別れのとき

 そんなかわいい妹テンのたっぷりのお昼寝のおかげで、夢で悪夢は成功した。

 

 

 しかし…

 

 作戦は、失敗に終わった…。

 

 父は、大丈夫だといってハンコを押してしまったのだ。

 

 …

 

 

 なんてことだろう。

 

 あぁあああああぁ〜〜‼︎

 

 

 これから転落の人生が待っているのかと思うと、気がきじゃないっ‼︎

 

 どうしましょうか?

 

 …

 

 どうしようもありませんね…。

 

 

 テン…ごめん。

 

 

 それから一か月、二か月と過ぎたのだけれど…なぜでしょう?

 

 

 特になんにもおかわりないようで…。

 

 ⁇

 

 

 どうしたことでしょう?

 

 

(テン、なんか知ってる?)

 

 おもちゃ遊びに夢中なテンに聞いてみた。

 

 

 するとテンは、

(はいです。父と母は…違う契約を結んだのです)

 

 と教えてくれた。

 

 

(違う契約⁉︎)

(はいですの。だから、もう大丈夫ですの)

 

 

 と、教えてくれたんだけど…

 

 違う契約とは…

 

 多額の保証人ではなく可能な範囲での金額出資だったらしい。

 

 

 これなら、なにかあっても借金を背負わなくて済むというわけだ。

 

 

 せっかく大丈夫になったのに、元気のないテン。

 

 

(どうした?テン。)

 

 元気のないテンを心配になり、顔を覗き込んだ。

 

 

 …

 

 

 テンは、手に持っていたぬいぐるみをナデナデしながら、

(わたくしの任務完了です)

 といい、寂しそうな表情でうつむいた。

 

 

 ⁉︎

 

 

 てことは…まさか…

 

 

(テン‼︎帰っちゃうの⁉︎)

 

(はいですの。)

 

 

 …

 

 

(ヤダよ‼︎)

 

(仕方ありませんの。)

 

(なにか、帰らない方法とかないの?)

 

(…あるには、ありますけど…でもそれは…とても恐ろしい……)

 

(えっ⁉︎帰らない方法あるの⁉︎)

 

 オレの言葉にテンは、我に返ったかのように目を丸くして、

(あ、ありませぬっ‼︎)

 

 と、目をキョロキョロさせた。

 

 

 …あるんだな。

 

 でも、きっとテンに負担のかかることなのだろう。

 

 テンが辛い思いしてまで引きとめるわけには…いかない。

 

 

 せっかく新しい人生の幕開けだったのにな…。

 

 

(テンは、いつ帰っちゃうの?)

(一か月後ですの。兄上さま…残りの一カ月…なるべく一緒にいても良いですの?)

(うん。オレも出来る限り一緒にいたいよ)

 

 こうしてオレたちは、なるべく一緒に過ごせる時は、そばにいた。

 

 

 

 テンは、頭脳は大人なはずなんだけれど…どこか抜けているというか…なんか…なんだろう…。

 

 不思議な感じがする。

 

 とにかく一緒にいると安心感がある。

 

 

 妹に安心感ってなんだろう…。

 

 普通は、逆じゃないと兄としてはいけないのだろうけど…。

 

 日に日にテンとのお別れの日が近づく。

 

 

 そしてオレは日に日にテンのいない毎日を考えると、居ても立っても居られない状態に陥った。

 

 

 無邪気におもちゃで遊ぶテン。

 

(テンさ…なんでそんなに無邪気に遊んでられんの?)

 

 天使の方がやっぱり楽しいのかな…

 

 って思ったよね。

 

 

 そしたら、テンは…

 

 

(楽しくしてないと泣いてしまいそうなので…)

 

 って言いながら、一気に瞳に涙を溜めた。

 

 まばたきしたら、ポロって落ちるくらいに瞳から溢れそうな涙…。

 

 オレは、いまにも壊れてしまいそうなテンを抱きしめた。

 

 

 

 離れたくない、離れたくないよ…

 

 

 テンとは、ほんとうのきょうだいではない。

 

 

 だから、オレはテンと生涯を共にしたいと心から思っていたのに…なのに任務完了ってなんだよ。

 

 神さまってやつがきめたのかよ⁉︎

 

 任務が終わったら、はいさよなら〜ってそんなことってあんのかよ‼︎

 

 直接神さまってやつに文句を言いたいくらいだった。

 

 でも、こんなオレみたいなやつが神さまとか偉大な方にそう簡単にあえるわけがないんだ。

 

 

 オレなんか、遠くから神さま…お願いしますって手を合わせて願うくらいしかできないのだ…。

 

 てか、これすら神さまに届いているのかも危うい。

 

 

(なぁテン…)

(はいですの)

(いつか必ずまたテンにであいたい。そして今度はずっと一緒がいい。)

 

 オレの言葉にテンも頷いてくれた。

 

 

 それと同時に大粒の涙がポロっとこぼれ落ちた。

 

(テン…じゃあ誓いのキスしてもいい?)

 

 オレのその言葉を聞いたテンは、目を見開いて、

(え…ダメですの。兄上さまが感電して死んでしまいますの)

 と心配そうにオレをみた。

 

 

(いいよ。そしたら、テンとまた一緒にいられるかもだし)

 

 と、笑った。

 

 でも、テンは

(いけませんの。しびれたら相当…いたいのですから。それに兄上さまをあの世へおつれするわけには…いきませぬ。)

 ってオレを引きとめてくれたけど、オレはもうそんなことは、どうでもよかった。

 

 

 テンがいなくなる方が嫌だったから。

 

 でも…

 

(それってテンもしびれたりするの?)

(天使は、それほどでもないと伺いましたが…ほんとは…わたくしも……キスできるならいたしたい……でも‼︎兄上さまにご負担おかけしたくありませぬ)

 

 って言われたから、オレの負担ならどうでもいいと、オレはテンにそっとキスをした。

 

 

 

 テンのくちびるは、柔らかくてあたたかかった。

 

 

 そしていい意味でゾクゾクってしたんだけど…

 

 

 テンをみると、おめめはどこ向いてんの?状態だし顔もぽわ〜んだった。

 

 

(テン?大丈夫⁉︎)

 

 われにかえったテンは、

(はわわわ…ど、どういたしましょう…電流が…電流が流れてしびれましたのっ…)

 

 と、慌てているみたいだったけど…見た目的にかわりはなかった。

 

 

 そして…オレもとくに死亡レベルの電流じゃなかった。

 

 

(テン…オレたちって…)

(兄上さま‼︎大成功ですの‼︎)

 

 

 …え?

 なにが⁇

 

 まさかこれって…ただの夢だったってオチ?

 

 ドッキリてきな…?

 

 目を覚ましたら…飲んだくれた両親のままってこと…?

 

 じゃあ、テンって夢の中だけでしか…

 

 

 

 

 

 

 …

 

 

 

(テンーー‼︎)

 

 オレはこのまま夢が覚める前に、もう一度テンを抱きしめてキスをした。

 

 

 するとテンは、

(やっぱりですの‼︎やっぱりですのよ‼︎)

 って大興奮だった。

 

 

 …

 

 

 え…?

 

 

 

(あのー…テンさんや?)

(わたくしがかえらなくてよい方法が成功いたしましたの‼︎)

 

 え⁉︎テンがかえらなくていい方法って…あるけど不可能的なことじゃなかったか?

 

 

(テンがかえらなくてよい方法ってなんだったの?)

 

(それは、大好きな人とのキスです。ですがキスをするとからだ全身に電流みたいなものが流れると聞いておりましたので…だから、不可能だと思っておりましたの。デスがデス‼︎素敵なしびれでしたの)

 って教えてくれた。

 

 

 あー…そういう…

 

 

(何度でも感電させてあげるよ♡テン〜♡)

(キャ〜♡)

 

 

 こうしてオレたちは、見た目は子どもだけど、頭脳は少し大人な感じで生活を続けることができた。

 

 

 なので大人になるまでにも、たぁーつぷり長々とイチャイチャできるってわかったのです。

 

 

 そして、大人になったら結婚しようね♡と約束を交わしたのでありました。

 

 

 ちなみに両親も保証人にならなかったし、円満に暮らしましたとさ。

 

 

 

 おしまい♡

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転生したらしてなかったっぽい⁉︎てか、義妹がいろいろやばすぎるんだが⁇ 猫の集会 @2066-

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