11月号
11月29日。
今日は私の誕生日。
『田村ぁ』
今日は田村の誕生日だという事を俺は知っている。
なぜなら田村の事が大好きだから。
「おはようございます近藤さん」
近藤さんは今日も素敵。
今日のスーツめっちゃセクシー。
もしかして…今日私の誕生日だから…?違うか。
『今日終わったらメシ行かね?』
「はいよろこんで!」
もしかして…今日私の誕生日だから誘ってくれた…?
焼肉屋。20:00。
11月29日。
今日は私の誕生日。
そう。イイニクの日。
だから焼肉なんですね近藤さん!
『誕生日おめでとう田村』
「覚えててくれたんですか?私の誕生日」
『イイニクの日だもん、忘れねーわ』
美味しい焼肉を食べてイルミネーションが綺麗な通りをふたりで歩く。
「近藤さん」
『ん?』
あー今日も一日中かわいいな俺の田村。
「手、つないでくれませんか?」
我ながら積極的。
『おう』と言って手をつないでくれる時、近藤さんが左手の腕時計をチラッと見た。
もう帰りたいのかな…
『今日が誕生日の田村のいうことなんでもきいてやるよ。あと1時間しかないけど』
「本当ですか?なんでも?」
『なんでもこい』
キスでもなんでもしてやるぜ!
っていうか俺がしたい!田村としたい!
「じゃあずっとこのままでいたいです…誕生日終わるまで…」
ずっとこのまま近藤さんといたい。
『…わかった』
…あれ?
手繋ぐだけでいいの?
ちょっと行ったところにラブホあるんだけどな…
キスしてください抱いてくださいって言われると思ってたんだけどな、俺。
「さむ…」
『寒いな』
そーいや今夜は冷え込むってニュースで言ってたな。
ズボッ
繋いでいた田村の手をコートのポケットに突っ込んだ。
『これで少しはあったかいだろ』
うわぁ~カッコつけマン俺~。
「はい…あったか~……くない…なんかかたいモノが…」
…ん?近藤さんのポケットの中に何かある。
『……』
田村の手がポケットの中でいやらしく動き回る。
や、やめろ田村…
そんなにまさぐるんじゃあない!
俺のかわいいティンカーベルが暴れ出すぞ!
そっちがその気ならそこの!ちょっと行ったとこのラブホに引き摺り込むぞ!
「なんか入ってますよ?」
小さい四角い箱みたいな…これってもしかして…
『あ、出してみ?』
田村の手には小さな箱。サプラ~イズ!
『誕生日おめでとう』
…意外とうまくいったぞ。
喜ぶ田村、俺に抱きつきキスをする田村、そして感動のフィナーレ…
「なんですかこれ?」
待って待って。これって…こんな小さい四角い箱みたいなのって絶対に…アレしかないじゃん!
『当ててみ?』
「牛脂!」
『正解!』
もしも田村と結婚できるのならばイイニクの日に籍を入れるぞ絶対に。
月刊!田村と近藤 まりも @maho-marimo
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