第七回こむら川小説大賞ピックアップ・2

 こちらは2024年夏に行われた「第七回こむら川小説大賞」の参加作品全238作品を読んだうちのピックアップとなっています。作品数が多いのでピックアップもたくさんありますので、いくつかに分けて案内します。


【第七回こむら川小説大賞】

https://kakuyomu.jp/user_events/16818093082011920376



【偽造聖剣ゼクスカリバー/鍵崎佐吉さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082021922643


 光らないなら新しいのを作ればいいじゃん!


 勇者の聖剣が光らないからどうしよう、というところで二転三転していく話にワクワクしていると、とんでもないところから放たれる攻撃に背中を斬られる話です。本物と偽物とは、そして偽物に価値はあるのかないのか、物事の本質とは一体なんなのか、期待に必ず応えなければならないのか。考えれば結構深い作品だと思います。ニエさんがすごくよかったです。



【犠牲の坩堝/魚崎 依知子さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082212121856


 それを開けたのか、開けてしまったのか!


 こむら川小説大賞にはホラー作品も多くありますが、今まで読んできた中でダントツで怖いです。不気味な導入、凄惨な怪異、謎の霊能力者、無力な主人公、そして明かされる残酷な事実に悲惨な現実。ホラー作品として要素てんこ盛りであり、ホラーとしてのオチもとっても綺麗という最高な作品です。怖いのが苦手な人にはお勧めしません、本当に怖いので……。秋犬さんの推し作品です!



【眼球考察/まらはるさん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082254297497


 記憶の底、眼球で光る!


 お題が「光」ということもあり、視力関係のお話も結構あります。その中でも「これは!」と思ったのがこちらの作品です。眼球の移植手術をしたら謎の虹色が漂うようになった、というところから始まる結構壮大な人間ドラマです。意外と大きくなったスケールにじんわりとする真相、そして即席のコンビがおかしくていいバランスです。作中登場する太宰治の作品紹介も良くて、秋犬さんは思わず青空文庫で読んでしまいました。



【236兆5000億キロメートル旅行/はに丸さん】 https://kakuyomu.jp/works/16818093082306439598


 デカい初恋はいいもんだ!


 光というテーマでいろいろ読んできましたが、こちらはかなりスケールの大きな「光」の話です。こと座のベガに恋をした少年が天文学を志すという可愛らしいストーリーなのですが、後半の話の広がりに「私たちは一体どこへ連れていかれるのだろう」という途方もない時空の広がりを感じることができました。そういう途方もない話なのですが、最終的に恋する少年の話というのが個人的に好きです。秋犬さんの推し作品です!



【ワンダフル・デイ/野村絽麻子さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082334490921


 何があってもブライダル!


 短編小説って、お話の中で大きく感情を揺さぶられると「いいな」って思うと思います。こちらの作品は、レストラン・ウェディングで照明を担当する主人公のお仕事の様子と、とある結婚式のお話になります。この説明でなんとなく想像するお話と実際のお話、結構違います。読みながらハラハラしてしまいました。お仕事モノであり、いい人間ドラマです。いい意味ですごく裏切られた作品でした。



【流星ちゃんはきらめかない/月見 夕さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093073915080321


 流星ちゃんがかわいいぽ!


 魔法少女というとある作品以降「女の子がつらい目に合う」という文脈が入ってきてしまっているのですが、こちらは古きよき魔法少女ものです。困っている人を魔法少女の流星ちゃんが助けるお話で、冒頭の悲惨な状況にするっと入ってくる流星ちゃんがとってもいいです。暗いお話の流れに流星ちゃんが加わって急に明るくなるのはまさしくお題の「光」だなあと思いました。



【二度と開けない/衣純糖度さん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082082639323


 もう二度と、戻れない!


 今回のこむら川小説大賞の参加作品をここまで読んできて、一番「ぐっ」と引き込まれました。お話はとある鍾乳洞を舞台に淡々と始まるのですが、途中から謎がするする解けていく辺りでもう物語に完全に入ってしまいました。深まる謎、明かされる過去、そして待ち受けるせつない事情。お話の舞台も相まって涼しくなれましたし、それ以上に「自分ならどうする?」がギュンギュン響くいいお話でした。秋犬さんの推し作品です!



【空中ブランコのベル/@maruchoさん】

https://kakuyomu.jp/works/16818093082351112556


 彼女は光になったんだ!


 個人的に題材でもう「勝ってる」作品だと思います。空中ブランコなんてもうドキドキするしかないじゃないですか。そしてそんな彼女がどうなっていくのか、絶対最後まで見守らなきゃいけないじゃないですか。彼女に振り回される男たちの悲哀と、自由に空を飛び続ける彼女。主人公と団長の関係もよかったですね。ラストもぎゅっとせつない感じで「大人の恋」を感じました。



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