アナザーワールドファンタジア〜元プロゲーマー、電子の異世界を攻略す〜
@Hisui_51
消えぬ日々は残響に混じりて
第1話 清々しい朝
清々しい陽気な日差しがカーテンの隙間から差し込み、囀る鳥の声が聞こえる夏休み初日の朝。
「白猫宅急便でーす。白取さーんご不在ですかー? 白取さーん!」
玄関のチャイムが鳴ったと思えば、見知らぬ男性の声が聞こえた。どうやら俺にわざわざ荷物を届けてくれたようだ。なんともありがたいことだろう。
俺はその感謝の気持ちを伝えるため、ベットに寝転がりながら思いっきり叫んだ。
「うるせぇぇ! 時間考えろやぁぁ!!」
横になりながらにしてはやけに通る怒声に囀る鳥が慌てて羽ばたき、例の男の焦る声の後、再び平穏な朝がやってくる。
しかしながら、心地よい睡魔はもう遠い彼方。まだ朝6時だというのに、完全に俺の目は覚めてしまった。
「くっそ、なんなんだよこんな時間に……休日の朝6時に起こされる気持ちをあいつは知らないのか! それに荷物って俺なんも頼んでねーし! もしくだらん物だったら着払いで送り返してやる!」
朝の清々しさをフル無視で悪態つく姿は、先の宅配の男など霞むほどの近所迷惑に違いない。隣のおばさんに回覧板を投げられても文句は言えないだろう。
◇
「で、なんだこれは」
部屋に運び込んだダンボール箱と睨めっこをしながら、俺は寝起きの頭をフル回転させる。
一人暮らしで家族の頼んだ物ではないし、俺はなにも頼んでいない。しかも数キロはあるだろう重たいダンボール。一体中になにが入っているのか、誰が送ってきたのか、皆目見当がつかなかった。
「ん、誰だよこんな朝に……」
ダンボールの前で頭を抱えていると、枕元に置いてあったスマホに電話がかかってきた。
先の配達員といい、なぜ皆遠慮なく人の朝を妨げるのか不思議で仕方ない。
「はい」
「お、出た。お前がこんな時間に起きてるとはな」
「あれ、
「ギリな」
電話に出ると、向こうから見知ったおじさんの声が聞こえてきた。
特徴的な枯れた声に、後ろから聞こえる聞き慣れたゲーム音。間違いなく俺知る西川さんだ。
「ていうかそれ、朝六時に電話かけてくる人のセリフとは思えないんですけど」
「俺は今から寝るからな、実質深夜だ」
「深夜でも非常識には変わんなくないですか……」
意味不超理論を展開する西川さんにいつも通りだと安心しつつ、呆れた声で返す。
そういえば、まともに西川さんと話したのは一年半ぶりくらいではないだろうか。いろいろあって全く関わりがなくなってしまってからというもの音信不通になっていた。
「まあいいわ。それで今日さっき荷物届いたろ」
「え、はい届きましたけど」
「それ送ったの俺な。お前ぜってぇハマると思って買っちったぜ。まだ開けてねぇなら楽しみにしながら開けろよ」
「あ、はい。ありがとうございます?」
「ん、じゃな」
あんただったんかい! という言葉を寸前で飲み込み、西川さんが何を言っているのかを咀嚼する。
相変わらず相手にわからせないような話し方は健在のようで、中身を噛み砕く間に電話は切れてしまっていた。
「本当、相変わらずだなぁ……」
西川さんのことだから変なものではあるだろうが、一体なんなのか想像がつかない。
あの人普通に大人向けの薄い本とか箱詰めして送ってきそうだし……
「……そん時は丁重に送り返させてもらおう」
内心何が入っているか楽しみにしつつ、俺は早速開封を始めるのだった。
———
最後までお読みいただきありがとうございます!
初めましてひすいです。今日から新連載異世界ファンタジー小説「アナザーワールドファンタジア」を書いていきたいと思います!
1話は1500文字から2000文字で書いていきたいと思います。
まだまだ初心者ですがよろしくお願いします。
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