7話:横山恭子
放課後、学年トップクラスの頭脳の持ち主である坂井さんの助力もあって、去年は時間がかかった課題もなんとか目処がたち、豊と坂井さんと三人で一緒に駅へと向かう。
「ひとえ〜〜、待って〜〜!」
チェルビーのスカートをはためかせながら、ガンダで駆け寄ってくるショートヘアは見るからにスポーツ女子。どこか大江原先生に似た感じの雰囲気だ。
「恭子! おつかれさん。あれ? 今日部活は??」
「うちらはゴールデンウィーク中にも部活があるから、課題通んないと部活に出たらダメだって、ほなちん先生が言ってて。だから課題が終わるまで自動的に休みなのよ」
「強豪部活のエースも文部両道で大変ねぇ」
どうやら恭子と呼ばれたこの女子は2年生にして女バレのエースらしい。背は僕らくらいで髪は襟足でサッパリと整えられ、人懐っこそうな感じで何よりも元気に溢れて見える。
(ほなちん先生?)
長身ボーイッシュな我らが担任は、部活ではほなちん先生と呼ばれているようだ。
豊も同じようなことを思ったようで、
「ほなちん先生か…、俺も今度呼んでみようかな」
得意の悪ノリでなにやら企み始める豊。
「やめた方がいいよ? しこたま怒られるよ?
あ、私は去年一恵と同クラの横山恭子。今年はクラスが別れちゃったけどね。多分聞いてて分かったと思うけど女バレやってるの!」
「恭子は隣のクラス。7組だね」
「へぇ〜、そうなんだ? 俺は大塚豊でこいつは大野彗人、一恵ちゃんと同クラ。四人で駅まで一緒に行く?」
などとご丁寧に僕の分まで紹介してくれて、会話に間を空けない豊は、やっぱりさすがの一言。到底自分には真似が出来ない芸当だ。
「そういえば豊くんちの最寄りは何駅?」
「俺は申ノ宮。一恵ちゃんと恭子ちゃんは?」
「申ノ宮なんだ? 私たちとは路線が違うんだね。私は南午子で恭子は隣の午子。暖簾くんは?」
「ちょ、ちょっと一恵! 暖簾くんって何!」
ついさっき初顔合わせしたばかりの恭子さんは慌てるが
「暖簾くん呼びでも全然構わないですよ?
結構自分でも気に入ってるかもなので。僕は酉宮」
「そ、そうなの? なんか大野くんって変わってるのね」
少し怪訝な表情を浮かべつつも、それ以上は突っ込んでこない横山さん。
そうこうしているうちに尼咲駅につく。
そう言えば、駅の北口にあるマケドナルドでカーストトップの金髪ギャル、和嶋副委員長がバイトしてるんだっけ。
(きっとマケドナルドの制服もうまく着こなして似合ってるんだろうな)
なんて思いふけりながら信号を渡り、駅へと足を運んだ。
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