第55話

適当に買った、袋に入った菓子折り3箱を持ち、陸斗は車に乗ると 再び渋滞している車の列に紛れ込んだ。


中々進まない車の中で、陸斗はふと思った。


(瀬里香がLINEを返してこないなんて、変だな)





駅に着いた徹と緑はタクシーに乗り、青井家へ向かった。



タクシーはやがて 青井の家の前で停まった。



いざインターホンの前に立つと、緑は流石に緊張した。これからどんな展開が待ち受けているのかも計り知れず、体が固まり 足がすくむ。


ただ 自分も加害者であることには違いなく、とにかく瀬里香と、ここの家族には 謝罪しないといけないということだけは間違いない。



「ただ、正直にいればいいだけです。

 …じゃあ、押しますよ?」


促す様な徹の言葉に、緑は言葉なく頷いた。



ピン…ポーン



チャイムの音が緑の脳裏で恐怖と重なり、

まるで頭の上を突き抜ける様に掠めていった。



インターホンからの応答はない。



暫くすると、玄関のドアがガチャリと開いた。


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