第21話 妹の再婚

太陽は、レンタル屋さんで原付バイクを借りてきてくれて、甥っ子の原付バイク運転の練習を一緒によくしてくれるのだった。



甥っ子の実の父親さえも、車とバイクじゃあ練習にならんしなぁ…とか…

はなから教えてやろう!って

気持ちにさえなっていなかったのだった。



甥っ子自身も、段々…俺の父親は太陽さんだ…と良く言うようになるくらい…実の両親の薄情さは痛いほど身にしみて分かっているようだ。



外ではミンミン蝉が鳴いている…。

凛子が、今日も暑くなりそうだ…

と思ってる朝…


実の妹からラインが来たのだった。


妹:

『お姉ちゃん每日暑いけど、元気?』



凛子:

『妹ちゃん、おはよ〜

 ちょっと夏バテ気味かなぁ?

 どう?元気にやってる?』



妹:

『うん。元気にやってる。

 実は…私…同居人さんと籍を入れる事にしたの。』



凛子:

『あら…おめでとう。』



妹:

『ありがとう。

 それでね、一度きちんと、結婚のご報告にふたりでそっちに伺いたいの。』



凛子:

『そうなんだ。』

『子供たちにはもう話したのかな?』



妹:

『これから話そうと思ってる。』

『挨拶に行きたいんだけど…いつがいいか?お母ちゃん達にも聞いておいてくれる?』



凛子:

『オッケー。また連絡するわ。』



凛子はめちゃくちゃ驚いたが、なんか…すごく肩の荷が降りた気がしてきた。

我が家で一番の問題の人間は、妹だったからだ。


姪っ子は女の子だから、ちょっと複雑な所があるかも?だけど…

甥っ子は喜ぶだろうなぁ…。



早速、母に、この事を話して、『いつならお母さん達は都合が良い?』って聞くと…。



毒母:

即答で!!

『なんで?挨拶に来るの?』



凛子:

『結婚しましたーって、自慢したいのもあるんじゃない?』



毒母:

『そんなの見たくもない。』



凛子:

『でもさ〜お祝い事だから、きちんと筋道通したいのもあるんだと思うよ。』




毒母:

『誰も反対してないでしょ!!』



凛子:

『うん、姪っ子が複雑はあるかも…だけど…反対する人は、こっちには居ないと思う。』


『むしろ…永久就職してくれて、ホッとしてる感じよね。』


『妹自身が幸せで安定していないと…周りを良くない方に巻き込む子だから。』



毒母:

『なんで?来るんかね?』

『勝手に籍入れて生きていったらいいのに…。』



さっきから毒母は同じ言葉を繰り返しているのだった。


それから後も…グダグダ言ってた毒母だったが…父の説得で、今日、妹夫婦がやって来る事になったのだ。


妹夫婦入れて、8人での会合になったのだった。



妹夫&妹:

『この度は…ふたりは夫婦となりました。今後とも宜しくお願いします。』



その他:

『おめでとうございます。』

『夫さんと仲良く幸せにやってね〜。』



妹夫&妹:

『ありがとうこざいます。』



毒母が色々、ご馳走を作ってくれていた。

お祝ということで、赤飯を炊いてあげていた。

みんなで乾杯したりして、和気あいあいと食卓を囲んだのだった。



食べ終わって、一段落ついて…。

食後にコーヒーでも飲もうって事になって、凛子が淹れていると…。


床の間で、何やら…高らかな声が聴こえて来たのだった。


どうやら毒母が、妹夫婦に何かを言ったようで、妹と口論になっているようだった。


凛子は、コーヒーを持って、床の間に向かったのだった。



凛子:

『どうしたの?何を口論してるの?』



妹:

『お母ちゃんが、夫の両親と会わないよって言うのよ。』


『私は一度、両家で会ってお近づきになれる為の席を設けたいのに…。』



毒母:

『お近づきに私はなりたくないし、なる必要がない!!』


『お父さんとお母さんは反対していないんだから、ふたりで籍入れて、自由に楽しく暮らしていったらいいでしょ?』


『初婚の結婚なわけでもないんだから、2人が良かったらそれで良いのよ!!』



妹:

『ただ夫の両親と会ってほしいって

言ってるだけなのに…

 なんで?それが嫌なのよ。

必要ないってどういうこと?』



毒母:

『あのね、じゃあ分かりやすく図を描いて説明するわ!!』


毒母は、簡単な日本地図を紙に描き始めたのだった。

周りの皆は、毒母が何をしようとしているのか?全く皆目見当がつかなかったのだった。


洞察力のある凛子でさえ…さすがに毒母の思考だけは理解にいつも苦しむ事が多くて…未だによく分からないのはよくあるのだ。


毒母:

『これ日本地図ね。

 そして、ここが〇〇地方ね

 妹ちゃんの住んでいるA県は、ココ。

 お母さん達が住んでいるのはB県。


 A県とB県には県境がある。

 それがココね。』


皆は、ポカーンと毒母の説明を聴いている。


凛子も母が何を言いたいのか?

全く分からないのだった。


毒母:

『私が何を言いたいのか?というとね。


 A県はA県の人と仲良く楽しく暮らしたらいいって事。

 もちろんB県はB県で仲良く楽しくやっていくから。


だから…A県の人と会う必要はないって事。』



妹:

『お母ちゃん〜なんで?そんなに酷いことを言うの?

なんで?そんなに私達の事を毛嫌いするの?

うわぁ〜ん~~うわぁ~んん。』



妹夫:

『俺らで幸せになればいいんよ。

 俺、妹ちゃんずっと守るから…ねっ…。泣かないで〜。』



凛子:

『妹ちゃん、今まで沢山、毒母に傷つけられて来たんだから…もうこれ以上、傷つく必要はないよ。

 もう毒母に理解してもらおうとか…そー言う執着さは、少しずつでも、無くしていったほうがいいよ。』


『毒母は、昔っから自分の考えが正しいって思ってて、誰が何を言っても耳を傾けない人だから、夫さんとっても優しい人で、守るよ〜って言ってくれたり、めちゃくちゃ寄り添ってくれる人じゃない?』


『あなためちゃくちゃ、幸せな妻になれてると思うよ。オカンのことはもう気にせず…自分自身のこれからの幸せにエネルギーを注ぎなさい!!


 夫さんのご家族は温かく優しい方たちって言ってたんだから、その人たちと楽しく笑いながら、A県で生きていきなさい!!

再婚するまで、色々あってここまで来れたんだから、泣いてちゃもったいないよー。

 今!幸せ絶頂なんだから…。

ほら、笑って。。。』



妹は、夫に頭を撫でられながら…シクシクとまだ泣いてはいるが…

少しずつ…落ち着いてきたのだった。



その後…静かにふたりは帰って行ったのだった。


毒母は、『ざまーみろ!!』って意地悪な笑みを浮かべていた。


本当にこの人は…『悪魔だ!!』

と凛子は毒母にまた思った。

本当に毒母がお腹を痛めて産んだのだろうか?



凛子は

出産経験がないので、その感覚は分からないが…。

でも、姪っ子、甥っ子には、今はもう叔母というレベルの愛情はとうに越えて、かなり肉親に近い思いではある。



確かに…子供を産んだからといって…母性愛情が芽生えるわけでもないのは分かってはいるが…。

妹にしても、毒母にしても…

まぁ…不思議な生き物だと思ってしまう。



なにはともあれ…妹が他人と生きていく覚悟を持ってくれて、再婚してくれて、凛子は長い長い…妹の『自立への育成』を終えられた安堵感の感慨に浸ったのだった。



本当…妹を精神科に入れると決意したあの日の凛子は素晴らしかったと…今ならそう思える。


当初はもう必死だった。

この荒れ果てまくっているこの現状を何からどう?初めて行くのが正解なのか?わからな過ぎた…年月…。



持っている智慧、知識、能力…すべてをフルに活用しても…

毎回毎回…難題が降り掛かって…

解決してもしても…また…の繰り返し…。

この試練にゴールはあるのか?と…

暗闇の中のトンネルの時期の長かったこと…。



まだまだ凛子の人生〜

これからも波瀾万丈だとは思うのだが…とりあえず、大きな意味での節目は迎えられたのかな?と思ったのだった。



宇宙の方も、母親を施設に無事、入所させる事が出来て、今の所、楽しくお母ちゃんも過ごしてくれている。


1つ気がかりと言うなれば…我が息子の就活ではあったが…

それは息子自身の人生なので、彼が自分で考えてやっていくのを見守るしかないかなぁ〜と思っている。



宇宙は常日頃、息子には、すべては『自己責任』と教えて来ている。

その事は息子も分かっての上…今は、就活中なのだろうと思っている。



今日はとってもいい天気。

何かワクワクする事が起きそう。

そんな気持ちで家から出て、車で走っていると…。


あれ?もしかして?



宇宙:

『おーい!凛ちゃ〜ん。』



凛子:

『あら…宇宙〜おはよう〜。』



宇宙は朝一番で、偶然に凛ちゃんにあえたので、『今日はきっと良い1日になるぞぉー』って思ったのだった。



凛子も…偶然とは言え、出勤前に宇宙の笑顔が見れた。

相変わらず、無邪気な子供のような、屈託のない無垢な笑顔。

特別なにか?言葉を交わしたわけでは無いが…。



何と無くだが、表情が清らかで、柔らかい感じだったので、宇宙なりに、充実した每日を穏やかに送っているのだろうなぁ〜っと感じた。



宇宙〜

ほんと私たち〜よくここまで

頑張って来たよね?



私たちって

最高ね!!

素晴らしいね!!



また近いうちに〜

基地で会って、ここまでの

積る話をお互いにし合おうね。



無二の大切な大切な宇宙〜

あなたは私が今まで出逢った人間の中で、1番〜美しい人間よぉ〜



これからもお互いに〜

どんな事がこれからもあっても〜



美しい人間で居続けようね〜



己の愛を信じて〜

負けて打ち勝つ精神で

私たちにしか感じ得られない

徳を掴んで行こうね



私達のふたごちゃんの魂は

永遠に不滅です∞




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シリーズ第3弾~トリプルレイとツインレイ凛子と宇宙の魂のふたごちゃん物語(出逢って9年~14年) 勝美 あい @airintyan

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