第4話 サヤナ踊り子になる
男子って…。
たんじゅん!!
ドレスを着てから、
レンは明らかに、
私を見る目が変わった。
そんなにされたら、拍子抜けなんだけど…。
まあ、いいか。
レンはエルザに、お熱なんだもんね。
◇
エルザに連れられて、
マーケットのすごく可愛い、
雑貨屋さんに連れてきてもらった!
島の毛糸で編まれた、
手作りのポシェットや、キーホルダーや、
ポーチや、鞄が並んでいるの。
手作りのポシェット、すごくかわいい。
カラフルで、島の匂いがして。
いま着てるドレスにぴったりだなって思ったから、
みんなで、誰が言い出すでもなく、
おそろいを買った。
レンに、どれがいい?って聞くと、
どれでもいいよ!★だって。
テキトー。
そんなことより、サッカーしようぜ?
走ろうぜ?って感じ。
呆れた。
そわそわして、
今にも、店の外に飛び出しそうだった。
というか、飛び出してた。
すれ違った、チームエルフの女の子たちが、
くすくす笑った。
サングラス姿のアトラスが、
かわいらしいお店で、
一人場違いに浮いてて、
みんなで笑った。
そして、
ドリンクをのんだり、おやつをたべたり、
みんなで楽しく過ごした。
◇
レンの、
そわそわの理由がわかった。
音楽が鳴り出して、
踊り子さんの一段が、ステージにやってきたからだ。
センターの子は知り合い。
そう!!
シオン先生を巡って前回ミル姉と一悶着あった、
そう。あのコスモスたち!!
今日は七人編成だった。
「もーっ、鼻の下伸ばしてえっ。
チームシオンとしては、
そんなに、
夢中になるのってどうなの??」
チワがはっきりいって、どっと笑った。
でも、
コスモスはすごく友好的だった。
私たちが前回、
恥をかかせないように立ち回ったから?
仲間っ!!って思った?
ニコニコ笑って、ぐいっと腕を引いて、
テントの中へ招き入れてきた。
クラスIIで顔を見あわせた。
まあ、敵ではない、か。
アトラス先生の顔は、
すんっと曇ったけど、
断るに断れずに、
みんなで、彼女たちに誘われるがままに、
テントの中に遊びに行くことにした。
三人居れば、
大丈夫だと思った。
レンも居た。
◆
彼女たちは、
ちょっぴり強引だった。
まずレンをテントの外へ追い出した。
それから、
似合う、かわいい、
素敵素敵と、
私たちをおだてて、
自分たちは、どんどん服を脱いだ。
鏡を見せて、
あなたもそうしよう?
って、
肩や腰にべたべた触られたりした。
それから、
ポシェットを見て、
おそろい、
うれしい!!
私も同じ!
持ってる!って、
にこにこした。
それで、
私たち、
あーーっという間に、
踊り子になっちゃった。
もうっ。
そして、
振り付けを教えてくれた。
一緒に踊ろう、だって。
◇
そして、
ステージ。
コスモスたちの後ろで、
しゃりしゃんと、踊ることになってた。
チームエルフも、一緒にいた。
レンも、クラスⅢの男子たちも、
びっくりしてた。
エルザも、ポーラも楽しそうだった。
手を降って、こっち見て!!って、
写真をぱちぱちとった。
うふふ。
楽しいな。
アトラスは、
…
、
あちゃーって顔した。
先生には、
たいそうウケが悪かった。
そんなにヘタだったかなあ。
まあ、コスモスたちに比べたら、
その差は歴然だった。
◇
そしたら、
アトラス先生ったらね?!
ステージに出てきたの!!
信じられない!!
音楽が鳴りだした!
そして、
レンと一緒に、踊りだしたの!!
オリジナルじゃなくて、
すっごく有名なやつ。
回廊のこっちのトップアイドル、
ノーザンクロスの、
モーブくんとシオンのモノマネ!!
シオン、
シオン、
あ!!え!!ええーーーーー?!?!
みんな、
すごくびっくりした。
ビジュアル系っていうの?
濃いメイクだから、気づかなかった。
あれって!!
あれって!!
シオン先生だ!!
つまり、
アトラス先生が、
シオン先生のモノマネしてるの。
デスボじゃないほうの。
最近のシオンって、
すっごく甘い声で歌うの。
ギタールも上手。
一回見たら忘れられなくて、
気づけばみんなで情報を追っかけてた。
きっと、
すごくすごく、
練習したんだよねーって、
話題だった。
瞳も、
濃紫から、紫水晶の色に変わって、
ひゃ、ひゃ、ひゃあーーーー!!!
ぜえったいそうだあ。
レン、
いつから知ってたの??
◇
私たちの宿泊しているゲストルームは、
元々は、音楽室だったの。
それは、いろんな先生たちや、
おばあさんたちも言ってたし、
フェスの前の練習風景の写真が飾ってあったから、
知っていたの。
でも、
だあれも、一致しなかった。
◇
そんなわけで、
コスモスたちは、
またしても、
私たちの前座になっちゃった。
そしたら。
ちっ、て舌打ちしてテントに帰っていった。
衣装返してよね!!って、
私たちの元々着てた服を、
ぽいぽい!!とテントの外に投げ捨てて、
吐き捨るように言ったの…。
しかも、さっき買ったポシェットもすごく乱暴に扱われた。
みんなすごくすごく悲しかった。
それを、
アトラス先生が、淡々と拾った。
ほらな、って顔で、
悲しげにフーっとため息を付いて、
肩をすくめて、
小さく笑った。
あ、
あんなに酷い子だったの??
いつから気づいてたの??
ご、
ご、
ごめんなさーーーい!!
女子たちはみんな、
不用意さを恥じた。
でも、レンはあっけらかんとしてた。
そんなもんっしょ、だって。
小2にして、
意外と、
女子に夢を見ないタイプなのね。
へえ。
◇
みんな、
なんだかどーーっと疲れて、
早めに、バス型竜車に戻った。
でも。
出来上がっていた、
集合写真や、みんなのダンス写真は、
とっても素敵だった!!
エルザやポーラは、
私たちが素敵に見えるように、映してくれたからに違いなかった。
胸が震えた。
みんなでわあっ!!と二人に抱きついた。
二人はふっくらと暖かかった。
素敵な仲間!
素敵な先輩!!
私も、二人みたいな女の子になりたい!!
なぜか、ちょっぴり涙が出た。
みんな二人によしよしと頭を撫でられて、
への字口をして、
目をぎゅっとして、
シマシマエナガンみたいな顔をした。
それから、あははは!!と笑ったのだった。
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