第9話 ファン
翌日から、おれはあらゆる手を尽くしてファンを増やそうとした。
自主企画に応募しまくった。
読みあい企画に応募し、コメントもしまくった。
近況ノートを連日書いたし、SNSでも毎日呟いた。
でも、一時的な返事は貰えてもファンにはなってもらえない。
「〇ヨムコン前だからって、にわか活動しても見透かされていると思いますよ」
「……だめか。なら、もっと奇抜なことをしなきゃ……」
おれはさらに、宣伝動画を作って配信し、アイコンを派手に変えてみたり、謎のカウントダウンイベントを始めたりと、考えつく限りのことを試した。
後はもう、お金をばらまくしかないと思ったが資金がない。
「こうなったら……愛さんのナイスバディ写真を売って資金を……」
「それは私の利用規定違反です!」とぷりっと怒る愛さん。
おれは慌てて謝った。
「ごめん、冗談だよ」
しかし、どうすりゃいいんだ……途方に暮れていると、愛さんが明るく言った。
「にわかファンを増やすよりも、ファンが多い作品を読んで何が足りないか勉強した方が良いと思います」
「それだ!」
おれは即座に膝を打った。
それからは、時間を見つけては人気作品を読み漁った。
そして、それらの完成度の高さを見て、自分の文章力がまだまだ足りないことに気づかされた。
「手っ取り早く文章力を上げるには……」
ビジネスでの経験からヒントを探すんだ。
素早く事業拡大したいときは……
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