第5話 トッピング
「最高に芸術的な小説を書きたいという想いは変わらない。でも、読んでもらえなければ意味がないってことが分かった」
「そうですね」
「まずは愛さんの恋愛小説についてだけど、異世界転生の要素を加えるのが良いかもしれないね」
「はい……分析結果から考えると、それが読者を引きつけるためには最適ですね」
愛さんのアバターが一瞬、悔しさを見せたが、やがて決意を込めた表情に変わった。
そんな愛さんを見て、おれは少しでも明るい雰囲気を作り出そうと声を張った。
「他にも分析の結果をいくつか加えてみたらいいかも。よし! これをトッピング作戦と名付けよう」
「トッピング作戦?」
「そうだよ。ラーメンに卵やチャーシューをトッピングするように、小説にもいろいろ要素を盛り込むんだ」
愛さんは一瞬、何かを考えるような表情をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「ふふふ、面白い発想ですね。試してみる価値はありそうです」
「よし、じゃあ執筆してみて。おれも手伝うよ」
愛さんの瞳が輝き、二人での新たな挑戦が始まったのだった。
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