よくよく考えてみよう
私が14歳になるまでの間に片手で数えられるほどしか会ったことのない「お祖父ちゃん」が死んで、毎日ご飯を一緒に食べている方の「お祖父ちゃん」は、まだまだ元気そのもの。
私は中3になってから、あまり学校を休まなくなった。
心を入れ替えたというより、サボるのに飽きた感じ。
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後で父や兄に聞いた話だけど、母はお葬式で「周囲が引くほど泣いた」って。
口下手で、酒ばかり飲んで、時にはお嫁さん(つまりお祖母ちゃん)に手を上げることもあって、決して好きではなかったんだけど、棺の中のきれいにお化粧された安らかな顔を見たら、「よかったことしか思い出せなかった」「急に悲しみがこみあげてきた」ということらしい。
私にはまだ分かんない感覚だけど、そういうことってあるんだろう。
そして、深い意味はないかもしれないけど、こんなことを言った。
「後悔先に立たずって言うけど、実際にはあれしようこれしようって思いつつ『ま、いいか』ってうやむやにしていたことがあって。あれは後悔の種だったんだなって思うの」
「お母さんの後悔って?」
「もっと父さんと、いろんなこと話せばよかったなとか、親孝行できなかったな、とか。あんたたちの写真や動画を撮ったとき、「送ろうかな」って思っても、「ま、いいか」ってなってたし」
母は大切な人を失って、ちょっと観念的になったのかもしれない。
「ちょっとでも「やろうかな」って思ったことには絶対何か意味があるんだよ」
私はそう言われ、学校をサボった日の午後3時から4時の心境になった(んだと思う)。
これから特段まじめになろうとは思わないけれど、きっとサボらなければ起きていた「いいこと」や「楽しい」を取り逃していたんだろうなと。
私のサボり(ぐずっとした、ぬるい体調不良はともかく)にも、一応意味はあったのかな。
少なくともサボっていなかったら、「そんなふうに考える」こともなかったんだろう。
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まだ将来のこととかよく分かんないけれど、行きたいと思える高校も決まり、できるだけのことをしてみようと思っている今日この頃。
担任にも、「お前は3年になってから一味違うな」と言われた。褒めてくれたんだと思う。
志望している公立の1期選抜(推薦)も2期選抜(一般)も、とうぜん同じ高校を受験するつもり。
1期で入れる人は限られるので、合格できればもうけもんだから、チャンスは2回あるって程度に考えている。
もっとも、2年までの生活態度のままだったら、その推薦すらしてもらえなかったかもしれないから、進歩は進歩だと思うんだよね。
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ちょっと話は前後するけど。
そんな感じで、割と模範生っぽい中学生に変身した1年後の11月25日、きちっと整理された冷静な頭で考え直した。
(11月25日の朝出発したってことは、
お祖父ちゃんが亡くなったのはその前日だったのかな?
ミシマとかぜんぜん関係ないじゃん…)
[了]
きょう、ママンのパパが死んだ 夏野ロージー @yurinoki2024
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