第3話 SFは3%
「おれが好きなSF作品は受賞作に入っているの?」
緊張と期待を抑え冷静を装いながら質問する。
「はい。SFは受賞1作品、特別賞1作品でした」
「2作品のみ……全体の3%しかないのか」
さすがに言葉が出ない。
2/68=3%? 消費税だって3%でスタートしたものの今では10%まで引きあがっているというのに。
そりゃ〇カワよりも▽川書店の方が得意な分野だという背景もわかるけど、ここまで低いとは……
「いずれもスペースオペラ系です」
「ああ……その二作品はもちろん読んだよ。発想、展開ともに面白い。でももっとたくさんのSF作品が埋もれているはずなのに……」
こんなことで、左京の右に出る作家を生み出せるのか?
新一を越えるどころか旧一になってしまうのでは?
抱介を目指した作家が惚介になってしまうのでは?
一水に憧れた作家がゼロ水に?
アシモフやクラークを誰が越えるんだ?
誰が大阪万博のリングの50万倍の直径を持つニーブンのリングワールドのようなスケールを描くことができるのか?
DNAが提起した銀河ヒッチハイクを誰が継承できるんだ?
すると、愛さんがくすっと笑った。
「本当にSFが好きなんですね」
その笑顔に、おれもつられて笑ってしまう。
「そうだよ。だから、この分析でなんとか勝ち残れるSFを作れるといいんだけどね」
「じゃあ、もっと分析がんばりましょう」
愛さんはガッツポーズを見せて励ましてくれた。
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