第2話災厄②

シノの頭の中で最悪の可能性がよぎる。

「行かないと……戻らなきゃ」


シノは町に向かって走り始めた。


―――――

「そんな」

膝から崩れ落ちる。目の前にあるのは瓦礫と化した町だった。それ以外にも、知りたくもない何かの肉片が転がっている。

「あ、うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ うっ… ゔぉええぇ」

あまりの凄惨さに気分が悪くなる。背中が冷たい。しかし、それが逆にシノを冷静にする。

よし、家に行こう。

シノは、億が一の希望をもって歩き出す。

けれど、そんな希望は簡単に崩される。


家がなかった。


崩れたのではない。跡形もなく消滅したのだ。

「義父さーん、義母さーん」

シノの叫び声も空しく、返事はなかった。

「ふざけんな、ふざけんなよ! おい!返事しろよ!僕らは、まだ喧嘩中じゃないか!なのに…なのにぃ…なんで僕の前からいなくなるんだよぉ。引き取って、本当の息子のように育ててくれてありがとうって伝えてないのに、言いたいことがもっとたくさんあったのに……ばか、ばかやろう――」


―――――


人類紀 1325年 5月 10日 何かが、世界を襲った。死者は、少なくとも8000万人にものぼるとされる。それは、世界を駆け巡り、周辺を更地にした。後にそれの跡は、デスロードと呼ばれる。


―――――

「許さない、何がなんなのかよくわからないけど絶対に突きとめてやる。そして……」

「殺してやる」


1人の男の旅が始まる。




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