第3話 ウラジオストク沖海戦
ソ連太平洋艦隊の撃滅を命じられた第五艦隊は舞鶴を後にしていた。
今の第五艦隊の編成は旗艦に戦艦伊勢、日向、空母青龍、重巡高雄、駆逐艦雪風、峯風、叢雲、雷となっている。
作戦海域に向かう旗艦伊勢の艦橋にて第五艦隊司令長官である角田覚治少将が気難しそうな顔をして呟いた。
角田「我らが負ければ日本に危機が迫ることになるな。」
伊勢艦長中田重治大佐が応えるように言った。
中田「あれだけ訓練を積んだんですから大丈夫ですよ。」
見張り員から報告が上がる。
見張り員「敵艦隊見ゆ。」
角田司令長官が昼戦用意を下令。
青龍から攻撃機隊が発進する。
青龍の艦載機は戦闘機涼風、爆撃機明星、攻撃機妙山を補用合わせて各25機搭載している。
艦上戦闘機涼風一二型
諸元
発動機「暁」一二型1500馬力空冷エンジン
最高速度約600km/h
全長10.26m 自重1827kg
武装
12.7mm機銃(翼内)4丁
航続距離約1600km
防弾装備を搭載し翼内タンクにはゴムで内張りされいる。
艦上爆撃機明星一三型
諸元
発動機「水星」一三型1300馬力空冷エンジン
最高速度約400km/h
全長11.54m 自重2435kg
武装
20mm 機銃(機首固定)1丁
12.7mm機銃(後方旋回)2丁
爆装
250kg×2もしくは500kg×1
航続距離約1500km
防弾装備に加えて戦闘機クラスの重武装を装備しており対爆撃機任務に参加も可能である。
艦上攻撃機妙山一二型
諸元
発動機「宵」一二型1200馬力空冷エンジン
最高速度約500km/h
全長11.8m 自重2000kg
武装12.7mm機銃(後部旋回)1丁
爆装
800kg航空魚雷1本もしくは500kg爆弾1発
特記事項なし
角田「主砲左砲戦目標ウラジオストク軍港。」
砲術長の坂井俊賢大佐が撃ち方を下令する。
艦自体を揺さぶるような反動が発生する。
その数秒後日向も斉射により12発の砲弾がウラジオストク軍港を襲うとほぼ同時青龍攻撃隊による敵艦隊攻撃が行われた。
対空砲火が熾烈だと思っていたのだが旧式艦の対空能力には限界があった。
戦艦には3発もの爆弾が命中し弾薬庫誘爆により轟沈した。
重巡高雄に追随するように駆逐艦が変針していく。
伊勢、日向の砲撃により既にウラジオストク軍港は壊滅していた。
すると攻撃隊の隊長から通信が入る。
内容は残った爆弾でウラジオストクの飛行場を叩くというものだった。
角田は攻撃を命じた。
攻撃を終えた機体は青龍に戻ってきていた。
すると高雄より報告があった。
『敵艦白旗を揚げ航行中。』と。
角田は命じた。
角田「撃て。」と。
第五艦隊司令部では反対意見も出た。
「白旗を揚げている艦に砲撃せよなど人のすることではない。」と言った参謀もいたが角田は命令を訂正しなかった。
数分もせず敵艦隊は全艦停止した。
それを見た角田は高雄に「撃ち方やめ」を命じ駆逐艦全艦には敵兵を救助せよと命じた。
すると中田が呟く。
中田「あっけなく終わりましたね。」
角田「ああ。もう少し反撃を予測していたのだが。」
連合艦隊司令部に今回の海戦の戦果が報告された。
戦果
戦艦一巡洋艦三駆逐艦七撃沈
巡洋艦二駆逐艦八撃破し鹵獲。
ウラジオストク軍港及び飛行場破壊
被害
重巡高雄艦首に被弾小破
駆逐艦叢雲第一砲塔に被弾中破
となった。
山本「完勝であるな。角田司令はよくやってくれた。」
帰投中の第五艦隊司令部ではなぜソ連艦隊が出撃したのかを協議していた。
救助した捕虜から話を聞こうにも言葉が通じない。
角田「おそらくだか司令官の自発的な行動だと思われる。」
中田「自発的ですか。」
角田「まあそれも戻ってからだ。」
鹵獲した艦と共に舞鶴に戻っていく。
ヨーロッパ戦線ではフランスが粘りを見せていたがだんだん防衛線が後ろへ後ろと下がっていっている。
ポーランドはソ連とドイツによる侵攻で一週間もかからず陥落。降伏した。
イギリス軍は爆撃機で攻撃を仕掛けているがこれと言ってドイツ軍の攻勢を断念させるには至らない。
だからと言って陸軍部隊は送り込めない。
ドーバー海峡に潜む海の魔物が居るからだ。
次回に続く
日本を防衛せよ 飛龍 @F15ex
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