【十首連作】切り絵のような青春

御厨カイト

【十首連作】切り絵のような青春

始発待つ駅のベンチで頬を染め吐息は空の透明な絵の具


初雪に君の名前を書き足して解けて消えると知りつつ書いて


君を待つ坂の途中で自販機のあったかい缶握りしめてた


息白く手袋脱いで触れた指青春だけが切り絵のように


部屋の隅薄い毛布で重ねた手触れて気づいた温度差ひとつ


靴下を重ねるたびに君の声少し遠くで冬が鳴り出す


マフラーの端を指先くるくると結ぶみたいな会話の終わり


あの空を切り取ったようなシャツの色いつも通りに黙る横顔


電線に絡まる空を君と見てほどけないまま日は沈んでく


重ね着の襟に顔埋め歩く街ガラスの靴はしまいこんだよ

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【十首連作】切り絵のような青春 御厨カイト @mikuriya777

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