第3話カフェでのハプニング

放課後、和也は三人の誘いをうまく調整しようと決意した。そこで考えたのは、全員で一緒に出かけること。理奈、紗季、美咲の三人に「今日はみんなで新しいカフェに行こう」と提案すると、彼女たちはそれぞれ微妙な表情を見せながらも、承諾してくれた。


「全員で行くなんて、ちょっと変わってるね。でも、いいわ。あなたがそう言うなら」と理奈は笑顔で答えた。


「私は、あまり賑やかな場所は苦手だけど…和也くんが行くなら、行ってみたいかも」と紗季も恥ずかしそうに頷いた。


「やったー!皆で行けば楽しいに決まってますよ!」と美咲は元気に声を上げ、和也の提案に大喜びだった。


 そんなわけで、四人は学校近くの商店街に新しくできたカフェへと足を運んだ。カフェはカジュアルで明るい雰囲気で、評判通りの美味しいアイスクリームが目玉だった。和也は「これで皆が楽しく過ごせれば」と胸を撫で下ろした。


 しかし、注文を終え、カフェのテラス席に腰を下ろした瞬間から、思わぬ展開が始まった。


「和也くん、このアイス、ちょっと味見してみる?」と理奈が、自分の頼んだフルーツたっぷりのアイスをスプーンですくって差し出してくる。


「え? あ、うん…」と戸惑いつつも、和也がスプーンを受け取ろうとすると、急に美咲が割り込んできた。


「だめです!先輩には、私のアイスも食べてもらわなきゃ!」と、美咲は自分の頼んだチョコレートアイスを差し出してくる。二人のアピール合戦が始まり、和也はどうしていいかわからず困惑。


「え、えーっと…」


 その時、紗季は和也の様子を見て微笑んでいた。普段は静かな彼女が、なぜか突然大胆に行動を起こす。


「じゃあ、私は和也くんに本を紹介するわ。実はこのカフェ、最近本棚を新しくしてて、気になる本があったの。ちょっと一緒に見てみない?」


 その提案に、和也はホッとしたような顔をしつつも、再び複雑な状況に。理奈と美咲が「えっ?」という表情で彼を見つめる。


 結局、三人のアピールに挟まれながら、和也は自分のアイスがほとんど溶けるまで食べられなかった。三人は和也を巡って無言のバトルを繰り広げ、カフェの店員も遠くからその光景を楽しんでいたようだ。


「和也くん、どうしたの?アイス、もう溶けちゃってるよ」と理奈が笑うと、和也はようやく我に返り、溶けかけたアイスを慌てて食べ始める。


「そ、そんなこと言わないでくれよ…」と和也は苦笑しながら、心の中で「次はもう少しスマートにできるはず」と自分に言い聞かせるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モテ期学園 @yochina

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る