2-5 「戦士オリビアの憂鬱 ~最弱パーティーで何が悪い!ㅤ魔王を倒して世界を救う〈英雄〉になってみせます!~」


https://kakuyomu.jp/works/16818093083505300909



◯タイトル

最弱、はタイトルの頻出単語。あったパターンとしては最弱扱いされているが秘密か後付の力で無双するもの、使い勝手の悪い力を工夫で活かすものあたりだが、憂鬱という言葉には颯爽と活躍する話ではないという予感がある。

となると、英雄を目指してはいるが力が追いつかないパーティーのドタバタ劇か。仲良しの日常を期待して読んでいきたい。


◯あらすじ


おおむねタイトルから感じた印象であっている模様。なぜ最弱パーティーなのかというと、主人公以外非戦闘員だから。なぜそんなパーティーで頑張るかというと自己犠牲型のお人好しだから。

必要な情報が適度に出てきた上で、雰囲気作りの柱になるだろう仲間のキャラ性がチラ出しされていて興味を惹く。物語の方向を出しながら楽しめそうな要素を混ぜていて、あらすじとしては自分がこうあってほしいと思うものにこの上なく近い。

ただ一つ懸念は、パーティー完成前に幼少期パートがあり1話が短めなことから目玉部分までに企画で届かない可能性があることか。


◯書き出し


魔王と冒険者の前提について。

長くもなく特段固有名詞の量が多いわけでもないので負担には感じないのだが、テンプレ異世界の範囲におさまっている内容のためここは無くても良かったなというのが正直なところ。異世界ファンタジー初見というこのサイトでは少ない層にしかいらないのではないだろうか。


◯1話


薪割りと食料調達という生活のための仕事の描写が、平和な日常の象徴となっているようでのんびりと暮らす2人の関係性を見せてくれる。

そして戦士らしい体捌きと、戦士らしからぬ優しさ。具体的な言動から主人公の性格を表していくのはキャラクター性をじっくり感じられるようで読んでて心地よい。自己犠牲型のお人好しという前情報にも、らしさが生まれてくる。

ただ、やはり読み慣れていない層に向けてなのか説明が僅かに冗長に感じる。重箱の角をつついている自覚はあるが、優しさは改めて書かれなくとも読み取れるし、ホーンラビットは言葉から兎の一種と見当がつく。その説明の間は話が足踏みしているような感覚がある。

そして0話を読み飛ばしたことに気がつく。やっべ、これは申し訳ない。


◯3話まで


0話、いつかの未来、魔王との対峙。

クライマックスの緊迫感、真っ当にガチなこの戦闘はあらすじまでに思っていたものとは違うな?

しかし、既にあらすじで出ている初期メンバーの言動と合わせて考えると無力そうな集団からここまで来るんだなという作品の軸が見えてくる。期待していたのはドタバタ劇だったので見られるならそっちを見たかった気持ちはあるが、真面目な面の方で物語の運びを組み立てている丁寧さを感じる。

2話、追い立てられるような旅立ち。

急に強引に事を進める師匠には不穏な空気しかしない。この流れだと悪ければ命を落としてる。もっと悪いと敵対してくる。追いかけた背中が今は小さく見えるという憧れが現実に侵食される切ない心情表現はベタだが好き。

0話から数えればここで3話分であり、期待したものが間違いなくこの先にある確信は持てる。そこまで辿り着けなかったのは残念だが、目玉要素で興味が惹かれているという読み続けるためには非常に良い状態になれている。

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