第2話 鶏肉入りきんぴら
第一話ではしっかりとした主菜のレシピを紹介したので、バランス的には副菜のレシピなんかいいかなと思い、今回は「鶏肉入りきんぴら」を紹介することにした。普通のきんぴらに鶏肉と切り干し大根をプラスすることでしっかりとした存在感が出て、これだけでご飯を食べてもいけるような仕上がりを目指した。
日持ちもするので、常備菜として作っておいて少しずつ出してもいいし、お酒のおつまみにもいい。冷蔵庫から出してそのまま出せるのでなかなか重宝する。
「きんぴらですか!きんぴらって、美味しいですよねぇ……」
「きんぴらは、実はおれ達一族にも
「『きんぴら』という名前は、江戸時代の浄瑠璃『金平浄瑠璃』の主人公である、
「この坂田金時は、通称『金太郎』だぜ!足柄山でクマと相撲を取って、クマにまたがって馬術の稽古をしたと言われる英雄だぜ!」
「何を隠そう、僕や兄貴の先祖がその相撲をとったクマなんだよね!」
「これは知られざる新事実でした‼あのJR貨物EH500型交直両用電気機関車のニックネーム、『金太郎』がクロイさんの血縁とは‼」
「よ、よくわかんねえけど、そうみたいだぜ!」
「なんかクマイさんのそういうキャラ、久しぶりに見たな!」
いきなりきんぴらの名前の由来から入ってしまったが、このレシピ帖はまあ、僕のエッセイ的要素も強いから、こんな感じでもいいのかなと思っている。兄貴も僕も神奈川愛が強いのだが、その神奈川の英雄である金太郎が江戸で人気のきんぴらの名前の由来になっているというのもちょっと嬉しいのだった。
「とりあえず材料の紹介からいこうか!」
材料
・ごぼう 一本の半分
・にんじん 中1本
・切り干し大根 30g
・鶏肉(肩小肉またはもも肉) 200g
油・調味料・香りづけ
・めんつゆ 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・醤油 小さじ1(味をみながら加減)
・みりん 小さじ1
・ごま油 適量
・白ごま 適量
・干し赤唐辛子 適量
・塩糀パウダー 規定分量の1/2
「クロジ、鶏肉なんだが、この『肩小肉』ってなんだ?」
「これは、鶏の羽の付け根の部分で、別名『ふりそで』とも言われる場所なんだ!うちの近くのスーパーでは最近よく売っていて、煮ても固くなりにくい、煮物向きの部位で、しかもそんなに高くないんだ!」
「売ってない場合はどうしましょう?」
「その場合は、鶏もも肉で代用できるので、安心してね!」
一通り鶏肉についての解説を終えたので、僕は実際の調理にうつることにした。
「切り干し大根は水で15分戻す必要が有るので、ざっと洗ったらボウルで水につけておきましょう!」
「ざるのまま水につけると、あとで水切りが楽だぜ!」
タイマーで15分を計り、その間に鶏肉の調理にうつる。
「この鶏肉を一口大に切ったら、『塩糀パウダー』をまぶしていくよ!」
「これは、塩糀を粉末化した新調味料ですねぇ!」
「振りかけて5分まつだけで、肉がやわらかく、しっとりするんだぜ!」
当然の流れだが、ここから理屈っぽい
「そもそも、麹菌は学名Aspergillus oryzae:アスペルギルス・オリゼと言うんだけど、この菌は増えるときに澱粉やタンパク質を分解する酵素を多くつくるんだ!」
「この……タンパク質分解酵素がお肉のタンパク質を柔らかくするんですよね!」
「しかも、麹が増えるときに澱粉を分解してできた糖が肉の水分を保持するから、ジューシーな食感が生まれるんだよ!」
「分解酵素だけを売ってる商品もあるぜ……」
「これがさぁ、安いお肉に分解酵素をかけて柔らかくした焼肉用の牛肉とかも売ってるんだけど、旨味が失われてるんだよね……」
「柔らかくて食べやすいお肉だけど、なんか美味しくないですねぇ……」
「旨味のもとであるアミノ酸まで分解されちまってんじゃねえか?」
「その可能性はあるよね……」
「なにごとも、過ぎたるは及ばざるがごとしですねぇ……」
そんな分解酵素談義はともかくとして、僕たちは野菜を切り始めた。
「ごぼうとにんじんは、1mm角の細めの拍子木型に切ってね!」
「そういえば、今売ってるごぼうの9割は江戸時代に東京の滝野川で鈴木源吾っていうおっさんが改良した『滝野川ごぼう』がもとになってるらしいぜ」
「滝野川ってお札を刷ってる国立印刷局東京工場があるところじゃないですか!東京メトロで一番乗降客が少ないので有名な、『西ヶ原』駅とかが近いですねぇ……」
とにかく、ひたすら料理と関係ない話題に行きがちだが、とりあえず野菜は切れた。
「それじゃあ、炒めていくんだけど、まずは唐辛子のタネを抜いて、キッチンばさみで輪切りにしていくよ。」
「輪切りで売ってる唐辛子もありますよねぇ」
「で、フライパンにごま油を入れて、弱火で熱したところに唐辛子を入れて、唐辛子の香りと辛さをごま油に移すんだ」
「香りが出てきたぜ……」
「そしたら、辛いのが好きな人は唐辛子はいれたまま、苦手な方はここで唐辛子を取り出してね!」
「すごく苦手な方は入れなくてもいいようですよ!」
ここで、鶏肉を入れていく。塩糀パウダーが焦げやすいので、火は中弱火にして、じっくりと炒めていく。
「鶏肉にざっと火が通ったら、ごぼうとにんじんを炒めます!クマイさん、その間に切り干し大根を水から上げて、固く絞ってください!」
「わかりました!」
「絞れたら、これもフライパンに入れるんだな!」
「切り干し大根はそのままでも食べられるから、ごぼうとにんじんの火の通り具合をみて、良ければ調味料をいれます!めんつゆ、みりんを最初に入れて、あとは好みで醤油と砂糖で味を調整してください!」
調味料をいれると、野菜の焼けた香り、ごま油の香りと醤油の香りが合わさって何とも言えないいい香りがした。
「じゃあ、これを盛りつけて、仕上げに白ごまを振りかけて完成です!」
「ポリポリした食感がたまらないですねぇ……」
「肉が柔らかいぜ!」
「ピリッとした唐辛子の味がアクセントなんですよねぇ!」
「ごまの香りもたまらないぜ!」
「今回も料理と関係ない雑談が多かったので、まとめを以下に添付するよ!」
【作り方のまとめ】
材料
・ごぼう 一本の半分
・にんじん 中1本
・切り干し大根 30g
・鶏肉(肩小肉またはもも肉) 200g
油・調味料・香りづけ
・めんつゆ 小さじ1
・砂糖 小さじ1
・醤油 小さじ1(味をみながら加減)
・みりん 小さじ1
・ごま油 適量
・白ごま 適量
・干し赤唐辛子 適量
・塩糀パウダー 規定分量の1/2
切り干し大根はざっと洗ってみずにつけておく(15分)。
鶏肉に規定量の半分ほど、薄く塩糀パウダーを振って良くもむ
にんじん、ごぼうは1mm角、長さ4cm程度の細い拍子木に切る。
フライパンにごま油を引き、輪切りにした唐辛子をいれ、香りを出す。
鶏肉をざっと炒め、にんじん、ごぼう、固く絞った切り干し大根を入れて炒める。
野菜に火が通ったら調味料を入れ、味を調える。先にめんつゆとみりん、そこで一回味を見て、醤油と砂糖で味を調整する。
器にとって、白ごまを振る。
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