変態なヤンデレに警戒せよ
みそぎ ことのは
第一話
A「同じマンションの人でね、毎週ゴミ出し の時間が被ってる男の子がいたの。でもね、先月からぱったり合わなくなっちゃって。引っ越したわけでもないのにどうしたのかな〜って思ってさ。どう思う?」
B「えーA子のこと意識して恥ずかしがってんじゃな〜い?」
A「そんなわけないでしょ。でもなぁ、結構かっこよかったし、また朝に顔を拝みたいもんですわ。」
C「本当に意識してたら、ゴミ漁るために時間ずらすかもね。」
A.B「え、キモ…」
C「あはは、まさか想像の話だよ。」
C(私ならゴミ漁りが悟られないように少し時間ずらして好きな人がゴミ捨てたのを確認してから…)
^ - ^
月曜日の8時、私の朝は早い。眠い目を擦ってやることとといえば耳を玄関の扉に当てて外の音に聞き耳を立てること。待つこと1,2分がチャリと大きめの扉を開ける音がした。方向は真正面、音量、それに明瞭な音、間違いなく向かいのひなたくんだ。時間に寸分の狂いもない時計のように真面目な男の子。今日も朝から頑張ってて偉いなぁ。今すぐハグしてよしよししてあげたい。
5分経つか経たないか少しばかり時間をずらして私も行動を開始する。1週間溜まりに溜めた大袋を持ってゴミ捨て場へ向かうのだ。今日は可燃ゴミの日。彼はゴミ出しをしてそのまま大学へ行くので戻ってくる心配はない。シャッターをあげ1番手前のゴミ袋を持ち上げ場所をずらすふりをしながら中身を物色。すぐに赤黒いカラーに英字のラベル、彼の大好きなドクターペッパーのゴミが大量に目に入る。ビンゴ。お目当ての物が今日も手に入った喜びから、帰りの足は朝とは思えないほど軽やかだ。こんな糖分たっぷりのジュースばっかり飲んでたら体に悪いよ。私がひなたくんの健康を管理してあげなくちゃ。私にとってゴミ出しとは部屋の物量が変わる行為ではない。足の軽やかさとは裏腹に手には部屋を出た時と同じような半透明の大袋を抱えている。
ひなたくんは軽そうに持ってたよね。やっぱり男の子なんだなぁ。じゅるりと一つ舌舐めずり。さあ、お楽しみの時間だ。ひなたくんの温もりを感じたい私にとっては可燃ゴミはまさに体液の宝庫だ。分別めんどくさかったのか、プラスチックもいっぱい混じっちゃってめんどくさがりさんなんだから。はぁ、ひなたくんが地球をコントロールしていいのに。ひなたくんがプラスチックを喉に詰まらせるのは海亀じゃなくて私にしてください。ひなたくんの食べかす、ソース・お肉の油分の固まりはまるで一面に輝かしい品々が並ぶ晩餐のようで、何から手を出したらいいのか分からず豊潤な腐敗臭に鼻鼓を打つ。
変態なヤンデレに警戒せよ みそぎ ことのは @kujyojanezane
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