配信アプリ
Bくんが配信しているというアプリの通知が届いた。
わたしはずっとRちゃんが異常に怯えていたのが気になっていた。
まあRちゃんにはBくんがいるしな。
違和感を拭いながら、Bくんの配信を聴きにいった。
【こんにちは】
「お、さくらさんじゃん〜やっほ〜」
Bくんはいつもの間延びしたおっとりした口調で挨拶してくれた。
本日Bくんは休日で、ゆったりとお家時間を過ごしているみたいだ。
観葉植物をまた増やしたようで、浴室に一先ず新しく観葉植物を置いてみてるらしい。
【どこまで増やすの?】
「うーん、どうしよっかな〜植物園の一角みたいにしたいんだよね」
【なんだそれ(笑)】
「ねえー…?えー」
「緑に囲まれると落ちつくんだよね。さくらさんはお家の観葉植物ちゃんとお世話してる?」
全身が沸騰したように熱くなってから、急激に冷えてゆくような。落っこちたら助からない高さで足元がグラグラの板の上の足場に立っているような。
そんな感覚が、これは危機だと言っている。
喉が渇いてカラカラになっているのがわかった。
【いきなりなに言うんだって思うかもしれないんだけど…先日のRちゃんの配信で、誰もいないのに女の人の声が聴こえたの】
「んー…?ああ、うん。それRから聞いたよ〜気のせいだったんだよね」
【あの、今同じ女の人の声聴こえたんだけど】
「……」
【ごめんね、わたし疲れすぎて変な幻聴聴こえてるのかも。でもね少しだけ気になっちゃって。変なこと言ってごめんね】
わたしはコメントを打ちながら混乱していた。わたしの方がどうかしている。きっと幻聴だ。こんなわたしごとで、2人を振り回しては駄目だ。申し訳ない、変な奴だと言われるだろうな。
「ふーん、別にいいよ。前にも言われたことあるしね〜」
えっ?
えーっと。
え??
「職場の人と通話してたらね、女連れ込んでるって勘違いされたんだよね〜その時誰もいなかったけど。誰もいない時にRと通話してる時にも疑われたから、Rには俺の家女の幽霊いるかもって話したんだけど。イライラするよね〜」
Bくんはケロッとした調子で、いつもと変わらず間延びしたおっとりした口調で話す。話し続ける。
「マジで住んでるなら家賃半分払えよって話し!おーい女の幽霊聴こえてるか〜?家賃払え〜!」
わたしはまだなにもコメント出来ない。
。
「まー、ここ事故物件だしね!」
スマホ越しに、ヘラっと笑った気配がした。
配信アプリ さくら @sakura3dayo
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。配信アプリの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ミニチュアダックスフンド/さくら
★3 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます