第3話:新しい視点の扉

アオイは「エコーチェンバー」から抜け出すため、意図的に異なる意見が交わされるフォーラムに参加することを決意する。しかし、新しいフォーラムで彼女は、これまで当たり前に感じていた「支持」が得られないどころか、反対意見にさらされることが多い。自分の発言が批判されたり、他の視点からの厳しい指摘を受けたりするたびに、アオイの心は揺れ、疲れ果てそうになる。


そんな中、フォーラムでミズキが教えてくれた「議論とは、誰かが正しいかどうかではなく、互いに学び合い、新しい視点を得るためのものだ」という言葉を思い出す。アオイは自分がずっと「正しいか、間違っているか」の二択でしか物事を見ていなかったことに気づき、相手の意見に耳を傾け、理解しようとする姿勢を持つことが重要だと考え始める。


その後、アオイはフォーラムで「意見を持つことの意味」についての投稿を行う。自分がエコーチェンバーに陥っていた経験や、そこから学んだことを素直に共有し、「異なる意見に触れることが成長に繋がる」という気づきを語った。予想に反して、彼女の投稿には賛同や感謝のリプライが集まり、フォーラムのメンバーから「自分も偏った見方をしていたかもしれない」といったコメントも寄せられる。アオイの投稿が他のメンバーにとっても考え直すきっかけとなり、フォーラム内での会話の雰囲気が少しずつ変わっていく。


その頃、アオイは学校でも変化を感じていた。かつては避けていた異なる意見を持つクラスメートにも自分から話しかけ、友好的な関係を築き始める。意見の違いがあっても対話を続けることで、自分の視野が広がり、以前よりも柔軟な考え方ができるようになっていた。


最後に、アオイはフォーラムにこんな投稿をする。「私たちは、見たいものだけを見ようとすると、見える世界が狭くなる。だけど、たくさんの意見や価値観に触れることで、自分の中の答えが少しずつ変わっていく。大事なのは、自分と違う意見も恐れずに受け入れ、互いに成長し合うことだと思う」と。

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「エコーチェンバー」 @halucabbage

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