第56話

ドアを開けた瀬里香が、突然訪問してきた徹を見て驚いた。


「徹君…ど、どうしたの?」



「これ…忘れてました」


徹は、店に置いていた瀬里香のハンカチを差し出した。



「あ、無いと思ってたの。お店に忘れてたのね ありがとう」


瀬里香は徹からハンカチを受け取った。



「だけど、これを届けに わざわざ?」



あれ? 


瀬里香は徹の後ろで隠れる様に立っている人影に気づいた。



緑が躊躇いながら、瀬里香の前に姿を現した。



あっ…!



瀬里香と緑は、お互いを見て 思い出した。



「あの…突然お邪魔してしまってすみません」


緑は深々と瀬里香に頭を下げた。



「こんばんは。…どうぞ中へ入ってください」


瀬里香は緑に家の中を手差しした。



「徹君も入って。 丁度、よかったかも…」



瀬里香の誘導で、徹と緑は 青井家のリビングへと通された。



瀬里香がリビングのドアを開けると、ソファに勇次郎と美愛子が座っていた。



当然、陸斗はまだ帰宅していない。



徹と緑は、緊張で思わず顔が硬った。

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イケない夫 赤井 里衣 @rie-1205

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