように感じながら、川辺に近づいた。

 二人は、また花の話をしていた。

 体操座りをする、優美。

 すざ、と構える二人。なに?_。

 優美は、何かあったか、と聞かれるのを待った。

 二人は、優美が何を言い出すか、何のためにここに来たか、言い出すのを待った。

 風は、川の流れは、いつかの桃を再び物語の開幕を知らせる、ゴングのようにどんぶらこ、と持ってきていたのである。

 桃が、3人の前に流れてきた___。

 坂口は、余りにもあの日を思い出した。

 -

 まだ話しているちなつとスティーブ_。「やだやだイヤダァ!!!!ファックユーだよ!お兄ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!こんなに氷河期の2、3倍は冷たい人間だとは思わなかった!!!」

「誰が絶対零度マックスダメージ<the coldest>だよっ!!だいたいなあ、お前おかしいよ! マジもはや、笑えてくるぜ!!なんでおれなんだよ?被害者だぞ?? 加害者のレノン、、、えっと行くぞ?レノンかやツチノト優美ちゃん桂柚宇えっと、わかんねえ忘れた地球?の子?暗くて覚えてねえやいいけどさッ。もう。まじで、泣きそうだぜ、お前のしつこさにゃよ~。」

 -

 ぬう、と沸き立つおどろおどろしい、墨のような煙___。背の上の女子高生は、え?と驚愕した。驚愕である。毎日味わう感情ではない。


 正真正銘7頭目のイルカ


 けいの背中にまとわりつくように、おかしな墨が空気中に溶けたもの(?)、が女子高生の表情を恐怖へと、ぶち上げたのである。

「なにこれぇ!!!!!」


 シャチ こころ

 -

 ツチノトは、5万8千3百円を財布に入れ、今、宇都宮線快速ラビット号に乗った。<エイゴウズミ> 優美の話を思い出していた。

「___初めて聞いた。今度、いや、今浄介様に何のことか、聞いてみよう。か」

 -

「(じ、と見るちなつ)、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、~~~~~~~」

「わかったよもうわかった!!!!おれが何とかするから!!!もう、お前マジでお前と付き合う奴とか、死ぬほどめんどいだろうな、普段サバサバな感じなくせしてな~、」

「よし! 違うんだって。けいのお母さん、心配性じゃん?? けいにも生活っつうか、義務っつうかさ」

「絶対お前がけいちゃんに会いたいんだろ?偽善者コラっ~」

「そうだよ、悪い???」

 -

 太陽神は、受信した。彼は雲の中にいる。

「ツチノト?呼びましたか?」

「はい。質問があるのですが。今、お時間は?」

「全然あります。なに?」

「はい。エイゴウズミとは??エイゴウイカという鬼女の分泌物だと、優美に聞いたんですが、、、」

「エイゴウズミあれはね。うんと。あれですよ。 あれなんです。私のHULICと似ているのです」

「それで充分です。了解しました」

「はい」

 -

「エイゴウズミだ」

 岩場で浴衣男が、けいに説明した。近くにシャチは、おいたを除いて、いないようである。

「さっき、こころの目その付近から浮かび上がったのは、エイゴウズミと呼ばれる死ぬまで取れない猛毒だ」

「猛毒!??」

「そうだ」

「こころちゃん、死んでんの?」

「お前、アホか?よし、今日からお前はアホでいいな?兎瓦けいのミドルネームが決まったな、おめでとう」

「、、、、」

「うそだよ、本気で傷ついてんな、死んでねえよ。猛毒っつっても死に至らしめる類じゃない。神経毒とかそっちじゃない。あれはな」

 う~んと考え込む柚宇。こいつの説明がうまいとは思わないが、こういう風に言葉、その説明を途切れさすのは、けい、初めて目撃した。___

「エイゴウズミはな。タチが悪い。例え話にした方が解り易いな、うん。(ひとりでうなずく)ここに、エイゴウズミがある、とする。はい(びたん)こうやって、けい、お前の耳につける、とする」

「うん」

「珍しくおとなしいな、気持ちワリぃ。まあ、耳、、、だ。すると」

 ぬうん、と手を背中に回し、逆のもう一方の、脇からその手を出す柚宇。柔らかい身体をしている。

「こういう感じにな。えっとな。エイゴウズミは、触れた患部を一回分解しちまうんだ、つまり、今、けい!お前の耳は消えてなくなるっ!まずな?エイゴウズミに侵された部分だけ。だが、分解されても蒸発はしねえから、耳の、形成組織は次の住処を見つけるわけさ。見つけようと探すわけさ」

 ここで、ぞ、と鳥肌が立つけい。さっきの、恐怖を色濃く思い出す。

「気体で分解されれば、その気体中を、探し回る。水面でなら、その付近を滑るように、次を探す。そして水中なら、まあ解るだろ?そして、住処、形成組織は他の動物の身体のどこかに付着するわけさ」

 けいは、うん、とうなずきながら、あのギターを思い出した。ちょっと吐きそうだ。

「するとな。ここで注意な。分解されたお前の耳、実はそれでも、主のお前に信号は送り続ける。はい、今、お前が耳がエイゴウズミに侵され、空気中を漂います。おれの背にくっつきます。おれの背にお前の片耳ができます」

 に、と笑う柚宇。相変わらず、素直に素敵な笑顔である。

「もう、わかるだろ?」

「うあ、なんか聞きたくねえな」

「じゃあ、自分で言え」

「そういう問題?(ややウケる)、、、。おめえの背中で聞いたものが、わたしの、こう、脳?に届く?」

「そういうことだ。ご名答。賢いじゃねえか、女子高生」

「うん」

 かっはっはと笑う柚宇。

「うんってかっ!!」

 何がそんなに可笑しいか、わからなかったが、けいはなかなか暗くならない紫の空の下、おいたに笑いかけた。

「小山ちゃん、どっか楽しいとこ連れてってくれよ」

 -

 桃から生まれたネッシーしほちゃんである。体長3m半。と共に入っていたのは、古代恐竜時代に生息した<トウロウナガシ>出身、イクチオサウルス、名はゴウ。そして、スティーブの執事、オサガメ名はタカ。

 三頭まとめて、ビスケットを食いながら無視をする桂とその他二人の前に現れた。

「どうしたの?」

 興ざめの表情の桂である。せっかく二人きりで楽しかったのに、と顔に書いてある。よく見れば、デコに本当に彫ってあるのでは、なかろうか。

 わずか、30cmマシンガンサイズのゴウが、桂に生意気に吐いた。

 作品中、初の発言である。ちょっと耳をすましてみよう。

「ケイ!!!!!!!!!!!!!!、、、おい、エロメス!!!!仕事いつまでサボっとんじゃお前、太陽神に焼き殺されるぞ」

 ビスケットが耳栓のように働いている、桂。坂口が、あっけに取られたまま答える。

「おす。ひ、久しぶり。お前ら」

「久しぶりじゃねえか、浄介。どうだ、桂のあえぎ声は?たまらんか」

「消えろよ、出目金魚っ。こっちはこっちで忙しいんだよ、ほら、木村優美お姉さまさまが先に話あるみたいだから、消えろよ、ほら」

 罵詈雑言_得意の桂がわずかに押され気味である。この三頭___。タカがしゃべる。

「坂口様。ポッキーはいかがですか?」

「ああ。もらうよ、ありがとう」

 遠くで、少年(5,6歳)が、こっちを指差し、満面の笑みである。お母さんもうれし、楽しそうだ。夕焼けが似合ういい光景だ。

 三頭。太陽神直属。初代惑星巫天である。今はその座を、レノン達に任せてはいるが、その昔、時代<トウロウナガシ>において、全地球すべての生物生息地において、物質の循環、食物連鎖の管理を務め切った、超優秀な三頭である。

 ゴウは、もう一言口にした。

「おら、桂っ。なんか言えよ」

 -

「眞弥はね?」

 地球様はご自身のことを、眞弥と呼ぶことになされた様である。

 ________。

 -

「おっちゃん_。ちょっと聞きたいこと_あるんだけど、、、_」

 降られた雨に、トトロで出てきそうなどでかい葉っぱの傘を持ち、兎瓦けいは花男に聞いた。それほど、けたたましい雨足では、一切なく正直、ファッション的にこの対応をしてる次第の、けいである。柚宇は、返事を。

「どうぞ?」

「あのよ?どう、違う_の?動物えっと知ってるよっ!!?オレンジだべっ?オレンジと惑星巫天っ今、初めて気になってよ?なんかさっきのこころちゃんみたら、よく、わかんねえけど、気になりだしたのっ_まあ、答えたくなかったらいいんだけど__」

「ちょっとこっち、来い、兎」

 と、言いつつ自分から来る、花男女装趣味。

「_大丈夫だ_」

 ぎゅ__けっこうに、強めに好きな女の体を、抱きしめる。

「何に怯えてんのかは知らねえが、けい、こう思ったらいい」

 けいは、開いた眼を閉める気にならない。

「おれがついてる」

 -

 坂口は、帰ってしまったので、ずでん、とやる気ナッシングの桂様である。

「しほ。今から、ニューヨーク行って何か買ってきてよ?」

 場所限定なのに、ものを一切、限定しない_新手のイジメだろうか!_

「一体何を言い出すんですか、イヤですよ」

 最もな対応である。優美が喋る。

「ゴウ」

「なんでございましょう、惑星巫天様」

 ゴウは、優美にだけ、惑星巫天、そう呼ぶ。

「ずっと考えてたんだけど、兎瓦けいについて。あのね?」

 皆、黙る。なかなかないことだ、鉄様のご意見である。

「こっち戻した方がいいと思う」

 桂がすかさず、「優美さー、はっきり言ってその話題をわたしはしたくないし、あいつが野垂れ死のうが、何しようが、太陽神刺そうが、知ったこっちゃねえんだよねっっ」

「滅多なこと言うもんじゃないよ_桂__?」

 怯む桂。

「は?どの部分がっ__だって興味ねえもんはねえし!_しほ、やっぱ南極行ってきて、コウテイペンギンの皮剥いで持ってきてっ_?」

 無視をする、ネッシー<プレシオサウルス>しほ♀_場が、なんか変な空気になってきた。

 -

「いいか、けいっ_オレンジ_動物_と非生物の違いはなっ_よし、ここに一巻きの寿司がある。鉄火巻きだ」

 けいは、うん、と素直に聞く。

「オレンジなら中心に、能幹__魂_反発Kansmarssがある_中心になっ!米が、魂を巻いてんだ。で専門用語では、この巻かれた魂を稲妻と呼ぶ。ここまではいいか?」

「うん」

「でな、米に守られて、この稲妻は死んでも傷つかねえんだ_しかし周りは生きることで、すり減って行く。消耗していく。この消耗していく部分が、借農_体ETIAGXNなんだジンルイのことじゃねえぞ?今は」

「わかってるよ!_」

「ああ。だから、お前らオレンジは借農をすり減らし、消耗させ、最後まで能幹を守り切るんだ。前に、あの鳥が能幹で、芋虫あの気持ち悪いのな?あれが借農と言ったろう_こう想像すればいい。中心に居る鳥を芋虫が、ぐるぐるまとわりつくように抱きしめ、消耗から守っているんだ。死ぬ、とはオレンジにおいて、この芋虫が消え去ることを、そう、意味する」

「珍しく解り易いじゃねえか」

「珍しくねえ。いいか?そして、念悦_心JETTOESまたの名を姿っは、その借農の更に外側に生える苗だと思え。この苗、おれたちやヨウフえっと、マウヅ達にはねえんだ!」

「あ!」

 マシンガンが自分は電気製品だと比喩した、と思った。違う、マシンガンの姿は本当に電気製品だったのだ。

 「おれら非生物に姿は与えられてねえ。基本的には、だから誰かの念悦を借りる必要があるんだ。そして、借りた念悦は一生消耗しない。なぜか、わかるか?」

「わかんねえ」

「こういうことだ。オレンジは、中心が能幹だと言った。惑星巫天は、逆だ。中心が芋虫、借農なんだ。でそれを巻いているのが、能幹なんだ。単純だろ?お前らは、納豆を巻いた米、だとするとおれらは米を巻いた納豆なんだ。それがオレンジとそうでないものの違いだ」

「うん、わかった。でもまだ、なんでお前らの姿が消耗しねえのかは、納得できねえ」

「よし、聞け。そうだな?間違いねえ。うんと__」

 この時、雲から月が三つ同時に覗いた。

「うんとな。なんだっけな。能幹が外側にあるおれらは、それだけでラッキーなんだ、なぜかと言うとな?能幹は、借農と違って消耗しないんだ。さっきオレンジは、死んでも中心の能幹をキープし続ける、と言ったろう。これが、輪廻転生の正体だ。別の生物に、兎瓦けい、お前が死んだあともだ、お前の意識思考、魂それ即ち反発Kansmarssっいいか、けい怖がるなよっ_要するに魂は次の生物にそのまま受け継がれるんだ」

「怖くもなんともねえよ、だって酸素と炭素とプロテインだべ?魂なんて」

「その通りだ、それ以上でもそれ以下でもねえ。能幹ってのは、この世で最初の物質、絶対に消耗せず明日へ世代を繋ぎ続ける最も大事な、パーツなんだ。この宇宙においてな。宇宙のこともKansmarssって言うんだぜ?オクラが通称、、、だがなっ!?」

「へえ。でも、借農はなくなったりするんだ」

「そうだ。だから、おれら惑星巫天は、能幹に周りを守られてなきゃ、借農はすぐ滅んじまう。強固な能幹に守られて、外側の心、もある程度屈強だが、中心の借農はな、けい」

 このとき、カエル男がやたらセクシーな表情をつくった。

「お前らよりずっと脆いんだ。外は強いが、中は弱い。お前らは、外は簡単に滅ぶが、中は中心はっコアは無敵だ!褒めてんだぜ?オレンジイシアガン兎!」

「はい」

「以上とする」

「ちゅうして

 -

 優美は、オレンジを食っていた。

 場所は、スタジオHURRICANEPUSH。

 桂がギターをアンプを通さず、つま弾いている。坂口はやはり居ない。他のバンドメンバーもいないようである。二人きり。

 優美が、オレンジを差し出し、ん、と言った。ん、と断る桂。

 むしゃ。むしゃ。

 桂が言った。視線はギターのネックである。

「優美さまさまに、新曲聞いてもらおうと思ってて__」

「ボツ」

「、、、。まだ、やってねえよ_」

「誰、書いたの?」

「ツチノトが元ネタっつうか、いや、イントロだけだけど、そこから私が発展させた」

「ツチノトの腕買ってるよね、桂」

「買ってるよ?レノンは自分自分でたま~に周り見えなくなるけど、ツチノトはいつだってわたしを見ててくれるってわたしも何歳なんだって言うね?」

「いいじゃんいいじゃん、助け合いじゃん。聴かせて?」

「ちょっと待って。ドロップDなの」

「えヘヴィなの?」

「うん。いや、うん。なんだろ、ごろごろしてる感じ。タム多い感じのイメージ。どうせ、レノンはイメージ通りで叩いてくんないけど、あ、いい意味でね」

「うん(もしゃ)」

「曲名はETIAGXN」

「大きく出たな」


 渋谷から、新宿に一人で向かうスティーブは、難しくない顔で考え事を続けた。柄にもない_。

「しかし、ちなつこの為だけに、東京まで来てくれたのか?幸せ者だな、けいちゃんあの子。タイプだなあ、けいちゃん_でも、おれの歳でそういうこと言うと犯罪かな」

「犯罪だよ」

 隣にいたのは、不届き海生爬虫類ゴウであった。他の二頭はいない。

 ここは、普通に山手線である。

 それを確認すると、うーん、と目を反らし、なかったことにするスティーブ。

 ゴウはそれ以上話しかけない。吊皮を凝視するスティーブ。その吊皮に噛みつくゴウ。何かを聞いてほしそうである。聞いてあげない、とスティーブは、現実逃避マンになった。

 -

「だから、すぐ泣くんだろうな、マシンガン___」

 独り言を言ったけいに、大きな声が_

「けいちゃん!!!準備できた!ちょっと遠出するよ支度してっ!!!!」

 おいたである。

 支度ったって何をすればいいのか謎である。マウヅも隣にいるようだ。

 カエル男は、もうちょっとイチャつかせてや、と心の中、駄々をこねた。


 パン屋<ひなたベーカリー>_______________レノンが皆に告げた。客、じゃなかったパン屋にいる他の一般人のウチ、何人かはユウホドウであることに気付いている。だが、顔に出している様子はない。

「よく聞け、お前ら。今度からな、曲は全部ツチノトのアイデアから作ることにするっ」

 特に変な空気にはならないが、一番驚いたのはツチノトのようである。

「、、、。別に決めなくてもよくない?」

 レノンが、笑顔で返す。こいつは何ていうか、中学生とかが格好いい、とか言いそうな、なんか解り易い調子に乗ってる男のかっこよさ、というか気持ちよさ、である。

「いや、こう言っとけば、お前もっといい曲持ってきてくれるだろ?」

「ハードル上がったわねえ。そんなにストックないんですけど?」

 無視するレノン。隣で、ツチノトに桂がウインクをする。見つめ返すだけのツチノト。

「いいや!じゃあ、これから頼むぜツチノト!今回のETIAGXNも、優美お墨付きの、なんつーかイイ感じだし、お前の他の、Song For BloodsとかI know Uとか、Orchleeとか、なんか勢いとメロディのバランスがいいものが多い、あとかや!」

 またダメ出しかなあ、と半目開けのかや。

「お前の曲も基本的には、すげえいいぞ!ほんとほんと。この中ではソングライティングおれが一番ひでえな。向いてねえ」

「そんなことないよ、好きだよ。あの、Strange Realmとか、あと」

「互いに褒め合うのは、やめよ気色わるい。なにか、あるか??」

 特に何もない感じの一同。ツチノトはプレッシャーで、若干居心地わるい感じである。

「解散」

 -

 仁美は、久しぶりの自分のベッドである。居心地悪いわけはない。

 ねくたのことをずっと考えていた。

「わたしは、ゆしちゃんと魔王の子供なの」

 ねくたのことをずっと考えていた。

 -

 タカは、じゃきん、と金属の音を立てた。甲羅は柔らかく、甲羅とは真の意味ではいえないものにコーティングされた背中だったが、今超合金のようないびつな集合体に覆われていた。しほも、なにやら歯を剥いて、怖い感じだ。

 太陽神は言った。

「よく来てくれましたね?あのね、あんまりにもあの子達が使えないのでね?手本を見せてやってほしいんですよ。あなた達に」

 ゴウは、目をさらにぎょろと飛び出るほど、拡張させ、変な液体を出し始めた。

 ぶっと、しほは、口から、紫とオレンジの混じった気体を吐いた。

 破壊神オサガメ_タカは見せたことのない眼光で、コブラのような瞬発力を後ろ足で垣間見せている。

 太陽神は言った。

「@ my stream of heaven SHITTY of this magnificent PILE GO KILL THEM, guys Just let it build the scenery I love」

 にか、と笑う神。

 タカの背中は、7m余りの刃物が、天を突くようにそびえ、しほは涙をこぼし、これもまた紫とオレンジの混ざったものである。

 30mに巨大化した、実は最大の体長を誇っていたゴウは、風を起こすとともに太陽神に返事をした。

「かしこまりました。5分20秒以内に、あのYuとかいうイルカの息の音を止めて原始に返してみせます」

 -

 けいは、帽子をかぶっていた。

「マシンガン、この帽子はなんつーか、アレだべ。どっちかっつーと、休火山だべ?」

「死火山ではなく、という意味か?、、、なんかちょっと理解してしまったな、悔しいぞ兎瓦けいよ」

「はっはー、もうお見通しよ、シャチの考えることなんてよー」

 おいたが言った。

「けいちゃん、あれがね。おもしろいでしょ? あの、動いてる島」

「? ぉぉ、、、」

 ちゃんと返事ができないでいる程、驚いたけいは可愛くない呻き声を漏らした。

 島が動いていた。目に見える速度である。大きさは、一つの球場ほどだろうか。ぐるぐる、と歩くスピードで、周りに何もない海面で、トリックでもあるかのように、移動しているというよりは、同じ場所でメリーゴーラウンドのように回転しているのである。

「これは?なんのためなんだべ、おいた、、、ちゃん」

「ちゃんつう歳でもねえぞ、こいつ」

「きゃっはー、その通り、あたしはマウヅより年上だからねー、えっとね、それがね、わかんないの!!!」

 なんかある意味安心する、けい。

 謎を残してくれた方が、かえって安心する時もある。共有できるものもある。

「わかんないのよ、なんで回ってんのか、なんで回ってんの?どうやって回ってんのマウヅ?」

「__お前が知らんことをおれが知ってるはず、なかろう」

 柚宇が、言う。

「意味ねえんじゃね、興味ねえし」

 だが、けいは、遠くない未来、この意味のわからない場所で、この上ない恐怖を強いられることになるのだ。

 -

 カウチに座る、レノン。

 ここは、再びスタジオである。金、あるな、こいつら。あ、芸能人か。

「ゴウにタカにしほ、ねえ。おい、かや」

「え?」

 かやは、ギターの弦を替えている。いくらなんでも、1週間おきに替えるのは、やりすぎだろ、とレノンは今度このアホ毛に言おうと思っている。

「おれは、Yuが勝つと思う。はい、(どん)2万っ」

「賭けゴトやめなよ」

 はあ、とため息をつくかやの膝に、頭を預ける、レノン。レノンにとって最も幸せな時間である。


 がば、と飛び起きるかや。寝てしまっていた、なんかレノンといやらしい交わり方を披露する、変な恰好で寝てしまっていた。

 レノンは熟睡である。

 寝顔、こいつ天使だな、と思う。

「やっべ、雨もう降ってるよな??」

 -

「じゃあ、眞弥はさあ。そういうなんか、後味悪い映画が好きなんだ」

「、、、。 違うよ、深い映画が好きなの」

「わかりやすいに越したことは、ねえと思うけどなあ」

 よ、と加藤は、バスから降りる眞弥の手を、持つ。支えられて、眞弥は広がる景色に感動を覚えた。

「すげえ~」

 すげえ景色の正体は、ただの富士山である。ただ、ではないか。

「富士山でそこまで感動してもらえると、うわ!また手を合わせるし!ま、いいか」

 超オシャレボーイの吾朗は、顔はそこまでイケメンではないが、親しみのある笑顔だ。何か、恰好と雰囲気でイケメンを後天的に作り出しているタイプだ。

 富士山は、晴れ模様の空の下、逆に眞弥にははー、地球様―と思っていたかもしれない。

 -

 かやは急いで支度をして、「ガスト」と唱え、けいのいる<アシュラゴロシ>に向かった次第なので、ありました。


 太陽神は、ポッキーを食っていた。燃えるよ_?ポッキーは惑星巫天の間で人気がある。伝説の<たけのこの里>より、全員が口を揃えておいしい、と言うのだ。

 どうでもいいか。

 -

 ちなつは、現在、誰よりも気に病んでいる人間である。また、坂口を呼んでいた。

「坂口!ごめんっ、ちょっとさ、付き合って!今度の土曜」

「ああ。えっと、映画???おれと??なんで???」

「いや、ちょっと話したいことが、その映画について」

「???」

 映画のタイトル<火の鳥>実写版である。

 -

 海面にエイゴウズミを撒き散らし、Yuは、その背びれの黒々しい肌をカモメに見せつけるように、邪悪な笑顔を逆水面に映した。

 1頭____わからないが、1頭のようである。

 1頭では、なかった。Yuの指示で、他5頭はその真下深海、1000mに潜んでいたのである。フクロウが1羽、Yuの背中に止まった。眼が光り、笑ったYuは、次の瞬間そのフクロウの心臓を一突きにした。絶命したフクロウは、水面に埋葬_され、Yuの尾びれ一投で、骨を砕かれた。

「おれにふれんじゃねえよ、道具」

 ば、と空を見つめるYu。

「早く、来いよ、時代遅れのおんぼろども」

 -

 桂は呟いた。

「や~だ____っ(ぐい) ねえ、__」

 服を引っ張られている坂口。

 二人は坂口の部屋に居た。

「だって、大事な話っつうんだもん、二人だけだよ。お前絶対来んなよ?」

「、、、。や~だ__っ絶対___っっ や~だ__っねえおねがい_」

 ごろん、と壁の冷たさを確認する、坂口。部屋に流れているのはコブクロである。

「むっし!_(ぐい)っ離せよ、もうっ__」

「や~だ」

 -

 タカ、ゴウ、しほは驚いた。

 いるはずの場所に、Yu達がいなかったのである。

 このままでは、宣言した制限時間内に血祭りに上げられない。そこが問題か、であるが。そのとき、ゴウ。

「おい、来るな、何か」

 宙に浮いている、調合惑水反蛇巫天タカゴウしほは、黒い大群を確認した。ゴウは繰り返した。

「来るな。えっと、Yuっておれ、イルカだと思ってたんだけど」

「そうよ。<CUTE>じゃない?調教よ、借農の」

 タカが、表情皆無で呟く。

「悪鬼め。エイゴウズミだけでは、なかったか」

 しほが諭す。

「いや、調教の側面のが、あいつら有名だと思う。あんたら、イルカなめすぎ」

 10万羽のフクロウが三頭のハ虫類に向かっていた。

 -

「あれだべっ?」

「なんだ?」

 けいは、帽子をよほど気に入ってるらしく、毎分いじり倒す勢いである。

「(ぶほっ>マウヅの噴気)きっとあれだべ?あれなんだべ?」

 一同、超ハテナマーク、である。

 けいは、少し早口で言った。

「ちなっちゃんとかは、連れてきたら、ダメなんだべ?」

 優しい顔をマウヅが水面から向けた。

「ダメだ。いいか、けい。お前も、ゆしに呼ばれた用が済めば、また鳥羽に帰るのだぞ?」

「はーい」

 やっぱダメか、と思った兎瓦だった。

 -

 佐々木先生は、ただいま、倫理を教えていた。

「ふう。アメでも食いてえな、お前ら」

 おおおおおおおおおおおおおと生徒から歓声が上がる。レバンナをぶっ飛ばしたかのようである。

「はっはは、この前の点数よかったしな、お前ら。おし、いいや。今日はビデオとお菓子にしよう」

 先生、愛してるーと、前から2列目から黄色い声がする。

「ふはっ。なんか、見たいビデオあるか?ここにな。えっと」

 ごそごそ、とデッキの下を探る佐々木。唱え始める、佐々木。

「魔女の宅急便(ええええ????の声)、、、ゴースト(えええええええええ???の声、わずかおおおおの声)、、、、、、えっと、エースにおまかせ(しらなーーーーいの声が上がる、おおおおおの声)、、、最後が、あああ、うん?先生は知らんな、<歩___クジラ___>?なんだこりゃ知ってるかお前ら」

 しらなーいと生徒達。

「歩鯨<ほげい>です、先生」

 答えたのは、坂口だった。一同、へえ、となる。

「おお、坂口。お前、映画好きだったか?」

「あ、いや別にそんな普段は見ないんすけど、前にちょっと調べ物してる時にちょっと、見たんすよ、つまんねえから、いいと思います、魔女タクでいいじゃないっすか。鉄板で」

 えええええ、と周りからはブーイングである。ああ?と坂口。佐々木は言った。

「そうなのか、ちょっとどんな話か、みんなの前で言えるか?」

「いいっすよ。白黒なんすけど、それ。ええと、あれ違うのと混同してるかないや、いいんだ。そのカバーのシャチいるじゃないすか?」

「いるな」

「はい。それが陸に上がって」

「陸に上がって?」

「ヒトを食い始めるんです。はははははでも、ほんっとーに、ひどいんすよ!!エフェクトっていうか撮影技術が、古いから!!食われるシーンとか、マジ、こんな段ボールにも負けるだろ、このシャチっつう」

 教室でウケているのは、話している坂口一人だけであった。

 佐々木がフォローする。

「シャチか。懐かしいな。そういうえば、この前日本じゃないんだが、ノルウェーの方で、ヒトがシャチに襲われる事件が発生したそうだ。お、意外に興味津津だな、お前ら。 漁師だ。意外かもしれないが、お前ら、あああ、先生は生物学はよく知らんのだがな、シャチはいろんな動物を襲うが、これまで人類を襲ったという、ちゃんとした記録は一つもなかったらしいぞ。アザラシと誤認して、一噛みした、といデータなど、信ぴょう性の薄いものはあったらしいがなー。にしても、兎瓦は元気かな、お前ら」

 生徒達は、元気かな、と思っている顔をしていた。

 -

「キタゼ」

 Kashiコククジラが、視界0の深海で、双子のNatsuに囁いた。

「ああ、っぽいな、ちょっとここでどびゃって、排泄していいか?くっく」

 ただいま、このコククジラ、二頭。尾びれが真黒の墨に覆われ、よく見ると尾びれが存在していないことに気付く。墨は、真上に垂れ流しのようである。

 隣のイッカクの口は、同じように分解され存在していない。イッカクなのに、現在、角がない状態である。あれは、前歯、なのであるが___。

 そして、隣のマッコウクジラである。目がない。実は彼の場合、墨は、目から入り込み、その中の、ゲインと呼ばれる音を謂わば<配信>する、噴気孔下のある溝の手前、脂肪体に入り込んでいたのである。

 Yuは合流していた。Yuの背びれは見られなかった。黒々しい、墨は渦を巻くように、上へ放たれ続けていた。そしてもう1頭___。

 アルビノ固体のシャチは、しかし色を持っていた。普通のシャチと違うポイントがある。このシャチ、名をASAという。もともと眼が潰れている盲目シャチである。色素のない、アルビノであるため、本来なら、その表皮には模様(シャチの持つ印象的な黒白ツートンパターン)が存在しないはずであるが、この固体は持っていた。エイゴウズミが、本来シャチの白い部分、アイパッチやお腹部位などを代わりに占領しているのである。普通のシャチをネガに取ったような、風体である。エイゴウズミは、そしてシャチのこの体を放ち続ける。よって、このシャチ体ほとんど、崩れた亡霊のように、無い状態である。

 Yuが喋った。

「我ら、6頭で一つの最強生命体なり」

 そのあと、もう一度。

「今のな。お前らも、言いたかったら、今度言わせてやるっ」

 くる、と可愛く笑うイルカ。

 あはhっはははははははhっはははっはははhっははっははははははははっはははは

 -

 黒い塊は一つの生きもののようである。本当に一つの生きもののようであった。これは、一つの生きものなのではないだろうか。

 ゴウは、叫んだ。

「まずい!勝てねえこれは!!!!!!!!」

 タカが、他の2頭を守る。鋼鉄の塔が、海水に刺さる、中にカメも、ゴウもしほも消えた。その次の瞬間である。水中に潜りこんだ、狂っているとしか思えない、10万羽のフクロウはえぐるように、深海から、浮かんできた墨と合流した。恐るべきことが起こった。

 黒い塊は、統率されたように、その背後の先には、2本の巨大な尾びれを持ち、前面には、イッカクの歯を、胸ビレは存在せず、気味の悪い低い、床を打つような連続音を歯の少し裏から、発生させた。音は、水面を殴るように沸き立たせる。その音を喰らった水は、気体に帰って行っているように見える。その水面に身体を押しつけるように、前進する巨大塊。消えた。瞬間100m上から、出現した、塊は全長50mはある。タカのつくった鋼鉄を上から、2本の尾びれで、一刀両断の恰好で、ぶち割ろうとした。

 音は、すさまじい破裂音のような、爆発に変わり、ばらばらに砕かれたその塔のようなものにもう、三頭はいなかった。退却していた。水面にそのまま倒れるように落下したソレは、水面から再び顔と背びれを出した。この背びれ、非常にいびつなぎざぎざ形をしている。背びれから漏れ続ける墨は、前の角に被さった。

 ずどむ

 角から発生した音は、今度は空に打ち上げられた。雲が完全に空けた。

 はやはははっははははっははははっははhというイルカの鳴き声が深海から聞こえたのはおそらく、気のせいだろうと思う。


 ひなた10殲滅


 この世の終わりの様な、巨大生物は、次の瞬間、たった一羽のフクロウになった。たった一羽である。あとの他の約一〇〇〇〇〇羽は消え失せた。

 晴れた空に、フクロウはぴィとかわいい甲高い声を発し、そこをあとにした_。

 DFL<Directional Full Landing>の略である。Yuを含む下、6頭の鯨類に与えられた、ともすれば、グループ名。自称しているだけ、であるが。

 -

 飛び上がる地球様である。動きがいちいち可愛い惑星の、意識その化身である。

「っは~~ぅ、超いい!超いいいいいいいいいいいいいっ」

「はっはははは。_だから、まあ、ヒマができればそこに二人で行くのも、アリかな、と」

 眞弥の肩を抱く、よ、色男。

「おれ、英語は喋れないけど、眞弥に不自由させないぐらいは、がんばるよ」

 英語ペラペラの地球様に、言ってしまった。

 -

 シャチは、海の生態系のトップに君臨する捕食生物である。大袈裟なもの言いでも、おれの血迷いでもなく、絶対的な惑星地球の生物学における、事実だ。

 プランクトンから、始まり捕食され、捕食する無限ループのような繋がりは、階段を上るように、このシャチに行き着く。

 ホオジロザメすら、シャチのディナーである。

 しかし、蓄積___良い物質、悪い物質に限らず、それは逃れられぬ運命である。分解、消化、吸収を幾重にも繰り返された、動物の組織は、トップのシャチに登り切る前に、濃度をどんどんと濃くする。

 シャチの体内は、海洋生物の中で、最も廃棄物毒に侵されているのが、通説である。誰よりも、いっぱいいろんなものを食う最強生物は、誰よりも、その体をあるいは、病魔に侵されているのかも、しれない。

 それと関係あるかは、不明だが、シャチの50%は、一歳を迎える前に、死亡する。もろい、生物なのである。

 この世に真の最強など、存在しない。

 -

 つまらない話をした。ストーリーに戻そう。

 佐々木先生は、一人で、街に来ていた。なんだろう、教え子のことが気になる。

 名前は、兎瓦けい、もう関西の方に引っ越してしまった女の子である。

 キリンの事件は、実は大きな問題になっていた。 生徒の、安全を脅かす、危険因子に対する、強い使命感からの排除の姿勢が、学校側に足りないのでは、と実は生徒の親から、猛抗議を受け、続けているのである。佐々木は、胃が痛かった。

「そりゃ、生徒を危険に巻き込むのは、避けたいよ」

 素直に自分の気持ちを言葉にする佐々木。だが、原因が全くわからないのだからしょうがない。本当に、発生したとしか思えないのだ。あの、キリンのことである。宇都宮動物園までは、だいぶ距離がある。何をどう考えても、校舎のどこかから生まれた、おぎゃあ、としか考えられない。で、即座に大人に成熟した?疲れてるな、と回らない自分の脳を責める、佐々木は、今、坂口が見た本と同じものを手に取る。ここは、PARCO紀伊国屋書店である。

 <時間学>とある。

「ワープ??な~んちゃって」

 佐々木は天然であった。

 -

 ETIAGXNとは、時間であり、音である。体であり、人類である。その上気体を意味するものでもある。

 時代跨ぎは、簡単なことである。以下の公式が、あの阿修羅が説明した一部__

 反発×反発=音(時間)

 これ、すなわち、時代跨ぎの正体である。

 お、阿修羅がおれに説明させろと怒っているのが、目に映るようだ。お前は、けいとちちくり合っていろ。

 反発は、Kansmarss、作品中に出たが、海面及び、陸上など、所謂液体を指す。が、特に海中など真中では、なく水面付近のみ、海と空の間部分や、空と土の間、つまり陸の表面を指す。おわかりだろうか。

 間がKansmarssなのだ。固体液体気体の常識においても、液体は温度の位置づけでは、真中である。冷え過ぎれば、固体。暖め過ぎれば、空気に還る。され、これが何を意味するか。

 二つの<間>これを合わせるとはどういうことか。その真中にある、そのゾーンを消すという意味である。口だとして、上唇も下唇もKansmarssである時、舌は、その二つが閉じたとき完全に消え失せる。______________________________。例えが悪く、申し訳なく思っているが、要するにこういうことだ。

 反発と反発を合わせ、合わせたコトで、中身が失われる。が、上の公式が示している通り、反発はぶつかることによって時間(音)を新たに生み出すのである。ここで、失われた元の<中身>を一つのETIAGXN時間だとすると、次に上唇と下唇の接触により発生するのは、時間2(ツー)になる。

 べつの

 時間を

 つくりだす。

 べつの

 時間に

 移動する、という意味である。

 タイムスリップの仕組みである。

 ついでに、もう一つ公式がある。上と似ている。

 時間×時間=時間

 阿呆のようであるが、他の二つの物質JETTOES及びKansmarssには当てはまらない。

 時間は、自己生産が可能なのである。これが、ETIAGXNが、TIAの部分を繰り返すパターンがある所以である。

 ETIATIAGXNである。意味は同じ。

 時間。一度、Kansmarssを二つ合わせることによって、発生した<新たな>時間を、連続的に増殖させるのだ。

 時間の増殖である。

 想像は無理である。しないでいい。が、事実である。以上が、タイムマシーンの正体である。そう、酸素、炭素、プロテイン_。これを、ある条件コンディションの上で、接触させれば、真中のETIAGXN体は時を遡ることが可能なのだ。

 -

 闇雲に空を突く、けい。ヒマになってきた。なかなか目的地に着かないんだもん。

 マウヅは、漏らした。

「おい、けい。ヒマなら、やってほしいことがある。この時代のルールだ」

「あ、聞いた。太陽様が言ってたやつだべ?」

「ああ、それはべつにやらなくていい。別に誰も監視していないし、誰ももはや守っていない。というか、太陽神の言う事など聞かんで、よろしい」

 生意気なシャチである。

 けいは、ゆるやかな波に返した。と、思ったら、目の前迫る陸の上、見覚えのあるアホ毛がいる。

「かや!!!!」

「久しぶり、けいちゃん。マシンガン君も、どうも」

「なんか、あのときはゴメン!!!」

「今更いいよ、死ぬほど痛かったけど」

 見ると、砂浜に一人でアホのように突っ立っている、アホ毛である。あのエロガッパ最低キングはいないのであろうか。

「レノンは?」

「いないよ、あのさっ別にいつもあいつといるわけじゃねえしっ」

 いつもいんじゃんと思いつつ、けいは、おいたに目をやった。まあ、別に誰も攻撃的ではないので、いいかなと思った。

 おいたは言った。

「かや様。MOVEの準備整っておられますか?こちらは、いつでもオーケーでございます」

 言葉づかいの割に、チョーくだけた表情のおいた様である。かやは、満面の笑みで、言葉を迎えた。太陽のように笑う娘だ。

「オーケーだよ、遅れてゴメン!!」

 -

 ちゅ。

「あんわあああっ!!!!」

 気付いたら、アホ毛にキスをされる、けい。

「正直ちょっと気持ちいいと思っちゃった。弁天、あ、サメ?に腹食い破られた時、けいちゃんっ」

 とろん、とした眼でいきなり、口口の接吻をかまされた、けい。目の前のかやは、これレズの気もあり、であろうか。

 -

 ツチノトは壁を見ていた。

 失礼、絵を見ていた。

 博物館に来ていた。宇都宮美術館である。だから、美術館_か。

「、、、」

 腕を組んで回るオカマ。携帯を取る、あ、だめ。

「すいませんっ、ここは写真撮影禁止なんですよ~っ」

 監視員の方に止められてしまう。だから、言ったべ?

 -

 Base Back Packersこれの担当は、酸素-かやである。

 鯨類はJETTOESでいい。が、これは更に3つに分けられる。それが一行目、Base Back Packers通称ウグイスと、Hyatt Reagency通称フクロウ及び、Stake House通称ヒヨドリである。それぞれ、どの鯨類が3つのうち、どれに入るかにはまだ突っ込むわけにはいかないのだが、とりあえず、忘れてもいい程度に触れてみた。

 -

 坂口とちなつは、いやデートではない、映画鑑賞に来ていた。

 桂は、ほ、いないようである。見終わり、パンフレットを買ったちなつは、頬を紅潮させている。

 どうしたの、と坂口は、けいと同じくらいの背の美少女に聞いた。

「ごめん。なんか思っていた内容と違った」

 坂口は、こんなもんだろな、と思った内容とさほど、ずれはなかったようである。

 バスでも乗るか、と意味のわからないちなつの血迷った選択で、二人は群馬のサファリパークに向かった。おいおい、である。桂にばれたら、おそらくギターで撲殺される。

「どんなんだと思ったの?」

「え?」

「え?」

 、、、、。

「どんなんだと思ったの?」

「ああ、いやなんかもっとさー」

「寝てないだろ、お前。絶対、寝ろよ」

「寝る寝る。一通り終わったら、寝るよ。うん、坂口さー、」

「あ?」

「桂ちゃんのどこに惚れた?」

「、、、、。あー、それ聞く?それ聞かれると多分おれ、きっかけとかだと、ひどいことしか言えねえと思う」

「なに?」

「向こうに好きって言われたから?」

「ああー。なるほど、わりと最低的な」

「いやいや! 最低___もっとも低くはなくないっ??あんさ、おれもあの時かなりきてて! 疲れがっ」

「だね、そうだったけどね。最低」

「かもねえ」

「じゃあ、私が好きって言っても、なびいたってこと?」

「なびいたな」

「死ねばいいと思ったよ。今。死ねばいいよ。お前みたいのは。マシンガン君に、ぴしゃんっ、とかこうやって(ばんっ)」

「いって!!!お前、本気ぎみだったろ、今のじゃあ、おれはキリンアタック!」

「ちょっと変なとこ触んないでよ、カス!」

「誰がカスじゃ」

 いい感じじゃん。

 -

 Makotoは三度、マウヅの前に現れた。

 けいは、緊張とともに、う、うんこ漏れるかも、とオワッテいることを口にしようとし_というか言った。そう言った。小声で。

 浮かんできた、イシイルカは、浮かんでいるだけのマウヅと、その背の上の女の子に笑った。

 *おっす!!!!!!この前は会えなかったね、けいちゃん!!!!ねえねねんねえ、おれと付き合ってよ、人類っ*

 恐ろしく、だみ声の、プリティフェイスイルカにいきなり告白されてしまった。

「え?」

 隙を作って、意表を突く作戦だと何の疑いもなく、状況変化を少しでも早く嗅ぎつけようと、鼻をひくひくさせる兎瓦けいの肩の上、一匹のアマガエルは、このイルカ、本気で燃やすと思っていた。

 イシイルカ。調教対象-フクロモモンガ________________。


 ひなた11


 ★

 Makotoは、けいに、ついて離れなかった。マウヅが本気でうっとおしそうにしていても、全くそんな、遠慮の類いを見せない、好きを表現するのみなのだ。鯨類にモテる女である。確か、自治医大だか、鹿沼だかもけいをタイプだと、言った。どちらかは忘れてしまったが。ラテンの男のように、しつこいこのイシイルカを本気で

「、、、、」

 本気で、

「おい、けい。おれの話聞いてるか?」

 カエルの声も耳に届かない。

 本気で、

「おい、けい。まさか、お前」

 マウヅは下から、心配の声をあげた。狭い海峡を抜けて、どうやら広がる外洋に出た様である。

 はい。本気で、

「はい、Makoっちゃん? い~~~~~っ」

 い~~~と口角を上げる、イシイルカ。表情などつくれるはず、普通のイルカならあり得はしない。

「よろしいっ。じゃあ次はねえ」

 けい、本気でこのイシイルカを可愛がっていた。もう、母性本能くすぐられまくりである。見事なつぶれたダミ声も、ギャップで気にならないらしい。

 頭おかしいんじゃないのか、この、メガネ。

「メガネ今、かけてないも~ん」


 Law Of Threeとは、惑星の法則。ピリオドである。これ以外の法則や発見は、おれに言わせれば、蛇足でしかない。

 ★

「っはああああ!!!!忘れてたァアアア嗚呼!!!!!!!!!」

 頭を抱える、地球様。

「今日、ひなたものがたりの発売日じゃん、売り切れるゥ


 Thank you by cells on to the ground to feel them right Focusing to my future 


 Body of your desire getting to kill me, killer whales, I love you…


 I love you…  love and duDAMAGE……. Damn it, I cannot do sharp for this


 I will not stop this


「けいよ。聞こえたか?」

「、、、?」

「第二章だ」


 ★


「調合惑水反蛇巫天木村優美!バレてるよ、あなたみんなと違うでしょ」

 しほは、木村優美のところに居た。木村優美のところ、それはどこだろう。それは山の中である。この女、居住区らしいものを持っていない。

「ふぇ?」

 起き上がる、木の上の女の子。鉄担当のツワモノである。

 宙に浮く、ネッシーは、ギラついた眼を優美の瞳から離さない。天気が余りにも良すぎ、光が、というか、優美は伝えることができないくらいひどい恰好である。

「今頃???」

 優美は、正体を現そうとしている。

 -

 スティーブは元の崖の上である。先に、仁美も来ていた。はあー、またこの生活かー、と思っていると。仁美の様子がおかしい。仁美の様子がとても_なんというか、こっちをやたら見ている。敵じゃないな。なんだ、久しぶりに見て、やっといい男だと気づいたか。

 スティーブは離れて気付いたことがあった。

 仁美は、確信を得た答えがあった。

 お茶をくみだす、スティーブ。仁美は、スティーブを見たままである。沸かしておいてくれたお茶に気付くと、お、と湯のみを出して、自分用に入れる。温かいお茶ができた。召し上がれ。

「仁美。結婚してくれ」

「はい」

 スティーブは、お茶を飲んだ。勢い余って、火傷した。

 -

 Makotoが超かわいい、とMakotoのことしか話さなくなっている兎瓦けいである。

 今は陸にいる。鯨類があまりにもいる。あまりにも、見渡す限り、鯨類である。種類はわからん。が、数はざっと____。ざっと_____

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ようこそ、求喰川へっイシアガンけいちゃん」

 ___________________5000頭_。


 ひなたものがたり=神の肌


「至極つまらぬッ」

 太陽神は、一人ジェンガマスターになっていた。

 もはや、一人ジェンガでこの神岡浄介に敵うものなど、銀河にいないのかもしれない。


 -


 木というものがある。ある?すまない、いる。

 木は姿の象徴。姿は心。心はJETTOES。それは神岡眞弥。カルシウムである。

 地球とはカルシウムのことである。ついでに、組み立てて行こう、宇宙はKansmars2今そこから特に抽出するのは、プロテイン。抜けて、そう宇宙空間を抜けてそこにあるのは、永遠の道しるべ、永遠のスタート地点、永遠の殺戮と永遠の癒し。永遠の太陽は、マグネシウムである。

 オレンジは、そして、酸素/水/鉄である。

 惑星は、そして_聞いてくれ、おれは泣きそうだ。炭素/水素/塩素 である。

 事実がここにある。

 幕開けがここにある。あれ?

 そこに一人の少女がいる。地球様である。

 挨拶をしている。魔王と初対面である。覗いてみよう。


 チョウ*ダレだ? 

 カミオカマヤ*シャチ。あなたとオナじよ。 ナニしてるの?

 チョウ*、、、。

 マヤ*ナニもしてないんだ。  

 チョウ*、、、。ウえジにするのを、マってる。

 マヤ*、、、ホンキ? 

 マヤ*ダメだよ。シんだら。 

 チョウ*、、、。

 マヤ*ミて。 キっていうんだよ。 

 マヤ*キいて。カレがあなたのこと、タスけてくれるんだって。 

 チョウ*、、、? 

 マヤ*このキはね?ミっつの、ツキのカミサマが、スんでるのよ? ショウカイするね?

 マヤ*ミて?カノジョが、キムラユミさま。セイハロー。

 チョウ*ハ、ハロー。 

 マヤ*はっははは、ゴメン。マネしなくていいよ?ツギの、カミサマ、はい、どーん。

 チョウ*!??(あとずさる)

 マヤ*カノジョが、シャイなケイさまだよ。はい、スト~ップ。

 マヤ*はい、サイゴがカレ、アマリイユウさま。ふふふ、ユウさまはとってもエロいカタなの。

 チョウ*、、、。エロいのか。

 マヤ*そこだけハンノウするんだね。さて、イジョウ、アシュラ、ツキのカミサマタチでした~。  、、、じゃないよね、えっと。

 チョウ…おれは、イきれるなら、イきたい。

 マヤ…よくイった! ふふ、あなたにねえ、これからものすごいチカラをアげるからっ♪

 チョウ*、、、メシがタべれれば、おれはそれでい(さえぎられるコエ)

 マヤ*ノヴァスフィア。イマ、このモノにオオいなるチカラをサズけたまえ~。

 、、、 な~んちゃって! ナマエなんていうの?

 チョウ*チョウ。

 マヤ*チョウ。あなたはね!ただこのカミサマタチを、タべればいいのよ?どうぞ。

 チョウ*、、、。それ、クえるのか?

 マヤ*はい、どーん。るように、乗っかった。声も出ないシャチ。女の子は、つぶやいた。

 マヤ*あたしのナは、カミオカマヤ。イチバンサイショの、イきもの、フタリのサイショのコドモよ。イシアガン。 

 チョウ*、、、、!?

 ゆし*ッギャアアアああああああああああああああああああああああああああっ


「ねえ、チョウ」

「おう、眞弥」

「久しぶりだね」

「久しぶりだ、おう、会ったぞ、イシアガンけい」

「ああ。会った?いいこでしょ?」

「そうだな、殴られたが__」

「!」

「いや、そういうんじゃない、正直嬉しかった人類にああやって接されたのは、初めてだったんだ」

「ならいいけど、、、、、、な、殴られた?」

 -

 マウヅは何から説明しようか、焦った。焦るなんて彼らしくないが、けいが余りにも楽しそうだった為、その気分を、どうか損なってほしくないと想ったのである。優しいシャチである。

 心配は、いらなかった。けいは、べつに何を聞く気にもなってなかったのである。

 人類と鯨類。もちろん、比べるのは違う。食し、食されの関係も、ともすれば、間違っていないのかもしれない。だが、実際に、奴らは素晴らしい。ひたすらに、腕を磨き続ける山を目指す登山家のような、人類のプロという概念に魂を込めた、特性。

 鯨類の、我々にとっては未知なる世界で、コミュニケーションの権化となった、奴らの美し過ぎる野生。

 どちらも素晴らしい。

 説教はやだ。

 おれは、シャチが好きだ。

 これからもずっと好きだ。

 シャチを好きだから、おれ糸井宏徳はシャチの物語を書いた。

 これにて、本当の意味で、小学生のとき書いた「ちいさなシャチの物語」完結とする。

 あなたの命の一部となること、あなたというイシアガンの一部となることこの物語は深く望んでいます。

 読み進めて頂いてどうも、ありがとうございました。

 糸井宏徳でした。


 もう一頭のシャチがいた。名は、ノヴァスフィア_魔王とみたゆうかのクローンである。


 <ひなた>


 シャチと言っても、鯨類のシャチではない。

 わからない、と怒らないで欲しい。

 前も告げた。シャチとは、謝知。大地に感謝するものを知るものである。または謝地。それでは、エンジンぶおんぶおん、である。


 いといひろのり


 悲しみを打ち上げる夢、八つ裂き________________。

 <炭素>担当阿修羅桂は、海岸に居た。決してきれいではない海面に、今、キスをする。そこだけ、色が変わった。

 気のせい?

 -

 虚ろな目をして、歩いているのは、木村優美だった。

 この月の神、今非常に、体調が悪い。

 風邪をそう、引いたのである。人外の存在のくせに、どういうことだろうか___本人に聞いてみよう___

「知んねえよ」

 自分に余裕がない時、他人に優しくできないタイプ<ザ・もろ>である。

 -

 スティーブはラップをしていた__

「(っすぅ)Fear me cRACKER WON’T be explaining THIS SHIT NO LONGER I have a fist now hold it CHOKED with burn now rule this own it, I have it , now let you See me follow down path of care for earth and nature, this is my rhyme And planet’s cry,   high~」

 -

 Law Of Threeを簡単にまとめたメモを、笑顔で覚えている女子高生兎瓦けいである。

 ただいま、三重県は鳥羽にいる。

 求喰川から、帰ってきていた。

 ゆしちゃんは、「やっぱまだだった。もうちょっと待って」と、何の責任も取らない、性格の悪さを露呈し、充分もう、どん、けいの中でゆしちゃんの、そう株は下落の一途を辿っている。気にするタマでは、ないが。

「お母さん?ちなっちゃん来週の土曜来てくれるんだって~~~~。」

「よかったじゃん、けい。じゃあ、はい、わたしの肩揉んでっ」

「あははははは関係ねえっ」

 -

 柚宇は、<チキュウガエシ>にいた。神岡浄介と語り合っていた。

 場所は、上野動物園である。

「阿修羅よ。アリにはアリ___なんですが、う~ん心配性なんですかねぇ、あたしも。ゴウ達も、だめだったみたいですし」

「大丈夫です。おれに任せてください。何も、イルカ達_殺す必要はないんです」

「そうですねえ。う~ん。、、、う~ん、ですねえ」

「、、、、、、、、、、、、、、、」

 カエルがゾウと話していた。

 -

 The Smashing Pumpkinsのライブに一人で来ているツチノトである。

 曲は、今あのオクターブ奏法とハ―モニクスを絡めたロックソング<ZERO>である。

「やっぱ、この頃がなあ」

 いや、中にはその前が絶頂だったと言う人もいるが。

 まあ、ヒトの好みかなあ、そこは。

 -

 坂口浄介は、疲れていなかった。楽しかったのである。ちなつも楽しかったのである。

 じゃあ、付き合えばいいんじゃないのか、この二人、である。

「うっほォ!!!!あれ、ゾウのちんこらしいぜ??でっけ!!!」

「やだ、もう」

 やだ、もう。

 -

 木村優美は、眞弥の部屋に上がり込むなり、「眞弥ちゃん、しんどい」と床についた。

 看病モードの眞弥ちゃんである。

 彼氏には、今日やっぱ会えない、と断りを入れた。

「頭痛い?」

 答えるワシ頭。

「うん」

「関節は?」

「うん」

「喉は?」

「うん」

「じゃあ、熱は?」

「うん、、、(さ、と体温計を出す)」

 けっこうつらそうである。

 馬鹿にして、すまなかった。

 -

 HATSUKAセミイルカは、今、<トウロウナガシ>まで、イシアガンで下っていた。

 または、ガスト、でも名称はなんでもいいんだが。

「次は恐竜も従えよう」

 そんな無茶な。である。男の子(世界中)のための、願ったり叶ったり___それを体現する、変態イルカである。

 -

 OMEZAは、<アシュラゴロシ>本来いるべき場所にいた。

 他のイルカも同様である。

 -

 眞弥は、うーん、買い物する予定だったんだよなあ、とさっきから余りにもサンユーを頭に掠めている。でも、病人が、と気を使っている。

「優美ちゃん。ちょっと__「病人、置いて行くんだ__」」

 人参と玉ねぎとじゃがいもと長ネギを補充しないと、いけないのに、と眞弥ちゃんは、<殺人禁止>を見た。

 -

 Coccoのライブに、ツチノト、別の日に来ていた。

 泣いている。

 ツチノトはファンだったのだ。

 -

 レノンはギターを弾いていた。

 なんとまたもや、苫小牧行きのフェリーの上である。隣にかやは、やはり、ご健在である。

「♪Truly~~~At vein I sense you ‘cause thi~♪」

 作曲中である。 

 夕焼けは、吹きすさぶ風と相性が悪く、そのギャップがかわいいな、とかやは意味のわからない価値観でその、時間と状態を愛した。

 かやは、趣味が感性が、アーティスティックである。重要なバンドメンバーである。だから、レノンも厳しくあたる。

 -

 奈良さとしは、今気になる女の子がいる。クラスメイトではないし、はっきり言って一度も喋ったことは、ほとんどない。

 惑星巫天桂である。なぜか、気になる。好き、のうち女辺の最初の線1mmそんくらいしか、所謂好きではないが、なんか、である。

 気になるのである。でも、それは親友の彼女である。

 だから、まあ、今度3人で話せたら、ラッキーくらいに思ったのである。

 思っちゃまずかったのである。

 -

 北海道はいいところだ。それほど知らずに、そう言ってしまうのは抵抗を持つべきなのだろうが、いいところだと思う。

 レノンは、がば、とかやを後ろから抱きしめた。

「♪Truly~~~At vein♪」

 ツチノトの曲をメインに組んでいくのでは、なかったか。

 スタジオにてややの緊迫感_である。

 皆、レノンを見ている。が、多分頭の中では、いろいろ本当にいろいろぐるぐる、イメージ3段メガネステージの自分だぜ、である。

「ってわけで、CD出さずに、今回はもう、ツアー回っちゃおうと思う」

「昨日、反対したばっかなんですけど?レノン」

 かや、マジギレである。

「ああ。いや、聞いたよ?でもさ。うーん、おれは曲げる気ない」

「いや、あんただけの問題じゃないし。新曲中心ってこと?」

「ああ。っつうか、なんかさ。小さいトコでやろうよ。なんか、予定調和になってきてて、つまんねえんだわ。最近のユウホドウ」

「、、、。否定はしないけど、レノンは一人でやっぱり突っ走りすぎだと思う」

 ここでケンカになりそうな空気を、ツチノトが。Coccoのライブでの、感動がまだこのオカマの目を腫らしていた。「うーん」と言っても、うーんだけだったが。

 うーんだけで、いくらか、場の雰囲気が柔らかくなったのは、凄いと思う。

 桂が、ちょんちょんと優しい顔で言った。手元には、なぜかさいばしである。

「またあとで、話そう。カップルケンカしてるし、もはや」

「、、、」

 -

 カブトムシは、木村優美。

 アリは、桂。

 チョウ(蝶)二羽は、ツチノトと柚宇である。

 -

 METALLICAのコンサートに来ている、ツチノトである。

 うんうん、と頷いている。

 あ、リズムを取っているのか。

 -

 柚宇は、写真を見ながら、「坂口坂口~」と言っていた。浴衣に花頭のいつもの恰好である。にしても、こいつは優男風の顔のくせに、背が高い。くせに。

「あ」

 ばったり、である。何やら、この世の終わりのような、顔をしている優美にばったり栃木で出くわした。

 こんなことってあるもんである。

「優美、ちょっと聞きたいことが」

「なに?」

「、、急いでる?なんか切羽詰まってるっぽいけど」

「風邪」

「まじ??じっとしてろよ、なんでこんなとこ歩いてんだ」

「地球ちゃん忙しいって」

「は?」

「ばいばい」

「、、、あ、おい!」

 よろよろ、と足早の優美を後ろから声をかける。

「ちょっと来るか?おかゆでも作るよ」

 お前ら、人間じゃねえだろがっっっっッ。


 坂口君は、もろビビりである。通報する準備も満タンである。見たこともない、浴衣姿の男と、見たことはあるけどなんだかなあの女の子が訪問してきたのである。

「あ?えっと、桂の知り合い?桂なら居ませんけど」

「ああ、知ってる。おれらは桂と同じ、月のモンだ」

 月のモンで通じると思ってるぞ、この変態。

「?じゃあ、いいや上がってください」

 じゃあ、いいんかい。

 -

「いや!おかしいだろ!勝手に寝ないでくださいっ!な???」

「まあ、いいじゃん。まあまあ」

 ふてぶてしい図々しいにも、程がある。

 坂口と桂の愛の巣に、優美いきなり看病してください、ムードである。

 柚宇は、真顔で言う。

「坂口浄介だよな?」

「今更???」

「ちょっとわり、優美を頼む」

「は????」

「いや、もともとあんたには用事があんだ。優美が良くなったら話そう、な?」

「は??????????」

 木村優美を頼まれてしまった坂口君である。

 すうすう、とたぶん神経が全く通ってないこの女は、安心して寝てしまう。

 坂口は、もう、べいびいべいびい、どうしよう、である。

 窓を見た。

「何見てんだよ」

 カラスに対してであった。


 兎瓦けいは、迷った。

 普通に、そういう_そう、道に迷ったのである。

「どうすっぺ、泣きそう。今までで最大のピンチじゃねえか、これ」

 手には、4つの、服服服の入った紙バッグである。

 夕日が目に沁みる。

「、、、」

 いつか来たモールから、ちょっと歩いただけだと思ったのだが、なんか知らないとこに出てしまった。夢中で、歩き回ってしまったのである。

 ここは、家から遠い奈良県である。

 -

「ですからね?ソクラテスは、非常に現代の_」

 次の日の授業中、奈良さとしは、今日は絶対にバスケ本気出そうと思っていた。

 机の下から何か、出した。携帯である。そうだと思ったんだ。

「あん?」

 ちなつからメールが来ている。

 <神岡っちに会ってやってください>とある。

「誰?」と、返す。

 即、返事がくる。

 <わたしの古くからの知り合いで、けいちゃんのこと知ってるヒト>

 奈良さとしは、いや、それはおれの求めていた答えじゃないと思った。

 -

 家に帰った兎瓦けいは、辿り着いた自分をとりあえず、褒めてやった。

「あんだべー、あんだべー、あ~んだ~べー」

 意味はない発声である。

 たぶん、例えば2分後、本人も口にした覚えはない程度の、ものである。

 服を一つずつ、着れるよう処理しながら、ステレオを見る。

「マシンガン元気かなあ」

 <当然だ>と聞こえた気がした。

 -

「当然だ」

 ここは、<アシュラゴロシ>の時代______。現代からだいぶ遡った昔である。ここで注意したいのが、時の流れについてである。

 実は、時間の流れ方がちょっとひねくれている。

 ガスト時代跨ぎは、好きな時間へ選んで行けるわけではない。言い直す。それぞれの3時代<チキュウガエシ><アシュラゴロシ><トウロウナガシ>、同時に流れるストリーム_例えば、よし、アシュラゴロシの一番最初にはもう、戻れはしないのである。

 あくまで、それぞれの時代にはスタート地点があり、後戻りはない。

 今、アシュラゴロシに行けば、もうさっきアシュラゴロシでけいが経験した、かやのキスなどは、もうこっちの時代でも経った分だけの時間が経過しているのだ。もし、わからなければ、僕に直接問い合わせください。電話番号は__。

 -

「当然だ」

 おいたが返した。

「なぜ、二回言った?マウヅ」

「いや、何か必要性を感じたのだ。気にするな」

「(がつ)気にはしねえけど」

 二人きりでいいムード___では、決してないが、2頭は静かな時間ETIAGXN流れる茶屋ひなたにて、ヒマを潰していた。

 ここのシャチの、狩りのルーティーンは変わっていて、毎回当番のように選ばれたメンバーが、全員分のエサを捕るのだ。

 求喰川内のエサは数限られていて、全員が好き勝手に取ったら、生態系が崩壊してしまうのだ。乱獲というやつである。それを防ぐため、おいた達ヨウフは紫陽花を設立し、それを全シャチのための管理庁とした。

 誰が、どんだけこれを狩っていい、というのを毎回、指示として出すのである。なので、当番にならないメンバーはずっとタダ飯喰らいである。

 いや、実は他にも仕事はあるのである。

 おいたは言った。わざとトゲのある言い方である。

「マウヅ。けいちゃんのこと、一人にしないんじゃなかったっけ?」

「ああ。しない。ピンチになればおれはいつでもあの娘のとこに、飛んでいくぞ」

 ばり、とおいたは国定めの尾をもいだ。

 -

 けいは、DVDを見ていた。36回目のミスティック・リバーである。

「ふけえ」

 本当にわかっているのか。ものすごく、理不尽にイライラして、いいだろうか。


「あ?? 帰った??」

 けいと電話する元カレ、奈良君である。

「(ぼりぼり)うん、古代に帰ってっぺ。スティーブさんと知り合いだったん?せめえなあ、世間っつのは(ぼりぼり)」

 ビスケットを食いながら、映画のエンドロールを見つめる。

 そして喋るけい。

「えええええ~、まあいいや、じゃあなけい」

「え?」

 がちゃ・つーつー。

 DVDを抜き取るけい。

 -

「ねえ、スティーブ」

「あ?」

 ここは、崖の上、見晴らし公園である。スティーブは呼ばれて、振り向く。手には、スプーンとそれに付いている味噌である。

「じゃーーん」

 そこには、効果音に値するものがあったのだ。

 スティーブは叫ぶ。

 「おおおお! 気が利くっ仁美」

 また次回。

 -

 <刑事マバタキ>を見ている桂である。場所は、坂口ん家。優美は後ろで寝ている。

「てーい」

「? _」

 手を見ずに後ろへまわし、病人にこうげきする桂。

 優美は無視である。髪をぐしゃ、されて優美は、うざがる。

 顔に出ている。坂口は、つくったおかゆを持ってきた。

「みりんも入れたからっ優美ちゃん」

 みりん、入れちゃったの???

 -

 ゾウは「っぱおおおおおおおおおおおンッ」と威勢よく、声を発した。

 なんと_____________。

「きゃあああああゾウゾウゾウっ_!」

 パニック。

「ゾウがおい誰か、警察っ!!! おいお前逃げろ何やってる!!!!」

 パニック。

 上野動物園にて、ゾウ脱走である。凄まじいジャンプ力である。

「ひまひまひまひまー、阿修羅は何びちびちやってんですか、もう直接わたしが坂口浄介の家に出向きます」

 動物園を混乱に陥れ、今、上野公園にゾウが1頭、出た。

 太陽神の真の力_。

「さて、どこのルートを通りましょう」

 ゾウ、直ちに、四肢をなくし、太陽(頭上)から、反則技的にそれを出す_________。

「ふっふっふ」


 ひなた第2話ETIAGXN THREE


「でもあれだべ?」

「なに?」

 ちなつが、休みに遊びに来ていた。

「ほら、やっぱり」

 マンションの窓、近くの高い茂りに茂った、花粉でも出そうな、死ぬほど出そうな、その木を指差す、兎瓦けいである。

「あ!」

 カエルである。手を上げて、よ。

 -

「よ」

 念悦は姿スナワチ心___________________。

「ほ」

 能幹は魂_____________________________。

「は」

 借農は体__________。

「ワガナハキジョジョウスケ」

 うそだろ、名字あんた神岡だろ。

 光り輝く牙から、炎が放たれた。火ではなかった。熱かった。

 前回りをし、頭部が完全に真下に来たところで、ぐりん、と逆回転それを繰り返す。

 陸から7000mを飛行する、ゾウである。速さは時速30km余り。遅い。

「ちんたらしか、行けないですねえ。はいよー、シルバーっ」

 少しずつ、表皮が太陽に還るように立ち昇る泡に包まれたその哺乳動物は、晴れた空をただただ前に進んでいた。下からはよく見えないようである。ぐぼん、と太陽から伸びた四肢は、うねるように、何かを探すように、動く。

 常人には見えてないようだ。ということは、心ではないらしい。

 -

 桂は優美に言った。

「だいぶ、よくなった?よくなったら帰ってほちーのですが?おねえさま」

「ふ」

「笑うとこじゃねし」

 坂口が頭を掻きながら、勉強をしている。

 もう遅い時間なので、勉強にとりかからないと、明日のテスト(と言っても、ミニテスト、成績に響くようなものではない)に間に合わない。成績良い方ではない、浄介は人より勉強しないとね。

「なあ、桂。いいよ、お前帰れよ。ホームステイ先心配すんだろ。いくらなんでも。お前、全然電話しねえし。ああああああ!違ったし!!ぎょうにんべんじゃなかったしッ!」

「優美ちゃんと二人っきり?おいおいおい!浄介さんよー!最近、本命をないがしろにし過ぎっしょ!馬鹿浄介っ」

 言い返せない、浄介。冗談を言う。

「じゃあ、おれがお前の代わりに帰っか?」

「それでいいじゃん」

 乗っかる優美に、なんかちょっとマジで腹立つ桂。だが、何も言わない。

「ごめんて」

 気付いて、謝る優美。

 窓に音がする。

 ゾウである。

 なんだ、ゾウがウチに偶然よっただけか________________。

「、、、、、、、、、、、、」

 浄介は、無視、そのまま現実逃避に勉強に励んだ。

 -

 柚宇は、みさきに会った。が、あんまり印象が良くなかったらしくもう今は、けいの部屋で3人である。ちなつは、本を手に取って。(あたしが先に予約入れておいたのに、けい)兎瓦けいは、留守番録画しておいたテレビ番組ではない。

「なにしにきたの?女装趣味」

「ああ、女装趣味はな、あれだよ、ちょっとヒマ潰しに来た」

 、、、、なんかめちゃめちゃ嬉しくなるけいである。

「ヒマなの?」

「ああ」

「何も予定ないの?」

「ああ。あ!ああ、実はあったんだが、太陽様にクビにされたんだ。あ、休みのことな」

「へえ。リストラ女装趣味」

「あんさ、殴るからね?いつかっ。ジンルイっ」

「ちょっといい??」

 ちょっといい?と言ったのは、ちなつである。

「ねえ、これ凄くない?ゾウ脱走だゾウ」

 OH~~と頭を抱えている、浴衣リストラ。

 けいとちなつは、まだ新しい風の部屋の中で首をかしげた。っていうか、ゾウ脱走に対して、もっとお前らびびりやがれっ___。

「Man, Why didn’t you tell me about it, master…」

 けいは、それに「は?」とアホ面した。

 -

 ゾウは姿を消した。あがってきたのは、一匹のカブトムシである。カブトムシを初めて見る、今どきの子どもの高校生坂口浄介ははっきり言って、興奮していた。

「ちょっと、、、わたしとベッドに、いる時より興奮してないッ???」

 桂は、もうなんていうか、バカである。

 太陽神が発言を開始した。

 優美は、カブトムシを見ると、お、と言い、しかしまたすうすうと寝始めた。そろそろ帰らないとまずいと思う。

 浄介は聴いた。

「坂口浄介。6億円でいいですか?わたしに一定期間、姿を貸しなさい」

「ねえ、カブトムシ今しゃべったよな。しかも、なんかすげえ内容だったような」

 ふ、と倒れる浄介(坂口)。

 -

 Yuは、海岸に居た。

 そばに鯨類JETTOESはいないようである。

 月が今は、二つしか出ていない。時間帯によって差があるらしい。

 ててて、とイタチのような生きものが、かけずるのが見えた。気にも留めないバンドウイルカ。イルカは、小さく上品な噴気を夜に放つと、潜った。

 海底に咲いていた、(厳密には全く花ではない)ウミユリという生物オレンジを摘み取り、岩に置いた。

「いつも、お美しい。日々、このいるかは感謝しております。反蛇求喰様」

 Yuは水上で踊った。追って響く雨足のような、柔らかい破裂音は、リズムでもメロディでもなく、まるで、音楽の概念を作る前の音_____原始文化___その在り方のような、理解と仕組みを超えた奇跡のような、舞いを披露した。

 Yuはそして泣いていた。あまりにも、愛しかった。

 彼は、音を愛していた。

 -

 ちなつは、納得いかなかった。

「なるほどな。こっちだな」

「そっちけ。あえて_」

「いや、あえても何もこっちの方が、普通にお前のイメージだろっ」

「そうけ。ふうん」

 相手にされていない三日月ちなつは、けいに電車賃を返してほしくなった。夜中1時である。

「ああ、似合うっぽい」

 -

 不思議な物体である。常人には、そう思う。機械である。小さな機械。

「これでここでも曲が作れるっ!!!タカには結局通じなかったからな」

「良かったね、ふーふーふー」

「ドラえもんの真似?」

 崖の上では、日々の過ごし方に更新が生まれ、それが二人に喜びをもたらした様である。

「けっこう高いんだね、そういう機械って」

「ピンキリだなっ。はっきり言ってこんないいヤツじゃなくて、よかったんだが、あーやっぱ海外のは、品がない代わりに、出力惜しみねえな」

 意味の解らない会話のまえには、あるマシンである。どうやら、音が出るらしい。それぐらいしか、まあ、知る必要はないと思う。

 -

 ぱあ。

 太陽の光が眩しいに~ちよう~びィ!よおりのししゃ~~~である。

 3人は、電車に乗っていた。がやがやとやはりの日曜日_人は多いが、うきうきは削がれることなく、けいの表情はいつもの5百倍っ、である。

 ま、いっかな気分になっているちなつは、外を指差した。

「あ、あれ」

「サギだな。アオサギ」

 答えるのは、柚宇である。なんつーことだ。こいつまた浴衣。犯罪ではないが。ぐい、とちなつの服をつまむ、引っ張るけい。

「わたしもわかってたっぺよ、もうっ」

 なぜそんなに鳥知識を披露したがってたのかは、ちなつは知る由もなかったが、まいっかな気分のまま柚宇を見た。

「ねえ、服買ってあげるよ、あんたに」

「、、、マジ?」

「選ぶって意味ね?間違えた」

「服かあ。選び出すと長いぞ、おれ」

 柚宇は、髪をいじった。

 やはり、何かがエロい。わからない。たぶん、気のせいだが。

「その浴衣実はパターンあるよな」

「ああ」

 がとんごとん。

 天気が晴れてほんとよかったなあ、とけいは思った。おめでとう。

 しばらく、平和は続くのである。

 -

 太陽神は、浄介坂口ィ、に成っていた。にぎにぎ、と拳を握る。

 ぱんぱんと頬を叩く。言った。

「ほお、意外と筋肉質なんですね。野球部やめたわりに」

 そばで、桂が何かを言おうとしてやめた。

「さてと。じゃあ」

 ぐわばああああっと布団をはがす神岡浄介。いたいけな娘が寝ていた布団である。しかも風邪。

「仮病ですね?わたしにはわかっていますよ、木村優美?」

 仮病では、本当になかったのだが、むくり、と起き上がる優美。布団を戻して。よいしょ。

 また寝始めるわけである。

「、、、」

 ちゅんちゅん。

 すでに昼前なので、やはりもう一度起こすことに決めた神岡浄介だった。

「はーあ。浄介~」

 と桂はほざいた。

 -

 レノンは、非常に笑いをこらえていた。ツボだった。

「、、、、、!!!」

 見つめる先は、3人である。ワルモノの鏡のような笑顔である。

「柚宇兄さんっ、何尻しかれてるんすか、兎瓦けいにっ」

 レノンはただいま、タイコウチ。


 ひなた第3話-Song For Bloods

 ぶすっとそうなった、そうなった優美の顔を坂口浄介<念悦は>は完全無視する完全無視しながら言った。

 「燃やしますよ優美早く起きなさいっほら!布団から出なさいっ木村優美いい加減にしなさいっ!」

 -

 つまらない一時から、ただ解放されたいと、そのオスは思った____。

 名をイラフといった___隣りに、いるのはサスガである。 どちらも今はこの程度だけ、触れておく>ゆしの知り合いである。

 惑星守護色期巫天の話をしていた。サスガは頭が良く、イラフも悪くはないが、相対的には良くはない。イラフが親友を見つめながら、言った。

「サスガ。お前、ゆし、好きになったってほんとか_?」

 サスガは、尾びれを持ち上げた。先の方が空気中で、冷えて気持ちええ。

「誰が言ってた?はづちゃんだべ、どうせ_」

 いや、という顔をイラフがした。くる、海底の岩と平行に体を水面で寝かせた。くるくる回った。それでも、サスガから視線を離そうとはしない。ゴムで弾くように言葉を発した。

「おれが思っただけ」

 -

 イライラがたまってきた、阿修羅<水素>担当柚宇様である。振り返り、ぴかっとけいがメガネで笑う。

「でよ?したら、マシンガンったらよー。ウケっぺっ?」

 ちなつはクーポンの期限を確かめながら、返す_かなり適当に_。

「いや、もう存在自体ギャグだよね、彼らは」

「っなあ。けい__っこらちょっとおれ、ここ寄ってくわ」

「だからおめ、協調性の欠片もねえって言ってっぺぇっなあちなっちゃんっなあっ?」

 本屋を指差す、柚宇を苦笑いで見る、ちなつ。

「いや、ずっと私たちに付き合ってもらってた感じだから、まあ無理もないっちゃないような気もねー。いいよ、けいも行こうよ」

「なに求喰川に関する本なんて絶対ない思うけど____っ。絶対ねえ_柚宇もっと私を見て__っねえ(どん、と足が本屋正面のおすすめコーナーにあたる_________)」

「さり気に何、すげえことほざいてんだ別に地元の本なんて、興味ねえよお前らから解放されたかっただけだ」

 ひっどーいという顔をする、ちなつとけい。

 静かな店内で、柚宇は一冊手に取る。地図である。

「どっか行きてえなあ。どっか行かねえか。」

 マップルをふりふりする、柚宇は何かを企んでいる様子である。

 -

「ゆしだきゃやめとけって言ったらどうする__?」

 サスガはさっきから話し相手とより、目の前の小さい海老が友達である。聞こうとしない彼に、イラフが引き続き、攻撃する。

「趣味悪いって。さとざくらの、だぞいろんな意味でやべえと思う_」

「ああ」

 サスガは、海老の観察がおそろしい程、気に入った様子である。

 -

「ねえ、今回はなんで、求喰川に行ってたの?」

「え、結局_なんだろ、なんか観光みたいになっちまったなあ、__なあ、柚宇?」

「そうだな。 まあ、愛田屋の準備が整ったら、また呼んでくれんだろ、あのあばずれシャチも。お前のこと」

 レンタカーである。

 阿修羅様は免許保持である。ヒマ人だったんですね、くらいしか思わない。

 けいは、柚宇のシートをいじりながら、言った。

「愛田、、、_屋?」

 ちなつは、窓を開けて、マシンガンを思い出していた。ちなつも、会いたいなあ、と思っていた。幸せなオヤジである。

「恩返しをする店だ」

「へえ」

 恩返しが結局何なのか、腑に落ちないまま、ギターは消えてしまったことを今、思い出した兎瓦けいである。聞く気には特にならないから、違う話題にした。

「あ。ここが、ダウンタウンの故郷け~」

 ちなつは、明日学校サボろー、と思った。

 -

 二択あった。いや、柚宇が勝手に作った。

「<大恐竜展>と、この<スィーツ祭り>お前らなら、どっちがいい?」

 女子にそれを聞くなんて馬鹿である。二人は口を揃えて言った。

「大恐竜展っ!!!____」

 そっち_________?


 LUNA SEAのライブに来ているツチノトである。

 とてもメイクをしている。笑ってやろうと思ってたが、なかなか似合ってる。薄い顔がいい感じに、良質な変身を可能にした様である。

 ツチノトは、どんなバンドの音楽も聴く。

 -

 ちなつは勇気を振り絞った。いや、大袈裟か。

「ねえ、けい。あのさあ」

 会場に入る手前で、真剣な顔をする友人にけいが、心配する。

「あ、トイレは戻ってすぐ右だってよ___?」

 ちなつは返す。

「ばか。じゃなくてさあ、」

 柚宇はもう何を言い出すのか、わかっている。はっきり言って柚宇も、似たような意見である。

「もう、行かないで、求喰川」

「え?わかった。いいよ。お、ステゴザウルスだべ、これ_頭わりいヤツだべ、これっ_ふはは_」

 あれ、である。

 思いのほか、軽く承諾したけいに、ちなつはバビった。歩み寄る。

「?ほんと?けい、約束してくれる?」

「いいよ、別に。好きで行ったわけじゃねえしよ。それよりちゃんと見てっか?ちなっちゃん」

 柚宇は、へえ確かにでけえ、と思った。彼は実物を知っているが。

 -

 坂口(ではないが坂口の見た目である神岡浄介)は、桂と手を繋いで、優美と宇都宮だった。

 商店街を歩き、適当なクレープ屋など、行き、桂に金払わせ、だらだら時間を過ごす。何しに来たんだろう、神は。

「桂。楽しいですか?」

「好きな人と一緒にいるので、まあ、それなりに」

「それはよかった」

 優美は、だいぶ良くなってきたが、病人を連れ出して悪い、と太陽神に思わせるために、少しも笑わないよう努めている。が、太陽神は基本的に喋りかけない。信号を待っている間、神が言った。

「わたしもバンド組みたいんですよ。残りの巫天で組みましょうよ。CRACKYSOUNDS」

 バンド名であろう英語を最後に指しこみ、そこで、会話は終わった。終わった後で、優美はそれって誰が含まれるんだろう、と思った。

 ユウホドウは、レノン、かや、ツチノト、桂である。残り____わたし、眞弥、浄介様、柚宇__確か、求喰様は死亡したはず。

 死なないと言った、巫天の生態に関してあとで追って説明する。

 -

 借農が中心にある惑星巫天のコアは、非常に脆く、何もしなくても、内側から腐っていく。それは、大事な外側の能幹にも悪い影響しか与えないので、時がある程度経てば、別の借農と交換しないといけないのである。死亡の定義は、借農がすり減りなくなること、と阿修羅が言った。そういうことである。借農の交換は意識を保ったまま、速やかに行われるため、もうすぐすれば、反蛇求喰も復活する。わかってほしい、と言うしかない。

 -

 けいは、ほざいた。

「あああああ!あれマシンガンが焼き殺した奴だっぺよ何だっけ、種類、阿修羅様!ねえ。何だっけ_ねえ聞いてっか?」

 柚宇が、目をしぱしぱさせながら、返す。

「恵比寿だ。種類はよく知らねえ。ティラノサウルスじゃねえか?」

 正解である。知ってるジャないか。

 ちなつは、興奮気味に口にした。

「本物見たんかいあんた!色なんだった?」

 恐竜の皮膚の色は、未だに推測の域を出ない。ちなつは、目を血走る勢いで答えを待った。

「色?オレンジと紫かな。確か」

「まじ?ハロウィーンカラー」

 ぽこん、と優しく柚宇が、けいをこづく。

「ちげえよ。古代は、月アナカリスがあるから、光の吸収率がコントロールされてんだ。今の色とちげえよ。まあ、わかんねえだろうけど」

「じゃあこっちの時代だったら?持ってきて?柚宇」

 イラ立つ柚宇。

「っだっから!太陽神様の話聞いてろよ、てめえ!他の時代のもの、持ち込んじゃダメなの!食って消化するぞ、ばか人類っ!」

「人類って言うなって言ってっぺ!ふん、だってマシンガンが太陽の言う事は聞かなくていいって言ったもん」

「ふん。恩知らずのアニマルが」

 ちなつは、かーわいいと言った。

「これすっごい小さくないっ?」

 海洋爬虫類のコーナーである。

 -

 レノンは発声練習していた。「うーえーおーあーいー」

「意味なくない?コーラス入れんの?」

 楽屋である。どんどんどん、と観衆の熱が伝わっている。

「ちょっとアコギでやらしてくれや、アンコールん時。」

 -

 ライブがある、と行ってしまった桂抜きで、カレーを食べる、太陽神と優美である。変な組み合わせ。笑ってやろう。まっは。

「鉄はねえ。一番難しいですからねえ」

「はい」

「優美あれです。この前のあれは私が悪かった。イルカはどんどん賢くなってます。あなたが未熟だからじゃない」

「はい」

「解放して欲しいですか?今すぐ私から」

「いいえ」

「、、、(はむ)」

 カレーはまずまずだったようである。

 -

 到着。

「レノン! ねえ、今日ギター弾きたいっでも持ってきてないから貸してよ、レノンのっ_あるかな?」

 ソファで、レノンがもたれかかりながら、アホ面でアコギのペグを回している。

「いいよ。桂ちゃん。どんなのがいい?しばらく見てねえから、忘れちゃったよ!おい、かや。お前ステージ降りんなよ?隣り神だからって」

「むーっし」

 バッグを降ろし、ピックを出し、桂は言った。

「今日は、なんか、涼しい感じのがいい。テレキャスのあの古いのある???」

 -

 ツチノトは今日、ライブがあるの忘れていた。プロ失格もいいとこである。だが、この分なら間に合いそうだ。あれ、今日は後半のセットどう、組んであったっけ。

 -

 いつか、優美とツチノトが読書していた、神戸のデパート近くにいる、3人である。冷たい風が、そろそろ秋かな、とけいを切ない気分にさせた様である。生意気な。

 柚宇が、「あそこ座ろうぜ。ちょっとちなつ、話がある」

「わたしなの?」

 けいは、ぺら、と残金チェックを、なぜか今した。

 -

 スティーブは、どうやら料理が上達したようである。仁美は、今、かたかたとパソコンを打っている。レポートのようだ。

 <Orcinus orcaと言語特性>

 一瞬見えたのを思い出すと、こんなだったように思う。一字一句合っている自信はない。

 スティーブは、お菓子を作った。

「じゃーーーーん、ロールケーキ~」

「すっげえ。スティーブやんじゃーん」

 仁美さんはほんとはこういう言葉づかいのようである。

 -

 客の熱気はピークに近い。

 ひとっつも聴き取れないが、皆おそらく意味のある言葉ではなく、動物に近い、興奮の塊を、ただ見知らぬ他人と共有しようと、目の前に迫る最高の時間を、捕え、離さないよう必死のようである。せまい。あつい。だが、楽しい。

 暗転した。

 -

 太陽神はメモを取った。優美の喋る内容を、である。ここは、桃どんぶらこの川辺である。緑がうっとおしくない程度に生えた、心地いい場所である。

「、、、。(ごくり)はい、、、。はい、、、。はい、、、、。はい、。、、、、、、、、」

 小声で、優美が何か言っているのを、太陽神がひたすらメモを取っているようである。返事をしながら。一通り終えて、水を飲む、優美。ちら、と見る太陽神。

 太陽神は言った。

「お前、すげえな」

 優美は、表情を変えずに言った。

「いいえ。ただの思いつきです」

 神岡浄介は、草を揉みながら、義務的なことを口にした。

「じゃあこれを曲にしましょう。えっと、どうしようかな。柚宇、、、ドラムかな。ベースはわたし。。。。キーボードは、あなたですね?ギターボーカルはそうすると、地球ですね。よし」

 ぴり、と破る太陽神。ゾウの姿である。目の前に坂口浄介が倒れている。

「さんきゅー、優美。これでもう、7万1千8百曲できましたね。30曲に絞りましょう。では」

 ゾウは、浮いて、四肢を消し、影を一瞬しか残さず、天空へと消えた。コツをつかんだようである。ぐび、と優美。暗くなってきた辺りを見る。

「死ぬほどびっくりしたぜ、今」

 優美、ちょっとちびっていた。

 -

 暗転したと思ったのに、なかなか演奏が始まらない。いや、メンバーはすでに全員ステージにいるようである。ツチノトが、手を横に上げる。スタッフに何か指示を出した。

 ステージ奥にある安っぽいパワーポイントのような、スライドである。白いバックに黒い太い字で何か、書いてある。

 <It’s time to prove…>

 何を。。。?とおそらく全員が思っているところで、青いライトとともにどでかい映像が後ろに流れる。

 ところで、ユウホドウ。デビューは完全なコネである。実力で勝ち取ったデビューではない。こっちの時代が長いレノンは、あるプロミュージシャンを多く輩出している店のオーナーと知り合いだったのだ。まあ、どうでもいい。実力などあとから見せつければいい。

 例えば、たった今から。

 映像は、よくわからない球体である。くるくる高速回転で、何個ものそれが画面の中ところせましと渦を巻くように、ひしめき合っている。あれはなんだ、と全員が思っているところで、スポットライトがツチノトにあたる。なぜ、こいつに。思ってたタイミングと違ったのか、ツチノトがちょっとびくっとする。が、視線を無に還し目をつぶった。再び暗転である。一瞬、画面が動物の口そのアップを映した。全員、何の動物か認識しかけた時、WE ARE THE ORCA 字である。___タカタカタカタカタカタカッ

 薄緑でまだ暗い中、ドラムが響き始める。渾身のただの連続音。粒はしかし揃っている。やはり、うまい。みんなすでに知っている曲が始まろうとしていることがうかがい知れる空気だ。すでに叫ぶヒトがいる。桂がマイクを握る。

「(* *)」

 あえいでいる。

 パ、一瞬ツチノトを照らした。浮かび上がるグレイのシミのようなベースラインがドラムに絡み始める。まだ、基本暗い。薄緑である。ここで、ドラムもベースも止み、音が完全に止む。

 桂のあえぎ声だけになる。と思ったら、笑い舌を出し、背中に配置してあったギターを前方に回す桂。

 <え、こいつギター弾けるん>

 空気が流れる前の列_______________________________。

 ぶち。

 弦が切れた。、、、。さらに口を押し上げる桂。

 ぎょぎょぎょぎょぎょぎょぎょgygyygygygygygyごyごyぎょ8ぎょgyぎぃyygyぎぃぎぃぎぃぎぃyぎygygygygyぎygygygygggygyg」ぎぃいygygygygygygyyぎぎぃyぎyぎぎぃygg

 不快な音を、ギターから竜巻のように放つ桂。場にいた全員のギタリストが言葉を失った。

(。。。 ジミヘン?)

 タンーーーーーー、響いたのはレノン渾身のスネア一発、追うように絡むベースとかやのリフ。ライトが真っ白、死ぬほど眩しくなる。

 ごおおおおお、と迫りくる客席からの熱気。桂がギターを離してしゃべる。

「おうらおうら!!!!!!今日も血と精子全開か、でめえええらあああああああ」

 かやのリフは基本的にきれいだ。6度の音などいつも使わない、ローランドのアンプにまろやかなオーバードライブを絡めた、太く潔い音である。かやの単音リフは初心者にはうってつけの簡単でかっこいいリフだと思う。

 ずっと「<><><><。>」レノンは、この曲中後ろで叫んでいる。たぶん、どんたんしゃん、とか自分のドラムを口でなぞっているのだ。違うらしい。そうするのとしないのとでは。ツチノトは、ばらばらになりそうなアンサンブルを余裕で、繋ぎとめる感じである。

 1曲目:EARTH

 ―

 観覧車を見るでもなく、眺めながら、けいはちなつと柚宇を見た。

 買っていた本を見る<植物ミニガイド>である。ちなつは言った。

「ああああ、どうだろう、わたしもそんなに詳しくないんだよねー、そこの家の娘だと実際ね~」

「そうなのか。いや、どの程度巫天とズレがあんのか、知っておきたくてよ。いちいちチグハグなんだよな、これ知っててそれ知らねえかっつうさ」

 けいは、つまらなかった。いや、ちなつのことは好きである。だが、つまらなかった。植物の話して、と言いたかった。女装趣味変態魔人に。

「だがよ、会ったか?優美」

「優美?誰でござんすか?」

「優美は鉄だ。鉄の惑星巫天だ。ここに、」

「会った!!!!!!!!!!!」

 ばば、と立ちあがるちなつ。けいが、え、と顔を上げる。柚宇は、ん?となっている。

「ええ、会いましたとも」

 キャラが変わっている。

 -

「あ?風神様??」

 熱弁するちなつに柚宇は水を差す。イライラはしていない様だ。けいこそ、イライラしていた。もう、雷神でも風神でもどうでもいいヨと思った。

「そう、ワシ!風を司る神様よ!知ってる?求喰(あさり)っ!絶対その子に返事しちゃダメなのよっ?」

「おれ、同僚なんだけど。いつもしゃべってる」

 ここで、けいが割り込む。

「っはーー、良い天気だべなあ、いや良い天気だべ」

 意味のない話題だった。態勢を立て直し、柚宇に食い下がるちなつ。

「手を切りなさい。なんか不吉な予感がする」

「いや、おれだって、、、あれだぜ?優美なんだぜ、おれも?」

 は???となる辺り。

 おや、頭上に雲が。

「見ろ」

 ずわん。と紫のドレスを身にまとう中華キョンシ-下半身は鯨類のマーメードである。

「?????」

 ちなつは初だった。

「けい」

「うん?」

「説明を」

 ちなつは、怪物を見たような、ままである。

 -

 木村優美は、オレンジである。巫天中唯一、もともと普通の脊椎動物だったものを、太陽神が借農を中心に与え、惑星守護色期巫天にしたのである。

 オレンジとは通常、脊椎動物を指す。それを持たぬものは、他の惑星巫天が当てはまるのだが、昆虫(特にかや、レノン)など、稲妻と呼ばれる。

 背骨がある=オレンジ

 背骨がない=稲妻

 よろしいだろうか。

 -

「だからな?えっと。ちなつ。こういうことだ。えっと___優美は大事なんだ。おれら月にとって。月ってのは、地球様直属の配下のことだ。3人いる。おれと桂と木村優美だ。な?んで。それぞれLaw Of Threeに従って、JETTOES/KANSMARS2/ETIATIAGXN or ETIAGXNだ。受け持つ担当がな?おれは心JETTOES。桂は魂、、、あ、うーん意識のことだKANSMARS2、、、。ちなみに心が姿のことな?そうだよな、わかんねえよな。あとでけいに聞いてくれ。うんと、んであの女の子木村優美は、体ETIATIAGXNだ。体ってのは、脊髄のことだ。この背中のイッポン、習ったろ?学校で。えっと。この役割のことだ。言うなれば、おれら全員の脊髄なんだ、優美は。3人を、いや、ひいては地球様をも支える存在。木村優美はすげえやつだ。こうやって、人間になるときはだから、優美の借農を借りるのが一番いいんだ。一番、力を発揮できる。借農の借は<借りる>だろ?そういうことだ」

「ふうん」

「わかってないね?まあ、言わせろ。お前も聞いとけよ、けい。2度は言わねえ。人間も脊椎動物だろ?だから脊椎動物になるときは、脊椎担当の優美の体になるのが一番自然なんだ」

「じゃあ、なんで地球様も桂ちゃんも、優美ちゃんの姿にならねんだべ」

「あれはセーブしてるだけだ。眞弥ちゃんはもともとものすげえ力持ってるから、あんまり変わんねえんだが、けい」

 ここで柚宇が、挑発的な顔をする。けいは、そのままちゅうして、と思った。

「桂。阿修羅桂が、優美の借農持った時は、すげえことになるぜ?なんの相性がそうさせてるかは、わからんが、太陽神に匹敵する力を一瞬発揮できる。桂は単独が好きだから、滅多にはしないが」

 けいが聞いた。

「前はどういうときにしたの?」

 柚宇はちなつが置いてけぼりになってるのをちょっと、わりっと思っているような素振りを見せたあと____。

「前か、、、?さとざくらとやった時かな。どっちも確か痛み分けだった」

 ちゅう、とストローをかじるけい。あたりが寒くなってきた。

「魔王け?あたし、あいつ殴っちゃったんだけど。そんな強いやつと知らず」

「だから、命知らずだと言ったろう」

「見た目は?」

「あん?」

「柚宇の優美ちゃん借農ver.がさっきのキョンシ-だべ?桂ちゃんの優美ちゃんは?」

 ついていけてないちなつは(桂ちゃんの優美ちゃん?)の顔をした。

「ちなみに、眞弥ちゃんは、ゴーグルつけただけだ。眞弥ちゃん自身がな」

「ふうん。で?」

「ああ。桂の優美はな。ありゃ怖えぜ?手足がない上に、髪が死ぬほど長え。おそらく30mはある」

 げ~~~とけいは顔を変容させ、そろそろここを離れようと思った。

 -

 あれ、足はあったっけな、と柚宇は何万前の記憶を辿った。徐々に明かされる、巫天の秘密____________________。

 -

 ライブが終わると、桂は楽屋でレノンに漏らした。

「弦新しいのに、替えと~~~~けぇよ、レノンんっマジ死ぬほど焦ったわ」

「がはははははわり!なんで切れたんだろな、まだ弾いてなかったべあの時」

 かやが横から。

「どっか引っかかったんじゃない?最近弾いてなかったじゃん、桂」

「、、、」

 返事をしない桂。ツチノトは汗をほとんどかいていない。やはり男っぽい貫禄である。オカマである。

 桂が「アンコールどうする?疲れたから、もうなくてもいいけどわたしは。なはっ」

 なめた発言をする桂に、レノンが真剣に答えた。

 「ちょっとおれにやらせてくれ。したい曲がある」

「カバー?」

「いや」

「オリジナル?ちょっとちょっとー、わたし知らんよ?」

「いや」

 時が止まった。ガストを使ったわけではなかった。

「ステージはおれだけでいい。アコギ取ってくれ。それ」


「ドラム~~~♪レノンだぁぜ~~~ったらよー」

 ふざけた調子で、脇から出てきたレノンである。客は、一人だけということに、逆に興奮気味だ。

 手にはアコギである。(わたしに歌って~~)笑いが巻き起こる。汗をふきながら、レノンが中央に座る。明りは普通のオレンジだ。明るい。

「今日はちょっとさー、この前ラブホで作ってたウタがありましてさー」

(さいてー)

(おれもつれてってー)

 やはり楽しげな空気である。

「がっははははは。ツチノトと行ってやってくれ。そうそう、そいでななんつーか、これはある人に捧げた曲なんだよ」

 この時点で楽屋にて、勘付いた桂は、け、と言いなんか帰る支度である。どうした?

「その人はな、がんばり屋さんでな。いつもおれの面倒見てくれてんのに、おれはいつもありがとう言えなくてな」

 客席がしん、となる。なんつーことだ。いい加減野郎のレノンは泣いている。

「はははっでもな!ふはは、おいおいおいおいおいおいおい静か過ぎるだろお前らぁ!ちゃんと声出せ声だせ。そうそう。ああ、そう。んでな。ほんとにその女には感謝してる。名前は言えないんで___」

 曲を始めようとした、レノンに客が優しく突っ込む。

「じゃあ偽名でっ」

 右手を振り上げ、弦に触れる直前、レノンは呟く__

「じゃあ、酸素ちゃんで」

 -

 けいは、帰りのレンタカーで、眠ってるちなつを見て、特に考えるでもなく思ったことがある。

 兎瓦けいは、柚宇にできれば、自分の親友をちなつ、と呼んで欲しくないな、と思った。べつにいいけど、ないな、と思った。べつにかまわないんだけど。


 ひなた第4話GOD


「そういえばさ浄介様っねえ、ねえってば浄介様ねえねえねえねえっ!__」

 暗い部屋でお仕置きを受けていたのは、いつかの、桂。

 -

「USAR???おい、これ知ってるか、お前___」

「いや? 見た感じフクロウどものバンドっぽいが_____」

 バンドという単語が出ているが、会話現在鯨類により、行われているモノである。伊勢、と呼ばれるグループのシャチである。

 -

 けいは、マシンガンに叫んだっ。唾が飛び散りすぎている。

「っもう!来る前に言ってくれないと、ウチにはもう何もないのっ!マシンガンっ!め!マシンガン、わたし怒るよ!?怒るからねっ_っ?」

「すまぬ。だんだん気持ち良くなってきたな、お前に怒られるのが、兎瓦けいよ」

「冗談は寝て言ってくれや、もうっ。行かないからね?求喰川にはっちなっちゃんに止められてんだからっなんでか知んねけど」

 新しい家のリビングルームで、どうやら電化製品マシンガンは、またエアコンからこぼれてやってきたらしい。一体どういう理屈なのだ。マシンガンは、ふはは、と電子レンジと対峙しながら、答えた。

「食ってやるぞ、シャチ様がな」

「その時点で、あなたゴミ収集車行きだからっ!マシンガンっ」


 ベル―ガとマシンガンと女の子 糸井宏徳


 翻す闇のカーテンのような尾びれは、まるで海中のたうつプランクトンを激情とともに諭すもっと生きろと熱を、押し付けるようである。

 種類:マッコウクジラNAGORI。

 DFLの正式メンバーであるが、現在Yu達とともに居ない。

 生殖行為を必要としない不死身生物のイルカ達と違い、DFLのYu以外のメンバーは普通のオレンジである。ただ、エイゴウズミに侵されてはいるが、なので、社会生活は必要なわけだ。言ってみれば、DFLはただのバイトである。Yuの野望に付き合っているだけだ。尊敬はするが、深く奈落の底まで、あなたとなら、とまでは思っていない。おそらく、そのぐらいの距離感でYuも、いいのだと思う。そんなものである。種類も違うし、そこまで突っ込むべきではない。この辺にしといて、さて、現在この体調17mの青年である。水面で目当ての動物を発見したらしい。そこには、1羽のペンギンが。斜め上の噴気を放ち、マッコウクジラがいかつい体を半分出す。

 茶屋ひなた

 そう書かれてあるモノはどこにもないが、暗黙の了解。さとざくらが経営する求喰川における集い場所、くつろぎ場所である。敵も味方もない唯一の場所___。 

「魔王とみたゆうか様。NAGORIでございます」

「おう」

 やはり陸にいる魔王______________________と、思いきや、シャチではない。

 声はさとざくらだが、どう見たって、奥の芝生には、でかい木が突っ立っているだけだ。

 このシャチ、実は二つの生物の混合である。

 神岡眞弥によって、幼い頃、恵比寿の一種、ウコンザクラに、借農を浸食されたのだ。よって意識も二つ持つ。耳から垂れさがるもの、あれは実はワカメではなく、このウコンザクラの言うなれば携帯バージョンである。

「魔王様。依頼がございます。あの恵比寿でございます」

 ペンギンがぱたぱた、とやっている。岩場である。はて、恵比寿とは植物のことでは。そうなのである。

 鳥、ハ虫類も恵比寿に含まれるのである。人類とは分別法が違う。魔王は答えた。

「その前に、トイレいいか、NASAKE」

「NAGORIでございます」

「すまん。行ってくる」

 -

 おや、と携帯にメールが___スティーブは、それを取った。<チキュウガエシ>に合わせてある、電波を拾う携帯電話である。太陽神が作ったものだ。

 スティーブは誰?と言った。<奈良さとし>とある。

 -

 感動して、泣きまくったかやは誰とも会う気分じゃなかった。本当に嬉しい時や、めでたい時、一人になりたい派である。さびしい性格をしている。

 水族館に来ていた。目の前でシャチがジャンプした。

 かやは、酸素担当である。実際の気体の酸素も含むが、やはり化学の酸素と必ずしも、イコールではなかったことを今更ながら、深くお詫びする。

 体が必要とする、気体。これを指す。または、体に宿っている、気体。と同時に、Law Of Threeにおいて、Kansmars2反発=魂を担当している。

 それは生きものの能幹である。視覚するとなれば、鳥の形をしているアレである。

 -

 坂口は目覚めると、優美の家である。家はないので、木の上。起きると、となりそばで、ほぼ密着する近さで、女の子が寝ている。看病した子だ。浄介は、あ、と思う。あ、と思ったあと、え、と思い、げ、となった。

「やっちまった!!!!」

 いや、やってはいないよ?

 -

 下界(笑)に戻ると、失敬、桂がいた。ストーカー的なところが、ある娘である。まあ、彼氏なのだが。優美はまだ上で寝ている。高さ20mはあるだろうか。本当に高い木だ。八幡山にこんな高い木あったろうか。

 桂は、特に機嫌を損ねているようでも、そう演じているようにも見えなかった。ただ、会えてうれしそうである。

 桂は言った。

「かみさまっ。ちゅうして?」


 ぐばっと開いた肉食獣の口__瞬間それは血とともに粉砕される。

 ぼたぼたと海面に降り注ぐのは、惨殺されたサメの死体である。おそらくアオザメ。

 ここは古代求喰川。

 1頭の鯨類がそのサメを殺したのだ。

「ひっひ~、なかなかいい音出すじゃないか、この弁天~」

 笑い、体温の感じられないやたら高い声。メスのようである。

 その海豚<いるか>、調合惑水反蛇巫天に非ず___。けれども、扱わしたる音は誰よりも、鋭く重い。通称シロイルカ。漆黒の奏で屋。シンガー。名は<OKARA ____同じく、

「そうだな、OKARAよ。 びきびきのめきめきにひしひしと感じるぞ、このおれの前歯がなあ~~~。もっと___血をくれと」

 殺し屋の、ラッキーREPRESENT二刀流イッカク__________________________KANASHI> 2頭は、サメを食わずに、そこをあとにした。

 あとを追うのは、仲間の鯨類3頭である。追って紹介したい。させてほしい。させろっまとめて彼ら、求喰川のエンターテイナー通り名<極鯨雑技団(きょくげいざつぎだん)>正式名称USAR________。

 作中唯一の、鯨類ロックバンドである。

 -

 マシンガンは、けいに聞いた。

「どうだっ?楽しんでおるか?けい、日常はいいものっ_(さえぎられる声_「だっめぇ、マシンガン! こっからこっちが、あなたが食べていいのっ___こっちからはダメなの!もう燃やすって言ってっぺよ、このじいさん!」

「誰がじいさんだ、誰が。柚宇は?おらんのか」

 鳥羽の家、近くの公園でつり皮つきマシンガンと兎瓦けいである。なんと、まだ学校は始まらない。手続きがややこしい、できたばかりの学校らしく、完全に親のみさきに任せているのだが、まだ具体的なひにちは決まってないらしい。べつに登校しちゃえばええやんけと思うが、変な時期での転校のため、授業内容などちゃんと、クラスメイトと同じ地点から始められるように、(ほぼ不可能だが)サポート的な、教材のようなものを支給してくれるらしい、しかもタダである。至れり尽くせりの、いいところである。とにかく、しばらくは(数日間)休みである。いいタイミングでマシンガンが来た、と思った。

「ほらァ!め、マシンガン! そこに座りなさい!」

「なんか、お前本当に飼い主チックにわたしを扱う様になったな。悪くない気分なのが、自分自身悔しいぞ、けいよ。わかるな?」

「話聞きなさい」

 -

 木村優美は、目覚めて歯磨きをして、風邪が良くなったことを喜ぶと、出かける支度をした。山の上、というか木の上で化粧をし始める女。化粧____。メンバー中、一番縁がなさそうな自然体爆裂の彼女が化粧である。やはり、風邪は治っていないのでは。

「♪♪♪」

 期待を裏切らない見事な美声で、自分の朝の時間を彩る。キーボード担当だと指名された、優美は、早速、機材を探しに街に出たのだ。しかし、化粧をしたのはその為ではない。

 -

 用事がある、とやはり行ってしまったのは、柚宇である。求喰柚宇。実は職に就いている。内容は、演劇である。実は、惑星巫天は、その劇団のチーフと契約を取っており、毎年更新せねばいけないのだが、神岡浄介がメンバーの写真と特技などを履歴書として送ってあり、もし役が空いているようならば、巫天のメンバーをそこで働かせてほしい、と言ってあるのである。今のところは、柚宇しか働いておらず、写真としては、桂と木村優美それに地球様神岡眞弥が送ってある。返事が来たのは、柚宇のみだったのだ。女役は足りていたのだろう。以前、神岡浄介が、坂口の体を借りてその劇団で舞台を経験したことが在るのだ。なぜ、女なのに浄介というのは、彼女のプロ志向からである。演劇を愛し、エンターテイメントをそれをできる自分を誇りに思っている彼女のポリシーの現れである。劇団では、いつも男役を女でありながら、熱演した。日本ではさほど、変わった傾向ではあるまい。

 今回、優美に返事が来た。大至急、面接に来てほしいとのことである。これで決まれば、地球様だけがニートということに、あ、バイトしていた、そういえば。

 -

 眞弥は今、彼氏と一緒にいた。映画を部屋で見ていたのだ。実は、緊張で死ぬと思った眞弥は、吾朗を今まで部屋に入れたことはなかったのだ。さっき、吾朗に劇団にコネあるけど、興味あるか、と言って苦笑いされたところである。

 もちろん<殺人禁止>は剥がしてある。

「ねえ、眞弥。あれだよね、殺風景だよなー、この部屋」

 地球様は、映画に集中してよ、と思った。

「あ、あれかテーブルが小さいからかな。一緒に住む?眞弥。なんつってっ!そんな早すぎるよな、展開っ、自分でウケたわ」

 地球様の頭が噴火した。マグマ大国ベリーマッチノーサンキューである。

「住もう!!!吾朗くん!今すぐ、はい!」

 手渡したのは、旭化成である。

 -

 さとざくらと<チキュウガエシ>で会えたのは、数日前である。いや、もう2週間くらい経つかもしれない。千葉の水族館近くに現れたさとざくらと眞弥が浜辺で遭遇した。

「そういえば、眞弥」

「なに?」

「マウヅさんの、鉄持ってたシャチが最近死んだって」

「そうね、ニュースで見た」

「、、、、」

「だから?」

「けいは会えたのか?シャチ」

「会えずじまいだったね、結局。しょうがないよ」

「しょうがないな」

 -

 感動とは、涙を誘う。

 興奮とは、血を巡らせる。

 セックスは、生をひたすら喜びに変え、食は、純粋な満足そのものだ。

 音楽も、とても、いいものである。それ以上でもそれ以下でもない。

 ひたすら、いいものである。

 -

「ねえええ!!!!!これ!!!!これ!!見て、うれしくない!!!」

 <ライブレポート流星バンドユウホドウ>

 雑誌を指差し、かわいい顔をして、桂がツチノトに寄る。ここはスタジオHURRICANEPUSH。

 ツチノトは、あたりめ食いながら、それを見る。冷静だ。ちっちゃ、記事、と思った。

 こうある。

 <奇跡のギタリスト降臨!? - 初めて見たのは確か、渋谷の小さいライブハウスだったが、正直その時の印象は、いい意味でではなく悪い意味で完成しちゃってるかな、という感じだった。だが、時が経ち、再び目にした時、もともとのやたら分厚い隙のないアレンジをいい意味で崩し、形を壊しながらも、次の次元へと攻める姿勢が見て取れたのだ。このバンド、まだ化ける、そう思わせたのである。そして、今回のライブ。鳥肌が立った。人気曲の<EARTH><STRANGE REALM><LEAD ME IN THE NIGHT>など多数配置された、鉄板なおなじみセットではあったのだが、新曲の、タイトルは聴き取れなかったが、ボーカルのKEIが、後半2分半ものギターソロをかますあの曲は、マジにバンドとして惚れた。ギターという本来なら、エゴで突っ走る危険性が最も高い楽器をして、バンド全体のクオリティを上げてみせたのである。正直、今までその腕前をなぜ披露しなかったのか、全くの謎であるが、まったく可能性の塊のような、エネルギーを垣間見せてくれた夜であった。ちなみに新曲は~>

 -

 ゆしは海面を破る。

 何かイヤな予感がした。迫りくる予感ではなく、親しい誰かに心配した。その誰かに迫りくるものに対しての予感。

 このシャチが恐れているものなど、宇宙にない。

 -

「はい、木村優美さん」

「はい」

 なんとも、育ちが良さそうかつ、箱娘というのではなく、解放感あふれる感じのいい女の子が入ってきた。

 表情を変えず、面接官が告げる。

「こんにちは。(こんにちは、木村優美です)はい。ええ、お越しくださいまして、ありがとう。浄介の、グループの方で間違いないね?(はい)えっと。あー、全然くだけていいよ。ほぼ君は採用だ。(ありがとうございます。えっと、、、え。そうなんですか?)いやまあ決定したわけじゃないが、まあ浄介が推すというのであれば、間違いはないだろう。あの柚宇君もよくやってくれている。彼は才能があるよ。ああも、女役を完璧に演じれる男優はね、うーん、わたしは知らないとまでは言わないがまあ言いすぎではないだろうな。色気がある、なかなかいい男だよ。さて(はい)」

 優美は顔を上げた。美しい女だ。

「一つだけ聞きたいことがある」

 面接官は動物に化けた。

 キツネである。尾は、一本だが、念の為。

「好きな動物は?」

 優美は、ぎらと目をすわらせた。氷でも炎でもない。、、、そう、鉄。

「シャチ」

「よろしい、追って連絡する」

「ありがとうございました」

「頼むよ?」

 -

 柚宇はカルビーポテトチップスの虜になっていた。今、兎瓦けいと、カルビーポテトチップスどっちを取るか、と聞かれれば一瞬ためらいそうである。それぐらい、こいつが阿呆ということを、証明しただけであったな。

「こんな偉大なもの、なぜ、太陽様は教えてくださらなかったんだ」

 普通にカエルの姿で、けいの部屋に窓から侵入するアホ花頭。

 生きものと目があった。充電中の家電マシンガン定価590円である。値下がりした。

 カーテンをよけて入ったカエルは、涼しい風吹き込むこの部屋で、置物のようにじっとしている無能鯨類を蹴った。

「ぬ。何をする、月。 挨拶という言葉を知らんのか」

「月と呼ぶんじゃねえ。おい、けいと二人っきりになりたい気分なんだ。どっか行けよ、シャチ」

「は。笑わせてくれる。非常に笑わせてくれるぞ、惑星巫天<水素>担当求喰柚宇よ」

「なんで今更FULL DEFINITIONかましてくれたんだ?悪い気ぁしねえがってア?」

 見つけたのは、見知らぬ、いや知っている人間である。知っている。カエルは言った。

「奈良さとし???」

 そして肝心のけいは、どこにも居ないっぽい。

 -

「できたー!さとしーできてしまったよー!わたしの、なははっ力作がっ」

「おお、家庭的とか、お前から一番遠いと思ってた単語が若干浮上してくる思いだな、これっ」

「うっせし。はい、もうやんねえ。元カレは帰ってくんろ」

「(がぶ)」

「ああ!勝手に!マシンガンからなのに!」

「おれ、家電の次っ!?」

「ったりめえだっぺ??ほら、早く話ってなに?わたしまた出かけねえといけねえから、早くしてよ、さとし!」

 けい手作りの、フルーツタルトである。言えないが、ほぼ、壊滅状態である。しかも、今回のはやっと<成功>の部類に入る、9弾目。

 才能がないとはこのことだ。「何を言っておるのだ、兎瓦けい。わたしは機械以外食わん」

 部屋で、どっこいせ、と腰をおろし、対するさとしはベッドに座った。カエルが睨みを利かせているのに気づいていない。

 けいがマシンガンに笑って答えた。

「一口くらい食べてみてよマシンガン様!わたしの手作りっ」

 マシンガンは、なんか赤くなった。マシンガンはマシンガン様の響きに弱い。さとしが、布団の繊維をいじる。

「スティーブさんって知ってっか?なんか崖の人」

 けいがモロにウケる。

「あっはっはっははは、崖の人ではないけど、知ってるよ?髪長くて束ねてるイケメンだべ?」

「そうそう、あ、わり、いや見かけはしんねえんだけど、そう聞いてた。あのひとがなんかさ」

「うん」

「お前のこと、好きだって」

「????」

 ?である。好きには種類があるが。あのひとには、仁美さんが。

「、、、」

 言いながら、さとしは回想する。ちなつとの会話をである。

 <ちなつ「うそをつくのよ。 スティーブの兄貴が、兎瓦けいのこと好きになっちゃったから、会いたいって」

 さとし「どう~~考えたって無理があっぺよ、何のため?っつうかおれがそれを?自分でやれよ、ちなつ」

 ちなつ「わたしだと絶対うそってばれるもん。いいんだって、どうせ崖で会えないんだから。そんでね?こう言うのよ_>

 さとしは、言われたままに口を滑らした。

「けいちゃんに一目惚れしたんだって。前会った時、だからさ、会いたいから、けいちゃんにはずっと<チキュウガエシ>っつうんだっけ?現代にいてほしいらしいよ?」

 は~~~~~?という顔をしているけいである。ほんとかよ、である。スティーブの印象は悪くなかった。むしろ良かったが、全然仁美さんのことが好きっぽかったし、自分は全然子供扱いされているとしか思わなかった。

 けいは、目を細める。

「なんか企んでない?ちょっと信じれねえわ、それは」

「まじ?いや、ほんとだけど。疑われても、おれは痛くも痒くもねえけどな」

 さとしは、演技が上手い。マシンガンは寝始めた。なんか、思い出すものがある。

 カエルが言った。

「おかしいだろ。聞いてやる義理ねえしな。なんだ、会いたいからそこにいろって。だいたいおれの前でナニサマだ」

 カエルは怒っているようだ。無視して、けいは食器をほ、と人数分出した。

「話ってそれけ?またくだんねえなあ」

「くだんなくなくない?」

「くだんなくなくなくねえっぺよ、意味わかんねえって。スティーブさんの電話番号教えてよ、今確認するから」

「それはダメだよ!」

「は?」

 なんかぼろが出始めている。

 -

 USARのリーダーOKARAは、ひなたにて呟いた。

「ちょっと連れてって欲しい時代があるよ____、GORO!」

 さとざくらに対しての様子だ。返事がある。

「どの時代だ、OKARA」

 にひ、とベル―ガは不気味な笑顔をつくった。

 このベル―ガ。よく見ると、白目である。

「<チキュウガエシ>」


 ひなた第6話GUITARSPEAK


「全JETTOESに告ぐ_______________マウヅ調合惑水反蛇巫天総司令官だ____________________一つ勘違いしていることがあるぞ、心して聞け兎瓦けいは、敵ではない_______________繰り返す___こちらマウヅ調合惑水反蛇巫天総司令官だ兎瓦けい_____________人類兎瓦けいは敵ではない___________________繰り返す。

 -

 ツチノトは、レノンを呼びだした。

「なんだそりゃ?ツチノトっ____殺したのか、お前、あれほど惑星巫天はオレンジを、意味もなく殺害ん?JETTOESか、それ?おいツチノトそれ、血か!おい、だいじょうぶか、お前ひ! おい、桂呼べ桂!桂! 桂はぐ、くそ桂________桂! ツチノトの能幹がやべえ、このままじゃ借農に到達する桂!!! お前の力が必要だ、おい!くそ、どこいやがんだ、あいつ_おい、桂! 阿修羅月の神<炭素>担当桂!!聞こえるか!!ちちくり合ってる場合じゃねえぞ、<チキュウガエシ>にUSARが来てる!おいマジか、あいつ_桂!」

 -

「けい。ちょっと聞け。つらかったら、目をつむってていい。おい、たぶんだが、お前が会ったヤツ全員がお前を憎んだわけじゃない、けい!本当に何頭かなんだ!古代イシアガンに未だに、つまんねえ私怨持ってやがんのは!聞け、あのイルカ達いたろ!あいつらだ、気を確かに持てよ!だが、ゆしを始め、ヒヨドリ____えっとSTAKE HOUSE_でもねえな、ど忘れしたっシャチだははは、ど忘れってあんだな本当に!シャチはお前を恨んじゃいない!あいつらは賢い!!覚えとけ?イルカと! 、、、あとは知らなくていい!」

 一番最悪なグル―プに関してはふせたマーメイドキョンシ-だった。


 ここは、古代求喰川______。今、浮上する背中がある。OKARAとKANASHIである。

「もう行かない!?」

「ああ、そうだよ、声がでかいKANASHI__」

「でかくもなるだろう、果たすんじゃなかったのか、OKARAおれたちの復讐を!」

「馬鹿だね、あんたは。本当に。見えなかったのかい?浜辺からっ!猿どもの発達した世界っきゃっははっは、よくも気違いのように、あそこまで他種を排除する世界を整えたもんだよ! KANASHI、あれはね、敵わない!無理だ、人類殺すのは、あきらめろ」

「OKARA!!見損なったぞ、お_見損なったお前をみ_「黙るんだよ、能なしクジラ! あんたねえ、死んだらもとも子もないんだよっ。待つんだよ、時を。チャンスを。全員排除はできなくても」

 海面でシロイルカが、大きく笑う。皮肉にも愛らし過ぎた。

「娘一人くらいは血祭りに上げれんだろう!?知るだろうさ、それだけでも!何かが変わる。人類の精神はもろい」

 KANASHIが返す

 「じゃあ、行くんだな。また<チキュウガエシ>に!兎瓦けいを殺しに!」

「話を聞くんだよ」

 くる、波を止めるように、イッカクに振り返るOKARA。笑いが止まらない様子だ。

「けひひ、絶対に向こうから来るっっ!わたしたちはもう、やるべきことは、終わらしたんだ。賭けてもいい。あのあほ人類はあほ面下げて、三度、この求喰川に来る。そのとき、全身の皮を剥いで、反蛇求喰様に、捧げればいいのさ。きゃっは」

 KANASHIは疑った。

「本当に来るのか?なぜだ?」

 OKARAは質問に応えない。

「きゃっははははははははははははははははははははははははははは」

 -

 ここはどこだろう。お、自分はまだ生きているらしい。生きていていいらしい。死ね、と願っている者がいても、自分は生きてていいらしい。誰だっけ?わたしは__。なんで、こんなにつらいんだっけ。なんで、こんな思いしないといけないんだっけ。なんで

「ああああああああ ああああああああ!「おい、けい!黙れ!しっかりしろだまけいっ聞け、お前は全然悪くねえおま_全然悪くねえんだ、聞けあいつらがとち狂ってるだけだ、なお前はひとっつも__「死ね、って言われた!ぅ死ねって!柚宇!もうやだ!いいやだ!やだ ぅぐ、うなんで、ぅ ぅ_____なんであだじはなにもじでないっううう うう!柚宇!してないっお願いしてないけいはなにもしてないのにうう うう! う」

 葉がけいの顔をおおった。

「けい。いいから黙れ」

 ひどい顔だ。ひどい顔でけいは柚宇を見つめた。

「死にたくなかったら、黙るんだ。いいな。一言だけ言わせろいいか、けい、守るんだ、お前は!おれが、、」

 震える今にも消え入りそうな女の子を、存在を自ら消してしまいそうな女の子を、女の子を、花、たんぽぽよりも優しく見た。

「お前はおれが守るんだ。心配いらない。わかったら、黙れ。いいな」

 だめだ、それでも崩れそうである。けいは、だめになってしまった。

 柚宇は、けいにキスをした。ずっとキスをした。振り払うけい。土を、地球の反対側まで、恨むように見るけい。別人である。彼女の中で木霊する音。

 しね

 しね

 しね

 しね

「ああああああああああああああ!!たすけ!ああうぐぅやだ」

「けい_聞け「あああああああああ ああ あああ「けい聞け「ぐ あ、、ぐ 何?

「おれが

 おまえを

 たすける」

 けいは見た。自分のたましいが甦るのを感じた。

「おれが

 おまえを

 まもる」

 翼を広げたのは、いつか礼文島で見た、鳥である。能幹、そう説明を受けた。

「おれがけいおまえをすく、、すく、すくおまえを兎瓦けい、おまえをこのつきが

 <月と呼ぶんじゃねえ>

 このつきがおまえをすく___」

 そのとき、見たこともないものを柚宇は見た。

 あの芋虫である。だが、小さい。けいの腰に、眠るように座っている。けいは思い出した。

 <恩返しとは

「けい。恩返しってのは、この2頭を使いこなして、この惑星を>

「救う事____ねえ、柚宇お願いもう一回言って?礼文島で言ってくれた言葉。もう一回教えて? お願い、お月様わたしだけのお月様。

 <いいぜ、けい。恩返しってのは>

 今、鳥はけいの血液に溶けた。

 <この2頭を使いこなして>

 今、芋虫はけいのお腹に到着した

 <この惑星を救う事なんだぜ?>

 生えた。

 けいに何かが生えたのである。

「けい」

 真の強さとは、無理をすることではない_真の強さとは弱さを拒むことではない_真の強さとは逃げないことじゃない_真の強さとは誘惑に負けぬことじゃない_

「けい。行くぞ。、、、IT’S SHOWTIMEだ。けい_____」

「恩返しの時間だべ、この惑星によ?___」

 真の強さとは立ち上がることだ。どんな困難にも、どんな壁にも、どれだけ否定されようと、どれだけ打ちひしがれようと、どれだけ、闇雲が届かなくとも、また、それをやるために立ち上がることだ。

 最強イシアガン兎瓦けい____誕生。

 -

 JETTOESは三つに分けられる、そう述べた。フクロウ/ヒヨドリ/ウグイスである。俗称でしかない、この名前は、実は一つのある鳥類に集約される。古代求喰川において、鯨類はツル、そう呼ばれている。けいに傷を癒された、シャチの体は、その恩を果たすため、原始シャチ、マシンガン<正しくは眞(地球)神GXN(JETTOESの意>の魂を借り、けいの前に現れた。JETTOESの恩返し。惑星級の愛。繰り返す、JETTOESとは鶴の意。

 これを真の<鶴の恩返し>とする。

 

 ひなた第7話STRANGE REALM


「安心するのは、まだは_兎瓦けい、こら寝んなっいきなりケロっとしやがって、なんなんだ、イシアガンの精神っつうのは、惑星巫天の比じゃねえほど、強靭だなっ__兎瓦けいちょっと、きぎゃははははははははははははははははははははははhてめえこの何考えてんだこのやめろくすぐるんじゃねえぎゃはははははははっははっはっはははは最強だな、お前はほんとの意味でムラムラしてきたな、街中(まちなか)でむちゃくちゃにして、いいか、兎瓦けい_ふやっぱダメか_____________?____どうした_____どっか悪いとこでも_________ちゅ______おい、そんな見んじゃねえ、マジで押し倒すぞ、いや、べつに(ちゅ____________やべえ、ほんとに

 やべえ________________ほんとうに今、むちゃくちゃにしてえ

 やべえ_________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________________。好きだ、けい

 愛してる___知ってるか鯨類の間で、愛その表現は_____全部で七十七個も____全部で七十七個もあると言われてる、驚くだろ引くレベルだろ________あいつらの、ツルの愛は____あいつから、話した方がいいと思ったんだがな、けい教えて

 やるよ、マシンガン____あの生命体の正体を_____Law Of Threeを思い出せよ兎瓦けい______あの水族館のもうしんじま、自分お、けい、自分で言ってみろ、______その通りだ、反発は<アシュラゴロシ>に絶滅クランOFFSHOREとして君臨した暴君マウヅ__________________音はこの<チキュウガエシ>のモティOrcinus orca KILLER WHALEあのシャチだそして_______________________重力はイシアガンの生み出した電子機器ってわけだ! あいつの存在自体がお前への恩返しだったんだ、ヤツの言ってることは、いつも、矛盾もいいとこだったろう?そりゃそうだっだってもう、恩返しは完了しているのに、更にそれも知らず、けいお前に無理やり、他の動物を使って返そうとした。はっきり言ってあいつは、頭がわりいぎゃはは、だが、どうやら学ぶものもあったな?おれもお前もよ?あの<眞神GXN様>からな??けい、そうだろ、ああ、よし、ちょっと遠くまで行くぞ?外国は行ったことあるか?けい_____________________シアトル行くぞ、そうだ、このままだ。 ちょっと待ってろ、義母さんには、おれが話つけとく_って離せよ、けい大丈夫だって離せ________」

 -

「大丈夫?ツチノト_____ねえ、起きたよ、ツチノト_______桂、来て_____桂?どこ行ったの?桂、桂_______桂!やめなさい、どこ行くの_

 <アシュラゴロシ>?何しに___復讐?ダメよ_勝てる勝てないの問題じゃない__炭素と動物が、戦って何になるのよ____いいから、落ち着きなさい!あなたはいつもそう!!! 感情でしか、動けねえのかよ!ガキ、桂!木村優美の言う事を聞きなさい。そう、そこに座りなさい。勝手なことはわたしが許さない。けいちゃんは大丈夫。ほんとは、あんたが一番あの子のこと、心配してたんでしょ?口ではああ言っておきながら。で、はい、すぐ泣くからね、あんたは。 泣くとこあったか?今_桂、大丈夫よ、柚宇がついてるから。 傷一つつけられやしないわよ、あいつこの時代じゃ腑抜けもいいとこだけど、古代でどれだけ馬鹿してたか、知ってるでしょ?___よしよし、 けいちゃんは大丈夫__けいちゃんは大丈夫__自分が一番つらかったんでしょ?兎瓦けいが敵なんて、言って。 そうしないと、JETTOES側を肯定することになってしまうから。桂。あなたは誰より、人類を愛しているものね。太陽神様より。誰より。桂。ギターを弾きなさい。こら、笑うなわたしは本気よ けいを救いたかったら、ギターを弾きなさい。逃げてんじゃねえ。 ギターを弾きなさい。あんたのギターは、ゆしを復活させる。あんたのギターは、ゆしのやりたいことを完結させられる。時代なんて、越えられる。可能性は、目の前にいる___________桂。兎瓦けいと、組みなさい。 今までのポリシーを、意地を、すべて捨て去り、けいと行きなさい。<炭素>担当___つまりは、惑星全域における、全表面および、液体担当、阿修羅桂。 この<鉄>木村優美が命ずる。 わたしの借農を使って、あなたはギターを弾きなさい。あなたなら、人類を変えられる。あなたなら、時代を繋げられる。いける。そう、おっと私に惚れんなよ?なっはっはじゃあ、わたし仕事あるから。頼んだわよ?KANSMARS2」

 -

 KANASHIと、OKARAは実はもうあきらめていた。

 OKARA「ねえ、KANASHI。ぶたないでね? ほんとは、もう、どうでもいいのかもしれない_____なんかさあ、馬鹿みたいじゃない___________?」

 KANASHIが答える。

「ツチノトを殺らせたことかロクロウに___?おれはやはり納得できんな、なぜだ、なぜOKARAまだ何もしていないのに、もう兎瓦けいすら、殺す気はないということか?」

 OKARAは応える。ゆっくりと。狂気は消えている。 

 太陽が眩しい。

 ひなた茶屋では何頭かの、鯨類が羽を、いやヒレを休めている。

 さとざくらは、混んできた店内を快く思っているらしく、さっきからゆしとイチャつき放題だ。

 OKARAの言葉はこうだ。簡潔に述べた。

「けいの言葉を聞いたか?KANASHI___さとざくらを通して、<チキュウガエシ>のけいの魂の言葉を聞いた。 KANASHI。けいの方が大人だ。私たちよりだ。認めろ。いや、人類はクソだ。間違いはない。が、兎瓦けいもクソだ、という考えは許されない。それをすれば、人間と一緒だ。何でも、括ろうとする人間と一緒だ。KANASHI。兎瓦けいは、自分の命を狙っている者がいると聞いて、それでも立ち上がった。愛する者がそばにいたということも、あった。だが、それだけじゃない。奴は言った。惑星に恩返しをする、と。笑える権利は、わたしたちにはない。イルカどもは、狂ったままだろうが、このOKARA。どうやら、あの娘に惚れた。あの娘に惚れたよ。この一度、人類を絶滅させたほどの、殺人狂、OKARAがね。マウヅなんて知ったこっちゃねえ。あたしに敵いやしない。正確には、あたしとKANASHIあんたにはね。関係ないよ。おい、さとざくら、気が変わった。復讐はなしだ。あたしが、イルカどもから、兎瓦けいを守る。KANASHI、NOとは言わせないよ?そして、おい、さとざくら。あんたも、手を貸すんだ。イルカどもを殺しちゃいけないよ?まあ、不死身だが、あくまで、説得だ。奴らの気狂いを止めるんだ。ついさっきまではあたしがそうだったが。KANASHI。キスしておくれ__________ありがとう。行くよさとざくら、どうだ?どうする?あんた次第だ。無理強いはしない。どうだ?あっはははははははははははははは、そうだな、もう、何万年も人類を憎み続けたあたしの気持ちを変えたんだからな、会ってもねえのに!すげえ女だ。兎瓦けい。さてと。行くか__魔王とみたゆうか、平和の為、ゆしに手を貸すぞ。__________________KANASHIまだ納得いかないかい?それでもいいよじゃあ、ったく男は馬鹿だねえどの種類でも______________いいかい。こう思えばいい。私たちは生まれ変わる。 間違っていたことを認めて、兎瓦けいのように、もう一度立ち上がるんだ。私たちには、それができる。わかったか?KANASHIあんたを愛しているから、言うんだ。新しい時代が始まる。USAR、まずは惑星巫天どもと、対バンだ。いいか?あのレノンとかいう、ガキのハナあかすよ?今がスタート地点だ。しかし、馬鹿だな、兎瓦けいは。誰か教えてやれよ、もう誰一人、お前を殺しには向かわないと!!あたしが誰ひとり、兎瓦けいには触れさせないと!!


 その海豚<いるか>


 このOKARA、

 

 命に灯したるは、暗黒の、情景______ゲイン____マスター_____音を極めし、必然の旋律、

 

 我すなわちこれ、MUSICなり

 

 ベル―ガまたの名をシロイルカ______________________

 

 歌え、くじらどもあたしに劣等感を感じながら、あの惑星巫天の炭素くらいだろうな、わたしと対等に音、並べられるのは、かっかっか、あのエロガキは今、<チキュウガエシ>かい______________________ふん、残念だ。 


 最強硬化ダイアモンドを音で作り出す


 おい、KANASHIやっぱり<チキュウガエシ>に行こう。バンドを組むぜ?巫天と


 愛の暴力使徒

 名をOKARA


 ひなた第8話THREE


 宇都宮の街は、そこまで超便利~と、言うほどでもないが、皆親切の権化というわけでもないが、おれは好きだ。何か、懐の広さがある。 自転車で、思うがままに回っている手当たり次第に、道を行くそんなヒマ人をしていると、変わりゆく景色は、ほんとにおれを楽しませる。どこまでも、しっちゃかめっちゃかでランダムだ。さっきまで、都市っぽかったやんけーとなる。なんか愛すべきものを持ってる街なのだ。

 おすすめスポットは~

 -

 成田空港________兎瓦けいとカエルである。

「なんかよ?スーパー花男変態女装趣味リストラ単細胞に、言いたいことあんだけどよ?__なんかもう、あたし何も怖くねえんだ、いや何が起こってもっつんじゃなくてよ?もう来ねえんじゃねえか?誰も。。。なあ、柚宇。どう思う_______?????頭おかしいかな、あたし。____寝てるし、こいつ。っきしょ、一体誰としゃべってんだべ、、、もう。_____________シアトルかー名物なんだべなイチゴ持っていきゃよかったかなあ。____________そうだよな、もう来ねえ気がするよな?柚宇。やっぱ、帰る?宇都宮違った鳥羽か____だべ、思うべ?なんかマシンガン達がよ?あ、_____う、____う___あた__あた___ブルースリーかっつうな__あっはっは___、、、_____、、、、う___うぅマシン_ガン__とか、__ゆしちゃんが___う_あた____うあたし_のこと_あた__あたしの_____ことを_狙う悪者をよ? やっつけてくれんじゃねえかって気しかしねえんだ______なんも心配いらねえ気がしてんだ____柚宇___すげえな、あのシャチ____こんな頼もしい気持ちにさせてくれんだもんな___すげえよマシンガン様____マンハッタン住もうべな、マウヅ。寝んなっつの、ばか。もう知らない。帰るよ?いいね?よし ちなっちゃんに電話すっから。

 -

 さとざくらは、Yuの前にいた。

「どうした、とみたゆうか。おれを殺しにきたか?できるぞ、お前が本気を出せば。命乞いを聞きたいか?おれから。あ?<チキュウガエシ>に行くな?何故だ。お前も人類が憎かっただろう。違ったか?違わないだろう。お前の、すべての月の神の力を授かった反則技なら、殺せない対象は、太陽神くらいのものだろう。どうしたんだ、どうした。あ?<チキュウガエシ>に向かうなら、殺す?おいおいおいおいおい、じゃあ行かねえよ!行けねえよ!お前がそう言って、現代に向かう馬鹿がいると思ったか?あ?ゆし?誰だ?お前の嫁?知らねえし。そいつがどうした。そいつが認めたのか?兎瓦けいを?何故だ。あ?あああ?マジか。聞いたことはあったな。時代を三つ<チキュウガエシ><アシュラゴロシ><トウロウナガシ>をすべて一つにしてしまう秘術を。あの、ゆしがそうだったのか?兎瓦けいが、ゆしをその気にさせたのか?なんつー人類だ、最早けいは人類じゃねえな。新人類だ。頭がおかしい。どけよ。もう、行く気はねえ。わかったよ。DFLも解散だ。っつうかな、さとざくら。お前が、兎瓦けいを守ると言えば、もう誰もその人類に指一本触れることはできない、わかるだろ?ふ。おもしれえな、おもしれえことになってやがんな。おい、こりゃ終わりじゃねえ、始まりだろ。鯨類と人類と真の交わりの始まりだ。覚えておくぜ兎瓦けい。このYu様も、あの女についてやる。幸せな女だ。くっくっくっくっくっく気が変わったとはこのことを言うのだな、ははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっははははははははははははははははははははははははははははははっはははははははははははははははははははははは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 兎瓦けいになら、芸を仕込まれても構わんぞ とみた あはははははははっはh


 完


 この作品を、おれの愛すべきに捧ぐ


 Love is here, it’s all for you


 ひなた第9話<イカリカスガイウミユリノウタ>


「あ?_おい、てめこらシャチ、知らばっくれてっと殺すかんな?マシンガン、あ?今日はマジであたし怒ってる__今日はマジにお前を殺すかんなガスト喰らわせて、<トウロウナガシ>より前んすっ飛ばすかんな?こら、くそ鯨類!」

「なななななんあなななななんあ何をそんなに怒っておるのだ!ちょ、兎瓦けいよ!ちょっとあの、テレビに出とるケツメイシとかいうグループに、ケチをつけただけではないか、しかも音楽性のことを否定したわけではない!」

 首を、ふりふり緩やかに流す、けい_しかし、即座にバ__振り向く。_鬼。鬼である。鬼は実在したのである。鳥羽にいる。鬼は鳥羽で、Mステを見ていたのだ。

「いいか、マシンガン。一つだけ、お前に言い忘れたことがあるっ。この日本イヤ!この大日本帝国でわッ。一つ決まりがあんだ! ほら、言ってみ?ばか。シャチばか。間抜けマシンガン。死ね。ばか。ぶーーーーー、言わないからハズレッ。それはな、国民はな、ケツメイシの悪口言ったら死刑になるっつうこれもう、老若男女みんなが_______(けい~~~~~お客様よっ? あなたと同じ名前の子~~!なんかわたしもテレビで見たことある子よ、けいっ早く降りてきなさい、けいっ_けい?ちょっと、(近づく声)けい?友達がきて________あの子、どこ行った?どたどたどたーーーーと降りる音____________ごめんね、桂ちゃん、なんかあの子最近逃亡癖があってね_____あれ、居ない。みんな居ない。あれれ?


 糸井宏徳PRESENTS…


「なんっで、炭素のやつがウチに訪問しに来てんだべ!こえっ何の用!?またJETTOES乗っ取られたら、たまったもんじゃねえべ、これっ!」

「ふん、珍しくわたしと同じ意見だな、兎瓦けいよ。あの娘だけは、好かん。気味が悪い。ふん。_おい、どこ向かっておるのだ?けい。どこまで行くのだ?________待て、けい。やつだ上だ。_アリだ。お前の耳の上。。。。。。。。。___________起きろ、けい。______起きろ、おい。____タイトルコール言って

 構わんか?<ひなた>だ、けい。わかるな?____久しぶりだ、月、何用だ?、、、けいとバンドふははははははははははダブルKとでも言いたげだな、斬新だ。非常にこのマウヅ様の、ツボに入ったぞ。馬鹿め。おい、けい起きろ。桂が、帰ってしまうぞ。もう、お前の念悦を借りるつもりはないらしいぞ、起きろ。起きんか!馬鹿娘!」

 -

 茶の間に座る、ツチノトと目の前には、木村優美である。正座である。気でも違えた、人類かぶれの二人である。何をしているのだろうか。

「というわけで、優美。あたしは、もうバンドやめるから」

「なんでわたしに言うのか、全然わかんねえな。オカマ。カス。もう、お前海に帰れよ。うざいから」

 酒を飲んでしまっている、台無し、その化身である。

「そう言わないでよ。桂が抜けるっていうんだもん。レノンももう刺激がどうだら、とか言うし、かやちゃんは、自分の意見ないし」

 思いっきり、胸元をあけて酔っ払い気狂いが、犯罪行為を始める。しかし、おそらく同性愛者には効かない。

「じゃあ、一緒にやろうよ。ツチノト。ほれ(ちらちら)ほれ」

「そんな最悪な買収しなくても、やるわよ。ベース買って。もう、やだ。あれ」

「知んねえよ。おれぁ、仕事これから始めんだよ。金なら腐るほど、稼えだろうが、メジャーデビュー様、あ?」

「それが使っちゃってないのよ。意外と。無くなるもんねえ___あ、優美ところで、私の好きなベースのブランドはね?」

「買わねえよ、カエルハゲ! てめ、柚宇のけつでもいじってろよ、カエル同士仲良くよ!!!」

 太陽神から通知が____。

「優美はいますか?優美はいますか?出なさい」

 優美は、答えた。

「はい!こちら、木村優美でございます。何か御用でございまましょうか?神様」

「、、、。(がちゃ・つーつー)」

「あれ?」

「酔っているのが、バレたようね?またクビになるんじゃない?優美」

 ばっしゃあああああ、熱い茶をかけられるツチノト。しかし、全く効かない。鍛えてあるらしい。そういう問題か。

「うるせえよ、黙れ。カエル。ああ、ちきしょ。だり」

 -

 風が喉に流れた。

 目には見えないが、惑星の循環は(実感ではなく、むしろ想像で_)まるで、美しくその羽を休める鶴の縮図のように、制限された筋力のような、人類にただただ動きと、返し返されの必然性を訴えるのであった。

 これを真の終わりとする。また、気分になったら、書くので、悪しからず。


 <番外編ギターとマシンガンと女の子求喰川の章>

  

「こちら太陽神神岡浄介、眞弥、出なさい、例えセックスをしていようと出なさい、、、、眞弥!早くしなさい、ほんとにセックスをしてい_そうですか、すいませんでした_詫びます、詫びています、すいませんでしたじゃあどうしようかな________うーん、レノンはいますかレノン___出なさいっレノンったくどいつもこいつももう知りません勝手になさい泣きますよ?いいんですか?わたしが泣いたら?いろいろ困りますよ?いろいろですよ?ふん、もういい!もういいです! みんななんか知らないです桂ですかおっと、珍しいじゃないですかっどうかしましたか、え?ヒマ丁度良かったですこの私もヒマもいいとこだったのです、えっなら、けっこうですおいおまっこらダメですみんないい加減にしなさい、わたしの言う事を聞きなさい。わたしのヒマを潰しなさい!そのためだけに、スティーブと仁美を結ばせたのにっもう、結ばれてしまったから、ヒマなのです____________バンド、そういえばやるって言ってましたね、ちょっとそっち、行っていいですか?___________音楽、教えてやりましょうこれから指名します、地球、とりあえずセックスが終わったら、わたしに連絡よこしなさい!ふふ太陽とちそうです、最後まで言わせなさいそうです、たいよはいっはいはいそうですいいですわかったわかりました良かったですね、彼氏できてほんはいはいわかりましたそれでは、またたいはいそうですって___わkえ?なんですか?は?知んねえし!キモ血

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ひなた @Sakamata

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