第4話 休日④
「これとかどうかな?」
と、夕陽さんが持ってきた服を試着してみる。選んでくれたのは私がよく着ているのと同じで、落ち着いている色だけれど、ちょっとフリフリし過ぎじゃないだろうか…?実際、しすぎということはなく割と一般的な部類に入るのだろう。
「…どう?」
そういえば、人に服をみてもらうことなんて今までなかったかから急に恥ずかしくなってしまった。
「似合ってる似合ってる!!!私の目にくる言わなかったみたいだね」
ふふん、と夕陽さんが自画自賛をしているのでつい笑ってしまった。
「え、笑うところあった???」
夕陽さんは不思議そうな顔をしているけど、気にせずに笑ってしまった。夕陽さんもつられてか、笑っていた。
こんな風に笑ったのはいつぶりだっただろうか。そんな時があったのかどうかすら分からない。でも、これがもし初めてでも…いや、初めてなら良いと思った。
会計を済ませると、夕陽さんに連れられて屋上へと行く。屋上には昔ながらの小さい遊び場があった。わざわざ、ここで遊ぶ人なんて居ないようでガラガラだった。
もうこんな遊具で遊ぶような歳でもないけれど、夕陽さんに続いて遊具の一番上までのぼる。
思わず息を呑んだ。
いつも暮らしている街並みが見渡すことができた。街の喧騒はどこか遠くへ行き、静寂の中に景色が広がっている。街をのみ込むような"夕陽"と夕陽さんが重なって
「きれい…」
「でしょ」
ふふ、と微笑みながら夕陽さんは言う。
思わず口から、飛び出ていた。景色に言ったのか、夕陽さんに言ったのかは、自分でも分からないけど確かにきれいだった。
毎日に彩りを 梅雨月 @2yuk1
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