第4話 サヤナ踊り子になる


男子って…。

たんじゅん!!


ドレスを着てから、

レンは明らかに、

私を見る目が変わった。


そんなにされたら、拍子抜けなんだけど…。

まあ、いいか。


レンはエルザに、お熱なんだもんね。



エルザに連れられて、

マーケットのすごく可愛い、

雑貨屋さんに連れてきてもらった!


島の毛糸で編まれた、

手作りのポシェットや、キーホルダーや、

ポーチや、鞄が並んでいるの。

手作りのポシェット、すごくかわいい。

カラフルで、島の匂いがして。

いま着てるドレスにぴったりだなって思ったから、

みんなで、誰が言い出すでもなく、

おそろいを買った。


レンに、どれがいい?って聞くと、

どれでもいいよ!★だって。

テキトー。



そんなことより、サッカーしようぜ?

走ろうぜ?って感じ。



呆れた。

そわそわして、

今にも、店の外に飛び出しそうだった。

というか、飛び出してた。

すれ違った、チームエルフの女の子たちが、

くすくす笑った。


サングラス姿のアトラスが、

かわいらしいお店で、

一人場違いに浮いてて、

みんなで笑った。


そして、

ドリンクをのんだり、おやつをたべたり、

みんなで楽しく過ごした。




レンの、

そわそわの理由がわかった。


音楽が鳴り出して、

踊り子さんの一段が、ステージにやってきたからだ。


センターの子は知り合い。

そう!!

シオン先生を巡って前回ミル姉と一悶着あった、

そう。あのコスモスたち!!


今日は七人編成だった。


「もーっ、鼻の下伸ばしてえっ。

チームシオンとしては、

そんなに、

夢中になるのってどうなの??」

チワがはっきりいって、どっと笑った。


でも、

コスモスはすごく友好的だった。


私たちが前回、

恥をかかせないように立ち回ったから?

仲間っ!!って思った?


ニコニコ笑って、ぐいっと腕を引いて、

テントの中へ招き入れてきた。

クラスIIで顔を見あわせた。

まあ、敵ではない、か。


アトラス先生の顔は、

すんっと曇ったけど、

断るに断れずに、

みんなで、彼女たちに誘われるがままに、

テントの中に遊びに行くことにした。


三人居れば、

大丈夫だと思った。

レンも居た。





彼女たちは、

ちょっぴり強引だった。

まずレンをテントの外へ追い出した。


それから、

似合う、かわいい、

素敵素敵と、

私たちをおだてて、

自分たちは、どんどん服を脱いだ。

鏡を見せて、


あなたもそうしよう?

って、

肩や腰にべたべた触られたりした。

それから、

ポシェットを見て、

おそろい、

うれしい!!

私も同じ!

持ってる!って、

にこにこした。


それで、

私たち、


あーーっという間に、

踊り子になっちゃった。


もうっ。

そして、

振り付けを教えてくれた。

一緒に踊ろう、だって。




そして、

ステージ。

コスモスたちの後ろで、

しゃりしゃんと、踊ることになってた。

チームエルフも、一緒にいた。


レンも、クラスⅢの男子たちも、

びっくりしてた。


エルザも、ポーラも楽しそうだった。


手を降って、こっち見て!!って、

写真をぱちぱちとった。

うふふ。

楽しいな。



アトラスは、



あちゃーって顔した。



先生には、

たいそうウケが悪かった。


そんなにヘタだったかなあ。


まあ、コスモスたちに比べたら、

その差は歴然だった。




そしたら、

アトラス先生ったらね?!



ステージに出てきたの!!

信じられない!!


音楽が鳴りだした!


そして、

レンと一緒に、踊りだしたの!!


オリジナルじゃなくて、

すっごく有名なやつ。


回廊のこっちのトップアイドル、

ノーザンクロスの、

モーブくんとシオンのモノマネ!!



シオン、

シオン、



あ!!え!!ええーーーーー?!?!



みんな、

すごくびっくりした。


ビジュアル系っていうの?

濃いメイクだから、気づかなかった。


あれって!!

あれって!!

シオン先生だ!!


つまり、

アトラス先生が、

シオン先生のモノマネしてるの。



デスボじゃないほうの。




最近のシオンって、

すっごく甘い声で歌うの。

ギタールも上手。

一回見たら忘れられなくて、

気づけばみんなで情報を追っかけてた。

きっと、

すごくすごく、

練習したんだよねーって、

話題だった。



瞳も、

濃紫から、紫水晶の色に変わって、



ひゃ、ひゃ、ひゃあーーーー!!!

ぜえったいそうだあ。




レン、



いつから知ってたの??





私たちの宿泊しているゲストルームは、

元々は、音楽室だったの。

それは、いろんな先生たちや、

おばあさんたちも言ってたし、


フェスの前の練習風景の写真が飾ってあったから、

知っていたの。


でも、

だあれも、一致しなかった。




そんなわけで、

コスモスたちは、

またしても、

私たちの前座になっちゃった。


そしたら。

ちっ、て舌打ちしてテントに帰っていった。

衣装返してよね!!って、

私たちの元々着てた服を、

ぽいぽい!!とテントの外に投げ捨てて、

吐き捨るように言ったの…。

しかも、さっき買ったポシェットもすごく乱暴に扱われた。

みんなすごくすごく悲しかった。



それを、

アトラス先生が、淡々と拾った。


ほらな、って顔で、

悲しげにフーっとため息を付いて、

肩をすくめて、

小さく笑った。



あ、

あんなに酷い子だったの??

いつから気づいてたの??



ご、

ご、

ごめんなさーーーい!!



女子たちはみんな、

不用意さを恥じた。


でも、レンはあっけらかんとしてた。

そんなもんっしょ、だって。



小2にして、

意外と、

女子に夢を見ないタイプなのね。




へえ。




みんな、

なんだかどーーっと疲れて、

早めに、バス型竜車に戻った。



でも。


出来上がっていた、

集合写真や、みんなのダンス写真は、

とっても素敵だった!!

エルザやポーラは、

私たちが素敵に見えるように、映してくれたからに違いなかった。

胸が震えた。

みんなでわあっ!!と二人に抱きついた。

二人はふっくらと暖かかった。


素敵な仲間!

素敵な先輩!!

私も、二人みたいな女の子になりたい!!

なぜか、ちょっぴり涙が出た。

みんな二人によしよしと頭を撫でられて、

への字口をして、

目をぎゅっとして、

シマシマエナガンみたいな顔をした。


それから、あははは!!と笑ったのだった。








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