白い珊瑚礁

怪畏腹 霊璽

白い珊瑚礁

 死のうと思っていた。

 タオルやマフラーで首を括って。汚らしく糞尿を垂らして死のうと思っていた。何故かあの日彼女と見た海を思い出した。

 

 海で死のうと思った。

 折角だから彼女の故郷近くの海で。煌めく青い海が見たかった。だけれど電車で5、6時間かけて漸く辿り着いた海は茶色くて。次の日に向かった浜辺ではプラスチック片がそこら中に落ちていた。薄緑や茶色の海水を大型犬が楽しそうに浴びているのを覚えている。


 死のうと思っていた。

 でももう少し彼女と海を見ていたいので。

 死ぬのはもう少し海が綺麗になってからにしようと思った。

 

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