犬
ペット…
いや、オレは美桜さんを味噌汁だとかペットだとかって…失礼すぎるんよね。
でもさ…
味噌汁はともかく、ペットってなんか引っかかるんだよねー。
…
家についても美桜さんが気になって仕方なかった。
なんか犬も引っかかるんだよなー…。
だから次の日、思い切って美桜さんに聞いてみた。
「もしかして前世犬だった?」
って。
一瞬キョトンとした美桜さんだったけど、少し考えて
「うーん…どうだろう」
って真剣に思い出そうとしていた。
どうか、犬でありますように!
と、意味のわからないことを願うオレ。
だって、前世犬だったって言われたら…なんか少し引っかかりが解けた感あるんだよね。
だから、願います‼︎
美桜さん、前世犬説‼︎
しかし、オレの願いは美桜さんの一言で打ち消されました。
「わかんない。」
…
「あー、そうだよね。オレも前世犬だった?っていきなり言われたら、わかんないもん」
「ね、なんかさ、前世の名残りとか残しておいてほしいよね。しっぽとか耳とかね」
「それな‼︎でもさ…触角が残ってたら気まずいかも…」
「あー…あの人の前世って……みたいなね」
「うん。」
…
やっぱり名残りは、なくてよいという結果になりました。
そして美桜さん前世犬説も迷宮入りとなりました。
しかし‼︎
有力な情報を入手いたしましたっ‼︎
おめでとう御座います。
こちら、おめでとうのお品です。
どんなお品ですか?って⁇
それは、犬についてのお言葉でございました。
なんと美桜さんってば、前世犬かどうかは定かではなかったのですが、なんと‼︎
なんと犬を飼っているっていうじゃありませんか‼︎
それも名前がちむーさん。
ちむーさん⁉︎
‼︎
そこでオレは十年前くらいのことを思い出したのです。
かれこれオレは十年前、犬を見つけたんです。
あれは幼いオレがママンとお散歩をしていたときです。
いつのまにか、ママンとの二人きりのお散歩が、いつのまにか三人になっておりましてね。
まぁ、正確には…二人と一匹なんですけどね。
その犬ってば、とても懐っこくてあたかもずっと一緒にいたかのように可愛かったんです。
幸い名札がついていたそうで名前は、ちむーさんだとママンに教えていただきました。
そのちむーさん…
迷子ちゃんだったそうで。
でも、脳内がまだ幼かったボクちんは、懐っこい犬が家族みたいに思えてずっと離れなかったんですね。
このまま、ずっと一緒って思い込んでいたんです。
しかし、親は迷子だとわかっていたので預かっていますアピールをどこかでしたのでしょう。
あっさり飼い主さんの元へかえることになったんですよね。
まぁ、実は…自分たちもおじいちゃんの家に里帰り的なことをしていただけなので、しばらく泊まったあと、自宅へ帰ってきたんですね。
そのときのボクちんは…撃沈でした。
ボクちんゲキちん…
絶望の撃沈です。
楽しかったじいちゃんばあちゃんち。
みんなで賑やかワイワイ。
そして懐っこい犬まで現れたんですから、夢のようなひとときでしたよ。
眠る時も一緒でした。
でも…
撃沈して、いっぱい泣いて…記憶を消してしまったんですね。
自分で。
それを美桜さんが思い出させてくれたと言いますか…
なんか、ちむーさんっぽかったっていいますか…懐かしい感覚がちむーさんぽいと言いますか…においですかね?
こんなこと女の子に言ったら嫌われてしまうかもですけど、ちむーさんのにおいをまとっていたような…いないような…。
とにかく‼︎
なんか惹かれるものがあったんでしょうかね?
ちむーさんの抜け毛でもついていたのでしょうかね?
一緒にいると似てくるっていいますよね。
オレは、ちむーさんとずっと一緒にいた美桜さんをみて、記憶が呼び覚まされた感覚に陥っていたのかもしれません。
「ちむーさん‼︎あの毛の茶色の耳だけ白いちむーさん⁉︎」
と、大声をあげてしまいましたよ。
「そうそう‼︎なんでうちの犬知ってるの?」
と、喜ぶ美桜さん。
なのでカクカクしかじかと、説明いたしました。
そしたら、ちむーさん元気にお過ごしだというじゃありませんかっ‼︎
そしていきなり、美桜さん宅に訪問させていただく話が舞い込んできました。
もちろん‼︎行きます一択に決まってます‼︎
てなわけで、美桜さん宅へと向かいましたよ。
二人でね。
…なんかこれって、カップルみたくね⁇
一緒に同じ電車に、同じバス‼︎
そして当たり前のように隣に座っておる。
もう、幸せじゃん‼︎
手とか繋いじゃわない⁉︎
って…そこは、はしゃぎすぎですね。
調子乗るなって怒られますね。
ちむーさんみせるのやめたって言われたら…そんなこと言われたらショックなので大人しくしておきます。
そんな大人しいオレは、美桜さん宅へと到着いたしました。
ただいまーと美桜さんが玄関を開けると、一目散にちむーさんがかけてきた。
おおぅ‼︎間違いなくちむーさんだ‼︎
「よしよし、いい子だね〜」
と、ベロベロするちむーさんをなだめる美桜さん。
するとオレに気づいたちむーさん。
試しに
「よし‼︎こい‼︎」
って言ってみた。
するとオレに飛び込んできたちむーさん♡と美桜さん⁉︎
おおぅ♡
ハーレムやん♡
なんてふざけていたら、それをみて固まっていた美桜さんの父親。
…
…
あの、こ、これは…なんて言い訳するん⁉︎
「あ‼︎おじゃまいたしております‼︎すみません…玄関先で…。でも、ボクは‼︎ボクは、ちむーさんと同様に美桜さんを愛しております‼︎」
と、テンパって告白していた。
交際すらしていないのに…オレってば…
とにかくお茶でもどうぞ〜ってお母さんが助け船を出してくれた。
幸い、どろぶねじゃなくて救われました。
そしてちむーさんとの経緯を話すと、あのときの⁉︎って話が盛り上がりました。
お父さんとも和解しました。
いやー、素敵なご両親です!
こんな素敵な家族で、ちむーさんも美桜さんも幸せだって思いましたよ。
それからも度々、伺うお約束をいたしましてね、帰り際に美桜さんが
「今度は彼氏として、きてね♡」
っておっしゃってくださってさぁ〜
えっ?って自分の耳と脳みそを疑いましたよ?
リピートアフタミー⁇
あ、これは…わたしの後に続けていってくださいだった。
とりあえず…
脳内に問い合わせしてみた。
うん。
画像も保存してございます。
恥ずかしそうな美桜さんの表情を忘れるわけございませんよ。
「え、じゃあよろしくお願いします」
って握手を求めました。
だって、また変なことしてたらお父さんに見られそうでさ…。
だから、手を握り合いました。
そして小声で、今度あうときはキスで挨拶を交わそうって冗談で言ったんよ。
だって、今度会うのって明日学校でだからさ。
でも、近々キスしたいよね〜ってもくろんでおりましたら、すぐさまチャンス到来‼︎
次の日
鉛筆を落としたオレが拾おうとしたら、美桜さんも拾おうとしてくれて、めっちゃいい近さだったんよ。
だから、チュッてしてしまいました♡
なのでお互い顔を上げたときには、真っ赤なお顔でした。
そして顔を見合わせててふふ♡って笑いあいました。
こうして、オレたちは犬繋がりでめぐり逢ったのでございますワン♡
おしまい♡
どこか懐かしいあの子は…誰ですか? えっとー…フーあーユゥ⁇ 猫の集会 @2066-
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