「なろう系」は難しいが、「マッチング」はもっと難しい

 初めまして、普段はpixivで二次創作活動をしております無人(ナハト)と申します。

 今回、カクヨムではオリジナル作品を投稿していこうと執筆中の合間にちょっと思う事があったので、備忘録もかねて記しておこうと思います。


 執筆活動をしていると、たまに友人から「なろう系は書かないの?」と聞かれることや、「書いてよ」とリクエストされる事があります。


 そんな時に決まって私が答えるセリフは「いゃ、ムリ」です。


 何故か?なろう系ってめちゃくちゃ難しいんですよ。


 出来上がった作品だけ見ていると文体はシンプルだし。

 ストーリーもド定番のお約束系なので、簡単そうに見えるのかもしれませんが、書くとなるとめちゃくちゃ人を選びます。


 なろう系の大原則は「わかりやすい」「ノーストレスで読める」「お約束展開」なので、難しい事は出来る限り省かなければいけません。


 時代劇で言う水戸黄門や遠山の金さんみたいなもので、そこに「大奥」みたいな人のドロドロやゴタゴタも必要なければ、「大河ドラマ」みたいな緻密な時代背景や歴史公証なんかもいりません。


 もちろん書かれている作者様がそう言う世界観や綿密な設定を作っていないなんて事は言いません。でも、それは基本的には本編ではさほど語られません。


 だって、誰もそれを必要としていないから。


 では、読者は何を読みたいのか?


 それはカップラーメンのようなお手軽さで味わえる「爽快感」や「カタルシス」であり、もっと言うと「自身の持つ欲求の解消」が目的なのだと思います。


 なろう系が流行った背景にはそういう現代人の「高ストレス」や「時間不足」があり、ついでに言うと昨今の「タイトルでとりあえず必要な事を全部言っちゃう戦法」は「決断疲れ」の解消にも一役買っているのかなと思う次第です。


 心理学を齧った事のある方には有名な話ですが、とある研究結果によると人は1日に数万回の選択を繰り返しており、この何かを選ぶ行為をする度に、人はエネルギーを消費しているのだとか。


 だから人が一日に出来る選択には限界があり、大事な事を決めたい場合は「朝に決めろ」と言うのはこのエネルギーが確実に在る状態で選択しなさいと言う事だそうです。


 また、IT業界で著名な方々がクローゼットには何枚も同じシャツが入っていると言うスーパーマンかお化けのキュー太郎みたいな事になっているのも、この選択を1つでも減らして重要な事にエネルギーを使いたいと言う理由だそうです。


 とは言え、私達が毎日同じ服を着て会社に行くのはちょっとハードルが高いでしょうし、「そんな重要な決断をする事なんて、そうそうないし」とお思いかもしれませんが。

 毎日知らず知らずのうちにエネルギーは使われていて、ようやくホッと一息と言う余暇の時間で、残基が実は残り少なくなっている為、ついお手軽なモノに手を伸ばしているのかもしれません。


 そう思うと、「なろう系」って現代の癒しのひとつであり、あれだけ一大マーケットになるのも理解ができる気がします。


 こう言う視点で見た時、物語に「メッセージ」とか「教訓」とか

「深み」とか「哲学」を入れたい、または感じ取りたい勢はそもそも選ぶべきは「なろう系」ではないですし。


 45分で「くのいちの入浴お色気シーン」と「スケさんカクさんのチャンバラシーン」とを入れ込んで、最後に悪が成敗されてスカッとする水戸黄門ばりの「なろう系」を書き続けるのってかなり大変だと思います。


 どっちが偉いとか、凄いとかじゃなくて、そもそも全然違うカテゴリなんですから。


 まぁ、めちゃくちゃ流行っていますし。

 カクヨムなんかもそうですが、プラットフォームに作品が色々と混じっていると、ついついそう言う作品に人気が集中して「私の作品なんて読まれないよね」とか「なんで、なろう系が人気なの?」となってしまいがちですが、疲れている現代人は癒しを求めているんだな、と理解する事で少しは慰めにしていただければ幸いです。


 自分が書きたいのが「なろう系」か「そうではない系」か見極めは重要ですし、読者だって全員が全員、癒しを求めているわけでは無く、激動のエンタメを求めている層だって必ずいるはずですので、後はお見合いのように両者のマッチングが上手く出会うか次第だと思って、気を落とさないでいただければ幸いです。


最後に…

 もしここまでお読み下さいました方がいらっしゃいましたら、ありがとうございます。

 これからも執筆の合間に雑記を投稿予定ですので、宜しければ応援いただければ幸いです。


 二次創作にご興味があるようでしたらpixivやFANBOXにてお目にかかれましたら嬉しいです。


 無人(ナハト)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

「面白い」小説を書くのに悩んだら、読んで欲しい事 無人(ナハト) @nacht-as

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ