10月ハロウィンスペシャル号
10月最後の出勤日はハロウィンデー。
イベント大好き社長が決めた。
社員全員が仮装して出社する日。
出社はするけど午後からは仕事なんてほとんどしない。
ビルのロビーもハロウィン仕様になってちょっとしたイベントもやっている。
今年の俺は…
つーか部で決まっている。
部長が勝手に決めた。
我が企画部のコスプレテーマはあの大人気アニメ鬼滅の刃だ。
そして俺は…
「お前も鬼にならないか」
衣装もメイクもモノマネもポーズも完璧だ。
そう、猗窩座だ。
鍛え上げた肉体の俺にピッタリだ。
やべぇな、これはかなりカッコイイぞ。
こんなイケてる猗窩座な俺を見たら田村はきっと「近藤さんステキ~♡」って甘露寺蜜璃みたいに惚れちゃうだろうな。
…つーか田村はなんのコスプレだ?
やっぱ禰豆子かな。胡蝶しのぶかな。俺的にはオッパイボヨヨンな甘露寺蜜璃希望なのだが。
まあ田村ならなにやってもかわいいに決まってる。
うーわ、すんげー楽しみ。
「近藤さーん!!おはようございまーす!!」
田村だ。大好きな田村の声だ。
かわいい田村が俺を呼んでいる。
『おう田村、おは…!?』
こ、これはどういう事だ?
なぜだ…なぜなんだ田村!!
「猗窩座カッコイイ~!さっすが近藤さん!」
ああ、ありがとう田村。嬉しいよ。
だがしかし…
田村…田村よ、なんで田村…
『なんで煉獄さんなの!?』
「え?鬼滅といったら煉獄さんじゃないですかあ!強くてかっこよくて大人気ですよ?」
うん、そうだ。それはわかっている。
問題はだな、なぜにおまえが煉獄さんコスプレなのかって事なんだよ。
「なんかみんなに、髪の毛の色明るいし目も大きいから煉獄さんにすれば?って言われて、やってみたら意外と似合ってますよね私!?」
『あ、うん。すげー似合ってる』
煉獄さんな田村だけどやっぱりかわいいな。
煉獄さんのコスプレしてこんなにかわいい女どこ探してもいないな。
「近藤さんもちょー似合ってます!他にも猗窩座いましたけど、近藤さんの猗窩座がいちばん素敵です」
…煉獄さんじゃない田村に言われたかったな。
でもまあ、ちょうどいいか。
猗窩座な俺と煉獄さんな田村。
『なあ田村』
「はい?」
『俺の女にならないか』
…決まった。
完璧な猗窩座ポーズに完璧な石田彰ボイス。
これで田村も俺の女に……
「うまい!うまい!」
『ぶーーーッ!!』
聞いてねえー!!
渾身の猗窩座モノマネ告白を見事にスルーしやがった!!
他の社員や遊びに来ていた近所の子どもらに囲まれて田村は煉獄さんのモノマネをして盛り上がっていた。
「穴があったら入りたい!」
穴に入りたいのは俺だよ!
なんだよ…なんなんだよ…
なんでそんなに煉獄さんのモノマネうまいんだよ…
全力でやりきる田村最高だな。
あー好き、田村。かわいい。
煉獄さんソックリの田村、大好き。
『田村ぁ、俺の知り合いの店がハロウィンパーティーするから夜ちょっとこの仮装したまま飲み行かね?』
「行きます!行きます!」
煉獄さんのモノマネで返事をした田村。
気合い入ってて首斬られそう。
「あ、近藤さん。飲みに行く時ちょっと着替えてもいいですか?」
『え、煉獄さんやめちゃうの?』
「もういっこやってみたいのがあるんです」
『あ、そうなの。楽しみにしてるよ』
田村の事だからきっと
煉獄さんの弟か親父だな。
きっとそうだ。間違いない。
「すみません近藤さん、お待たせしました」
『ぶーーーッ!!』
煉獄さんの弟でも親父でもなかった。
『よもやよもやだ!』
俺の第1希望・甘露寺蜜璃のコスプレで麗しの田村は現れた。
「どうですか?蜜璃ちゃんです」
田村は三つ編みをイジイジしながらクルッと回った。
叶美香もビックリのクオリティ、再現度が高すぎるオッパイに俺は釘付けだ。
『めっちゃ似合って…るよ、ゴクリ』
頼む田村、俺を斬ってくれ。
俺は猗窩座だ。上弦の…いくつだっけ…
『よもやよもやだ…』
「もー。さっきから近藤さんそればっかり。よもやよもやだは煉獄さんのセリフですよ」
うん、知ってる。
田村がかわいすぎてよもやよもやだ。
田村のオッパイがよもやよもやだ。
俺の上弦の珍がよもやよもやだ。
あ、そうだ。俺は猗窩座だ。
十二鬼月・上弦の参だ。思い出したぞ。
俺は猗窩座だ。キメてやる。
『俺の女にならないか?』
「……」
うーわ…
またやっちまったー…
「…近藤さん」
『あ、はい』
「違います。「おまえも鬼にならないか?」です」
猗窩座ポーズと石田彰ボイスまで完璧にして見せてくれた甘露寺田村。
田村のオッパイと太腿が目に焼きついて離れない。
『よもやよもやだ!!』
「だからそれは煉獄さんです」
『はい、すんません』
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