第2話選択
和也の日常は、三人の少女たちとの関係によってますます騒がしくなっていた。平凡だった毎日が、突然カラフルに輝き始め、学校生活が楽しくて仕方がない。だが、和也には一つ悩みがあった。それは、放課後の予定だ。最近は、三人のどの誘いに応じるかで頭を悩ませることが増えていた。
ある放課後のこと、和也が廊下を歩いていると、理奈が笑顔で近づいてきた。
「和也くん、今日も一緒に図書館で勉強しよう?期末テストも近いし、私がサポートしてあげるから!」
理奈は成績トップを誇る優等生。彼女と一緒に勉強すれば確かに成績は上がるし、最近、二人で過ごす時間が増えたおかげで、和也は少しずつ彼女の真面目で気配り上手な一面に惹かれつつあった。
しかし、その時、紗季が廊下の隅から現れた。彼女は、和也に何か言いたそうにしながらも、言葉に詰まっている様子だった。いつものように小さな声で話し出す。
「和也くん…あの、今日は新しい本が図書室に入ったから、一緒に見に行かない?あの本、すごく面白そうなんだ…」
紗季は普段は控えめでおとなしいが、和也と一緒にいる時だけは少しだけ表情が明るくなる。彼女が読書に夢中になる姿は、和也にとって新鮮で、いつの間にかその魅力に惹かれている自分に気づいていた。
そんな二人とのやりとりに困っていると、部活からの帰り道、美咲が勢いよく和也に近づいてきた。
「先輩!今日は一緒に商店街の新しいカフェに行きましょう!アイスクリームが美味しいって評判なんですよ!」
いつも元気で明るい美咲の誘いに、和也は断るのが難しかった。彼女の笑顔を見ると、不思議と元気をもらえるのだ。
三人の誘いを前にして、和也は頭を抱えた。どの提案も魅力的で、どれも断るのが心苦しい。結局、その日も和也は「どれにするかもう少し考えるから」と言い訳をして、その場を切り抜けることにした。
帰り道、夕焼けに染まる学校の裏庭で、和也は一人悩んでいた。これまで普通だった自分が、突然こんなに注目されるのはなぜなのか。そして、自分はどうすればいいのか。
その時、不意に理奈が和也の後ろから声をかけてきた。
「和也くん、悩んでるの?もし何かあれば、私に相談してほしい。あなたのこと、もっと知りたいから…」
その言葉に、和也の心は少しだけ軽くなった気がした。だが、同時に、彼の胸の中には答えの出ない複雑な感情が渦巻いていた。
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