第七回こむら川小説大賞ピックアップ・3
こちらは2024年夏に行われた「第七回こむら川小説大賞」の参加作品全238作品を読んだうちのピックアップとなっています。作品数が多いのでピックアップもたくさんありますので、いくつかに分けて案内します。
【第七回こむら川小説大賞】
https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082011920376
【『 』/宮塚恵一さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082413552632
これは救いなのだろうか?
人が光になって消えるウィルスによって引き起こされたポストアポカリプスの世界と、そこで生き抜こうとしたとある二人の話。崩壊してヒャッハーが支配する世界も面白いし、主人公サイドの二人の関係性が絶妙な配置でザラザラした読後感が最高でした。ここで終わるのか、という気分と「この話はこれでおしまいなんだ」と納得する気持ちとが混ざった不思議な後味もよかったです。
【火星の天体観測/ものういうつろさん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082520394552
満天の星空、ひとりで見るかあの子と見るか。
ちょっと未来の、引き寄せられてしまった少年少女たちのボーイミーツガール。文明や技術はちょっと進んだようだけれど、それでも少年少女の悩みというものはなかなか変わらず、家族について悩んだり居場所を求めて一緒にいたりいなかったりするのがとてもよかったです。主人公の最後の決断もキャッチコピーと連動して心に響きました。秋犬さんの個人的な推し作品です!
【私はあなたが好き、あなたも私が好き/クニシマさん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082357087893
蓄積された光が、消えない。
「あなた」が語る昔話が中心になっていて、「あなた」の幼馴染の「ひいちゃん」という人物についてのエピソードが詳細になっていく。ややこしいことをあしらうのが得意なひいちゃんと貼った蓄光の星型のシールが今も心に残っている「あなた」に、私が語りかけるラストで全てが温かい子供部屋の毛布で覆われるような、とても柔らかくて包み込まれるようなお話。ふんわりした文体にいつまでも包まれていたいと思いました。
【今でも姉は私の光(物理)/志波 煌汰さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082530565698
姉への愛は光を超える。
物理的に光になってしまった主人公の姉。人間が物理的に光になるとはどういうことなんだと引き込まれて、そこから世界規模になってしまった姉を取り戻す妹の話が始まります。「人間が物理的に光になる」という周辺の話も面白いし、姉の性格がワールドワイドに膨れあがるところも姉に偏執していく妹もすべて妖しく輝いていて、最終的に収まるところまで面白かったです。
【【新番組】仮面バトラーフォワード/秋乃晃さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082427843749
怪人がせめてきたぞ!
怪人が攻めてきた、なんか変身して戦うぞ! 仮面バトラーフォワードへと変身した主人公は怪人を倒し、この世界の真実と戦うべき相手、そして死んだ父と守るべき母、失踪した兄に思いをはせる……といういかにもな特撮ものの第1話。この「第1話」感がすごく好きです。続きなんかどうでもいいんです、これは「第1話」というお話なのだから。個人的に失踪した兄の存在がツボでした。
【サウナ救世譚/柑橘さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082718041083
中年全裸男性が死んでから始まる再生譚。
公転軌道がズレて太陽に少し近くなってしまった地球。ダイレクトに放射線が降り注いで地表に出られなくなった人類は地下に逃げたけれど、それでも太陽の光が恋しい。そんなとき全裸の男性が地表に出て……という人類の再生譚です。サウナを作った人類の強かさも眩しいSFでした。導入も結末もかなり強烈で、とても面白かったです。
【地球一周光速パンチ/コサジ少将さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082076685360
つべこべ言わずに走ってこい!
走れば走るほど強くなる男が人類を滅ぼそうとする存在を倒すために地球を一周して敵をぶん殴ります。作中で起こっていることはこれだけなのですが、そこに至るまでの主人公の心情が鮮やかで、走れば走るほど読者のボルテージも上がるアツい作品です。光速に達した男が最後に聞いた言葉までたっぷり光り輝いている作品だと思います。
【高野咲良は亡くなりましたか?/南雲 皋さん】
https://kakuyomu.jp/works/16818093082349205039
ねえ死んだ? ちゃんと死んだ?
独居老人の孤独死と思われる事案に関わることになってしまった主人公。そこから始まる理不尽な怪異と、すり減っていく主人公の精神。怪異から逃れようとする主人公と、更なる絶望をかぶせてくる怪異。怪異の理不尽さも酷いし、ホラーによくある「愚かな失敗をして更に状況を悪化させる」ということもなく主人公がどんどん追い詰められていくところが本当に怖い。こんな怪異嫌だ。
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