第10話 自己紹介
「紹介します! 私の恩人、伏見アリカさんです!」
「ど、どうも」
黒騎士と弓使いにぺこりとお辞儀する。
この二人がアストリアのメンバーなのか
なんというか意外だ。
もっとアイドルじみたキラキラしたメンバーをイメージしていた。
まさか厳つい全身鎧と大人びた美人とは。
私が100%偏見でできたイメージを展開していると、弓使いの少女が近付いてくる。
「弓月カザネ、Bランク、弓使い。貴方のことは配信で見てたから知ってる。よろしく」
「あ、はい。よろしくおねがいします」
「敬語じゃなくていいよ。同い年なんだし。」
同い年なのか………。
大人びた感じがするから年上かと思った。
たしかに見ればややアレンジが加えられているが高専の制服も着ている。
迷宮高専の制服は非常に丈夫なので、そのまま迷宮に潜る人間も多いのだが、自分の戦闘スタイルに応じてデザインをオーダーメイドできるのだ。
弓月カザネも自分の戦闘仕様に合わせているのだろう。
速度重視なのか、本来の制服よりもやや露出多めの軽量重視のようだ。
え、私?
何の変更もないデフォルトだが?
そこらへんの感覚がいまいちわからないので手を出さなかったのだ。
「で、こっちは土御門クロガネ。Aランクの防御前衛。まあ見ての通りだね。同い年だよ」
コンコンと、鎧を指で軽く叩きながらカザネが紹介する。
2メートルはある黒騎士が会釈する。
「ハルカを救ってくれて感謝する。今日はよろしく頼む」
「よ、よろしく」
………どっちだ?
声がくぐもっていているので性別が分からない。
どちらにせよ、とんでもなく大柄な人間が中に入っているのは間違いないと思うのだが。
やや緊張した空気をぶち壊すように日乃宮ハルカが手を叩く。
「じゃあ、そろそろ出発しよっか?」
「了解した」
「一応コラボなんでしょ? 昨日のこともあるし、簡単なところでいいと思うけど」
「はい、ですからここは――――――」
和気藹々とした雰囲気でアストリアが話を進めるのをぼーっと眺める。
なんかいいなぁ。
パーティで迷宮に入るって感じの雰囲気だ。
もはやソロに慣れ切っているせいで、すっかり忘れていたけれど、そういえば迷宮攻略って一人でやるもんじゃないもんな。
「アリカも来てよ。皆でどこがいいか決めるんだから!」
「はーい、今行きます」
足だけは引っ張らないようにしなければ。
そう思いながら私はアストリスに向かって歩き出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます