第24話 再攻略
墓標迷宮 第七層
アストリスからのパーティ勧誘を断って翌日、私は今日も今日とてダンジョン攻略へ来ていた。
この墓標迷宮には各階層ごとに特徴がある。
例えば第一階層であれば、太陽と平原という環境。
そこに付随する狼や小鬼などの小型のモンスターが多い。相当むかしの話だが、の階層ボスはオークキングだったか。
第二階層は月の差す古城に、階層ボスはヴァンパイア。
こないだ訪れた第三階層であれば鉱山地帯。
その鉱物を護るように、ゴーレムが徘徊している。階層ボスは鉱山深部に隠されていたオリハルコンゴーレムと言われている。
とまあ、そんな感じで墓標迷宮は階層ごとに特徴がある。
では第七層はどんな環境なのか。
一言でいえば洞窟。ダンジョンではスタンダードな部類の環境だ。
じゃあ、そこに居るモンスターは何かと聞かれると少し困る。
理由は種類が多いから。低級のゴブリンからミノタウロス、アラクネ、ナーガ、そしてオーガなど、モンスターの種類は多岐に渡る。
単純に強力かつ、種類が多いゆえにモンスターの攻撃方法も無数にある。生半可な準備で挑めば敗北は必至だろう。
まあ、私は慣れているので関係ないが。
「――――――よっ」
高速の移動で景色が流れていく中で拳を振るう。
洞窟内で乱反射する砲弾のように加速し、接触したモンスターが水風船のようにはじけ飛ぶ。
ある程度まとまってモンスターを排除した後に、地面を削りながら急停止する。
戦闘終了だ。
「ふぅ………」
昨日のファミレスでの出来事を思い返す。
Sランクパーティからの勧誘。
参考に提示された金額、条件等、あれほどの好待遇の誘いはもうないだろう。
惜しいことをした、とは思わない。
パーティに入るという事は、命を共にするということだ。高度な連携を必要とするダンジョン攻略で、いきなり新人が下層攻略に入るのはいろいろ難しい問題がでてくるだろうし。
私が入ってしまうと、和を乱すことが見えている。
伊達に人生十数年ぼっちをやっていない。一人になるのが得意なんじゃない。気付いたら一人になっているのだ、私は。
それに、真剣にダンジョン攻略をしているアストリスに、ぽっと出の探索者が気軽に参加するのも誠意に掛ける気がする。
では、どうするか。
「………こっちの戦いはおわったよ」
「はい、アリカさん! こっちも終わりました!」
少し離れた場所でハルカ達アストリスが手を振る。
――――――
戦力を必要とするパーティが行なう臨時的な共同戦線。大型モンスターや階層ボスを相手取るときに使われることが多いが、制度自体は攻略でも使用可能だ。
この連携制度を利用して、私と日乃宮ハルカは契約をした。
目的は2つ。
一つは第七階層の案内。
この階層に日々訪れている私は、彼女たちのサポートを行なうことができる。
「調子は悪くなさそうだね」
「はい、連携が取れれば問題なく!」
そしてもう一つ。
これがレイド本来の目的。
「少しずつ慣らしていこう、大物が待ってる」
「はい、しばらくの間、よろしくお願いします」
墓標迷宮 第七階層ボスの連携討伐。
それが私たちの目的だ。
―――
新年なので現代ファンタジーで別作品
【史上最強の転生者、強すぎて世界相手に無双した件~隠れて暮らしたいけど天才美少女達が集まってきます~】の投稿を始めました。
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Fランクのぼっち少女探索者、実は史上最強の回復使い~根暗ですがSランク配信者を助けたらバズり散らかしました~ 赤雑魚 @jhon
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