第3話 旅の始まり

遺体はないが、とりあえず家族の、町の人たちの墓をつくる。

「みんなの無念は僕が晴らす!」

そう墓に誓った。

―――――

墓をたてた後、その場を急いで離れる。

これ以上墓にいたら、今までの思い出で泣きそうになっていたからだ。


さて、これからどうしようか。

旅に出るには準備が必要だ。辺り一帯は更地。

仕方なく、なにも持たず出発する。

昔は、便利な道具なんてなかったんだ。

きっと大丈夫

この浅い考えが後々自分を苦しめることになることをまだ彼は知らない。


「とりあえず中央都市に向かおう」

シノは歩き出す。なにも持たずに旅に出たが、ある程度のことはこなせた。石を草でつくった縄にのせて飛ばす、これだけで小動物等は狩ることができる。その後石器で頭を落として血抜きをして焼けば食料だ。

「今までの経験がいきるなぁ」

義母、義父との喧嘩が長引いて、家に帰らずそのまま野宿なんて日常茶飯事だった。

初めは上手くできなかったが今となっては余裕である。

「さぁて飯も食べたことだし寝るか」


夜が更け朝が来る

再び中央都市に向かうシノであったが何かを見つける。

「あれは、ゴブリンか?」


ゴブリン

小鬼と呼ばれたりもする、低ランクモンスターだ。しかし、群れると厄介だ。


シノは、その場から去ることに決める。しかし、シノに気づいたゴブリンはそれを許さない。

「しまった!!」

気づいたときには、すでに囲まれていた。

ここまでくると戦って勝つ以外に生き残る方法はない。

「ウォォォォォォォ」

シノは目の前のゴブリンに向かって石器を振りかぶる。だが、後ろから強い衝撃が来る。

シノは、忘れていた。この戦いは多対一であったことを。シノはそのまま正面に倒れる。ゴブリンは倒れた相手になにもしないなどフェアプレーの精神など持ってない。タコ殴りの始まりである。最初は抵抗しようとしたシノであったが1人でできることなどなにもない。

「あぁ、このまま終わってしまうのか」

シノは、絶望する。走馬灯が見えてくる。

「嫌だ、死にたくない! このままじゃ死ねない、死にきれない! 嫌だ、嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

その思いも空しく意識は遠のいていく…

―――――――

『お目覚めかな?』

「うわぁぁぁ、あなたは?ここは?」

シノの視界には、夜空のような空間が無限に広がっていた。



――――――――――――――――――――

月4更新と言いながら今のところ毎日上げててえらい




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とある男の英雄譚 さーみぁ @sirmia

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