額の十字架

綺麗な風景写真が撮りたい

第1話

 「今年はまだ海でもプールでも泳いでないよね~」


 「そうだね、じゃ~今週末は海水浴に行こうか」


 「いいね!何処の海にする?」


 「近場の○○海水浴場でいいんじゃないかな、電車でも行けるし・・・」


 「そうだね、周辺道路は大渋滞だってニュースになっていたからね~」


 なんて話で盛り上がり、週末に何年振りかの海水浴に行くことが決まりました。



 流石に地元で一番有名な海水浴場、海水浴場の最寄り駅まで乗る電車もほぼ満員、窓から観える海水浴場に続く1本道の道路も大渋滞、海水浴場を目指す側だけ車がずら~っと並んで続いていて、ほとんど動いていません。


 「すごい渋滞だね~、ず~と先の海水浴場まで続いているんだよね~」


 「電車で来て良かったよ」


 「駐車場を探すのも大変だろうね」


 「海水浴場の近所にある小学校の校庭が、巨大な臨時駐車場になるんだってよ」


 「田舎の町は財政難だから、町立小学校を臨時駐車場にすることで、町もお手伝いの地元住民も臨時収入が入るみたいだね」


 「でも1本しかない幹線道路だから、スーパーに買い物に行くにも、道路が大渋滞で一苦労らしいよ」


 「町民のための循環バスも、町中渋滞でいつ来るか分からないってことだから、海水浴場で夏場だけ賑わうのも一長一短だね」


 「あれって、帰り道も同じように渋滞するんだよね~」


 なんてことを楽しく話しながら、海水浴場に向かいます。



 最寄駅から歩いて到着した海水浴場は、人・人・人・・・・休憩所も砂浜も遠浅海岸の波打ち際も、人・人・人・・・の大混雑。


 とりあえずビーチパラソルを借りて、砂浜にビーチパラソルを挿して休憩する場所を何とか確保して、皆で泳ぐことに。


 素足になって波打ち際に向かうも、日に焼けた砂浜が何の罰ゲームか?と思うほどに熱い熱い。


 生卵を砂の上に置いておけば、簡単に『半熟ゆで卵』になるんじゃないかと思えましたよ~。


 「夏の砂浜って、火傷するほど熱いんだね」


 「半熟卵が出来るほどに熱くなるみたいだよ~ 黒い車のボンネットでも卵が焼けるって噂話もあるしね~」


 「ボンネットじゃ卵は焼けないみたいだよ~、でも炎天下のダッシュボートの上だと30分位で卵が焼けるってさ~、実際に実験してみた人が居たらしいよ~」


 「スプレー缶や100円ライターは、ダッシュボードの上に置いておくと『爆発』するらしいよ」


 「波打ち際の湿った砂は、流石に熱くないね」


 「沖合のブイのある場所まで競争だよ、ドベが『焼きそば』奢りね」・・・


 しっかり泳いで楽しみ、ビーチパラソルの下でのんびりと昼寝をしました。


 そこで仲間達に悪戯をされていたことには、駅内にあるトイレの鏡を見るまで全く気が付きませんでしたよ~


 悪戯で日焼け止めクリームを塗られた額が、小さな十字架みたいに薄っすらと白くなっていることに・・・


 まだ『肉』じゃなかっただけマシなのか・・・

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