最終話「おじさん」
そして次の日・・・
私と父と母の前に水道局の男性職員が正座をしていました。
父と母に何度も頭を下げ謝罪をしています。
職員が紙袋からブリキの戦車を取り出し私の前に置きました。
謝罪にもブリキの戦車にも興味を失っていた私は、何も言わず立ち上がり隣の部屋に行きました。
生まれたばかりの弟に、小学生からもらったプロ野球カードを見せ選手の名前を教えていると、父の声が襖越しに聞こえてきました。
「なぜ、マンホールの蓋が開いていたのか!?」
「なぜ、水があふれていたのか!?」
「なぜ、誰も入れないように柵を設けなかったのか!?」
私はそんなことより、「マンホールの中で私の両足を強く握ったおじさんが一体誰なのか?」を知りたかった。
あれから何十年も経ちましたが、今も私の足首におじさんの手の感覚が残っていま
す。
私の身体を水面まで押し上げてくれた手の感覚を・・・
YouTube「あなたを誘う恐怖世界Ⅰ・Ⅱ」より ©2024redrockentertainment
ぞっとする昭和実話怪談『マンホールの住人』 redrock @redrock5555
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます