雪を照らす月光 side穂月

 雪が溶けると、"春”になる。


 だけど、雪は、溶けるだけがいいことじゃない。

 雪は冷たくて、踏むとしゃり、と音がする。


 いつもと同じ風景が、あっという間に変わる。

 まるで、知らない世界に来たようだ。



 遼くんに笑顔でいてほしい。


 長いまつ毛の内に瞳を隠して……あのときみたいに。



 君は白くて、触れると冷たくて。

 まるで雪みたいだ。


 それなら私は、君の雪を照らす―――月光になりたい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

月という名前の太陽 桜田実里 @sakuradaminori0223

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説