第14話 お買い物♪
そして、放課後。
地元のスーパー・ヤマナカで二人は買い物をしていた。安くて美味しい、しかし、ごく普通の家庭用スーパーなのでデート感は皆無だ。
学校帰りに立ち寄っただけなのだが、真夜は上機嫌だった。
「お買い物、お買い物♪」
真夜が買い物カゴにお菓子とかアイスクリームをたくさん放り込む。
「た、楽しそうだね……?」
「はい! だって、二条くんが一緒ですし」
くるりと身を翻して、廉也を見て満面の笑みで。
「放課後デートですね!」
廉也、真夜の言葉にどきりとする。
これはデートというより、新婚夫婦のほうが近い雰囲気なのではないか、と思う。そして、廉也は頭に浮かんだ妄想を打ち消した。
あくまで真夜はメイドなのだから。
「そ、それにしても、誰かに見られたら、まずいよね」
「え? 何かお困りごとでも?」
「一緒に住んでいるのがバレちゃうよ!?」
「……火倉さんにバレると困りますか?」
突然、真夜はむすっとした、嫉妬した表情になる。
「なんで秋帆が出てくるの?」
「二条くん、火倉さんと仲良しでしたし」
「幼馴染だからね。でも、ずっと一緒にいただけで、俺は秋帆のことなんて、何もわかっていなかった」
「あんな可愛い幼馴染がいたら、男の子はすごーく嬉しいんじゃないですか?」
真夜はジト目で言う。
廉也は苦笑する。たしかに周りはみんなそういう。秋帆みたいな可愛い幼馴染がいるのが羨ましい、と。
ただ……。
「別に秋帆が俺の彼女ってわけでもないからね」
真夜は小首をかしげる。
「案外、告白したらなってくれるかもしれませんよ?」
「まさか。秋帆はモテるし」
「二条くん。火倉さんのこと、名前で呼ぶんですね」
「本人の前では呼べないけどね。秋帆が嫌がるから」
「火倉さん、本当は喜んでますよ」
「そうだといいんだけどね」
廉也はつぶやく。秋帆が廉也をどう思っているか、本当のところはわからなかった。
ただ、二人が疎遠になっているのも事実だ。
真夜がいたずらっぽい表情を浮かべる。
「ところで、二条くん。わたしの誕生日は3月3日なんです。ひな祭りの日です!)
「きゅ、急にどうしたの? 誕生日に基づく占いとか、流行ってる!?」
「占いはわたし、星座占い派なので……。って、そうじゃなくて! それはその……」
真夜は、恥ずかしそうにもじもじとする。廉也はピンと来た。
そういえば、秋帆には誕生日を祝ったのだ。なら、真夜の誕生日を祝わない道理はない。
「もちろん。神城さんの誕生日もお祝いするよ。なんなら、誕生日パーティぐらい開くから」
「ありがとうございます! 約束ですよ。おうちで誕生日パーティですね!」
廉也は思わず、くすりと笑う。
けれど、3月といえば、あと半年以上先のことだ。
(それまで俺は神城さんと一緒にいられるのかな?)
この不思議な同棲生活……主人とメイドの生活はあくまで仮のもの。
これからどうなるのか、誰にもわからないのだ。
<あとがき>
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キミの理想のメイドになる! ~クラスの美少女とツンデレ幼なじみが、イチャイチャ同棲奉仕をしてくれる~ 軽井広💞キミの理想のメイドになる!12\ @karuihiroshi
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