プロメテウスの罪

白川津 中々

◾️

馴染みの店が潰れた。


チャーハン餃子ラーメンの満腹定食が六百円という破格プライスかつ味はそこそだった優良店がなくなったのは非常に痛い。あれだけの満足度を叩き出せる店はそうはなく、他には俺の知る限り電車に乗って15分移動しなくてはいけない場所にある町中華屋だけである。馬鹿か。昼休み終わってまうわ。


そこで俺は考えた。ないなら自分で作っちゃえばいいじゃんと。


用意するのは卓上コンロと鍋とフライパンと材料。デスク周でちゃちゃっと調理ってわけ。天才すぎる発想に俺自身が脱帽。周りの視線は羨望。さぁ、着火。あ、資料に火が、あ、あ、燃え、燃え、あ、ヤバいヤバい燃え広がり、あ、スプリンクラー。あ、やばい止まんない火。あ、あ、あ……


燃え広がる炎の渦。用意した食材は燃焼。このままいくとオフィスは全焼。大丈夫きっと保険で補償。でも俺は確実にクビでしょう。イェー。


ふざけている場合じゃない。消火消化。消化活動しないと。あぁ消えない。チクショウ。まったくどうしてこうなった。俺はただ、満足なお昼を過ごしたかっただけなのに。

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プロメテウスの罪 白川津 中々 @taka1212384

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