●◯ ポーラたちの勘違い


少し時は戻る。


サヤナ、ナギサ、レンの三名は、

あんこクリーム大福と緑茶缶を持って、

お隣さんの部屋を訪ねた。

とんとん。


先程の弟分の非礼を詫びるとともに、

顔を見てみたいという、

好奇心からだった。


扉を叩くと、バスローブを羽織った、

半裸の葡萄が出てきた。

縛った髪は、ぱらぱらとほどけていた。

そして、目をパッチリした。

「え。君たちがバトラー?」

違う、と答えた。


何でも、

昼食のためのルームサービスを呼んだが、

待てど暮らせど、

誰も来ないというのだ。


だから、

お土産の大福と緑茶には、

たいそう喜んでくれた。

そして、

少し待つように言われたあと、

ぱたぱたと音がして、

中に招き入れてくれた。

杏の姿はなかった。


そして、

部屋の中にも、呼び鈴らしきものがあった。

「御用の方は、ベルを鳴らしてください。」


レンは南十字星の入口にも、

同じ物があることを思い出した。




うーん。

たぶんだけど。


ポーラたちは、

さては、

これが何なのか、




わかってないんだな?と、結論づけた。


何らかの齟齬があるに、違いなかった。

バトラー、というものについてもそうだ。


俺たちの知ってる執事、じゃない。

どう見てもあれは違う。

お父さんとか、先生に近いものだった。


はっ!!とした。


たぶん、

彼女は。



これを、

応援団かなにかだと、勘違いしてるのだ!!

きっとそうだ!



バトラーも、

呼び鈴も、

応援のシンボルなのだ。


白銀の鈴にあしらわれた、

白竜の瞳。

きっと、ポーラを模したものだろう。


星空を思わせる小さな美しい瞳は、

問いかける。




あなたは、どうしたいの?





応援するね!!


シャリン。






彼女は、

巫女の、

ど天才なのだ。







ルームサービスが、食べたいです。





まあ、来るはずもなく…。


二人は、

後ほど食堂におずおずとやってきたのだった。










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