カレハ
椿生宗大
老い
空が寒くなった
空は低く見えた
街路樹も繁茂していた草木も控えめになっていく
悲しくなるような明るい色素で
全身を染めて
せめて空の代わりに
周りを温めてくれようとしているんだ
健気な姿
健気な植物がそこに在る
それだけで涙を流せそうになっている自分もいる
街行く人は目もくれない一つの存在
僕だって無視してしまうときはあるけども
今は一緒の気持ちになってみたいと思ってるよ
目の前のコンビニが真っ白な光を内から漏らしている
そんな無機質な光に当てられても
紅に葉色を変えて命を燃やしている
何も言わずに毅然としている風に見えた
日々冷たくなっていく空気に
徐々に身体に老いを刻まれて
土に還る準備を迫られていたんだろう
僕は看取ることもできなかった
夜が明けたらキレイになった道があって
またしても何も見えなかった自分を悔いた
日常の変化を見た気になって
空費していく時間に溺れていた
僕は大人になったんじゃない
僕は枯れていこうとしている
虚しい風が上空より僕の頭を叩く
叩いてくれ
蹴飛ばしてくれ
否定してくれ
そして寄り添ってください
枯れかけの心でも口説こうなんて
おいたがすぎただろうか
カレハ 椿生宗大 @sotaAKITA1014
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