3話感想日記

2-4 「ワイ、TS白髪美少女と都市マスターになる」

https://kakuyomu.jp/works/16818093086781153326

◯タイトル

頭がインターネットの某所にめちゃくちゃ引っ張られるけどその系譜だと考えていいのか…？いいんだよな…？違ったら結構失礼だぞ…？

TSというジャンルの愛好者は規模が大きいことは知っているが、深入りしたことはない。推察だが、このジャンルの中でも何を楽しむかにおける派閥があるんじゃないだろうか。自分が女の子になりたい。女の子になった元男をギャップや背徳感込みでかわいいと思いたい。元の距離感のまま接してくる元男友達にドキッとしたい。

自分から知りにいったわけではないのに、SNSでの受動喫煙だけでこの推察ができるくらいには愛好者は多い。

◯あらすじ

主人公から分離した人格がヒロインになるんだ！？

驚きがあり掴みのインパクトは強い。あとはここからこの設定だからこその展開を繰り出せるか。

基本的にギャグ調で進みそうなのでガンガン進んでいくテンポが期待できる。

◯書き出し

関西弁での語り出し。文字で関西弁を見るのは結構苦手な方なのだが、まだ脳が某所の流れなのか迷っていたせいか抵抗は無い。そして即レスという言葉でこれはそういうものだなってやっと断定できた。

「水曜日が休みだといいよね」っていうのはすごく良く思うあるあるなので、少し笑うとともに引き込まれてしまう。家から職場に着くと人格が切り替わるの、身に覚えが…あるなぁ…

◯1話

嫌な会社と嫌な上司、やや過剰のように感じられながらも水割り用意など細かなところで解像度が高くて没入感から苦しくなってくるなぁ…見事。

その前提も絡んで二重人格という根幹の設定に納得がいくので、楽しく読みながらも物語の骨格が出来上がっているのが小気味良い。異世界にもハイテンポで飛んで人格も分離したので、間延びした感覚が全く無い。スピード感においては抜群。

異世界自体はテンプレの前提として捉えていたが、都市が順位を競っているのはテンプレの中の一捻りとしてわかりやすい。連想したのは食事が部屋の順に消費されて下層は飢える映画「プラットフォーム」だが、その基準だと最下層の都市にしては枯れた貧しさの描写は無いのでそこまで厳しい順位争いの世界でもないのだろうか。

◯3話まで

変わらず主人公が即行動に移すために展開のテンポが良い。あと金が全ての割には金持ちへの暴力にペナルティ無いんだなとは思うが、テンポの良さを重視した現状が作品全体の雰囲気のまとまりを考えても好ましいのだろう。

キャラがもともと自分同士であっても、耐えられない環境に応じて生まれたものなだけあって明確に違いが有る。尖ったクロの言動を落ち着いたシロが一歩引いたところから見てしかし止めない図が特有の構図を生み出している。

異世界と人格分離で二重に非現実体験が始まっているので、物語内の視点から得られる新鮮さに事欠かない。そして渋滞しているようにも感じない。長編として期待したい目玉にはまだ至っていないが、空気とテンポは非常に好みでそれだけで読んでいたいと思わせる。