Episode.2 消失する評価
学校から帰ってきた後の夜、私は自室のベッドに寝転びながら、オープンチャットで小説仲間達と会話していた。
私は現在カクヨム作家や読者達が集まる『カクヨム作家と読者の語り合い~和みの場~』というコミュニティに参加している。
ちなみにそこでの私のユーザー名は『照前炉前』。皆からは愛称を込めて、『テルちゃん』とあだ名で呼ばれている。カクヨムのユーザー名と同じものをオープンチャットでも使用するというルールがあった。
そこで今日起きた不可解な出来事を仲間達と共有していた。
◆◇◆◇◆
※以下、オープンチャットでの会話の様子です。主人公以外の方は友情出演してくださった愉快な仲間達です。
照前炉前「ねぇ~~、ちょっと聞いてくんない?」
煌星双葉「どした?」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「なになにー!?」
照前炉前「今日さー、朝に投稿して夕方に確認したら星の数減ってて激萎えなんだけど……」
姫百合「ちょっと待って。。。、自分も今日レビュー減ったよ。」
照前炉前「え? @姫百合さんも? ほんとですか? それってどのくらい減ったんですか?」
姫百合「ええと。★9個分が一気に消えちゃいました。。。珍しいですよね、そういうの」
照前炉前「私も★12個分減ったんですよ! おかしいですよね、これ絶対」
EVI「誰かが垢消しした可能性ない?」
照前炉前「それにしては多すぎると思うんですけどね。1人か2人かならまだ分かりますけど……」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「工エエェェ(´д`)ェェエエ工」
玄花「どうしました?」
照前炉前「ののみやさん!?」
煌星双葉「まーた始まったよ」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「野々宮さんもたった今★21個減ったぁぁぁぁ」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「なんでぇぇどうしてぇぇ」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「野々宮さん可憐で天才少女なのに!」
野々宮可憐(カクヨムのリーサルウェポン)「( ºДº)キーッ キーッ╰( ºДº)╮-。・*・:≡」
玄花「大変だ! ののみーが情緒不安定だよ」
煌星双葉「い つ も の」
煌星双葉「そろそろPV増えないと死ぬぜ!」
オオキャミー「草」
こま「あああああああああああああああ」
こま「こまさんも★9個減ったこまああああああ」
こま「PV減るなぁぁぁぁぁぁぁ」
オオキャミー「俺は増えたからいいや」
こま「ムキーッᕦ(ò_óˇ)ᕤ」
◆◇◆◇◆
どうやら仲間達の間でも不可解なレビューの減少が起こっているらしい。バグか運営のサーバーに問題があったか、誰かの組織的犯行か。
そのどれもが決定的な証拠がなく、今のところ知る術がない。取りあえず減ったものはしょうがないからめげずに作品を書き続けよう。諦めなければ、固定読者もどんどん増える筈だ。もうすぐカクコン10も控えてるし、たくさん設定とか考えとかなきゃね。
私は邪念を払拭してパソコンでプロットを作成した。
◆◇◆◇◆
次の日の朝、通学の電車の中でいつものように執筆しようと、カクヨムのサイトを開いた。すると、珍しくカクヨム公式から声明があったため、急いでタップして内容を確認する。
カクヨム公式からのお知らせ『いつもカクヨムをご利用頂き誠にありがとうございます。先日からユーザー様の小説レビューが突然減少するという事態が現在カクヨム内で大規模に発生しています。当社としてもまだ実態を把握しきれておらず、原因究明のため目下調査中です。このような事態に陥ってしまい、そして皆様方を巻き込む形となってしまい大変申し訳ございません。今しばらくお待ち下さい』
どうやら思ったより大変な事になっているらしい。公式がこんな声明を出すなんてよっぽど切羽詰まっているんだろうなぁ。ということは組織的な犯行とかそういうのじゃなくて単なるサーバーのエラーっていう可能性が高い。
なーんだ良かった。
そう思い直した私はワークスペースの画面に移行した。すると……、
「げっ、また★3個減ってる。早く直して欲しいなぁ、このバグ―――――――――って……、なに……、これ……?」
私は自分の目を疑った。ワークスペースに表示された数字の羅列。小説レビューだけでなく、応援コメント、応援、そしてPV数も減少し始めた。
「え? え? 何々、どういう事?」
フォロワーは特に減った様子はない。てか、PV数が減るって何!? 前代未聞なんだけど!
私の小説(現在執筆中の現代ファンタジー)は累計PV数が約960KPV(昨日の時点)だったと記憶している。しかし、今確認したら925KPVまで減少していた。
レビューや応援コメントが減る理屈はまだ理解出来る。でも、PV数って増えることはあっても減ることは絶対にないのだから分からない。
何より必死で増やしたこれらの数字がいとも簡単に失われていく虚脱感、そしてこの事態を認識しておきながら何も出来ない自分の無力感に私は苛まれた。
「昨日から本当に意味が分からない。最悪な気分だよもう!」
連日続く不幸な事態に激萎えしながらも、執筆だけはやろうとワークスペースを開いた。まあ今嘆いても仕方ないし、カクヨム公式が何とかしてくれると信じるしかない。それに、書籍化まであと少しなんだから作品を更新し続けるしかない。諦めないでやろうと、無理矢理自分を奮い立たせた。
そして書いている途中、私は昨日の展開がどんなものだったのか思い出せなくなった。
「あれ、昨日どんな風にここ書いたっけ? ちょっと一旦保存して戻ろっと」
エピソードを保存し、昨日書いたエピソードの内容を確認することにした。
すると――――――――――――、
「えっ……、何これ………」
私は衝撃的なものを目にした。
「エピソードが改変されてる?」
評零の檻 nira_kana kingdom @86409189
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