2-6 「虚言廻しは名乗らない」
https://kakuyomu.jp/works/16818023213620395913
◯タイトル
岸辺露伴の知名度が高すぎるが、ラノベでも一時期ブームがあったと記憶している人物+否定形のタイトル。この形式は大体七五調になるので語感がいい。
とはいえ、虚言廻しって言葉に見覚えはあるけど何だったかな…と検索したら、見覚えあったのは狂言回し。おそらく無関係ではなく捻りを加えてできた造語だろうとは思うのだが、はっきりした情報は汲み取れない。
◯あらすじ
人外だらけの学園にうっかり来てしまった主人公が「虚言廻し」。主人公についてそれ以上の言及は無く一般学生のようにも扱われているが、タイトルからも考えて名前が明らかになることはないのかもしれない。何かに名前を奪われている、のような考えも掠めたが、それだと「名乗れない」になるか。
方向として学園の問題解決を掲げているが、主人公は何者?という部分が最初に明かされるのでなければ終盤で決着がつく重要ポイントになりそうだ。
◯書き出し
学園の特徴と、まさにそこに向かう主人公。
生徒たちの計画の邪魔は一切しないという謳い文句の時点で実に平和に見えるとは思えない。
諸々すっ飛ばして非日常に放り込まれているところから始まるのは話が早くて助かる。ここに来るまでの部分を描かれても間延びするから大胆に省略した、というのも確かだと思うのだが、主人公の背景を隠しているようにも見える。5月の転入である事や問題児扱いに疑問を持っていなさそうなことはその一端か。
◯1話
建築基準法に中指を立てながら建てられた。
登校したというより投降した気分。
このあたりの表現が小気味良くて好きなのと同時に、この形式のタイトルが流行っていた頃のラノベを思い出す。記憶の中なのでもう結構曖昧にはなっているが、こういうモノローグの主人公には覚えがある。
また、人物の外見描写について服装の要素を3つ4つと並べられても頭の中で組み立てられずイメージが面倒になることがありがちなのだが、黒セーラーや巨大な十字架など目立つ1要素があるのはイメージの基点になってありがたい。
追われる女子と追う男子。知らないか、と聞かれて深く逡巡したらかなり怪しいが、武器に言及されて嬉しそうになっちゃってるあたりこちらはこちらで快活そうで好感が持てる。
ようやく名乗った主人公。虚言廻しの読みはチェーンメールと全然想像つかないものだった。無関係だが、チェーンメールって概念は今だともう通じない世代も多かったりするんだろうか。
◯3話
ヒロインと風紀委員会との衝突、披露される異能力、それでいて時折顔を出す年相応の感性、集団の中に混じったちょっと印象に残るモブ、場を収めてくれた大人、その大人が解説してくれた学園内の多種の勢力、すぐに提示してくれた次のやるべき事。
いいねをつけたくなる要素が次々出てきて、間に空気を緩和してくれるコメディチックな挙動が挟まる。物語の組み立てがかなり上手い。飽きもなく無理もなく頭の中で漫画のように滑らかに描ける。この構成、練り上げられている。至高の領域に近い。かは知らないが楽しい。
大型の舞台に多数の勢力というのは盛り上がる可能性を秘める一方で扱う側の腕が問われるが、読者として見たかった内容を簡潔に冒頭に置きつつ物語の前提と匂わせを出し終えている無駄のなさが信頼できる。
でかい十字架振り回して粉塵まき散らすのは重量感あってアクション映えするよなあ。武器としてはやや効率的ではなさそうなのがむしろ使い手の精神の表出みたいで好き。他でも見覚えはあるが、好きなゲームのシリーズでは詳細不明のままかませになってて悲しい…(余談)
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