トモダチ

奇天烈ちぴ子

トモダチ

トモダチ


僕は友達が大好きだ。

僕は小学4年生。父と二人暮し。母は小さい頃に自殺した。その時のことはあまり覚えていない。僕は学校に行くのが毎日楽しい。僕はおっとりしていて学校ではあまり目立たない。放課後にこっそり友達と遊ぶのが好きだ。


今日は初めて律(りつ)くんと遊ぶ。先生はダムの近くで遊んでは行けないという。でも律くんは、「ダムの近くに行こうぜ。」と言ってくる。僕はダムに行くのがとても楽しみだった。二人でダムに行った。律くんは、「ダムなんて怖くない、僕はここから飛べるぞ。」と言う。「こんなところから飛んだら死んでしまうよ。」それでも律くんは「僕は平気。死なない。」だから僕は律くんの背中を押した。律くんはダムへ落ちて行った。僕は楽しかった。きっと律くんは生きてる。死なないって言っていたから。

家に帰ると父が聞く。「誰とどこで何して遊んだんだい?」僕は言う、「律くんとダムの近くで遊んだ。律くんは高いところ平気だし飛んでも死なないって言ってたから落としたよ。」父は怒る、「家で遊びなさい!」父が家で遊ばないとうるさいので、今度友達と遊ぶ時は家で遊ぼうと思う。


それから半年が過ぎ、そろそろ遊びたくなった。誰にしよう。女の子にしよう。百合(ゆり)ちゃん。学校が終わって僕の家にきた。「何して遊ぶー?」「おままごと!」僕はガキみたいな遊ぶは嫌いだ。でも百合ちゃんと遊びたいから付き合った。「いらっしゃいませ〜」僕は強盗犯役をした。「金を出せ。早く出せ!」百合ちゃんは、「お金は出せません。お店のお金だから。」「わかりました。すみませんでした。」楽しくなかった。百合ちゃんは塾があるので帰った。もう百合ちゃんは誘わない。父はボーッと見ていた。

僕はトイレがしたくて目が覚めた。時計は見ていないがきっと夜中だ。お風呂場からぽつっぽつっと水の音がする。懐かしい音だ。大きい箱が置いてある。中身を見ると百合ちゃんがいた。僕は嬉しかった。百合と遊べるから。「百合ちゃんの好きなおままごとしよう。」僕は百合ちゃんと遊んだ。「今度は百合ちゃんが強盗犯役!」僕は強盗犯をボコボコにした。殺さないと僕が殺されるから。楽しかった。その後は眠くて眠った。


次の日も当たり前のように学校に行く。「行ってきます!」「行ってらっしゃい!」小学校でも世間でもそこまで事件にならない。僕なんて全く目をつけられていない。

ある日珍しく遊びに誘われた。守(まもる)くんだ。「僕の家で遊ぼう。」と言うと家に来てくれた。守くんは家が臭いとか、汚いとか、何もないね、とか言う子だった。僕は悲しかった。泣いた。守くんは、「どうしてなくの?僕は泣かないよ。」僕は包丁を片手に、「殺すよ?」守くんは、「殺せるもんなら殺してみろ。」僕はすごく腹が立った。守くんの太ももを刺した。守くんは泣き叫んだ。「助けてー。痛いよー。お母さん。」そんなの関係ない。泣かないと言ったのは守くんだ。僕はうるさい守くんの息の根を止めた。殺してみろと言われたから殺した。楽しかった。


お父さんは捕まった。百合ちゃんの件だ。僕はバレていない。僕はかわいそうな子だと思われ保護された。施設の子たちで僕と遊んでくれる子はいなかった。僕はそれから友達と遊ぶのをやめた。面白くない毎日。なぜか母に会いたい。僕は思い出した。母が自殺した時、お風呂場からぽつっぽつっと水の音がしていた。大きい箱もあった。お父さんはお母さんと遊んだんだ。


施設から出る日がきた。僕は自由になった。身内は誰もいない。寂しい。僕はまた友達と遊びたくなった。早く仕事がしたい。仕事は清掃会社に務めた。遊んでくれそうな人はいない。そんな時に流行っていたのが生配信というもの。僕は見る方だ。たくさん遊べそうな人がいた。DMというもので誘ってみた。何人も誘った。なかなかうまくいかない。そう思った時に一人だけ僕と遊んでくれるという子がいた。未来(みく)ちゃんだ。僕は未来ちゃんに仕事で稼いだお金を全て貢いだ。でも、僕に遊ばせてくれない。未来ちゃんは楽しそうだ。僕は未来ちゃんに遊ばれていた。


ある日未来ちゃんが、「私に全てをくれる?」と言った、僕は、「うん。あげる。愛してる。」未来ちゃんは夜景を見に行こうと誘った。僕は嬉しかった。暗い夜、二人で夜景を見た。未来ちゃんは、「夜景に飛び込みたい!」「僕も!」未来ちゃんは、僕を山の上から突き落とした。

僕は友達が大好きだ。

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トモダチ 奇天烈ちぴ子 @kiteretutipiko

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