第2話 異世界は57.4%

 愛さんとのオンライン会議。

 彼女のアバターは超巨乳ぷるんぷるんの美女アバター。

 ボイチェンを通した柔らかい口調が素敵だ。


「具体的には、何から始めましょうか」


 おれはしがない会社員。

 ビジネスのノウハウしか知らないけど、それを小説作りに活用することにした。

 もちろんビジネスの第一歩は成功事例の徹底調査だ。


「まずは前回の受賞作品の分析から始めよう」

「じゃあ、私に任せて。こういうの得意なの」


 ちょっとリソース使うけどね、と笑う愛さん。

 そして翌日。


「もう分析できたの? 凄すぎる。さすが愛さん」

「えへへ」


 愛さんの分析によると、大賞および特別賞受賞は合計68作品。

 そのうち、カテゴリーを横断し実に39作品、57.4%が異世界もの(転生14含む)だった。


「……まさかとは思っていたけど、数値で見るとえぐいな」


 新しい芸術を生み出すはずのに? 相変わらず異世界??


 ……それって、もう、お腹いっぱい感を感じるのはおれだけだろうか?


「あとは……」


 学園もの7作品。うち5作品は美少女から言い寄られる男性願望もの。


「……この男の夢みたいな作品、女性陣はこれを読んでどう思うの?」

「ノーコメントです」


 ……まあ、これ以上は追及しない方がよさそうだと直感した。



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