【圧倒的野暮】拙作『はい、アウトー』について

菟月 衒輝

野暮だとは思うのですが……。

*これは自作解説になっています。この文章を読む方には、拙作『はい、アウトー』(1,500文字程度)を読んでもらうことを推奨し、読み終わっている状態を期待しています。




拙作『はい、アウトー』のオチの意味(オチというか、冒頭)が(なんならわからない)と思うので、著者であるわたし自ら、(ほんとうに、心底、この上なく、野暮極まりないと思うのだが)わたしの解釈(いわば、ひとつの答え)とそのためのヒントを与えておきたいと思う。


*尤も、ネットではあるものの、これも世間に発表した作品ではあるから、解釈の方法、その自由は読者に保障され、かつ、委ねられており、それを否定するという気は毫もないことをここに前置きしておきます。


ただ、せっかく読んでもらいましたので、実はこういう視点で書かれているのですよ、と新しい気付きを与えられれば幸甚に存ずるという次第です。



最初から、わたしの解釈を載せても良いのですが、せっかくなら、ヒントを与えて、わたしの浅はかな考えを推理してもらいたいという、漱石枕流の気がむくむくと湧いてきてしまったので、7つのヒントを先に載せておきます。

ここで、これらヒントは、どれも等価ではなく、1から7につれて核心に近づいていくものだと思ってほしい。



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以下、ヒント

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ヒント1 時系列は【告解】→【現在】である。




ヒント2 語り部は【告解】と【現在】で同一人物である。




ヒント3 Kは常に語り部の「俺」の言うことにいつも忠実であった(あろうとした)。

引用:『そして、Kはいつも俺を信じてくれて、どんな奇想天外な計画だったとしても、必ず俺の言う通りに、忠実に動いてくれた』




ヒント4 Kは「俺」の「はい、アウトー」を繰り返した。




ヒント5 【告解】の記述が閉じた時点でも「黄色って言ったらダメ」




ヒント6 【現在】においても「黄色って言ったらダメ」




ヒント7 【現在】で殺されたのは、「俺」か「K」のどちらか。

引用:『そして、これが、俺の聞いた、親友の最後の言葉となった――』これはどういう意味になるか。









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以下、わたしの解釈

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【現在】において、

「そして、これが、俺の聞いた、親友の最後の言葉となった――」

と「俺」は語っている。かつ、「黄色って言ったらダメ」ゲームが終わっていない、現在において、Kはまだ鸚鵡返しを続けていると解釈すると、この物語のト書きを書くならこうなる。


俺:やめてくれ! 殺さないでくれ!!!!

K:やめてくれ! 殺さないでくれ!!!!(鸚鵡返し)


俺(独白):そして、これが、俺の聞いた、親友の最後の言葉となった――



つまり、K


わたしの意図として、読み始めは「Kが殺された」と思い込ませ、最後まで読むと「俺が殺された」のではないか? という新解釈を産ませる――、そういうある種の爽快感を味わってもらいたいというものだった(これはわたしが好きなタイプのものだ)。



以下、著者の告解


わかりにくいわ!! と思った方、まったくそのとおりである。異存はない。なにより、そこへの誘導が贔屓目に見ても(じぶんに対して贔屓目というのもおかしな表現だが)粗い。京都大学の一行問題かよという感じである。

それはこれを書いてる時点で、わかっていた。はたして、わたしの企図した真相に気付いてくれる人は、いるのかな、いるといいな(宮園かをり風)

というか、いたら、コメントとか残してくれるととても嬉しいです。


とくに【告解】から【現在】までなにが起きてしまったのかをすべて読者に丸投げしているので、負荷がすごいと思う。

いちおう、「俺」が「K」のことをまるで道具のように、そして蔑みの心を以て係っている描写は載せたが、伏線としてはなんだか弱々しい。


それなのに、あからさまな伏線、描写を綴らなかったのは、すべてに、「はい、アウトー」で終わらせたら、かっこいいなという、下心のための満足感で、まったくもって作者のエゴなのである。

わたしにもっと筆力があり、時空をたなごころにできる手腕があれば、このシャレオツな作品の閉じ方で、しかも、読者の半分以上が気付けるような作品に仕立て上げられると思うのだが、まあ、すくなくとも、いまのわたしには無理だった。



ただ、最後に、これだけは附しておこうか;わたしが読者であれば、この浅はかな意図を見抜けた(この解釈を持ち得た)自信はあったと……。



野暮だといいながら、ここまでつらつらと……。

それでも、ここまで、こんな自己陶酔的な散文を読んでくれた人に、感謝を。

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