dede的我流考察法虎ノ巻

おっと、口調が偉そうでしょうか?私もそう思います。でも仕様です。今回はこの口調で進めますので悪しからず。


とはいえ、です。これから話す内容は大した話ではないのです。面白味もないです。ただ私はこうしてるという紹介だけです。前回でもお話しましたが、ネット上でたくさん方法論みたいな事は書かれています。基本、その物語について読み解いていくのであれば、論理的な矛盾や記述内容との不一致が発生しない限り問題はないでしょう。それが他者の納得できる解釈であるかは別問題ですけども。解釈の不一致、音楽性の違いというやつですね。とはいえ、明確な破綻がない限り、否定するには至りません。可能性の一つですね。マルチバース、平行世界。カップリングで揉めるはずです。


さて、前置きはこのあたりにして具体的に私が考察をしようとする時、何をしているのかについて語りましょう。ここでは短編小説を考察する想定です。だいたい私が考察するのは歌詞か短編小説です。長編小説では最中に飽きてしまうのです。するとしたら、範囲を絞るか長期戦を覚悟しなくてはいけませんね。


では、まず真っ白なA4のコピー用紙とシャープペンシルを用意します。

そして紙の端の方に落書きをします。物語の登場キャラのイラストであれば見栄えがいいですね。私は描けませんが。普通におでんでも書いておきます。△〇□。さて、これで準備ができました。


基本、考察ですることは次の3つです。


『分析』、『仮定』、『検証』。


紙に書き出すのは主に分析ですね。物語を分解していきます。

まずタイトル。全体を体現する言葉が書かれてるハズなので重要です。目立つところに書いておきましょう。

サブタイトルも然りです。タイトルを補足している事が多いので、タイトルの傍に添えておきましょう。

次に話を分けます。歌詞であれば全部写経するのですが、小説であれば固まりを作ります。私は、シーンごとに分けがちですね。書かれた順に上から。時系列が飛ぶ場合は順番の番号を振ります。簡単にドコなのかも書いておきます。

そして、居合わせた人物、起きた出来事、感情の変化、モノの配置、モノの移動など、その話で気になった事を書き込んでいきます。具体的な数の記述も大事ですね。そうそう、キーワードになりそうな単語も忘れずに。だいたい繰り返される言葉なのですぐ気づくと思います。

その過程で、分からない単語やイメージのついてない固有名詞もネット等で調べます。案外、普通に読んでると流してしまうのですがイメージのついていない言葉は多いものです。凝った色の表現とか、女性の服装とか。私最近まで飴色って透明ッポイと思ってましたよ。後で見直した時のために、絵で残しても良いですね。


さて、そろそろ出揃いましたでしょうか。ここいらで流れについて確認しましょうか。おそらく、普通だったら「物理的な出来事の流れ」と「感情の流れ」の二つが把握できていれば良いと思います。ジャンルによっては「お金の流れ」「戦局」など増える可能性はありますが、全部に構う必要もないので私が気にするのはその二つです。

「Aがαな気分になったので〇〇した」「Aが〇〇したので、Bはβな気持ちになった。だからBは××した」基本はこの繰り返しです。出来事があって感情が変わった。感情が変化して行動した。人物は二人とは限りませんし、誤解はあるしでいう程流れを追うのは簡単ではありませんが。パズルのピースを埋めていくような作業になります。でもだいたいはその流れが断ち切れないように描かれてるハズです。しかしそのうち、ざっと見では気づかなかったけれど、うまく連動してないおかしな行動や感情に出会う時があります。


おめでとうございます、考察ポイントです。


本当に矛盾している可能性もありますが、あなたが見落としてる要素があった可能性もあります。色々とこねくり回します。描写を見落としていたかもしれません。行間をうまく読めてないのかもしれません。『もし彼の事を始めから好きだったとしたら』『もし、こんな過去があったとしたら』読んでる最中に無意識にしてる行為かもしれませんが、ここでは意識的に行っていきましょう。そして、仮定で埋めた状態で一からなぞっていき、おかしな点がないかチェックしていきます。『仮定』と『検証』ですね。

やがて全ての矛盾点が解決できる仮定ができました。よかったですね。はい、これにて完了。


とは、いえません。まだお残しはありませんか?


他の解釈をする余地は残してませんか?タイトルはどうですか?その最終的に作られた仮定は、タイトルが表した通りの内容だったでしょうか?あなたがキーワードだと思っていた言葉は?話の中で意味のある使われ方をしてましたか?それに、このお話は他の何かに似てはいませんでしたか?その似た何かと関連性の高いストーリーでしたか?

もしそれらの疑問点が残っているのだとしたら、この話はまだ何か仕掛けが残ってる可能性があります。これは、作者からのイースターエッグです。掘り起こせたなら、きっと楽しい出来事がこの後あなたに待っています。

特に私は、その、悪い癖なのですが。メタファーやシンボルが大好物なのでついつい探してしまうのです。短編ぐらいだとない事が殆どなのですが、たまにシンボルとして扱われてるのを見つけると嬉しくなってしまいます。


と、まあ。私の場合の考察はこんな感じでしょうか。ここから更に、「ここを変更したらもっとよくなる」「私ならこうする」まで出てくればクリエイターとして上々なのでしょうが、だいたい意識してないと「作者さんすげー」で終わってしまいます。でもそれでも良いのです。「この話をもっと好きになる」ために行っているのですから。


人によってはもっと別な点に着目されると思いますし、やはりそのあたりは千差万別だと思います。


とはいえ、ここまで読まれましたあなた様でしたらお気づきかもしれませんね。

そう、やっている事は国語のテストです。ただ違うのは設問も回答もあなたという事。この「問いを立てる」という行為は価値の創造であり、実にクリエイティブでエキサイティングな行為です。


昔、Vtuberさんの生配信で歌詞の考察している様子を視聴していました。よく知っている曲でしたが、歌詞は何となくで解釈していました。あるフレーズをVtuberさんが拾いました。「これ、変じゃね?」。確かに、変です。私の何となくで構築された脆弱な世界が崩された瞬間でした。

コメント欄とVtuberさんであーでもない、こーでもないとガヤガヤ言葉を交わしていましたが、ある「〇〇って事じゃね?」と書き込まれた瞬間Vtuberさんが「それだー!!」と叫び、私達もなるほどと思いました。新たな強固な世界が誕生した瞬間でした。Vtuberさんも別の解釈を用意していたそうですが、より解像度が高いと満足そうです。良い問いは気持ちがいいですし、良い問いが良い答えで埋まるのはもっと気持ちのいいものです。

それはエッグであり、ピースです。どちらも素敵なものです。


お忙しい日々をお過ごしかとは思いますが、そんな時こそじっくりと腰を据えて考えてみても良いのではないのでしょうか。新しい視野が開けるかもしれません。


書いてる最中に「あれ、結局何が言いたかったんだっけ」と、問いも答えも行方不明になってしまったのはあなたと私の二人だけの内緒でお願いします。

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