第6話
ライルの一日は祈りから始まる。
時間をかけた自問を終えた後に食堂へと向かうのが決まっていた。
簡素なスープを味にして乾いたパンをかじっていると、こちらに向かう足音が聞こえた。
厳かな衣装を身にまとったシスターがこちらへと話かけた。
「今朝のご飯は何かしら?」
「連続7回目の塩と草の味だ」
「いいじゃない。その前は屑肉の寄せ集めよ?葉物の摂取は大事よ」
彼女も苦笑する。ここの財政を思えば誰もが文句など言えようはずが無い。
シスターを受け持つイレインは協会直属であり、ライルがかつて暮らしていた孤児院を切り盛りしていたやり手である。
かつての不幸に染まっていたライルに神と世界の愛を伝え、今日まで人でいさせてくれる存在だ。
思えば親の不幸である。偽りの教えに染まり、教祖に「女」という備品にされていた頃の幼少期の感情は今となっては思い出せない。
解放後も牢へとぶち込まれ、そこでかつての子供達と上下関係の為の殴り合いを良くしたものだ。とりわけ「女」のライルは他者への殺意で全てを潰さねばならぬ程の危機的状況であった。
その後にイレインの保護を受け、鬱陶しい程の介護を経て他者への愛を知ったのである。孤児院がかつてとは極度の対称的である程の恵まれた生活であった事も影響があるだろう。
己の腐心を感じ、ライルは簡単な別れを告げて今日も任務へと打ち込むのであった。
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